ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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マックイーン×オルフェーヴルで耳かきを書きました。

ドリジャに続いてマイナーカプですが、良いじゃないですか、ゴルシだってマックイーン大好きっ娘なんですから、ドリジャやオルフェもマックイーン大好きっ娘になっても良いじゃないですか。そう思う今日この頃です。


マックイーン×オルフェーヴル

 トレセン学園。数千を超える生徒や教員たちが日々活動しているこの学園では様々な個性を持った個人が活動している。

 

 トレーナーもそうだが、特にウマ娘達の個性は十人十色と言う言葉だけでは足りないと感じさせるほどに様々な個性を持った者たちが居る。そして、今日もまた多様な個性を持ったウマ娘達が交流する。

 

 メジロマックイーン、名家メジロ家を代表するウマ娘の一人であり、数多くのレースで勝利してきた名ウマ娘の一人であり、同時に名家ながら庶民的な面もあるため、多くのウマ娘から親しみを覚えられる。

 

 そんな彼女だが、今、酷く困惑していた。なぜなら、中庭のベンチに座っている彼女の前に立ち、彼女を見下ろすウマ娘が居るからだ。

 

「あの……何か御用ですか? オルフェーヴルさん」

 

 両腕を組んでマックイーンを見下ろすオルフェーヴル、世代も違い、殊更接点のあるわけでもないのに一体何の用があるのかとマックイーンが困惑していると、オルフェーヴルの口が開いた。

 

「余は自ら頭を下げぬ。故に、貴様には余の耳かきをする栄誉を与える」

 

「……はい?」

 

 突然の言葉にマックイーンの口から出るのは当然困惑の言葉であった。オルフェーヴルの気質は有名であり、彼女自身の知名度も相まってマックイーンもオルフェーヴルの気質は知っているが、普段から接しているわけではないので困惑せざるを得ない。

 

「……オルフェーヴルさん、なぜ私に言うのですか? ジャーニーさんなり、貴女の取り巻きの方々なりに頼めばよいじゃありませんの?」

 

「姉上は今トレセン学園に居ない。それに、余の臣下達にはまだ余の耳を任せようとは思わない」

 

「……では、なぜ貴女と関わりの薄い私に言うのですか?」

 

「姉上が言っていた。貴様に耳かきをしてもらったと。姉上がそこまで信用できるなら、余の期待も裏切らないであろう」

 

 そう言われ、マックイーンは先日ジャーニーに耳かきをしたのを思い出す。そしてそのままマックイーンは暫くの間考えるが、一つため息を付いた。

 

「はぁ……わかりましたわ。了解しないとどいてくれなさそうですし……私の部屋で構いませんか?」

 

「よきに計らえ」

 

 こうしてマックイーンはオルフェーヴルを自室に招く。幸い同室のイクノは外出しているため、集中して耳かきができる環境である。

 

「えっと、耳かきと……では、こちらに来てくださいまし」

 

「うむ」

 

 ベッドに座ったマックイーンの膝枕に遠慮なく頭を乗せるオルフェーヴル。マックイーンはそのまま耳のマッサージを始める。

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

 グー……グー……

 

「何をするか」

 

「あら、耳が凝っているように見えましたのでまずはマッサージからと思いましたが、嫌なら止めますわよ」

 

「……いや、構わん」

 

 耳かきと思っていたオルフェーヴルは最初こそ驚いたが、すぐにマックイーンのマッサージに気を許し、そのまま身を任せる。オルフェーヴルの耳がマックイーンのマッサージによって徐々に解され、血流が促進され、体温が上がっていく。

 

「む……慣れているのだな。褒めて遣わす」

 

「まだ始まったばかりですわ。さぁ、耳かきを始めますわよ」

 

 耳かきを手にしたマックイーンはそのまま耳の中を覗き込み、それから外側から掃除していく。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 外側の表面に付着している粉や埃と言った細かい汚れを搔き集め、ティッシュに捨てていく。

 

「む……くすぐったいぞ」

 

「これぐらい我慢してください。そんなに時間はかかりませんわ」

 

 窪みに溜まっている汚れも掻きだしていき、綺麗に整えられるオルフェーヴルの耳。その過程で不満を漏らすオルフェーヴルだが、マックイーンは軽く注意するだけで耳かきを続ける。

 

 程なくして外側の掃除を終え、いよいよ耳の中に耳かきが差し込まれ、耳かきが始まる。

 

 ガリガリガリ……ガリガリガリ……

 

 ゴリゴリゴリ……ベリベリベリ……

 

 外側を掃除していた時よりも重い音が耳の中で木霊し、耳垢が引き剥がされ、掻きだされていく。

 

「オルフェーヴルさん、耳垢ができやすい体質なのかしら? 思ったよりもありますわね」

 

「王たる余の体は日々進化している。それに伴い、不要な物も多く出るだけだ」

 

「左様ですか」

 

 オルフェーヴルの言葉に苦笑を浮かべつつも耳かきを続けるマックイーン。時折大きい耳垢が剥がれるとオルフェーヴルの体が僅かに揺れるが、マックイーンもあえて指摘せずに耳かきを続けていく。

 

 それでも無限に耳垢があるわけでもなく、徐々に大きい物から小さい物から、耳垢が剥がされていき、ほとんどの耳垢が掃除されるまでそこまで時間がかかることはなかった。

 

「これぐらいかしら? 少々大きい物もありましたが……よく我慢しましたね」

 

「王たる余の頭を気安く撫でるな」

 

 痛みからか僅かに涙目になっているオルフェーヴルにマックイーンは優しく頭を撫でる。オルフェーヴルも口では拒否しつつも、振り払うような真似もなく、その手を受け入れる。

 

「さぁ、次は梵天をしていきますわ」

 

「うむ」

 

 少しの間頭を撫でた後にマックイーンは梵天で残る汚れを絡めていく。

 

 クルクル……クルクル……

 

 コシュコシュ……コシュコシュ……

 

 柔らかい羽毛がオルフェーヴルの耳の中で回転し、上下に動き、細かい汚れや耳垢を絡めとっていく。

 

「これで大丈夫ですわね。さて、後は……」

 

 耳かきを引き抜くと、マックイーンは耳の顔を近づけ、優しく吐息を吹き込む。

 

「!? な、何を!? だ、誰がそこまでやれと!」

 

「あら、ジャーニーさんはおねだりをしてきたのでオルフェーヴルさんもそうかと思ったのですが、お嫌でしたか? それは失礼しましたわ」

 

「ッ……い、いやでは……ない。ただ、突然で驚いただけだ」

 

 顔を赤くしてそっぽを向くオルフェーヴル。普段の傲岸不遜な様子からは想像がつかない態度に、マックイーンは思わず笑みを浮かべる。

 

「ふふ、次はちゃんと言ってからやりますわね。さ、反対側をやりますから、そっぽを向かないでくださいまし」

 

「う……うむ」

 

 マックイーンに促され、体勢を戻すオルフェーヴル。そのまま耳かきが再開される。

 

 モミモミ……グッグッ……

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

「耳もこれだけ凝っていると言う事は、それだけ頑張っていらっしゃると言う事ですね」

 

「当然だ、余が手を抜くなどあり得ぬ」

 

 耳のマッサージをしながら、二人は会話を重ねていく。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……

 

「耳の手入れはもう少し自分でもできるようになった方が良いですわ。いつまでもジャーニーさんが居ないとできない、と言うわけにもいかないでしょ?」

 

「その時は余の臣下達に任せてある。余の手入れをするのも臣下の仕事だ」

 

 外側を掃除しながらマックイーンが苦言を呈してもオルフェーヴルは考え方を変えるつもりはないようで、マックイーンもそれ以上は何も言わない。

 

 ゴリゴリゴリ……ゴリゴリゴリ……

 

 ベリベリベリ……バリバリバリ……

 

「変に湿っているわけではないから剥がれやすいですが……痛かったらちゃんと言ってくださいね?」

 

「王たる余がこの程度の事で痛みを訴えると? 余を侮辱するのか? ……ッ」

 

「心配をしているのですの。ほら、ここは痛いのですね? 少しやり方を変えてやりますわ」

 

 涙目になるオルフェーヴルに軽くため息を付き、耳垢への剥がし方を少し変えるマックイーン。それのおかげか、その耳垢も無事に剥がす事ができる。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「ほら、今度はちゃんと言いましたわよ」

 

「うむ……苦しゅうない」

 

 事前に告げてからの耳への吐息にオルフェーヴルは満足げに頷き、それを微笑ましく見つめるマックイーン。

 

「さぁ、これで耳かきは終わりましたわよ。このまま起きるのですの? それとも……」

 

「無論、このまま昼寝をする」

 

 ジャーニーの時と同じように昼寝を望むオルフェーヴル。予想していたマックイーンはそのままオルフェーヴルの頭を撫でながら子守歌を歌っていると、程なくしてオルフェーヴルの目は閉じられ、口からは穏やかな寝息が立てられる。

 

「ふぅ……これでひと段落かしら。ジャーニーさんもそうでしたが、どうして私に耳かきをお願いしてくるのでしょう」

 

 そう言いながらも、マックイーンは愛おしそうにオルフェーヴルを見つめる。

 

「ゴールドシップさんもそうですが……なんだか他人のような気がしませんわ……なぜなのでしょうね」

 

 不思議そうに、それでも愛おしそうに囁かれたその言葉はオルフェーヴルに届くことなく、空気に解けていくのだった。

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