女トレーナーからの視点でも、やはりトランに積極的に行動されると色々ドキドキするんじゃないか。そう思う今日この頃です。
私はごく一般的な中央トレーナー。え? 中央でトレーナーしてるだけで一般人じゃない? いやまぁ、それはそうなんだけど。中央トレーナーとしては普通なのよ、多分。
で、そんな私が唯一誇れる部分があるとすれば、それはトランセンドの担当トレーナーである事かな。いや、凄いのよあの子。走る事自体は好きじゃないけど、それでももうすっごい成績なのよ。
まぁ、あの子が私と契約した切っ掛けは、担当契約もしてないのにトレーナーの部屋に入り浸るのは問題だよね? って言うのが理由なんだけど。その関係は今でも変わってなくて、多分今日も……。
「トーレーちゃん。あーそーぼ」
「トラン? 別に遊ぶのは良いけれど……今日の課題は終わってるよね?」
「大丈夫大丈夫。ちゃんと終わらせてるよん。ほらほら、お邪魔するよー」
そう言ってスルリと私の隣を通って部屋に入ってくるトラン。慣れたものである。
「トレちゃん、こないだのゲームのリベンジする? 負けたらもちろん、言う事聞いてもらう事になるけどね」
「む……よーし、負けっぱなしなのも嫌だし。今回は勝たせてもらうからね」
「お、乗り気じゃん。じゃ、やっていこっか」
と言うわけでちょっと乗せられる形になったけど、トランとゲームで勝負……をしたけど普通に負けました。くやしい、ビクンビクン。
「はーい、ウチの勝ちね。なんで負けたかは明日までに考えてください」
「煽るのは止めてくださいお願いします……あー、くやしーー……で、今回はどんな罰ゲームなの?」
「んー……そうだねぇ。前回と同じで良いんじゃない? ほらトレちゃん、こっち来て来て」
トランに腕を掴まれそのままベッドまで引っ張られていくと、そのままトランの膝枕に頭を置く形になった。
「ねぇ、トラン。今更だけどこれって罰ゲームなの? いやまぁ、私にとってはやられると困る事ではあるんだけどさぁ」
「んー。まぁ、罰ゲームって銘打ってウチがやりたい事をしてるのは否定しないよん。でも別に誰かに見られるわけじゃないんだから良いでしょ?」
「いや……うん、嫌じゃないけど……」
「ほらほら、女でもウジウジ言ってると嫌われちゃうぞ。前に一回やってるんだからさ」
うんまぁ、もう一回やってもらってるけどさ。でも、毎回やってもらうようになっちゃったらダメだとは思うんだよね、流石に。でも本気出されたらウマ娘には勝てないしなぁ。
「まずはウェットティッシュで外側の掃除していくよん。ゴシゴシ~、ゴシゴシ~……うっわ、汚れすぎじゃない?」
「急なマジトーンは心に来るのでやめてくださいお願いします」
ちょっと……うん、ちょっと心に来ます。私にも女の子としての意識はあるんだよ? それを汚いってマジトーンで言われると割とガチ凹みしちゃうよ?
ゴシゴシ……コシコシ……
ギュッギュッ……ゴシゴシ……
そんな風に思ってる間にウェットティッシュを二枚も使って耳の外側が掃除されて、そのままトランの指が耳を摘まんできた。
モミモミ……モミモミ……
グリグリ……グリグリ……
「あ~……トランの指がちょー気持ち良い……」
「えへへ~、そう言ってもらえると嬉しいな」
あ、トランからもなんだか嬉しそうな気配を感じる気がする。うーん、トランも何か嬉しいんだったら余計に断り辛くなっちゃうなぁ。
「じゃぁ、中の掃除を開始しようか」
カリカリカリ……ガリガリガリ……
ゴリゴリ……ゴリゴリ……ベリッ
「うーん……私って耳の中もそんなに汚れてるの?」
「まあねー。こんだけ耳垢が取れてるのは汚れてるって言わざるを得ないかな? やっぱ人間って耳のお手入れしなさすぎじゃない?」
耳垢が次々に剥がされて捨てられていくのを目の当たりにしていると、自分の耳が汚れているという事実を突きつけられてしまい、心が痛くなる。なぜ耳掃除で精神的ダメージを受けなければならないのか? 誠に遺憾である。
「掻けば掻く程汚れが出て……某お菓子のCMのノリで言ってあげようか?」
「いや、いいです。遠慮しておきます」
そんなの聞かされたらあのCMやお菓子を見るたびに思い出しちゃうじゃないですか、ヤダ~。
「よしよし、大きいのは大体取れたから。梵天使ってこっか」
「ふー、やっと終わったぁ……」
あー……うん、捨てられた耳垢見てると、ちょっと耳の手入れしないといけないかなー。ってなっちゃう。
クルクル……クルクル……
コシュコシュ……ススー……
あ、耳垢に気を取られてる間に梵天が入ってきて、こそばゆいような気持ち良いような、不思議な感覚を味わう・
「どうよトレちゃん。気持ち良いっしょ」
「うん。耳かきの後は特に気持ち良いなー梵天って」
あ~……頬が緩んで、口の端が上がっちゃうよー。体は正直だね~……ってやかましいわ。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ねぇトラン? いくら同性でもやっぱりこう、距離感と言う物を考えた方が良いと私は思うのよ……」
「大丈夫大丈夫。バレなきゃいいんだよバレなきゃ」
いや、そりゃさぁ、バレなきゃ問題ないんだろうけど。でもこういうのってやってるってだけで日常会話でポロッと出たりするしさあ。
「おっこいしょーっと。さぁ反対側をやっていくよん」
「う、うん。でもね? トラン。やっぱこの体勢はどうかと思うんですよ私。せめて体を反対側に……」
「ヘーキヘーキ。ウチはトレちゃんにお腹見られても問題ないよん。ほら、やっていくからおとなしくしててね」
いくら同性とは言え、よそ様の大事なお子さんであるトランのお腹を凝視する形で耳かきをしてもらうというのは大人としての理性がどうかと訴えるけど、頭を抑えられてはどうしようもないのは悲しい人間とウマ娘の身体能力の差である。
サリサリ……コスコス……
スリスリ……ズリリ……
「こっちも黄色く染まるねぇ。白一色だから染まりやすいのはそうなんだけど、やっぱ汚れてるって事だよねー」
「あんまりマジマジと言わないでください、心に来ます」
うう……心が……心が痛いです……! 痛いです……!
モミモミ……モミモミ……
グッグッ……グリグリ……
「耳のマッサージで血流促進。体の疲れをとっていくよん」
「あ~……確かに……めっちゃ気持ち良いです……」
疲れが溜まってる程マッサージって気持ち良くなるよね~……え、私こんなに疲れてるの? って思っちゃう。
カリカリカリ……ガリガリガリ……
ゴリゴリ……ゴリゴリ……
「トレちゃんの耳垢をこうしてガリガリと削って削って……ほいっと」
「ウッ……ふぅ……」
はぁ~……瘡蓋を剥がすときみたいな痛みと快感が混在するこの感覚、良いよね。
クルクル……ススー……
ススー……コシュコシュ……
「はぁ~……ふぅ~……」
「あはは、気持ち良さそうだね、トレちゃん」
うう、だって気持ち良いんだもん。くすぐったくて、ゾクゾクしちゃう。
ふー……ふ~……
ふ~……ふ~……
「おわ……ゾクッてした……」
「本当? じゃぁ、もうちょっとしちゃおっかな、動かないでねん」
息が吹きかけられて梵天とは別のゾクゾクとした感覚に襲われる。あ~……気持ち良い……。
「それじゃ、耳掃除はこれで終わりだよん。後はお昼寝だねー、逃がさないからね」
「えーと。それじゃぁ体の位置変えるから……流石に変えさせてくれるよね?」
「え~、このままの姿勢でもいいじゃん。ダメなん?」
「流石にね。ちょっと貴女のお腹に顔埋めることになったの思い出すと恥ずかしさのほうが勝つんですよ。言わせないでよ恥ずかしい」
そう言って私は体を動かしてトランのお腹から反対の方を向いて目を閉じる。うーん、この反発感と体温の膝枕、気持ち良いよねぇ。どこかでウマ娘の膝枕を再現した。って枕とは販売してくれないかなぁ……流石にダメか。