多分、トレーナー側からしたらある意味で一番警戒せざるを得ないのかもしれませんね、クリークの母性って。でも、クリークのでちゅね遊びって、どの辺まで公式の範疇内なんでしょうね? なんか二次創作でのイメージが強すぎて、公式でどれぐらいだったかを覚えてない今日この頃です。
俺はスーパークリークのトレーナー。クリークと言えばあのタマモクロスやオグリキャップとも並び立つ世代を代表するG1レース勝利ウマ娘の一人だ。
そんな彼女だが、レースの時の凄まじい気迫とは裏腹に、普段はかなりお母さんのように振舞っている。これは彼女の実家が保育所を経営している事が起因だろう。それに元々の体格も相まって、確かに彼女は皆のお母さんのように振舞っても何も違和感もない。
とは言え、だ。流石にそれを成人している俺に対してやるのはどうかと思うのだ。確かに彼女の母性にはクラッと来ることはある。あるが。だからと言って、それを今後も受け入れるなんて事はしてはいけない。それはやはりウマ娘とトレーナーと言う関係をしっかりと保つためにも必要な事なのだ。
と言うわけで、と。俺が改めて自分の心に誓っていると、クリークがトレーナー室に入ってきた。なんだろう、とても嫌な予感がするのだが。
「そう言うわけでトレーナーさん。耳かき、しましょうね♪ 前にやってから一か月ぐらい経ちましたから、そろそろ汚れも溜まっていると思いますし、トレーナーさんも最近は他のウマ娘の面倒を見たりして、お疲れの様子ですから」
普段世話になっているから。と耳かきを提案してきたクリークに、俺は背筋に汗が流れるのを感じてしまう。
「えーと……大丈夫、だよ? うん、大丈夫大丈夫。まだ耳かきしてもらう程汚れてはないから」
そう言いながら、俺はジリジリと部屋の出入り口に向けて体を移動させていく。捕まれば一巻の終わりだ。だが、下手に動けばクリークを刺激する。そーっと、そーっと……。
「大丈夫ですよぉ、トレーナーさん。痛くないですからね♪ ほら、こっち来てください」
「は、離してくれ……ぬおおおお、引っ張られるー」
俺の意図を察せられたのか、クリークは問答無用で俺の腕を掴むと、そのままベッドに向けて引きずっていく。なんとか抵抗するも、俺の抵抗など意にも介さず、クリークは俺の頭を自分の膝枕の上に乗せた。
「トレーナーさん、塞がる……程じゃないですけど、かなり耳垢が溜まってますね。前回は完全に塞がってましたし、もしかして耳垢ができやすい体質なんでしょうか?」
「うーん、それはよくわからないけど……それに、前みたいに自分で耳かきすることも控えるようになったんだがなぁ」
流石に耳の穴が塞がるなんて言うのは恐ろしいから、クリークに耳かきをされて以降、自分で耳かきをするのは控えている。だからそんな耳垢ができる事なんてないはずなんだがなぁ。
「それでは、トレーナーさんの耳掃除、していきますね」
モミモミ……モミモミ……
グリグリ……ギュッギュッ……
疑問を浮かべている間にも、クリークの指が俺の耳をマッサージしていく。あー……マッサージされると、それだけで満足するなぁ……。
「トレーナーさん、力加減はこれぐらいで宜しいですか?」
「あ、うん。これぐらいで良いよ。ちょうど良くて……気持ちいいなぁ」
マッサージを満喫していると、クリークの指が離れ、耳かきが差し込まれていくのを感じる。
カリカリカリ……ゴリゴリゴリ……
ゴリゴリゴリ……ガリガリガリ……
「んー……塊でこそないので隙間隙間から耳かきを差し込んで掃除できていますが……痛くはないですかぁ?」
「うん。大丈夫……だけど、やっぱりこう、手ごたえと言うか……剥がれる時の感覚は凄いな」
分厚い塊がベリッと剥がされていくのは感触も音も凄くて、多分普通の人は体験する事はないんだろうなぁ、と思う。俺が自分で耳かきしてた時にはこんな耳垢なかったんだけどなぁ。それとも、取っているつもりが小さい部分しか取れてなかったのか?
ガリガリガリ……ベリベリベリ……
グリッ……グリッ……ベリベリ……
「ふぅ、これで大体が取れましたよ。痛くないですかぁ?」
「うん、大丈夫」
クリークの声が鮮明に聞こえる。ティッシュに捨てられた耳垢もかなりの量になっているのがわかるし……確かにこれは健康を害しそうだな。
ゴゾゴゾ……ゴゾゴゾ……
スススー……スススー……
「綿棒で細かい汚れも絡めとっていきましたよ~。耳の中が綺麗になって、風通しがよくなりましたね。気分は大丈夫ですか?」
「あ、うん。スッとして、解放感を感じるな。本当、気持ちいい」
あ~……更に解放感が凄い事になっている。細かい汚れまで掃除されて、風の通りが凄いことになっている気がする。
「では、次はローションを塗ってしっかりと保湿していきましょうねぇ」
クリークはそう言うと、ローションが塗られた綿棒が俺の耳の中にローションを塗っていく。
ヌリヌリ……ヌリヌリ……
ヌチャヌチャ……ヌチャヌチャ……
「なぁ、クリーク。これってその……本当に必要なのか?」
「大事な事ですよ? 荒れた肌を放置するするのは良くない事なんですから」
大事……なのかなぁ? 正直よくわからないけど、保湿ローションって耳かきした後の肌にまで効果があるのかな?
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ふふ。ローションを塗った後の耳に息の吹きかけは、気持ち良いですよね?」
「ああ……癖になりそうで怖いよ」
満遍なく塗られたローションに吹きかけらるクリークの吐息が実にヒンヤリとして、耳かき後の耳にはよく染みる。これ、癖になったらアカンやつだ。
「さぁ、トレーナーさん。反対側もしていきましょう」
そう言うと、俺の反応よりも素早くクリークは俺を回転させ、彼女のお腹の方に向けさせてきた。抵抗しようにもしっかりと頭を抑えられてどうしようもない。
モミモミ……グリグリ……
ギュッギュッ……グリグリ……
そうして俺の抵抗も空しく、耳のマッサージが開始され、俺はその気持ち良さに思わず力が抜けそうになる。
「トレーナーさんの耳をマッサージして、一杯気持ち良くなってもらいますねぇ」
「うん、十分気持ちいいよ。だからあんまりやられてると癖になっちゃって……」
本当、これが癖になったら今後がかなりヤバい気がする。
ガリガリガリ……ゴリゴリゴリ……
ゴリゴリ……ベリベリ……ザリザリ……
「こっちも凝り固まっている耳垢を掃除して行って……なんだか、発掘作業をしている気分になりますねぇ」
「そこまで言わなくても……いや、なんでもないです」
耳かきで耳垢を穿っているクリークの呟きに俺は反応するが、ティッシュの上に捨てられた耳垢を見ていると自然と口を噤んでしまう。本当、なんでこんなに耳垢が多いんだ?
ズズズ……ススス……
クルクル……シュシュー……
「あらあら。綿棒にも、思ったよりも大きい耳垢が絡まってきましたよ」
「うわ、普通の耳垢ぐらいの大きさじゃん……え、これが綿棒で出てきたってマジか」
綿棒に絡まって出てきた耳垢の大きさに思わずそんな声が出た。それ、普通に耳かきで出てくる大きさだよな?
ヌリヌリ……ヌチャヌチャ……
ヌチャヌチャ……ヌチョヌチョ……
「念入りに、念入りに、しっかりと保湿していきましょうね」
「お……おおう……今度は耳の中がかなりぬちゃぬちゃしていく……」
ヌチャヌチャと言うか、もうベッタリと言わんばかりにローションが塗り込まれていく。こんなに塗り込まれる程なのか?
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ふふ、少し多めにローションを塗っちゃいましたから。さっきよりもヒンヤリしちゃいましたか?」
「う……確かに、かなりきたな」
ベッタリとローションが塗り込まれた中でのクリークの吐息は耳の中を一気にヒンヤリとした感覚に包み込む。耳かきの時との落差の大きさに耳がキーンとしそうになる……いや、比喩表現なんだけど、マジでそれぐらいの差があると思う。
「トレーナーさん、このままお昼寝、しちゃいましょうね♡ 逃がしませんよ」
「あの、クリークさん? ちょっと怖いような……ア、ハイ、なんでもありません」
なんかクリークの声音が怖くて思わず逃げようとするが、しっかり抑え込まれた俺にそれは不可能であった。全てを諦め、俺はおとなしくクリークの膝枕で寝る事しかできなかった。