ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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サイレンススズカ(描写文あり、♪多目)の女トレーナー視点となります。

スズカの声音は女性であっても魅了されてしまう。そう思う今日この頃です。


サイレンススズカ(地の文あり、♪多目、女トレーナー視点)

 私の愛バ、サイレンススズカはとても可愛くて、とても強くて、私には勿体ないくらいにできたウマ娘。でも、トレーナーとして慕われている以上、私は全力で彼女のサポートをするのだ。

 

 さて、その為にも今日は絶対に、彼女を走らせるわけにはいかない。こないだ秋の天皇賞で優勝した彼女は次のレースに備えて調整しないといけない。だから、ここで無暗に何キロも走っちゃうととても困る……って、何回も説明したはずなのに。

 

「スズカ、今日は走ったらダメだって言ったよね?」

 

 私の目の前のスズカはジャージ姿で、今にもターフで走りそうだ。ダメダメダメ、今日走っちゃったら今後のスケジュールが狂っちゃう。

 

「でもトレーナーさん、私走りたいんです」

 

「走りすぎたら体を壊すって言ってるじゃん。スズカが体を壊したらどうするつもりなのよ」

 

「むー……」

 

 頬を膨らませて私を睨むスズカ。か、可愛い! 可愛すぎる……けど、ダメ! 今日は許可できません!

 

「……わかりました、走るのは今日は控えます」

 

「わ、わかってくれた? それじゃぁ今日は……」

 

 耳を垂れてシュンとするスズカを見てると罪悪感が半端ないんだけど。ダメダメ、今日は心を鬼にしてでも、スズカの疲労抜きをしないといけないの。耐えろ私。

 

「その代わり、トレーナーさんの耳かきさせてください!」

 

 そう自分に言い聞かせてると、なんだか理解不能な事を言われてしまった。……ええ?

 

「え……なんで?」

 

 スズカの言葉の意味が理解できず思わず聞き返すと、彼女は真剣な表情で言葉を続けた。

 

「私はトレーナーさんの耳かきをしてリラックスする。トレーナーさんは耳かきで気持ち良くなってリラックスする。winwinというやつです。さぁ、行きましょう」

 

「ちょ、まっ、ままままっ」

 

 私が何か言うより先にスズカが両手を掴んできて、そのまま引っ張ってきた。抵抗しようにも彼女に対抗できるわけもなく、そのままあれよあれよという間に連れていかれたのは私の部屋だった。

 

 片手で私を掴んだまま扉を開けられ、私は抵抗むなしくベッドに座らされることになった。

 

「さぁ、少し待っていてくださいね。用意しますから」

 

「いやいやいやいや、説明! 説明プリーズ!」

 

「問答無用です。おとなしくしていてください」

 

 説明を求めてもばっかりと切り捨てられて、スズカはそのまま耳かきの用意をし始めるんだけど。えー、私の愛バってこんな強引だっけー? なんでー?

 

 そんな疑問を頭に浮かべてると、程なくして準備を終えたスズカが私の隣に座ってきた。

 

「はい、準備ができたので、トレーナーさん、頭を置いてください」

 

 そう言って彼女は自分の膝をポンポンと叩いてきた。うーん、逃げても掴まるし、それでスズカの負担を増やしても仕方ないし……うん、仕方ない、仕方ない事なんだ。そう自分に言い聞かせ、私はおとなしく彼女の膝枕に頭を置いた。

 

「ありがとうございます、トレーナーさん。それでは、まずは外側を掃除していきますね」

 

 そう言うと、彼女はウェットティッシュで裏側やを擦ってきた。ひんやりしたティッシュの薄い生地越しでも伝わる彼女の指の動き。あの白くて綺麗な指が私の耳を掃除してるんだと思うと、なんだか心臓がドキドキしてくる。

 

「トレーナーさん、お風呂上りはちゃんと拭いてくださいね。垢、残ってますよ」

 

「あー……うん、気を付ける……」

 

 スズカの注意に返事するけど、自分のドキドキが伝わってないかと心配になる。

 

「それじゃぁ、外側もこれで擦りますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 裏側が終わって、次は外側だ。窪み、溝、そう言ったところにも隙間なく彼女の指が潜り込んで擦ってくる。ひゃぁぁぁ、そんなところを擦らないでぇぇ。

 

「あうう……スズカの指で擦られるのって変な気分になるよぉ……」

 

「もう、変な事言わないでください」

 

 思わず出た声にツッコミが入った。えーと、引かれてない……よね? 大丈夫だよね?

 

  内心ドキドキしてると、彼女の視線が耳の中に注がれる。はぅぅ……恥ずかしい……

 

「うーんと……今回は……難しくなさそうです」

 

 あ、そんなに汚れてないんだ。は、早く終わるって事だよね? 嬉しいような、残念なような……。

 

「それでは、始めます。ガリガリ……ガリガリ……♪」

 

 楽しそうな声音でオノマトペを呟きながら耳かきを始めた。耳垢がガリガリと引っ掛かれ、剥がれてきた所に耳かきの先端が少しずつ差し込まれていく。痛いけど、同時に気持ち良くて、剥がれる瞬間を今か今かと待ちわびる。

 

 でも、このまま囁かれ続けるなら、耳垢が剥がれなくてもいいかも……なんて思ってしまうけど、私は悪くない。綺麗な声のスズカが悪いんだ。

 

「あひぃぃ……スズカァ……あんまり囁かないでぇ……」

 

「あら? トレーナーさん、私が囁くと……何が嫌なんですか?」

 

 懇願したら余計に耳に口が近づき、囁きが続く。ほああああ、言葉だけじゃなくて、息が、吐息がぁぁぁ。スズカの息遣いまではっきり聞こえちゃう。体が勝手に震えちゃう。

 

「トレーナーさん……? ダメ……ですか? 私……ちょっと寂しいです」

 

「や……やめ……わ、わかった……囁いてもいいから……少なく……少なくしてぇぇぇ」

 

 抵抗する気力を奪われ、でもこれ以上過激になったら絶対に落ちちゃいけない所を落ちちゃうから、せめて少なくしてくれと懇願する。

 

「わかりました、それじゃぁ、少なめにしますね。カリカリカリ……」

 

 ああ、良かった。わかってくれた。少し離れた口から囁かれるオノマトペはさっきよりも少な目、息遣いの音も遠くなったし、これなら耐えられる。ふぅ、担当に落とされるとか、トレーナーとして流石に……ね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……はい、取れました。トレーナーさんの耳垢は、ちょっと固めですね」

 

そう言って、彼女が耳垢をティッシュの上に捨てたから見てみると……うん、確かに小さいんだけど、分厚いし、形が崩れてないって事は、それだけ固いって事だよね。

 

 あんまり、自分の耳の中にそう言うのがあるって考えたくないなぁ。なんて思ってる間にもスズカは次の耳垢に取り掛かってた。カリカリカリと囁かれる量が少なくなったから、彼女の声や耳かきを楽しむ余裕ができた。だから、堪能できるところまで堪能しよう、そうしよう。

 

「カリカリカリ……ほら、トレーナーさん……もうちょっとで取れそうですよ。カリカリカリ……ガリガリガリ……♪」

 

 どこか楽しそうな、弾んだ声音で囁かれる声に合わせるかのように、耳垢がペリペリッと剥がされた。うーん、黄色い、耳の粉がそのまま固まりましたって感じ。汚いなぁ、と思う反面、これがあるおかげで耳かきを堪能してるんだよねぇ。って、なんか複雑な気持ちになる。

 

「耳垢はこれぐらいなので、次は粉を掃除しますね。ゴーシゴシ、グールグル♪」

 

 梵天でゴシゴシと耳の中を掻きまわされる。耳かきの固いのとは違う、ふわふわの毛の感触は、耳垢を取って熱を帯びてる部分にも柔らかい肌触りで癒しを与えてくれる。ちょっとむず痒いけど。

 

「はい、粉も取れましたよトレーナーさん。気分の方はどうですか?」

 

「んー、スッキリして、スズカの声もよく聞こえるようになったと思う。ありがとうねースズカ。それじゃぁ、私はこの辺で……」

 

 うん、耳かきは終わった、スズカは満足しただろう。このままフェードアウトするぞ、そうじゃないと脳みそが破壊つくされちゃ……ぬああああ。

 

「ま・だ。ですよ、トレーナーさん。もう、知ってる癖に♪」

 

 立って逃げようとするより先に頭を抑えられた。ちょ、逃げれない、ジタバタ藻掻くけど頭をしっかりと押えられてる。いや、いくらなんでも片手で押えてるだけなのに、なんでこんなしっかり押えられてるの私!?

 

 私が驚愕してる間に耳の中にヌルヌルしたものが塗られていく。これ、ローション? ふああ、温かくて、気持ちいい、気持ちいいんだけど……。

 

「ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……あら、どうしたんですか? トレーナーさん、耳だけじゃなくて顔まで真っ赤ですよ」

 

「うう……言わないでぇ……触れないでぇ……」

 

 スズカの声でぬちゃぬちゃとか言われると、変な事を想像してしまう。やだぁ、こんな想像してるって気づかれたらドン引きじゃ済まないよぉ。

 

「はい、ローションも塗り終わりましたよ。それでは……ふー……ふー……」

 

 おおおおおぉ、ゾクッて、ゾクッてするぅ。濡れてる所に息を吹きかけられると、背筋をゾクゾクッと気持ちいいが走っていく。

 

「はい、それでは反対側をしていきましょうか」

 

「は……はいぃ……」

 

 頭から手が放されたので、もぞもぞと体を動かして体勢を変える。も、もう体に力が入らないよぉ……もう、スズカの為すがままになるしかない……。

 

「ところでトレーナーさん? 今回は先にひと眠り、しておきます?」

 

「だ、大丈夫。大丈夫……」

 

 ね、寝そう、寝そうだけど……片耳だけでお昼寝しちゃったら、もう片方でもお昼寝しちゃいそう……が、我慢、我慢……!

 

「それじゃぁ、こっちもやっていきますね。ゴシゴシ……ゴシゴシ……」

 

 残りの耳も、まずは外側、裏側をウェットティッシュでゴシゴシと擦られていって……

 

「耳の中、こっちも汚れてますから、念入りに……やっていきます♪ カリカリ……カリカリ……♪」

 

 鈴が鳴るような、そんな透明なオノマトペを囁いてもらいながら、耳かきで耳垢を取ってもらって……

 

「耳垢を取り終えたら、梵天でゴシゴシ……ゴシゴシ……クルクルっと擦って、回して、粉を絡めとっていって……♪」

 

 梵天で優しく、耳の中の粉を絡めとられていって……。

 

「温めたローションを、ぬちゃぬちゃ……ぬちゃぬちゃ……これを呟いてる時のトレーナーさんの顔が、一番赤いかも♪」

 

 聞いていると恥ずかしくてどんどん顔に血が集まってるのがわかるぐらいの、彼女のオノマトペを耳にしながらローションを塗られていって……。

 

「最後に、耳の中にふ~……ふ~……♪ ああ、ゾクゾクと体を震わせてるトレーナーさん、可愛い♪」

 

 うう、スズカが何か恥ずかしい事言ってくる。でも、感じるのを止められない。

 

「はい、耳かき終了です。お疲れ様でした」

 

 お、終わったぁ。こ、これで解放される。冷たい水で頭冷やさないと。

 

「うん……スッキリしたよ。スズカも、これで満足したでしょ?」

 

 私がスズカを見上げると、そこには満面の笑みを浮かべる彼女の顔があった。

 

「ええ。後は、このままトレーナーさんがお昼寝してくれたら完璧です」

 

 ……マジですか、いや、いいじゃん。もういいじゃん。ここまでやればもう満足でしょ?

 

「……えーと、そこまでしないと……ダメ?」

 

「はい♪」

 

 満面の笑みで頷かれてしまった。うう、こうされたら仕方ない……というか、うん、私も眠い。恥ずかしいとかゾクゾクするとか色んな事を味わったのに、今感じてるのは心地よい眠気だ。スズカのスレンダーな膝枕も寝心地が良くて、眠気を助長してくる。うう……次は……次こそは、逃げてやるんだから。

 

「お休みなさい、トレーナーさん。また耳かき……させてくださいね」

 

 そんな声を聴きながら、私は心地よい眠りに落ちていっていた。


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