ラモーヌの担当になっちゃったら、重責に潰されそうな気もしますけど、多分それ乗り越えたら、もう一人前だと胸を張って言えるでしょう。
でも、それまでラモーヌの色気に耐えなければいけないのも辛いものがある。そう思う今日この頃です。
俺はどこにでも居る一般通過中央トレーナー……なのは過去の話で、今は、あのメジロラモーヌを担当している運の良いトレーナーで知られている。
うんまぁ、そうだよな。だってあのラモーヌだぞ? メジロの至宝、無敗のトリプルティアラ。彼女のトレーナーがこんなクソ雑魚なのだから、運が良いと言われても仕方がない、誰だってそう言う、俺だってそう言う。
まぁ、クソ雑魚ではあるが、だからこそ俺はラモーヌに対しては真摯に、全力で支えてきたつもりだ。彼女がトレセン学園を卒業するその時まで、俺は全力で彼女の為に活動する所存である。さて、そういうわけで、今日も彼女のトレーニングメニューを考えないとな。後、意外と太りやすい……いや、マックイーンを見てたら、メジロにはそういう遺伝子があるのかもしれないけど、ともかく、食事メニューも考えないとな。
なんて作業をしていると、ラモーヌがトレーナー室を訪れてきた。なんかあったかなあ?
「トレーナーさん? 本日はお時間がおありですね?」
「え、あ、はい。まぁ、時間はあるけど……」
うん、俺に拒否権はなさそうだ。まぁ、良いんだけど。
「では、今日は私の為に時間を使ってもらいますわ。そうね、前に耳かきをしてから日も経っていますし、耳かきをして差し上げますわ」
「え……えっとその……拒否権ってありますか?」
いや、それは流石に拒否権があるなら行使したい。いや、嬉しいんだけど、その……非常に理性がヤバイ事になるんですよ。
「あら? 私の膝枕はそんなに嫌かしら? 貴方と私で育てたこのトモがお気に召さないとでも?」
そう言って彼女は突然スカートを少しだけ捲り……やばいやばい。理性が吹っ飛ぶ!
「すみません、それ以上は心臓に悪いので止めてください。耳かきは謹んでお受けします」
「ふふ、最初からそう言ってくだされば良いのに。では、こちらにいらしてくださる?
必死に止めるように懇願すると、ラモーヌは非常に余裕のある笑みを浮かべながら、優雅に俺のベッドに腰掛ける。俺もおとなしく頭を乗せるけど……絶対に学生が出して言い色気じゃないだろ。
「まずは、汚れを拭わないといけないわね」
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
ギュッギュッ……グリグリ……
あ、冷たいな。ウェットティッシュで擦られて……けっこうヒンヤリしてるんだな。
「思ったより取れるわね。これなら、前もこうしたほうが良かったかしら?」
「あの……恥ずかしいから、マジマジと汚れたティッシュを見るのは止めてもらえませんか?」
視線を横に向けると、ティッシュをジーッと見てるラモーヌが居た。あの、恥ずかしいです。割と恥ずかしいです。
「では、外側はこの辺りにして中の掃除をしていこうかしら。動いちゃダメよ、痛い思いはしたくないでしょ?」
「じっとしています」
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
あー……耳垢が剥がされる時の痛気持ち良いこの感覚、たまらないよなぁ。でも、それよりも頬に伝わるラモーヌの足や手の柔らかい感触の方に意識が行くのは仕方ないと思う。
「いけない人ね、トレーナー。こんなに耳の汚れを放置してるなんて……汚れを放置していたら私がやってくれると思っているのかいら? 恥ずかしい人ね」
「いや、汚れてるのは反省するけど、流石にラモーヌに耳かきをお願いするつもりは……」
「あら、それではなぜ汚れをそのままにしてるのかしら?」
そう囁かれると、耳かきが少し、骨の部分を突いてきた。あ、それは怖いのでヤメテくださいお願いします。
「ふふ、冗談ですわ。そんなに警戒しなくても宜しくてよ」
「あ……ハイ」
あー……ラモーヌの言葉だとちょっと冗談に聞こえないんだよな。いやまぁ、しないはずだってわかってるんだけど、なんていうかこう……柔らかい声の中に確かな凄みを感じると言うか……。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
あ、耳の中にラモーヌの吐息が……あ、頭がおかしくなりそうになる……。
「ほぁぁ……あ、くすぐったい……」
「ふふ、良い反応をしますわね」
あ、すっごい手の上で転がされてる感じがする。なんでラモーヌはこんなに大人なんだろうな……。今流行りのネット小説よろしく、転生とかしてません? 前世の記憶とかありません?
「ほら、蕩けてないで、反対側を向いてくださるかしら? それとも……私が動かしてあげましょうか? よろしくてよ?」
「じ、自分で動きます」
ラモーヌの手が体の下に入ってくる前に慌てて立ち上がって、体を入れ替える。この状態でラモーヌのお腹の方を向く勇気は俺にはない。
「あら。そちら側で宜しくて?」
「あの、色々とマズいんです、ちょっといけない事になっちゃうんです」
肩をツンツンと突かれて、情けない声を上げてしまう。
「では、こちら側の掃除をしていこうかしら」
「お、お手柔らかにお願いします」
そう言うと、ラモーヌの手が俺の耳を摘まんで……。
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
耳の外側が擦られていく。普段誰かに触られる事がないような場所だから、これだけでけっこう心臓に来る。
「汚れが多いと、擦るのに力が入ってしまうわね。痛くはないかしら?」
「あ、大丈夫です、ハイ」
優しく声を掛けられても、思わず緊張してしまう。
カリカリカリ……カリカリカリ……
ガリガリ……ベリベリ……ズリズリ……
「あら? こっちの耳垢は黄色いわね。色が変わるなんて珍しい事」
「あの、そんな解説とかされると非常に恥ずかしいので……ヤメテくださいお願いします」
恥ずかしい……ラモーヌにこういう事と言われると恥ずかしい……自分でも耳掃除しないと……。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「こんなに気持ち良さそうにしちゃって……やっぱり、貴方って私に耳かきをしてもらいたいからわざと掃除せずにいるんじゃなくて?」
「そんなことない。そんなことないから」
そりゃ、気持ち良いよ? 正直、こんなことをしてもらってるって優越感も感じるよ? でも、流石にこれを目当てにしてるとかはないよ、できないよ、心臓持たないよ。
「ふふ、これで耳かきはお終い……だけど、貴方、最近夜更かししてらっしゃるでしょ? このままお昼寝、していきなさい。前もしてあげたのだから、何も気にしなくても宜しくてよ」
「えっと、拒否権は……あ、ないですね、ハイ」
横目でラモーヌの顔を見たが、これは拒否権がない時の視線だ。諦めよう……ああ、緊張して寝れないと思ったのに、寝るように意識したら眠気……が……。