ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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セイウンスカイで書きました。

サボり癖のある彼女ですが、だからこそのゆるい感じが好きな人は居るんじゃないでしょうか。多分。


セイウンスカイ

 やっほー、トレーナーさん。もうお昼なのに寝てるなんて、お寝坊さんだねー。

 

 ほらほら、もう1時だよ。今日は勉強に付き合ってくれるって言うから、セイちゃん久しぶりにちゃーんと時間通りに図書室来てたのに、トレーナーさんがさぼってどうするの?

 

 ……あはは、焦って転んでるじゃん、ほら、落ち着いてよトレーナーさん、怒ってないよ。

 

 それで、トレーナーさん? お昼寝しちゃうほどセイちゃんの個人情報に夢中になるのはちょーっと怖いかな? じょーだんじょーだん、次のレースへの調整でしょ? わかってるって。

 

 トレーナーさん、そこまで一所懸命してくれるのは嬉しいけどさ。トレーナーさんに倒れられたらセイちゃん、心配でトレーニングなんてできなくなるよー。それでもいいのー? え? このトレーニングメニューの完成だけでも?

 

 はー、頑固だねぇ。私みたいにサボるのも時には大事なんだよ? いつまでも張り続けてる弦ほど、すぐにピーンって切れちゃうもんなんだよ?

 

 はぁー、本当頑固だねぇ。じゃぁいいよ、セイちゃん今日は自主休業するから。じゃーねー。

 

 んっふふー、トレーニングして欲しい? それじゃぁ、セイちゃんの言う事一つ聞いてもらおうかなー。そうしたらトレーニング、ちゃんと受けるよ。

 

 大丈夫大丈夫。無茶な事は言わないから。ちょっと待っててねー。

 

 はいはーい、お待たせー。え? なんで耳かきかって? もー、そんなの決まってるじゃん。トレーナーさんの耳かきだよ。

 

 今から耳かきして、それで寝ちゃうようだったらもうトレーナーさんの集中力とかもそんなもんって事でしょ。そんな状態で手伝ってもらっても効率悪いからねー。その時は大人しく寝てもらうよ、トレーナーさん。

 

 さーて、さてさてと、トレーナーさんの耳は……んー、これが普通なのかな? 取り合えず綿棒で擦ってみようかな。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 おおー、パッと見わからなかったけど、擦ると汚れが落ちてくねー。見てよこれ、白い綿棒が黄色くなってるよー。トレーナーさん、私の事より自分の事もうちょっと心配したほうがいいんじゃない?

 

 ……あははー、私の方が大事なんて事言われると照れちゃうよ。ほら、耳掃除続けてくよー。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 グリグリ……ギュッギュッ……

 

 溝の部分も念入りにグリグリと……うん、終わった終わった。いやー、トレーナーさんの耳はやりがいがあるねぇ。

 

 さーて、それではお待ちかね、中の方をやっていきましょうかー。どれどれー? んー……んー。

 

 まぁ、そこそこ、かな。うん、そんなに手間は取らないよ。ほら、カリカリカリカリ……

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 ガリガリ……ガッ……ガッ……

 

 ちょーっと固い塊があるかな。こういうのって無理に取ろうとしたら皮膚が痛んじゃうから、けっこう慎重にやらなきゃいけないんだよねぇ、大変なんだよ、こういうのを取るのは。

 

 ガリガリ……ガリガリ……

 

 ガリガリ……ガッ……ベリッ……

 

 お? ちょっと剥がれてきたねー。え? 痒いから早くしてくれ? んー、それじゃぁちょっとペース上げるけど、痛かったらちゃんと言ってね。

 

 ガリガリ……ガッガッ……ベリッ……

 

 ベリッ……ベリッ……ザッ……ズズズ……

 

 はいはーい、一つようやくとれたねー。うーん、黄色くて固い……こんなのがいくつもあったら大変だけど……。

 

 ちょんちょんっと……あー、残りのはすぐに剥がれそうだね。じゃぁちゃちゃっと取っていっちゃいますか。

 

 ガザガザ……ガザガザ……

 

 ズゾゾ……ゴシゴシ……

 

 うん、これぐらいのなら取りやすくて良いねー。トレーナーさんも、痛くなさそうだね。

 

 んー……うん、こんなもんかな。どう? トレーナーさん? ……ありゃ、もう半分寝そうになってるよ。

 

 おーい、トレーナーさーん? まだ反対側残ってるよー。流石にここで寝ちゃうのはセイちゃん困っちゃうよー。

 

 ほらほら、反対側向かせるからねー。ほいっと、それじゃ、こっちも手早く済ませちゃおうかな。そうじゃないとトレーナーさん完全に寝落ちしちゃいそうだし。

 

 外側、ザリザリ……ザリザリ……、ザリザリ……ザリザリ……んー、こっちも綿棒が真っ黄色だよトレーナーさん。

 

 外側の掃除はこんなものかな。さ、中やっていくよ。んー、あ、こっちは固いのはなさそうだね。じゃぁ、柔らかいのを掻き出していきますかー。

 

 ガサガサ……ガサガサ……

 

 クルクル……ズリリ……ズズ……

 

 んー、柔らかいのはやっぱり楽だねぇ。トレーナーさん、今後もこのタイプの耳垢で居てくれない? 固いのは大変だからさぁ。

 

 ガザガザ……ガザガザ……

 

 クルクル……ズズズ……

 

 はいはーい、量は多かったけど、早く終わったよー。……あれ? おーい、もしもーし、トレーナーさん?

 

 ありゃりゃ……耳かき終わる前に寝ちゃってるんだけど。そんなにセイちゃんの御膝は寝心地良かったんですかねー? ……息吹きかけて、ビクッてするトレーナーさん見たかったんだけどなぁ。

 

 ……まぁ、仕方ないか。それは次のお楽しみにして、と。今は……トレーナーさんの寝顔を見るだけで満足しときますか。

 

 ふっふっふっ、これでこれをネタにまた耳かきしても良いし、サボる口実にしても良いし、策士相手に隙を見せたらだめですよ~、トレーナーさん。


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