あんまり女トレーナーとナカヤマのやり取りが想像できていない部分はありますが、ヒリつく勝負を求めるナカヤマに振り回されつつ、炭酸飲料が飲めない事を可愛いと思っているのかなーとか考える今日この頃です。
私はナカヤマフェスタのトレーナー。これまで彼女を近くで見てきたけど、なんて言うかこう、彼女はあれだよね。分の悪い勝負が非常に好みなタイプの勝負師だよね。でも、ゴールドシップと絡むときには別ベクトルでぶっ飛んだ勝負をしている気がするけど。
まぁ、それはそれとして、彼女はトレセン学園でも有数のG1ウマ娘であり、私にとってはかけがえのないパートナーである。まぁ、最近はちょっと困ったところもあるんですけどね……。
「トレーナー、今大丈夫か?」
「ナカヤマ? どうかしたの?」
部屋で仕事していると、ナカヤマが入ってきた……あ、この目、明らかに勝負事を持ち込んできたときの目つきだ。私にはわかるんだ。そんな目で私の正面に来られると、今度は何の勝負かと身構えてしまう。
「前の続きのリベンジと行こうじゃないか。負けっぱなしは性に合わねえ、今度は勝たせてもらうぜ」
「お……おお……そうですか。でも勝負って言っても何をするの? またコイントス?」
私が尋ねると、ナカヤマは不敵な笑みを浮かべて、部屋に置いてるテレビを指さした。
「いや、同じやり方じゃ面白くないな……今日、レースが開催されてるだろ? あれの一着ウマ娘を当てるってのはどうだ? あんたの審美眼と私の経験……どっちが勝っているか、試してみるのも面白いだろ?」
「……確かにそれはちょっと面白そうかも」
客観的に見ている私のトレーナーとしての目と、実際に走っている現役G1ウマ娘の目とどちらが確かな物か……確かに、これは実際に試してみたい。
「負けたら罰ゲームとして……わかってんな? あんたが言い出したんだ、裸踊りでも見せて貰おうか」
「やりたいと言った覚えはないんですが……じゃぁ、そっちが負けた時の内容も同じで良いの?」
「構わねえよ、負けないけどな」
やけに自信満々だな……これは早まったかもしれないけど……もう、自分の目を信じるしかない。簡単に負けたりなんてしないんだから!
「差せー! 差せーーー!」
テレビに向けて大声を上げるナカヤマ。そして画面の中では、私が選んだウマ娘が一着になり、ナカヤマが選んだウマ娘は三着になっていた……あー、良かったー。これで裸踊りは避けれたー。
「……私の予想が当たったね」
「ちくしょう!」
苛立ち紛れに乱暴にリモコンを掴んで電源を切るナカヤマ。さて……取りあえず罰ゲーム執行しなきゃ。
「……それで? ナカヤマ、罰ゲームの件だけど」
「チッ……わかってるよ」
しばらく苛立っていたけど、一度大きく息を吸って吐いてをしたナカヤマは気を取り直したのか私の方に向き直った。
「で、何をさせるつもりなんだ? 流石に私が裸踊りをしたら、トレセン学園を追い出されるぜ?」
「それは流石にないから。まぁ、さっきも言ったけど前と同じことを頼もうかな」
担当ウマ娘に裸踊りなんかさせようものなら社会的な抹殺不可避である。例え本人からの同意があっても、同性同士であっても、未成年なので訴えられたら即終了だ。いや、普通に考えてやらないんだけどね、そんな事。なので、取り敢えず前回と同じことをお願いする事にした。
「……だと思ったよ」
どうやらナカヤマも私がやる事は予想していたようで、特に動揺とかしている様子はないかな。
「じゃぁ、さっさとこっちに来な、手早く終わらせてやるよ」
「お手柔らかに」
ソファーに座るナカヤマの膝の上に頭を乗せると、彼女はしっかりと私の頭を押さえて、耳かきを始める。
バリバリバリ……ベリベリベリ……
ゴリゴリ……ベリッ……バリバリ……
けっこう大きい音がしていると思うと、大きなものや薄い物が大した痛みもなく剥がされてティッシュの上に捨てられていく。前にも言われたけど、私の耳垢は取れやすいんだね。
「トレーナー、これぐらいなら自分でやっても問題ないだろ? かなり剥がれやすいぞ」
「うんまあ、自分でやっても良いんだけど、折角ナカヤマにお願いできるならと思って」
いくら剥がれやすいって言っても自分でやるのはやっぱりできれば避けたい。普通に怖いもん。それに耳かきならまだ誰かに見られてもギリギリ言い訳が……できると思う、できると思いたい。でも私の社会的評価は普通に下がりそう。
ゴリ……ベリべリ……
ガリガリ……バリバリバリ……
そうしている内にも耳掃除は進んでいき、多分そろそろ取る物もなくなるかな? と思っていると。
「トレーナー、動くなよ?」
「ちょ、何を……ひゃあああ!?」
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
耳かきが引き抜かれたと思うと、両手で頭を抑えられて、吐息が吹きかけられる。耳垢が剥がされて敏感になっている耳の中にこんなことをされたら、頭の中がわけわからなくなる。
「なんだ? これぐらいならお約束の範疇だろ?」
「いや、前はやらなかったし……突然は驚くよ」
悪戯が成功したのが嬉しそうな彼女に、私は何も言えなくなる。
「じゃぁ反対側をやるが、これも、前みたいなのをお望みなんだろ? ほら」
「うひゃあ!」
突然体を引っ繰り返されると、そのまま彼女の腹に顔を埋められる。逃げようともがいても、ウマ娘の力に人間が勝てるはずもなく……と言うか、またこれするの!? 普通しないでしょ!
「おとなしくしな、前もこうしてやったのにまた耳かきを所望したんだ、これだって予想の範疇だろ? ちゃんと掃除はしてやるから、おとなしくしな。それとも、暴れるふりをして、私の腹を堪能してるのか?」
「むーーー」
抗議の声を上げたいけど、口を開いたり暴れたりしても解放されない……と考え、仕方なくおとなしくする。しかし、これは……ヤバい、本当に色んな意味でヤバイ。前もヤバかったから、今回もやるなんて事はないと思ってたのに、ナカヤマは羞恥心がないの? 私なら同性相手でもこんな事しないよ? いや、流石に羞恥心がないなんてそんな事はないだろうが……。
ガリガリ……ベリベリベリ……
バリバリバリ……バリバリバリ……
私が現実逃避に考え事をしている間にも耳かきは進んでいき……時々腹が震えるんだけど、なんだろ?
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
逃げられない私の耳の中に先ほどよりも近い距離から吐息が吹きかけられ、思わず体が大きく震える。流石にこれ以上は限界で、必死に彼女の足をタップしていると、ようやく解放してくれた。
「ぶはっ!? はぁ……はぁ……ナカヤマ、流石に冗談の範疇超えてきてるんだけど」
「ハッ、わかってて耳かきを頼んできたんだろ? 私だってあんたの顔が密着してるんだから恥ずかしいんだ、罰ゲームにはなってると思うがな?」
……本当に恥ずかしいと思ってるの? そんな風には見えないんですけど。
「さて、これで耳かきはお終いだ。次の勝負でトレーナーが勝ったら、ブルマ履いて耳かきしてやってもいいぜ?」
「……もう、絶対に恥ずかしがってないでしょ?」
「はは、何言ってるんだ? しっかり恥ずかしいさ。ま、トレーナー相手なら、してやってもいいってだけだ」
いや、流石に恥ずかしがっているやつのセリフじゃないって……次は流石にやめておこうかな。