そして、今回初めて書き溜めしてたものに手を出す事になりました。仕事が……生活が……体調が辛いねん……。書き溜めも多くないし、今後どれだけ週1投稿できるか……。
「ふむ……次はこの整髪剤を試してみるのも良いかもしれないな……」
そんなことを呟きながら雑誌を読んでいるのはビワハヤヒデと呼ばれるウマ娘。ナリタタイシン、ウイニングチケットと並び、一つの世代を代表するウマ娘として認知されている彼女である。
「さて、どうしようか……ん? あれは……」
雑誌を閉じて前を向いた彼女の視線の先に映ったのは、ベンチに座って自分の耳の中に耳かきを差し込もうとしているマヤノトップガンの姿があった。ハヤヒデの妹であるナリタブライアンと深く関わりのある彼女の事は当然ハヤヒデも認知しており、これまでにも幾度か関わり合いのある仲である。
「マヤ君、何をしているんだい?」
「ワワ!? あ、ハヤヒデさん。もう、いきなり話かけないでよー」
ハヤヒデに声をかけられ、驚いたマヤが頬を膨らませながらハヤヒデを見上げる。
「あ、ああ。すまなかったな。それで……耳かきかな?」
「うん。大人は自分一人で耳かきできるんだって聞いたんだけど……」
そう呟くマヤは暗い表情をしている。恐らく自分一人で耳かきをしようとしても怖さで中々できないのだろう。
「ふむ。あまり気にする事は無い。目で見えない場所に耳かきを差すんだ、怖くて当然だろう。私自身、自分で耳かきをするというのはなるべく避ける事だ」
「ムー……でも、ハヤヒデさんは自分でできるんでしょ? ズールーイー」
頬を膨らませるマヤに苦笑を浮かべ、ハヤヒデはマヤの隣に座る。
「そう言わないでくれ。できるとは言え、できれば他人にしてもらうほうが安全なのは確かなんだ。どれ、折角だし私が耳かきをしてあげよう。自分でやろうとしていたという事は、どこか痒かったりするのだろう?」
「う~ん……わかった、お願いするね。耳の中が痒くて困ってたんだ」
ハヤヒデの提案にマヤはおとなしく耳かきを手渡す。それを受け取ったハヤヒデはマヤの隣に座り、自分の膝を叩くと、マヤは大人しくその上に頭を置いた。
「では早速始めていこう……ふむ? なるほど、少し剥がれかかっている耳垢が見えるな。恐らくこれが痒みの原因だろうな」
そう言うと、ハヤヒデはまず耳かきを差し込んでいき、件の耳垢を掻き始める。
「んん……かーゆーいー」
「もう少しで取れそうだからおとなしくしてくれたまえ……よし、取れたぞ」
中途半端に剥がれていた耳垢を剥がして捨てると、マヤはふー……と一息ついた。
「あ~……痒かったよー」
「うん、それは良かった。さて、それでは一から耳かきをしていこう。他にも汚れがあるかもしれないからな」
そう言うとハヤヒデはマヤの耳を両手で包み込む。
「まずは掃除のついでに耳のマッサージをしていって、汗で汚れを浮かすようにしよう。それに、君の耳は凝りも溜まって居そうだからね」
マヤの耳を包み込み、そのまま指圧によってマッサージをしていく。包まれ、熱が篭りやすくなる中でのマッサージによって、マヤの耳の血流は促進され、凝りを取るとともに快感を与えてくる。
「あ……ハヤヒデさん。すっごく気持ち良いの」
「それは良かった。それでは、続きをしていこう」
暫くの間そうしてマヤの耳をマッサージしていたハヤヒデだが、マヤの耳に湿気を感じると、両手を離し、耳かきを手に取った。
「さて、そろそろ耳の中の掃除をしていこう」
「アイ・コピー」
元気よく返事するマヤに微笑ましさを感じつつ、ハヤヒデは耳かきを差し込んでいく。
「さて、先程の場所以外にも耳垢は見えているから……一つ一つ順番に掃除してしまおう」
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
ハヤヒデは耳かきを動かして目に見える耳垢を掻き出していく。塊として掻き出される物は勿論、水分を吸ってペースト状になっている物や、粉状のままの物も全て掻き出していく。
「カリカリカリ、カリカリカリ。どうかなマヤ君、痛くないかな?」
「ん……大丈夫大丈夫。とーっても気持ち良いの」
マヤの言葉に小さく微笑むハヤヒデはしばしの間そのまま掃除を続けていき、やがて大体の汚れを取り終えると、耳かきを引き抜いた。
「ふむ。これでこちらの汚れは大体取り終えたな。綿棒等があれば他にも掃除ができるのだが……耳かきだけならこれぐらいで十分であろう」
そう言うと、ハヤヒデはマヤの耳に顔を近づけ。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ひゃう! ハ、ハヤヒデさ~ん。くすぐったいよ」
「はは、耳かきならこれもお約束だろ? さて。それでは反対側も掃除していこうか。マヤ君、時間は大丈夫かな?」
「うん。ハヤヒデさんの耳かき、とっても気持ち良いから、もっとやってほしいの」
笑顔でおねだりするマヤにハヤヒデの母性が擽られる。
「そ、そうか。そう言ってくれると嬉しいよ。よし、こっちもやっていくよ」
モミモミモミ……グリグリグリ……
グッ……ギュッ……グ~……グ~……
「はぁ~……ハヤヒデさんのお手々、温かくて……気持ち良いの」
「ふふ、可愛いな、マヤ君は」
マヤの耳を揉み解し、耳のストレスを取るとともに、汗によって汚れを浮かび上がらせ、耳かきの為の事前準備を行っていく。
カリカリカリ……カリカリカリ……
ゴリゴリ……ゴリゴリ……ベリッ
「ふむ。こっちのほうが少々固めか。マヤ君、痛くはないか? 痛かったらちゃんと言ってくれたまえよ」
「ん~。大丈夫、大人の女性はちょっとぐらいの痛みじゃ声をあげないもん」
「そう言う問題ではないぞ、マヤ君」
そんな会話をしながらも掃除は進んで行き、マヤの耳の汚れは順調に取り除かれていく。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ふ~……さて、これで掃除はこんなものだな。しかし、君の耳は敏感なんだな、こんなに反応されると楽しくなってしまうじゃないか」
「うう……ハヤヒデさん、ちょっと意地悪だよ~」
最後の息の吹きかけのくすぐったさでマヤの体がビクッと跳ね上がり、それを見たハヤヒデは思わず笑ってしまった。
そうして耳の掃除を終えた後、ハヤヒデは耳かきを鞄に片付け、マヤの頭を撫でる。
「さぁ、これで終わりだ……ん? もしかして眠いのかな?」
「ふぁ……んー……マヤ、眠くなっちゃった」
欠伸をしつつ、目を擦るマヤ。それを見たハヤヒデは頭を撫で続ける。
「それならこのまま寝ていても大丈夫だぞ。私も時間はあるし、このまま起きるまで一緒に居て上げよう」
「ん……ありがとう……」
そう言うと、マヤは目を瞑り、暫くして穏やかに寝息を立て始める。それを見たハヤヒデは優しい笑みを浮かべながらマヤの頭を撫で続ける。
そうして暫くの間マヤの寝顔を眺めるハヤヒデだが、ふと気配を感じて横を見る。すると、そこでは彼女の妹であるブライアンが立っていた。
「姉貴、何をやっているんだ?」
「ああ、ブライアンか。なに、マヤ君に耳かきをしていたらそのまま眠ってしまってな……ふふ、こうしてみると彼女も随分可愛いし、なんだか親近感も湧く。まるで妹みたいだな」
そう言って優しい笑みを浮かべたままマヤの頭を撫で続けるハヤヒデ。すると、不意にブライアンが隣に座り、ハヤヒデの肩に頭を置いた。
「ブ、ブライアン? いきなりどうし……って、痛い痛い! 痛いぞブライアン!」
そのまま耳で顔を叩かれ驚くハヤヒデ。すると、ブライアンはそっぽを向いたまま呟いた。
「……姉貴の妹は私だけだ」
「と、当然だろう。さっきのは言葉の綾で……って痛い痛い!」
そのまま耳で叩かれ続けるハヤヒデに無言で叩き続けるブライアン。そんな中、マヤは寝息を立て続けるのだった。