ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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ルドシリで耳かきを書きました。

前々から書いてみようと思っていたのですが中々機会がなく後回しにしていましたがようやく書く事ができました。

シリウスには是非ルドルフに激重感情を向けていて欲しいと思う今日この頃です。


ルドシリ

 シンボリルドルフとシリウスシンボリ。同じ名家シンボリ家の一員であり、世代が近い事もあって、二人はよく話題に上がる事がある。

 

 片やトレセン学園の生徒会長、片や公の肩書こそないものの、学園の中ではぐれ者、不良と呼ばれる層から高い信頼を築いている者、表と裏、優等生と不良、そう言う風に見られる二人は、当然ながら衝突する事もしばしば起きる。それは今日もまた例外ではない。

 

「……おい、ルドルフ、手前……」

 

「おや? 模擬レースで私が勝った時にどうするかをご随意に。と言ったのは君だったはずだが?」

 

 生徒会室にて眉間に皺を寄せるシリウス。その手にはメイド服が握られており、それを見るルドルフは涼しげな顔をしていた。

 

「……だからって手前! 常識ってもんはねえのか! これ着て耳かきしろとか、普通は言わねえんだよ!」

 

「勿論他の者にこんな事を頼む事はない。君と私の仲だからじゃないか」

 

 ルドルフの言葉にシリウスの眉間の皺は更に深くなるが、ルドルフ自身が言うように、模擬レースを挑み、そして負けたのはシリウスであり、更に、負けた時にどうなるかについても彼女自身が言った事である以上、シリウスには選択肢はなかった。

 

「……ッ、少し待ってろ」

 

 そう言うとシリウスは家具の影に身を潜める。そして暫しの間、シリウスの悪態と、布が擦れ合う音が聞こえてきて、それが止むと、メイド服を着こんだシリウスが姿を現した。

 

「おら、これで満足か? 皇帝様よ」

 

「口の利き方がなってないのが減点かな? うちの使用人たちみたいに、様付けで呼ぶようにとは言わないが、服に合わせてご主人様。ぐらいは言って欲しいものだが」

 

「言ってろ。ほら、さっさとこっち来い、耳かきをご所望なんだろ? さっさと終わらせるぞ」

 

 不機嫌さを隠そうともせず、ソファーに座り込んだシリウスはルドルフに早く来るように催促する。それに応えてルドルフが彼女の膝の上に頭を乗せると、シリウスは少し強めにルドルフの頭を押さえて耳を覗き込んだ。

 

「……チッ、大して汚れてもねえじゃねえか。なんで耳かきなんてやらせるんだよ」

 

「そうだな、強いて言うなら、こうして君と触れ合いたいからからな?」

 

「けっ、そんな言葉はお前の信奉者どもにでも言いやがれ」

 

 ルドルフの言葉を一蹴し、シリウスは耳かきを始める。

 

 ゴシゴシ……グリグリ……

 

 グリグリ……グッグッ……

 

 まずはお約束とばかりに、ルドルフの片耳の外側を揉んでマッサージするシリウス。だが、少し揉んでいると、その眉間に再び皺が寄る。

 

「なんだこりゃ? 皇帝様は耳のケアも一人じゃできないって言うのか? ガッチガチじゃねえか」

 

「ふむ、ケアは怠らないようにしてたつもりだが、少々気が抜けていたのかもしれないな」

 

 その言葉にシリウスの眉間の皺が少しばかり深まるが、彼女は何も言わずにマッサージを続ける。

 

 グッグッ……ギュッギュッ……

 

 モミモミ……モミモミ……

 

 口調とは裏腹な優しい手つきのマッサージが程なく終わり、シリウスは耳かきを手にした。

 

「動くなよ? 鼓膜ぶち破っても知らねえぞ」

 

「はは、お手柔らかに頼むよ」

 

 どこまで余裕を崩さないルドルフの態度に舌打ちしつつ、シリウスは耳かきを動かしていく。

 

 カリカリ……ゴリゴリゴリ……

 

 ゴリッ……ベリベリ……バリバリ……

 

「まずは一個と……おい、目線を合わせてくんな。やりにくい」

 

「ああ、すまない、こうしてゆっくりと君の顔を見つめるのも久しぶりだからね」

 

「言ってろ」

 

 ベリベリベリ……ガリガリガリ……

 

 カリカリ……ペリペリ……

 

 暫しの間、耳かきの音と、二人の言葉が部屋の中で聞こえてくる。周囲からの視線や評価のない二人のやり取りはどこか、二人にとって懐かしさを感じさせるものであった。

 

「ん……これで大体取れたぞ。じゃぁ、反対側を……」

 

「シリウス? 耳かきと言えばお約束があったと思うが? 昔、私も君にした記憶があるんだがな」

 

「チッ……」

 

 短く舌打ちしたシリウスは、そのまま掃除をした側の耳に口を近づける。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

 強くもなく弱くもなく、敏感な耳に吹き込まれるのにちょうど良い吐息が、ルドルフの耳を擽る。

 

「ふふ、可愛い顔でやるんだな」

 

「黙ってろ……今度こそ反対側するぞ」

 

 少し顔を赤くしながらも、悪態をつきつつ、シリウスは耳掃除の続きを行っていく。

 

 モミモミ……グリグリ……グッグッ……

 

 ギュッギュッ……グー……グー……

 

「この辺り……いや、ここか? ここがツボだったよな……」

 

「ああ、そこ……あっ……♡」

 

「気持ち悪い声出してんじゃねえ」

 

 ちょうど良い場所を刺激したためか、甘い言葉が漏れるルドルフ。それに悪態をつきつつも、シリウスはしっかりとマッサージを終える。

 

 ゴリゴリ……バリバリ……ガリガリ……

 

 カリカリ……ベリベリベリ……ズリズリ……

 

「ん? なんだこれ……くそ、固いな……」

 

「う……シリウス……それは少し痛いかな」

 

「悪かったな……もう少しで剥がれるから我慢してろ」

 

 途中固い耳垢のために少してこずる場面もあったが、無事に耳かきを終える。

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「なんだ、まだ恥ずかしいのかい?」

 

「うるせえ」

 

 二回目にもまだ顔が赤くなるシリウスに初々しさを覚えるルドルフ。そして、耳かきを全て終えたが、ルドルフはどく気配を見せない。

 

「おい、もう終わったぞ、さっさと降りろ」

 

「耳掃除にはお昼寝までお約束だろ? 昔君にした時には、君が起きるまでずっと待っていてあげたと思うんだがな?」

 

「チッ……いつまでも昔の事を……」

 

 舌打ちをしながらそっぽを向くシリウス。だが、強引にルドルフを下ろそうとする様子もなく、ルドルフもそれに気づくと、静かに目を閉じて眠りの姿勢に入る。そして暫くして、その口からは穏やかな寝息が漏れていく。

 

「……なんだよ、あっさり寝やがってよ……」

 

 寝息を立てるルドルフにため息を吐きながら、シリウスはルドルフの目元をそっと拭う。すると薄い化粧の下から、隈が覗いた。

 

「……何が全てのウマ娘を幸せにするだ……そんなの無理に決まってるだろ……ルナ、昔みたいになれよ。強くて、傲慢で……私をその他大勢じゃなくて、唯一の存在として見ていたあの頃に……そっちの方がずっと楽じゃねえか」

 

 そう囁きながらルドルフを見つめるシリウス。その瞳には普段の攻撃的な様子は浮かんでいなかった。

 

「なぁ……私だけを見ろよ……ルナ」

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