ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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理子×ココンで耳かきを書きました。

そうですね、葵×ミークで書いてたら、なんかこの二人も書いてみたくなりました。なんか、ビターグラッセよりもココンの方が色々と印象強いんですよね。後、樫本と言うよりも理子の方が、理事長代理のイメージが強いです。

取り合えず、ココンにはこれからも理子ちゃんを守護りつつも、不器用でも甘えてみて欲しいと思う今日この頃です。


理子×ココン

 トレセン学園グラウンド。今日も多くのウマ娘がレースで勝つために、ある者はトレーナーと共に、ある者は個人で、ある者はチームやクラスメイトと共に練習に励んでいる。時折例外が混じる事もあるが、今日はそう言った事はなく、全員が練習に励んでいた。

 

「残りグランド3周! ペースを維持したまま!」

 

「はい!」

 

 それは、理事長代理である樫本理子も変わらなかった。全員に自習よりも完璧な管理によるトレーニング。それが彼女のやり方であり、今、グラウンドを走っているリトルココンも、その考えに賛同する一人であった。普段ならばもう一人、ビターグラッセも共にトレーニングを積んでいるのだが、今日は学園からの宿題をこなしつつ、レースの勉強を指示されているため、ここにはいない。

 

 そうして、二人で練習を積み重ねていき、やがて時計を確認した樫本はリトルココンに声をかける。

 

「今日の練習はこれまで! ストレッチを行った後にシャワーと着替えを済ませてください」

 

「は……はい……」

 

 激しい練習で疲労が溜まるリトルココンであったが、理子の指示にしっかりと頷くと、ストレッチを行って筋肉の疲労を抑えるように努める。そして一通りのストレッチを終えると、シャワー室でしっかりと汗を流していく。

 

「……あ、どうも」

 

 そんな中、不意に声がかけられ横を向くと、そこにはハッピーミークの姿があった。別々のトレーナーの元で研鑽している二人だが、二人とも、ウマ娘のなかでも非常に稀有な全ての距離、走法、芝、ダートに適性があると言う共通点から、互いに意識するぐらいの関係ではあるのだ。

 

「……どうも。あんたも練習してたの?」

 

「はい、屋内で練習を少々……ココンさんは、外ですか?」

 

「うん」

 

 短いやり取りながら、特に険悪な雰囲気もない二人。そんな中で、ミークが再び声をかける。

 

「ココンさんは……トレーナーさんとはうまくやって……いけてますか?」

 

「は? どういう意味よ」

 

「……いえ、最近、こちらではトレーナーにお礼をしようとしても……気持ちだけで良いからと言われてしまう事があるので……皆さんはどうしてるのかな? と」

 

「そう……」

 

 ミークの言葉に複雑な気持ちになるココン。それは、理子に対して自分が言っても同じことを返されそうだと感じたためだろうか。

 

「なので……先日は、少々不意打ちで、トレーナーに耳かきを……しました……ココンさんは、何かしてますか?」

 

「え? いや……不意打ち?」

 

 お礼と言う話題からは想像できない単語が飛び出た事で、ココンの目が丸くなる。

 

「……うちのトレーナー……本気を出したら私でも振り切られかねないので……そちらと違って……」

 

「か、樫本トレーナーだって! ……だって……」

 

 途中で言葉が途切れるココン。なにせ理子は極度の運動音痴であり、パルクールを行い、時にウマ娘よりも身体能力が高いと言われる葵とは比較する事が烏滸がましいと言えるレベルで差があるのだ。

 

「……その……頑張ってください……ね?」

 

「いや、そう言う意味で言い淀んだんじゃないから」

 

 言葉に詰まったココンの様子に別の意味を感じ取ったミークの励ましに、ココンはため息をつく。

 

「と言うか……トレーナーに耳かきって……」

 

「……? 普通じゃありません……か? 私も、よく耳かきしてもらってます……から」

 

「……普通じゃないと思うけど」

 

 ココン自身そう返すが、学園内ではそう言った話はたまに耳にする。チームメンバーと次のレースの作戦を話しているときにも、ふと、そう言う話題を耳にする事もあった。

 

「では……これで失礼します」

 

 やがてシャワーを浴び終えたミークが一足先にシャワー室を後にする。そして残されたココンは改めてシャワーを浴び続けるが、脳裏のあるのは、耳かきと言う言葉だった。

 

(……お願いしたらしてくれる? ……いや、もう練習の工程とかも全部組まれてるんだから、そちらが優先……でも……」

 

 頭の中を回る考えを纏める事ができないままシャワーを浴び終えたココンは、次の予定通り、勉強の為に図書室へ……向かう足を止め、トレーナー室へ向かう。

 

「リトルココン? どうかしましたか?」

 

 トレーナー室では理子がパソコンで作業をしていたが、その手を止め、ココンを見つめてくる。

 

「その……トレーナー……あの……」

 

 言葉に詰まり、中々切り出せないココン。その様子に首を傾げる理子であったが、安心させるように言葉を発する。

 

「リトルココン、言いにくい事でしたら、日を改めても構わないですよ」

 

「いえ、大丈夫……です。その……耳の中に違和感と言うか……痒みと言うか……そう言うのがあるので、処理……して頂ければと……」

 

 顔を赤く染め、視線を逸らしながらも言い切るココン。そして理子はそれを聞いて、一瞬不思議そうな顔をしたが、次の瞬間には表情を戻す。

 

「耳の違和感は確かに問題ですね、わかりました。まずは私が確認しましょう。私で処理できなければ、耳鼻科に予約を入れます」

 

「お、お願いします」

 

 そうして、椅子に座ったココンの耳の中を理子が確認する。スマホのライトで慎重に中を見つめ、違和感の正体を探る。

 

「ふむ……耳垢が少し溜まっているようですね。これでしたら、耳鼻科で処理してもらえば問題ないでしょう」

 

 そう言って理子は耳から顔を離すが、ココンは少し俯きながらも理子にお願いする。

 

「その……耳鼻科に行ったら時間もかかりますし……練習の工程をずらさないためにも……ここで処理してもらえれば……嬉しいのです……が……」

 

 その言葉に理子は一瞬呆気に取られるも、次の瞬間には、真面目な顔で考える。

 

「ふむ……確かにそれは一理ありますが……そうですね、では少し用意をしましょう」

 

 そう言うと、理子は引き出しから耳かきを取り出し、ソファーに腰掛け、ココンを膝の上に寝かせて耳をよく見る。

 

「痛みや違和感があればすぐに言ってください。では、始めます」

 

 カリカリカリ……ベリベリ……

 

 ゴリゴリ……バリバリ……

 

 真剣な顔で耳かきを動かす理子。その動きは中々に的確であり、ココンの耳の中にある汚れを順調に掻きだしていく。

 

「トレーナー……耳かき、上手なんですね」

 

「自分の耳の掃除をすることもありますので。あ、動かないでください、少々大きい物があります」

 

 一言注意したのち、大きい耳垢を掻きだす事に集中する理子。

 

 ゴリゴリ……ベリベリ……

 

 ガリガリガリ……バリバリバリ……

 

 一際大きな音を立てて、大きな耳垢が剥がされていく。それに伴う痛みにココンが思わず体に力を籠めると、耳垢を剥がし終えた理子がココンの頭を撫でた。

 

「すみません、注意はしたのですが、痛い思いをさせてしまいましたね」

 

「いえ……大丈夫です」

 

 頭を撫でられる事に恥ずかしさを覚えつつも、満更でもないココン。そうして落ち着いた様子を確認した理子は残るココンの耳に手をつける。

 

「では、こちら側の掃除もしていきますね。痛かったらちゃんと言ってください」

 

「は、はい」

 

 残る耳の中に耳かきが差し込まれ、掃除が行われていく。

 

 ゴリゴリゴリ……ガリガリガリ……

 

 バリバリ……ベリベリ……ズリズリ……

 

 残っている側の耳の中には大き目の耳垢があったため、大きな音をたてて、耳垢が剥がされていく。

 

「リトルココン、大丈夫ですか? 痛くないですか?」

 

「だ、大丈夫です……これぐらいなら……」

 

 少し涙目になりながらも痛みに耐えるココン。それを見て、理子も無理に止める必要はないと判断し、耳かきを続ける。

 

 ゴリゴリ……カリカリカリ……

 

 ベリベリベリ……バリバリバリ……

 

 そうして最後まで耳かきを終えると、耳かきを引き抜いて、ティッシュの上に捨てていた耳垢も処分する。

 

「これで掃除は終わりましたが、耳の方はどうですか?」

 

「はい、スッキリしました」

 

「そうですか、それは良かったです」

 

 ココンの様子に理子も無事に終わった事に一息つく。だが、立ち上がったココンがまだ何か言いたそうな顔をしているのに気づき、怪訝そうに見つめる。

 

「あの……ご迷惑でなければ……また、お願いしてもいいですか?」

 

「……本来なら、耳の違和感などはすぐにでも診察してもらうのが一番なんですが……良いでしょう、これぐらいの事であれば、私が処理しても構いません」

 

「ありがとうございます、樫本トレーナー」

 

 理子の言葉にココンは頭を下げて礼を言いつつも、内心では自分でも思っていた以上に嬉しいと感じている事に気づく。そしてその事を顔に出さないように気を引き締めながら頭を上げるが、理子がまだソファーから立ち上がってない事に気づいた。

 

「樫本トレーナー?」

 

「す……すみません、少し、足が痺れたようで……」

 

 立ち上がろうとするも、痺れの為かバランスを崩しそうになり、少しずつ涙目になっている理子。それに気づいたココンは慌てて理子に近づく。

 

「だ、大丈夫ですか!? 私に掴まってください!」

 

「う……きゅ、急に動かさないで……」

 

 体を小刻みに震わせながらも、ココンに抱き着いて少しずつ立ち上がる理子。その様子を見るココンは、次に耳かきをお願いしたら迷惑になるかもと思いつつも、やはり理子の事は守護らねばならないと強く感じるのであった。

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