いやぁ、ようやく書けました。映画を見てからそのうち書こうと思いつつ中々手が付かないままかなり時間が経過してしまいましたが、ようやく書けて良かったと思う今日この頃です。
後、今作品を持って、ウマ娘耳かき小説累計300作品に到達できました。これもひとえに皆さんがこの作品を読んでくださってきたおかげで、ありがとうございます。
トレセン学園のターフ。日々ウマ娘達が練習に明け暮れる場所で、今日は二人のウマ娘が立っていた。
「フジさん! よろしくお願いします!」
「こちらこそよろしくね、ポッケ」
一人はジャングルポケット。あのテイエムオペラオーを下し、有馬記念を勝利したウマ娘であり、そんな彼女の憧れであり、晴れてレースに復帰したのが、もう一人のウマ娘のフジキセキである。
フジキセキもまた有馬記念への挑戦を考えているが、彼女の適正距離からしたら有馬記念は長すぎる。その為、ポッケに並走をお願いしているのである。
そして、幾度かの並走をこなした二人は今日のトレーニングを終えて、共にシャワーを浴び、更衣室で体を拭いていた。
「ふー、さっぱりしましたねフジさん」
「そうだね。あ、こらポッケ、ちゃんと拭かないと風邪ひくよ」
「うわわ、恥ずかしいですって」
中途半端な拭き方の為か、まだまだ体が濡れたままになっているポッケを捕まえ、頭をしっかりと拭いていくフジ。子供がされているような事にポッケは恥ずかしがってフジから抜け出そうとするが、フジはしっかりと抱きしめたままポッケの頭を拭いていく。
「ほら、耳もしっかりと拭かないとね、暴れちゃダメだよ」
「うう……恥ずかしいんですって」
結局最後には諦めてフジに全てを任せるポッケ。そして綺麗に頭や耳を拭かれた後はトレーナーと共に今日の練習についてのフィードバックを行い、日が暮れ始めるころにようやく全ての工程を終える事ができた。
「いやー、疲れたっすねーフジさん」
「うん、これだけ疲れたら今日の晩御飯はきっと美味しいだろうね」
「ちょ、ダメですよ! フジさん食べ過ぎるんですから!」
そんな事を言いながら寮を歩いている二人だが、ふと、フジが足を止める。
「フジさん? どうかしたんすか?」
「んー……ちょっと気になる事があってね……ポッケ、ちょっと私の部屋に来てくれる?」
「え? りょ、了解っす」
フジの突然の誘いに困惑するポッケだが、素直にフジについていく。そして彼女の部屋につくと、椅子に座らされた。
「あの、フジさん? 俺、何かされるんすか?」
「んー、気のせいなら良いんだけどねー。ちょっと動かないでね」
椅子に座るポッケの耳を優しく摘まみ、中を覗きこむフジ。敏感な耳に強い視線を感じ、ポッケの頬が自然と朱に染まる。
「あー、やっぱり、拭いてる時に一瞬見えたけど、ちょっと耳の中に垢が溜まってるね。前に耳掃除したのっていつ?」
「え? えーと……」
フジの問いに答えようとするも、明確な時期を思い出せずに言葉に詰まるポッケ。少なくとも月単位で前にはなるだろう、その事を察したフジは軽くため息を吐く。
「ポッケ、耳の手入れはちゃんとしないとダメだって言ってるでしょ?」
「あはは……すみません」
フジに苦言を呈され、苦笑いを浮かべるポッケ。反省の意志がないと感じたフジは、そのままポッケをベッドに横にさせる。
「ちょ、フジさん!?」
「これも寮長としての勤めかな。ポッケがやらないなら、私がやってあげるよ」
「わわわ……」
ポッケが抵抗する暇もなく、フジは流れるようにポッケの頭を自分の膝の上に乗せる。そして、ポッケの耳に顔を近づけて観察すると、顔を近づけられ、吐息が耳に当たり、顔が赤面する。
「うん、大体わかったから、掃除していくよ。動かないでね」
「は、はいいぃ」
微笑みを浮かべながら枕元のチェストから耳かきを取り出したフジがポッケの耳を掃除していく。
カリカリカリ……カリカリカリ……
ペリペリペリ……パリッ……ペリッ……
しっかりと拭いたためか、耳垢を剥がす時の音は思ったよりも軽く、乾燥しており、瘡蓋を剥がすような感覚をポッケは感じる。
「んん……フジさん、ちょっと痒いっす」
「この辺かな?」
カリカリ……カリカリ……
耳垢を剥がした部分を軽く掻くと、眉間に皺が寄っていたポッケから皺が取れ、頬が緩んでいくのが見える。
「あー……そこ、気持ちいいっすよフジさん」
「それじゃぁ、耳かきを再開していくね」
そう言うと、フジは引き続き、耳掃除をしていく。
カリカリカリ……バリバリバリ……
ベリベリ……ベリベリ……
軽い手応えと共に剥がれていく耳垢をティッシュの上に捨てていき、次の耳垢へと取り掛かる。暫しの間そうして耳垢が剥がされていき、程なくして耳の中の汚れはあらかた取り除かれた。
「うん、こんなものかな? ところでポッケ、さっきからやけに顔が赤いんだけど、もしかして体調悪い?」
「いやだって……フジさんの顔がちけーんですから……」
「何言ってるさ、私の顔なんて毎日見てるでしょ?」
「い、いや、そう言われても……」
確かに二人はほぼ毎日顔を合わせている。だが、当然ながらこれだけ近くで、これだけの時間そうしている事なんて一度もなかった。おまけにフジの膝枕で耳かきをされているのだ、恥ずかしがらない方が無理と言うものだろう。
「変なポッケだね。さ、反対側もやっていくよ」
「あ……うっす」
フジの言葉にポッケは頷き耳かきが始まる。
カリカリ……バリバリバリ……
ベリベリベリ……ビリビリ……
フジが耳かきを動かすたびに、ポッケの耳の中の汚れが剥がされ、ティッシュの上に捨てられた耳垢が溜まっていく。
「うわぁ……改めてみるとけっこうあったんすね」
「そうだよポッケ。こんなに汚れてたらレース中にも影響が無いとは言えないからね。ちゃーんと掃除して、スッキリしなくちゃね」
「わ、わかりました……」
「返事は返してくれるんだけどねぇ……はい、これでお終い、汚れは大体取れたよ」
「お……おおー……耳、軽くなったような」
耳かきが終わり、膝枕から起きたポッケは耳を軽く動かして調子を確かめる。
「ポッケ、次はちゃんと自分で手入れする事。もしちゃんとしなかったら、お仕置きしちゃうよ?」
「お、お仕置き? 何する気なんすか!?」
「こう、かな?」
怯えるポッケを捕まえ、フジは耳元に口を近づけると。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
「うひゃあああああ!?」
優しく吹きかけられた吐息は敏感な耳の中を通っていき、その感覚と恥ずかしさからポッケは逃げようとするが、フジはそれを逃がさない。
「次もちゃんとしてなかったら、もう片方の耳にも同じ事しちゃうからね。わかったかな?」
「わかりました! わかりましたからー!」
恥ずかしさから逃げようとするも、抱きしめられ逃げられないポッケ。そうしてフジの気が収まるまでの間、ポッケは恥ずかしさと、フジに抱きしめられる嬉しさから逃げる事はできないのであった。