サボり癖のある彼女ですが、だからこそのゆるい感じが好きな人は居るんじゃないでしょうか。多分。
やっほー、トレーナーさん。もうお昼なのに寝てるなんて、お寝坊さんだねー。
ほらほら、もう1時だよ。今日は勉強に付き合ってくれるって言うから、セイちゃん久しぶりにちゃーんと時間通りに図書室来てたのに、トレーナーさんがさぼってどうするの?
……あはは、焦って転んでるじゃん、ほら、落ち着いてよトレーナーさん、怒ってないよ。
それで、トレーナーさん? お昼寝しちゃうほどセイちゃんの個人情報に夢中になるのはちょーっと怖いかな? じょーだんじょーだん、次のレースへの調整でしょ? わかってるって。
トレーナーさん、そこまで一所懸命してくれるのは嬉しいけどさ。トレーナーさんに倒れられたらセイちゃん、心配でトレーニングなんてできなくなるよー。それでもいいのー? え? このトレーニングメニューの完成だけでも?
はー、頑固だねぇ。私みたいにサボるのも時には大事なんだよ? いつまでも張り続けてる弦ほど、すぐにピーンって切れちゃうもんなんだよ?
はぁー、本当頑固だねぇ。じゃぁいいよ、セイちゃん今日は自主休業するから。じゃーねー。
んっふふー、トレーニングして欲しい? それじゃぁ、セイちゃんの言う事一つ聞いてもらおうかなー。そうしたらトレーニング、ちゃんと受けるよ。
大丈夫大丈夫。無茶な事は言わないから。ちょっと待っててねー。
はいはーい、お待たせー。え? なんで耳かきかって? もー、そんなの決まってるじゃん。トレーナーさんの耳かきだよ。
今から耳かきして、それで寝ちゃうようだったらもうトレーナーさんの集中力とかもそんなもんって事でしょ。そんな状態で手伝ってもらっても効率悪いからねー。その時は大人しく寝てもらうよ、トレーナーさん。
さーて、さてさてと、トレーナーさんの耳は……んー、これが普通なのかな? 取り合えず綿棒で擦ってみようかな。
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
おおー、パッと見わからなかったけど、擦ると汚れが落ちてくねー。見てよこれ、白い綿棒が黄色くなってるよー。トレーナーさん、私の事より自分の事もうちょっと心配したほうがいいんじゃない?
……あははー、私の方が大事なんて事言われると照れちゃうよ。ほら、耳掃除続けてくよー。
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
グリグリ……ギュッギュッ……
溝の部分も念入りにグリグリと……うん、終わった終わった。いやー、トレーナーさんの耳はやりがいがあるねぇ。
さーて、それではお待ちかね、中の方をやっていきましょうかー。どれどれー? んー……んー。
まぁ、そこそこ、かな。うん、そんなに手間は取らないよ。ほら、カリカリカリカリ……
カリカリ……カリカリ……
ガリガリ……ガッ……ガッ……
ちょーっと固い塊があるかな。こういうのって無理に取ろうとしたら皮膚が痛んじゃうから、けっこう慎重にやらなきゃいけないんだよねぇ、大変なんだよ、こういうのを取るのは。
ガリガリ……ガリガリ……
ガリガリ……ガッ……ベリッ……
お? ちょっと剥がれてきたねー。え? 痒いから早くしてくれ? んー、それじゃぁちょっとペース上げるけど、痛かったらちゃんと言ってね。
ガリガリ……ガッガッ……ベリッ……
ベリッ……ベリッ……ザッ……ズズズ……
はいはーい、一つようやくとれたねー。うーん、黄色くて固い……こんなのがいくつもあったら大変だけど……。
ちょんちょんっと……あー、残りのはすぐに剥がれそうだね。じゃぁちゃちゃっと取っていっちゃいますか。
ガザガザ……ガザガザ……
ズゾゾ……ゴシゴシ……
うん、これぐらいのなら取りやすくて良いねー。トレーナーさんも、痛くなさそうだね。
んー……うん、こんなもんかな。どう? トレーナーさん? ……ありゃ、もう半分寝そうになってるよ。
おーい、トレーナーさーん? まだ反対側残ってるよー。流石にここで寝ちゃうのはセイちゃん困っちゃうよー。
ほらほら、反対側向かせるからねー。ほいっと、それじゃ、こっちも手早く済ませちゃおうかな。そうじゃないとトレーナーさん完全に寝落ちしちゃいそうだし。
外側、ザリザリ……ザリザリ……、ザリザリ……ザリザリ……んー、こっちも綿棒が真っ黄色だよトレーナーさん。
外側の掃除はこんなものかな。さ、中やっていくよ。んー、あ、こっちは固いのはなさそうだね。じゃぁ、柔らかいのを掻き出していきますかー。
ガサガサ……ガサガサ……
クルクル……ズリリ……ズズ……
んー、柔らかいのはやっぱり楽だねぇ。トレーナーさん、今後もこのタイプの耳垢で居てくれない? 固いのは大変だからさぁ。
ガザガザ……ガザガザ……
クルクル……ズズズ……
はいはーい、量は多かったけど、早く終わったよー。……あれ? おーい、もしもーし、トレーナーさん?
ありゃりゃ……耳かき終わる前に寝ちゃってるんだけど。そんなにセイちゃんの御膝は寝心地良かったんですかねー? ……息吹きかけて、ビクッてするトレーナーさん見たかったんだけどなぁ。
……まぁ、仕方ないか。それは次のお楽しみにして、と。今は……トレーナーさんの寝顔を見るだけで満足しときますか。
ふっふっふっ、これでこれをネタにまた耳かきしても良いし、サボる口実にしても良いし、策士相手に隙を見せたらだめですよ~、トレーナーさん。