改めて見ても、ダンツは可愛いですね。ああいう娘が夢に向かって頑張っている姿は応援したくなります。青春だなぁ……なんて思う今日この頃です。
私の名前はダンツフレーム。トレセン学園のウマ娘です。
私の周りにはすっごいウマ娘がたくさんいます。タキオンちゃん、ポッケちゃん、カフェちゃん、フジ先輩……それに同室のミラ子先輩も、自分じゃ普通のウマ娘だなんて言ってますけど、すっごくすっごいウマ娘なんです。
正直、私には皆みたいな凄い能力なんてありません。でも、それでも……私も輝きたい……誰かの心に残るように、強く輝きたい。ずっと、そう思ってる。
だから……うん、だから、トレーナーさんにはすっごい感謝してる。こんな私の担当になってくれて……私を輝かせてくれて。とっても、とっても感謝してるの。
だから、トレーナーさんが何かお願いしてきたら、私は全力で叶えようって思ってる。ポッケちゃんやカフェちゃんはお願いされたらすぐに了解する癖を治す様に言われちゃってるけどね。
そんな私だけど、今日はトレーナーさんと一緒に座学をしてる。こないだのオペラオーさんのレースやドトウさんのレースを見ながら、彼女達の走り方を分析し、自分の走り方に取り入れられる部分がないかとか、癖を把握して、もし一緒のレースになった時にどう動くべきかを調べていく。
そうして真剣に過ごしていたら……アラームの音がして、座学の時間の終わりを告げた。
「ふぅ……休憩するか、ダンツ」
「あ、はい、わかりました。じゃぁお茶入れてきますね」
すっかり冷めたお茶を飲み干すと、トレーナーさんのコップも取って新しい物を用意する。
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがとうダンツ……ふぅ、ダンツの淹れてくれるお茶は美味しいな」
「えへへ、ありがとうございます」
トレーさんに褒められて、思わず嬉しくなってしまう。いけないいけない、あんまりにやけちゃうと、トレーナーさんに変に思われちゃう。
そう思ってると、トレーナーさんの眉間に少し皺が寄ったと思うと、耳の中に指を入れた。
「うーん……ああ、ごめんダンツ、行儀の悪い事をしちゃったね」
「あ、いえ、大丈夫です。でもトレーナーさん、もしかして耳の中が痒いんですか?」
「ああ、なんか妙に痒くて……奥の方だから指も届かないのはわかってるんだけど、つい反射的に、な」
「じゃぁ、私耳かきしてあげますよ」
「うん、お願いしようか」
トレーナーさんが了解してくれたから、そのまま道具を用意する。トレーナーさんって前にも耳が痒いって言ってたし、今度は私の方からお話したほうが良いのかな?
「お待たせしましたトレーナーさん、こちらへどうぞ」
「ああ」
ベッドに座ってトレーナーさんを呼ぶと、そのまま私の膝枕の上に頭を置く。えーっと、奥の方って言ってたよね。
「んー……あ、これ……かな? トレーナーさん、これですか?」
「おぅ……つ、突かれると余計痒い」
見えた耳垢を耳かきで突いてみると、トレーナーさんが体を少し跳ね上げる。どうやらこれが痒みの原因で間違いないみたいだし、まずはここからやっていこう。
カリカリ……カリカリ……
ガリガリ……ペリッ……
軽い手応えがしたと思ったら耳垢が剥がれたから、落とさないように外へ引き上げる。
「トレーナーさん、どうですか? 痒みは収まりました?」
「あ、ああ。スッキリしたよ、いやー、助かった」
スッキリした顔になったトレーナーさんを見てると、私も嬉しくなっちゃうなぁ。もっと見ていたいって思っちゃうから……耳掃除続けようっと。
「トレーナーさん、折角ですからこのまま続けていきますね」
「あ、うん、お願い」
さて、奥のは取れたから、手前の方から掃除していこうかな。
カリカリ……ガリガリ……
コリコリ……パリパリパリ……
軽い音と手応えを感じながら耳垢を掃除していく。特に剥がれにくいとか、そんな感じのはなかったから、順調に掃除は進んでいく。
「うんしょっと……これで大体掃除は終わっちゃいましたね。この耳かきは梵天もないですし、後はお約束、でしたっけ」
「うん、お願いダンツ」
前にタキオンちゃんに聞いたらそう言うものだよって言ってたし、本当にお約束なんだって驚いちゃったなぁ。
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
トレーナーさんの耳に優しく息を吹きかけると、体に少し力が入って、それからちょっと蕩けた顔になる。多分、私だけが知ってる顔なんだろう。って考えると……もっと見たくなっちゃう。
「トレーナーさん、反対側も、していきましょうね」
「ああ、お願いするね」
トレーナーさんが私のお腹の方に顔を向けて……うう、やっぱり恥ずかしい……けど、ちょっと嬉しいし……耳かき、頑張ってやっていこうっと。
カリカリカリ……バリバリ……
ガリガリ……ゴリゴリゴリ……
こっちも特に手ごわい耳垢もない感じかな? あ、すっごい濁った色してるのが取れちゃった……。やってて良かった、のかな?
「トレーナーさん、痛くないですか?」
「お……いや、大丈夫大丈夫」
一瞬体に力が入ったみたいだけど、すぐに力が抜けてるから、大丈夫、かな? でも次からは注意しないと……あ、これで最後。
「トレーナーさん、これで最後の耳垢が取れましたよ。後はお約束、しちゃいますね」
ふ~……ふ~……
ふ~……ふ~……
優しく吐息を吹きかけて……ふぅ、これでお終い。
「トレーナーさん……休憩が終わるまでお昼寝、します?」
「うん、お願いするね」
私が聞くと、トレーナーさんは頷いて……少しして寝息が立ってきた。こんなに早く寝ちゃうのって、疲れが溜まってるのかな?
「……嬉しい……でも恥ずかしい……でも嬉しいし……うう、どんな顔をすればいいのかわからないよー」
顔が熱くなるのを感じながら、私はこの感情をどうすればいいのかわからないままトレーナーさんが起きるまでこうしているのだった。