ウマ娘ではやってもらう側の視点は全然書いてきませんでしたが、今回、久しぶりに書いてみました。
この形式に関してどう思われたかコメントしていただければ幸いです。
ライスシャワーとの戦いを終え、ミホノブルボンは無事三冠を達成した。トレーナーとしてこれほどの充実感はないだろう。彼女もまた嬉しそうだ。これも彼女の実力故の成果なのだが、嬉しい事に彼女は今日、俺にお礼をしたいと言ってきた。どんなお礼をしてくれるのかと思っていたが……。
「耳かきよし、ローションよし、蒸しタオルよし、綿棒、ピンセットよし」
扉を開けた時、彼女はそんな事を呟きながら耳かきの道具を用意していた。これが本お礼ではないそうだが、それでもやってくれるというのは嬉しいものだ。
「ブルボン、待たせたな」
中に入りそう声をかけると、彼女は俺の事に気づいてこちらを向いていた。
「いえ、大丈夫です。それでは早速、マスターの耳かきを始めたいと思います」
そう言うと、彼女はまず部屋の鍵をしっかりと確認し、更にカーテンも閉じられているか確認。まぁ、見られたら恥ずかしいじゃ済まないからな
「チェック項目の確認を終了、耳かきに最適な環境を確認しました。それではマスター、こちらへどうぞ」
「ああ、頼むよ」
正座した彼女の膝の上に頭を置く。レースの為に鍛えられているしっかりとした弾力と筋肉が多いが故の熱の高さが服越しに伝わってくるが、できる限り意識しないように努める。
「まずは、耳周りの掃除を開始します。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」
温められたタオルに擦られるとじんわりと熱が伝わってきて、それが心地よくてそれだけで力が抜けそうになる。
「マスター、耳の後ろに汚れが溜まっています。最近は体をちゃんと洗っていらっしゃるのでしょうか?」
「あー……ブルボンのレースの調整であれこれしてたからなぁ……」
一応風呂に入っていた。いたが、細かい身なりまで気にする余裕はなかったなぁ。三冠を取るまでは、頭の中はほぼ全部ブルボンの事ばっかりだった。
「では、これからはちゃんと洗う事を強く進言します。私は三冠ウマ娘になりました。マスターも今後は一層テレビへの出演などが増えるはずです」
う……確かに、最近は雑誌の取材やらなんやら色々と増えたんだよな。俺としては正直今後のレースの事に頭を使いたいんだが、これも仕方ない事か。
「耳の外側のタオル拭き、完了しました。これより綿棒による掃除に移ります」
取材の事を考えている間にタオル拭きが終わったようだ。さて、ここから耳かきだ。正直楽しみだ。
「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ギュッギュッ……ギュッギュッ……」
ゴシゴシ……ゴシゴシ……
グッグッ……ゴシゴシ……
耳の外側を全体的に、それでいて窪みなども丁寧に綿棒で擦られていく。正直ここをこんなに丁寧に掃除されるだけでも嬉しい物だな。
「マスター、痛かったりしないですか?」
「ああ……大丈夫だよ」
こちらを気遣ってくれる彼女の声に大丈夫だと答える。そうするとなんとなくだけど、ブルボンが安心したような、そんな気配を感じた。
「外側の汚れはほぼ取れました。これより、耳の中の掃除を開始します」
しばらく外側を掃除していたブルボンがそう言って綿棒を捨てるのを横目で見る。さぁ、来るぞ。そう覚悟を決めていると、耳かきが耳の中に入ってきた。それが触れた瞬間、慣れぬ感覚に思わず体が震えてしまった。
「マスター、大丈夫ですか?」
「いや、大丈夫。ちょっと驚いただけだ、続けてくれ」
ブルボンの言葉に努めて平静に答える。変に慌ててる姿なんて見せたら心配させるからな。
「マスターがそう言ってくれたので、耳かきを再開します。まずは手前、小さな奴から」
「カリカリ……カリカリ……カリカリ……」
カリカリ……カリカリ……
ガリガリ……ガリッ、ガリッ
耳の中の浅い所から、ブルボンの耳かきが始まっていく。カリカリと、耳かきの動きに合わせて呟かれる言葉が心地よく、気を抜けば目が閉じそうになるのをなんとか耐える。
(これ、気持ちいいんだよなぁ)
普段の表情に似合わない、綺麗で優しい声を聴き続ける。これだけでもう気持ちよくなってしまい、自然と頬が緩くなっていく。
「カリカリ……ガリガリ……マスターの耳垢、もうすぐ取れます……ガリッ……ガリッ……」
ガリガリ……ガリガリ……
ガリッ……ガッ、ガッ……
耳かきの動きが激しくなり、耳垢を引っかかれるたびに痛痒いような感覚を味わう。そして、少ししてペリペリという音と共に耳垢が剥がされた。
「一つ目の耳垢の除去を完了。マスター、いかがですか?」
「ああ……痛気持ちいいな……」
かさぶたを剥がした時のような、スッとした感覚を味わいながら彼女の言葉に答える。まだ耳垢は残ってるのだろうか? できればもっと味わいたい所だが。
「次は……パッと見える範囲には確認できません」
そんな風に思っていたが、まさか耳垢がないとは。いや、それも仕方ないか。あんまりブルボンに頼るのも悪いと思ってちょくちょく自分で掃除してたからなぁ。
「マスター、少し奥の方を調べてみます。宜しいですか?」
「ん? ああ、任せるよ」
残念に思ってるとブルボンがそんな提案をしてきたので了承すると、自分では入れたことがないような奥まで耳かきが入っていく。うお、これ、怖いなって……ん、なんだこの痒み……!
「な、なぁブルボン、何かその辺……耳かき差し込まれたらやけに痒くなってきたんだが……」
耳かきの先端が当たった部分が妙に痒くなって来た。なんだこれ? ヤバくないか?
「はい、見え辛いですが、恐らく大型の耳垢があります。これよりこの耳垢の除去に集中します」
おいおい、そんなのあるのかよ。こんな奥にあると流石に怖いものがあるが……ブルボンならきっとちゃんと取ってくれる。そうだ、自分の愛バを信じなくてどうする。
そう思っていると、耳かきがその部分を何回も掻き出した。だけど、なんというか上を滑っている感じで、取れそうな気配が全然ない。
「これは、かなり硬いと判断します。少しずつ、時間をかけて取り除きます」
「マジか……集中って事は、囁きは?」
言ってから自分でも驚いたが、俺はどうも、もう彼女の囁きがないと物足りないらしい。
「マスターのご要望ならば、囁きながら耳垢を取り除きます」
「じゃぁ、それで頼む」
「了解しました……ガリッ……ガリッ……」
ガリガリ……メヂッ……メヂッ……
ガッ、ガッ、……ガリガリ……
ああ、囁いてくれるとやっぱりいいな。これでなんとか痒みを我慢できればいいんだが。ヤバいな、強烈に痒いぞ。
「ガリッ……ガリッ……ガッ……ガッ……」
ゴヅッ……ゴヅッ……
ガッ……メヂッ……ガリッ……
一応、少しずつだが剥がれていっているとは思う。だが、中途半端に剥がれるほうが痒みが増してきて、思わず眉間に皺が寄ってしまう。
「マスター、我慢が辛かったら私のスカートを握ってください」
「う……すまん」
恥ずかしいが、もはやそれを気にする余裕もない。俺はしっかりとブルボンのスカートを掴み、痒みに耐える。
「ガリッ……ガリッ……ガ……リッ……」
ガガ……ガリガリ……ガリガリ……
ベリッ……ガッ……ガッ……
耳かきが耳垢を剥がそうと端っこから攻めていく。そして少し剥がれたかと思ったら、そこに一気に耳かきの先端が食い込んできた。
「ベリッ……ベリッ……ベリッ……!」
ベリッ……メヂ……メヂッ……
ベリベリ……ベリッ……ゴゾッ……
梃子のように耳かきが持ち上がると、そのまま耳垢が一気に剥がされていく。分厚いかさぶたを一気に剥がしていくようなその感触に、思わず体に力が入り、拳を強く握りしめる。だが、完全に剥がされた時の解放感によって一気に脱力した。
(うわ……めちゃくちゃ気持ちよかったぁ……)
内心でそう思っていると、ティッシュに例の耳垢が捨てられた。分厚く、茶色く変色した耳垢は、これまで見た事のない大物だ。
「ミッションクリア。かなりの大物が取れました」
どこか満足げに言うミホノブルボンだが、俺としてはこんなのが耳の中にあった事に驚きを隠せない。
「おいおい……こんなのがあったのかよ」
「はい。恐らくこれが最大の大物となると思います。引き続き耳掃除を継続します」
俺が衝撃を受けている間にも耳かきは続く。でかい耳垢を取った後の汚れを彼女は器用に掻き出していき、中途半端な痒みの元を全て取り除いてくれた。
「耳垢の除去を確認。これより梵天の使用、その後ローションの使用に移行します」
そう言って、彼女は耳かきを横に置くと梵天を手に取った。
「クルクル……ゴシゴシ……クルクル……ゴシゴシ……」
梵天の柔らかい毛が耳の中をかき回していき、それがくすぐったくて気持ちよくて、思わずほうっ……と息が漏れていた。
「梵天終了、ローションに移行します……ヌリヌリ……ヌリヌリ……ペチャペチャ……」
梵天が終わり、次にローションが塗られる。耳垢が剥がされて熱を帯びている部分を冷たいローションが優しく冷やしてくれる。それはいい、良いんだが……なんか量多くないか?
「……なぁ、ブルボン、流石に塗りすぎじゃないか?」
「あ……申し訳ありません」
俺が聞くと、彼女は慌てて綿棒を引き抜いた。うん、やっぱり塗りすぎだよな。
「それでは、最後に失礼して……ふ~……ふ~……」
ブルボンの吐息が耳の中を満たしていく。ローションを塗られてる部分に吹きかけれた息が熱を奪い、ひんやりとした感触に思わず肩が震え
「ミッション完了。これより反対側の耳掃除に移行します。マスター、反対側を向いてください」
そう促されたため、俺は体を起こして反対側を向く。いや、そのまま反対側を向くのは流石にマズイだろ。
「タオルでゴシゴシ……ゴシゴシ……綿棒でゴシゴシ……ゴシゴシ……」
先にやったのと同じ手順で耳かきが進められていく。温かいタオルで擦られ、綿棒で浮いた汚れをこそぎ落していく。ゴシゴシと、囁かれる声が、汚れを落とした耳に心地よい。
やがてタオルがどかされ、彼女が耳を覗いているのが気配でわかった。
「……こちらも、あまり汚れはありません」
そう呟くブルボンの声音はやはり残念そうなもの……だと思ったが、なんだ? なんか、不審に思ってる?
そんな風に思ってる間にも耳の中の掃除が進んでいく。と言っても小さいのが取られるばかりで、先程の大物に比べるとどうにも物足りない。
「では、奥の確認をしていきます」
そして再び差し込まれた耳かきが、先程と同じように奥に奥に、手探りのように進んでいく。そして少しして、耳かきの先端が擦ったその部分が猛烈に痒くなった。
「奥に耳垢を確認。これより除去を開始します……カリカリ……カリカリ……」
再び大物に取り掛かってもらうが、これも引っかかれるほどに痒みが増していく。早く……取ってくれええ。
「カリカリ……ガリガリ……ガリガリ……ズズズ……」
カリカリ……カリカリ……メヂッ
ゴゾゴゾ……バリッ……ズゾゾ……
ブルボンが耳垢を引っ搔いていって、たまに欠片みたいなのが引きずり出されているが、痒みは収まる気配がない。知らず知らず、歯を食いしばり、動くまいと必死になってしまう。
「マスター……我慢をお願いします。我慢……我慢……」
そんな時、不意にブルボンが頭を撫でて我慢と囁いてきた。それを聞いていると、不思議と体から力が抜けていく。痒みは収まらないが、それでも我慢できない程ではなくなっていった。
「では、処置を再開します」
俺の力が抜けたのを確認したのか、ブルボンが耳かきを再開した。
「カリカリ……ガリガリ……ガッ……ベリッ……」
「ガリガリ……ガリガリ……ガリガリ……」
メヂリ……ガリガリ……ガッ、ガッ……
メヂ……メヂ……メヂッ……!
耳かきが同じ場所を集中的に引っかけていく。そのおかげか徐々に剥がれてきてるのが自分でもわかってきて、痛痒い感覚に早く取ってほしい、早く取れてくれ。と心の中で叫んでいると、剥がれてきた所に耳かきが差し込まれた。
(あ、これこのまま剥がれるか?)
そんな風に思っている間に差し込まれた耳かきの先端がグッと持ち上げられ、そのままメヂメヂと言う音と共に耳垢が一気に引き剥がされた。
(う……お……ッ)
痒みから一気に解放される快感に、俺は大きく息を吸い込み……そのままホウッ……と息を吐いた。ヤバいなぁ、気持ちよすぎる。
「耳垢が剥がれたのを確認。このまま引き揚げます」
引き上げられた耳垢は先に取られた大物に負けず劣らずの大きさと分厚さをしていて、こんなでかいのが取れたのだという満足感が俺を満たしていく。
「耳垢の除去を完了。これより周囲の掃除及び梵天、ローションの順番で移行していきます」
そして、ブルボンが最初と同じように残る汚れの掃除と、ローションによるケアを行ってくれて、最後に。
「ふ~……ふ~……マスター、耳かき、完了です」
息が吹きかけられ、ゾクゾクとした快感を味わって耳かきが終わった。いやぁ、気持ち良かったなぁ。
「はぁ~……今回は、色々と凄かったな。まさかあんな塊が出てくるなんてな」
痒みからの解放感、耳が綺麗になった快感、彼女の膝の上という心地よさ、それら全てを味わいながら、俺は至福に包まれていた。
「ところでマスター。私が耳かきをしていない間、もしかしてご自身で耳かきをしていましたか?」
「あ? ああ……流石にレースに集中してる時に頼むのも悪いからな。一応自分で調べてやってみたんだが」
実のところ、ブルボンの耳かきが気持ち良くて自分でも味わいたくなったというのが本音だが。
「耳垢の原因はそれです」
「へ!?」
思わぬ言葉に俺は思わず彼女を見上げた。
「耳かきは繊細な作業です。今回はマスターが無暗に耳かきを入れていたせいで奥に細かい耳垢が押し込まれ、固まったと予想されます。もしそのまま続けていたら完全に耳穴が塞がっていた可能性もあります」
え……マジか、掃除してるつもりで全然掃除できてなかったのかよ。てか耳が塞がるとかもあり得るのかよ。
「マジかぁ……え、それじゃぁ俺、自分で耳かきやらないほうがいいのか?」
「はい。ですので、今後もマスターの耳かきは定期的に私が行います」
ブルボンはそう言ってきたが、流石にそれは不味い。そこまで手間をかけさせるのが悪いというのもあるが、最近はウマ娘との肉体的接触に関して厳しい目が向けられるし、万が一ばれたらどうなるか。
「いや、それは流石に……」
「わ、た、し、が。行いますので、マスターはそれに従ってください」
「……はい」
断ろうとしたら無表情ですっごい圧をかけられた。レースで見せるような気迫をこんなところで見せなくてもいいのに、何が彼女をここまで駆り立てているんだ? ……まぁ、仕方ない、諦めよう。
「それでは、これよりお昼寝に移行します。マスター、何か希望はありますか?」
「そうだな……手を握っていてくれるか?」
「了解です、マスター」
ギュッと彼女の手が俺の手を握ってくる。サイボーグだとか言われる彼女だけど、その手はとても暖かくて、こうして握り合っていると、心まで温かくなり、安心してしまう。
そんな安心に包まれていると徐々に瞼が落ちていき、俺は心地よい温もりを感じながら眠りに落ちていった。
「……おやすみなさい、マスター。どうか良い夢を」
意識を手放す直前、そんな彼女の優しい声が聞こえた気がした。