いやぁ、実に7か月(もうほとんど8か月ですけど)ぶりのリクエストじゃない作品……リクエスト消化している最中に書きたいと思ってからかなりの時間が経過しましたが、やっと書けました・
おばあちゃんなアキュと、色々と現代っ子なトランとのやり取りって、絶対にほのぼのとしてるだろうなぁ、そう思う今日この頃です。
トレセン学園の寮。数多くのウマ娘が生活し、それゆえに様々な問題が起きるこの場所。その一室で一人のウマ娘が眉間に皺をよせていた。
「んー……痒いー……」
ベッドに座り、耳に指を突っ込んでいるのはトランセンド、走ることそのものは好きでないにも関わらず、ダートにて活躍するG1ウマ娘の一人である。
そんな彼女だが、今は眉間に皺を寄せ、必死に耳の中に指を突っ込んでいる。
「ただいま~……ありゃ、トランさん? どうかしたのかい? そんなに指を突っ込んだら、痛くなっちゃうよ」
トランがそうしている間に同室であるアキュートが部屋に帰ってきた。
「あー……アキュちゃん、お帰りぃ……いやね、耳の中が痒くて痒くてさぁ……どうにかしたいんだけど、指も届かないし……自分で耳かきを突っ込むのも怖くてさあ」
そう言って困った顔をしているトランだが、アキュートは軽く自分の胸を叩く。
「そんなの、私に任せなさいな。まずは耳の中を見てあげるから、ほら、こっちに来なさいな」
そう言ってトランの隣に座って自分の膝を軽く叩いた。
「あ、そうだねぇ。じゃあお願いししよっか」
トランは特に気負う様子もなく、アキュートの膝の上に頭を置き、彼女を見上げる。
「どれどれぇ……? ふむふむ……えーと、ちょっと奥の方が見づらいねぇ……えーと、電話のライトは……えーと……」
「あ、はいこれ。これで見てくれる?」
「ほいほい、ありがとうねぇ。えーと……ありゃりゃ、奥の方でなんかプランとしているねぇ、剥がれかけた耳垢が引っかかってるねぇ……ちょっと奥の方だし、ライトを持ちながらだとちょっと厳しいかもねぇ……」
困ったような顔をしているアキュートだが、それをみたトランは体を起こし、机の中から一本の耳かきを取り出した。
「これ、先端が光るタイプの耳かきなんだ。これならできそう? もう、痒くて仕方ないんだよぉ」
「ほおほお……そうだねぇ、トランさんが困ってるなら、ちょっと頑張ってみようかねぇ」
そう言うと、アキュートはトランの耳穴を広げ、差し込んだ耳かきを光らせて奥を覗き込む。
「んー、これをこうして……動かないでねぇ、動いたら落ちちゃうから。よっと……ほりゃ」
差し込んで耳かきの匙の部分を器用に引っ掛け、剥がれかけている耳垢を救い上げると、そのまま慎重に持ち上げ、穴の外に取り出す。
「あー、痒いの収まったよ。いやー、助かったぁ……アキュちゃん、ありがとうねぇ」
「お安い御用だよぉ。でも、折角だし、このまま耳かきもしておこうかねぇ。トランさん、大丈夫かい?」
「お、じゃぁお願いしようか、ありがとね」
トランの承諾を得て、アキュートは本格的に耳かきを始める。
「それじゃぁ、耳掃除の前にマッサージやねぇ。しっかりとマッサージしたら汚れが取れやすくなるからねぇ」
モミモミ……ギュッギュッ……
グー……グリグリ……
アキュートの指がトランの耳を摘まみ、包み、指圧し、そのコリを解消していく。コリの解消が進むたび、滞った血液の流れによって、耳がほんのりと熱を帯びていく。
「あーーーー……アキュちゃんの耳マッサージ、気持ち良すぎない?」
「うふふ、皆にマッサージしてあげてる経験があるからねぇ。ほら、トランさんのここ……グッとね」
「はぅあ……」
コリの固い部分にグッとアキュートの親指が食い込むと、トランの口から思わず声が漏れ出る。
「気持ち良さそうで何よりだよぉ。さぁ、中の掃除もちゃんとしていこうねぇ」
「あ~……うん、お願いねぇ」
一通りのマッサージを終えると、アキュートは再び耳かきを手に取り、トランの耳の中を掃除していく。
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
「こうしてぇ……耳の中を掻いていくと……塊程じゃなくても、粉がよーさん取れたりするんだよぉ」
「あのー、あんまり詳しく実況されると恥ずかしいかなぁ……」
「おや、そう? それじゃぁ、集中してやっちゃおうかねぇ」
暫くの間、トランの耳の中に耳かきが動く感触と、汚れが剥がされる感触が混同していく。その気持ち良さを堪能していた彼女だが、程なくして耳かきが引き抜かれた。
「最初に取ったやつ以外は目立つ汚れはなかったねぇ。じゃあ後は、お約束の」
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「おお……背筋……ゾクッてきたぁ……」
アキュートの吐息が耳の中を走り、トランの迷走神経を刺激し、トランの背筋に快感の電流が走る。
「お約束を楽しんでもらえてなによりだよ。じゃぁ、反対側をやっていこうねぇ」
「あ、お願いねぇ」
少しの間余韻に浸るトランであったが、反対側の耳にアキュートの指が触れると、次の快感に備えるため、自然と体に力が入る。
グリグリグリ……グリグリグリ……
ギュッギュッギュッ……グーッ……
「こっちもしっかり凝ってるねぇ。あたしも気合を入れて、コリを解してあげないとねぇ」
「あ~……っ気持ちいい……癖になっちゃいそう……」
トランのコリが解消されるたび、その気持ち良さを堪能するトランと、それを見てほほ笑むアキュート。
カリカリカリ……ガリガリガリ……
ベリベリベリ……ベリベリベリ……
「こっちはちょっと耳垢が溜まってるねぇ。ちゃんと掃除してげあるからねぇ」
「あ~……アキュちゃんにそう言ってもらうと、安心できるよん」
少量ながらもしっかりと存在感を示す耳垢を、アキュートは先端が光る耳かきで丁寧に剥がしていき、トランはその剥がされる感触を楽しむ。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ひゃぅぅ……」
「うふふ、気持ち良さそうな声を上げるねぇ」
そして最後に吐息が吹きかけられ、トランの心を癒していく。
「はぁ~……気持ち良かったぁ……」
「お疲れさんだねぇ。じゃぁ後は……お昼寝はしていくかい?」
「……うん、眠くなっちゃったし……甘えさせてもらうよぉ……お休みぃ」
「はい、お休みなさい」
静かに目を閉じ、やがて寝息を立てるトラン。そんな彼女に愛おしそうな眼差しを注ぎつつ、微笑むアキュートであった。