皆さん、新年あけましておめでとうございます。元旦ながら私は仕事です。しんどい……。
昔のように正月はゴロゴロと休みを満喫しながら用事を片付けたい……そんな生活に戻りたい。隣にトランが居てくれたらなおヨシ。
でも、そろそろAIを使えばその辺際限もできたりしそうだよなぁ。そう思う今日この頃です。
元旦。一年の始まりであるこの日には多くの人が神社を訪れ、その年の運勢をみたり、神に祈りを捧げる。それはトレセン学園の生徒達も例外ではなく……むしろ、人一倍の祈りを込めて、神社で祈願する生徒達の方が圧倒的に多いであろう。その為、トレセン学園の近くにある神社には多くのウマ娘が訪れていた。
「うっひゃー、相変わらず混むねぇ。トレちゃん」
「ああ、まぁ、いつもの事だな」
そんな人で賑わう神社に一組のペアが訪れた。ダートで活躍するG1ウマ娘であるトランセンド。そして、その担当トレーナーである。
「それで、トランは今年はどんなお願いをするんだ?」
「えへへ、秘密だよーん。簡単に教えたら面白くないっしょ。そう言うトレちゃんはどんなお願いをするつもりなの?」
「俺は勿論、トランが健康で怪我なく、今年一年を過ごせるようにお祈りするけど」
「……もー、そんな恥ずかしい事を真顔で言っちゃってー。トレちゃん、ウチの事好きすぎるでしょー」
肘でトレーナーの事をぐいぐいと押しつつ、満更でもない様子のトランセンド。
「そんな風に言ってくれるトレちゃんには後でウチもお返ししなきゃねー」
「お返し? いや、これぐらいでお返しなんて大げさだな。別にいいよ」
「良いから良いから。担当からの好意には甘えるもんだぞ、トレちゃん」
そんなやり取りをしつつも、二人はお参りを済ませ、おみくじやお守りの購入等と初詣を満喫する。そうしてトレセン学園に戻った後、トレーナーが自室で仕事をしていると、部屋の扉が叩かれた。
「トーレーちゃん。今時間あるー?」
「トラン? いったいどうし……」
トランの方を向いたトレーナーは彼女の格好に一時言葉を失う。視線の先にあるトランは、神社に行った時の私服姿とはまったく別の、着物姿をしていたからだ。
「へっへー。アキュさんに着付けをしてもらったんだー。どうよトレちゃん。似合う? 似合ってるでしょ?」
両腕を軽く上げてその場で回ってみるトラン。
「おお、すっごい似合ってるぞ。どうせならその恰好で初詣に行きたかったな」
「いやぁ、流石にあの人込みでこの格好はキツイって。こけちゃうかもしれないしさ。まぁ折角着替えたんだし……今年初めての耳かきでもしてあげちゃいましょうか。ささ、トレちゃんこっち来て」
ベッドに座り、トレーナーを手招きするトラン。その招きに導かれたトレーナーが彼女の膝枕に頭を置くと、トランはじっと耳を見つめる。
「あー、やっぱ年末は忙しかったもんねー。トレちゃんも手入れしてる時間がなかったかな? これは、ウチがしっかり掃除してあげないといかんって事だね」
「まぁ、本来は担当ウマ娘にお願いする事じゃないのはわかってるけど……今更か」
「そうそう、今更今更。じゃぁ、さっそくやってくよん」
トレーナーが苦笑を浮かべる中、トランはトレーナーの耳を摘まんで掃除を開始する。
スリスリスリ……スリスリスリ……
ズリズリ……ズリズリ……
まず、耳の外側を柔らかいタオルでしっかりと拭いていく。
「まずは外側の汚れをちゃんと取らないとねー……うん、こんなものかな。痛くなかった?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
トレーナーの反応を見ながらタオルで擦っていくトランセンド。一通り拭き終わると、耳かきを手にする。
「ほいじゃ、中の掃除をしてくよん。トレちゃん、動いちゃダメだよ? トランさんの耳かきは気持ちいと思うから、動かずにじっとしててねん。あ、でも痒かったり痛かったりしたら遠慮なく言ってね」
「うん、そこはちゃんと言うよ」
カリカリカリ……カリカリカリ……
カリカリカリ……カリカリカリ……
耳かきが的確に耳垢を捉え、下から掻かれていき、剥がれて行った部分に匙が食い込みそのままテコの原理で剥がしていく。
「おー、取れる取れる。年末の大掃除とかそうだけど、汚れが取れて綺麗になる瞬間って楽しいよねー。でもトレちゃん、わざと汚したりしたらダメだよー」
「そんなのわざわざしないよ」
気心の知れた関係ならではの軽口をしている二人。そうこうしている間にも耳かきを動かす手は止まることなく、耳垢を掻きだしていく。
「ほーれほれ、カリカリカリ♪ カリカリカリ♪ トレちゃん、ウチの声どうよ? ASMRに向いてるんじゃない? 気持ちいい?」
「うん……トランの声って聞いていて気持ちいいよ」
「……トレちゃん? あんまり真面目な顔でそう言う事を言われるとすっごい恥ずかしいなー……あ、耳垢が取り終えたよん」
頬を赤く染めながらもトランは大きな耳垢を掃除し終えたトランは耳かきを反転して梵天をトレーナーの耳の中に入れて行く。
コシュコシュ……コシュコシュ……
ススー……ススー……
梵天がクルクルとトレーナーの耳の中で擦られていき、耳かきでは取り切れない細かい汚れを絡めとっていく。そのくすぐったさに思わず身をよじりそうになるトレーナーだが、トランにしっかりと抑え込まれる。
「こーらー、トレちゃん。動いたらダメって言ったでしょー? それとも、ウチの膝枕に頬ずりしたいん? それは耳掃除が終わった後にしてね」
「いや、そう言うわけじゃ……あ、うん、ちょっと楽しみかも」
慣れている関係だからこその遠慮のないやりとり。そんなことをしつつも梵天は汚れを絡めとって耳から引き抜かれる。そして、トランはトレーナーの耳に顔を近づけ。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
優しく吐息が吹きかけられ耳かきで敏感になった耳の中に優しく沁み込んでいく。
「お……ふぅ……」
「んー♪ トレちゃんのそう言う顔、見てると楽しいなぁ♪ ウチだけが知ってるトレちゃんの顔だもんねぇ」
「いや、そう言う事を言われると恥ずかしいんだが……」
「別にいいじゃん、ウチらの仲なんだからさ。ほらほら、反対の掃除をするから、反対向いてねん。あ、お腹に顔は埋められないよ、帯があるからねー」
トレーナーの頬を突きながらからかうトランセンド。それも一息つくと、残る耳の掃除を開始する。
スリスリスリ……スリスリスリ……
ゴシゴシゴシ……ゴシゴシゴシ……
「トレちゃん、お風呂上りはしっかり耳周りも拭かないとダメだぞー。そろそろ加齢臭とか気にしないといけないしね」
「あの、そう言う心にグサッと来ることを言うのは止めて頂けませんか?」
タオルで耳を擦られながら、心にダメージを受けるトレーナー。それを見てトランは悪戯っぽい笑みを浮かべながら耳掃除を進める。
カリカリカリ……カリカリカリ……
ガリガリガリ……ガリガリガリ……
「うりうりうり、ここか? ここが良いのかー? ここが痒いんでしょー、ウチは丸っとお見通しだよ」
「あ、そこ。そこが本当にちょうど痒くて……お、良い感じ」
耳掃除なのか耳の痒い所を掻いているだけなのか、途中から少々混ざった感じになりつつも耳かきは続いていき。
コシュコシュコシュ……クルクルクル……
ススー……ススー……ススー……
「ほい、これで汚れはちゃんと取れたかなー? ……うん、細かい汚れもちゃんと取れてるね」
「そうか。やっぱりトランに任せると安心だな」
「へへー、もっと褒めても良いんだよー?」
梵天で細かい汚れも掻きだされ、むき出しの肌になった耳の中。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「ほいほいっと。ちょっと油断してたでしょ? 耳の中確認してるから、まだ来ないだろうって思ってたでしょー?」
「クッ……油断してたよ」
突然の吐息にトレーナーの体は大きく震え、トランはそれを揶揄う。
「まぁ、これで耳かきは終わりだけど、このままお昼寝するっしょ? お正月が空けたらまた忙しくなるから、今の内にゆっくりしておいた方が良いよ?」
「それはトランもだろ? 別に今日は寝なくても……」
「大丈夫、ウチならゲームでもしてるし。変に遠慮なんかしないで、ゆっくりしなって」
「……じゃぁ、お言葉に甘えて」
トランに押され、そのまま昼寝をするトレーナー。穏やかな寝息を立てるトレーナーに満足しつつ、携帯ゲームをするトランであった。