ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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マチカネフクキタルで書きました。口調がちょっと怪しいかもしれません。でも、なんか可愛いですよねフクキタル。頭ワシャワシャしたい。そして、カリカリカリという擬音を呟くの似合ってると思います。


マチカネフクキタル(地の文あり)

お……おお……今日は、シラオキ様からのお告げがありました!

 

 ベッドから起きた私は、夢の内容を反復します。耳かき……今日はトレーナーさんに耳かきをしてあげるのが今後にも続く最高の吉になると!

 

 これはのんびりとはしていられません。幸い今日は休日、トレーナーさんも自室でぐっすりでしょう。さぁ、準備しますよー。

 

「というわけでトレーナーさん、耳かきしましょう」

 

「……休日にいきなりなんなんだ……」

 

 朝食諸々を終えた私はさっそくトレーナーさんの元に行きました。ムム、この様子、トレーナーさんはまだ寝起きですね。

 

「トレーナーさーん、良いですよね、耳かきしても。シラオキ様も夢でお告げしてくれたんですよ」

 

「いや……寝起きでするもんじゃないような……というか、シラオキ様のお告げって本当か?」

 

「本当です! さぁさぁ、こっちに来てください」

 

トレーナーさんの手を掴んでぐいぐいとベッドに連れていきます。さぁさぁ、やりますよー。

 

「……というか、耳かきってあの金の耳かき使うのか? あれ、壊れたりしたら怖いんだけどなぁ……普通の耳かきじゃダメなのか?」

 

「何を言うんですか、道具は使ってこそです。それにあれは特注の純金耳かきなんですから、使わなかったら意味ないじゃないですか」

 

「いや、確かちょっと混ぜ物してるんだろ? それって純金じゃないんじゃ……」

 

「いいえ、日本では99.99%あれば純金ですので純金で間違いありません。そもそも、金は柔らかいので、硬度維持のためにちょっとの混ぜ物をするのはおかしい事ではないのです。さぁ、ごちゃごちゃ言わず、おとなしく耳かきを受けるのです」

 

 色々と言ってくるトレーナーさんを抑え込んで。さぁ、耳かきをしていきますよー。

 

「まずはこの、富士の水をお湯にして、温めたタオルで擦っていきますよ」

 

「だから、それは別に市販の水だから霊験も何もないんじゃ……」

 

 トレーナーさんからの文句を無視して、耳の外側を拭いていきます。ムムム、こうしてみるとトレーナーさんってけっこう耳毛が濃いんですよね。今度耳毛剃りでもやってみましょうか。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……どうですかトレーナーさん? 痒い所はないですか?」

 

「ん、ああ、大丈夫だ。痒くはないよ。このままやってくれ」

 

「はい、わかりました」

 

 そのままゴシゴシと擦っていって。よし、これで大丈夫そうですね。

 

「さて、それでは。お待ちかね、この純金の耳かきを使いますよ」

 

「……やっぱ使うのかぁ」

 

「勿論です!」

 

 未だに渋るトレーナーさんですが、気づいているんですよ? この耳かきの触れ心地を気に入っているでしょう? 私にはお見通しです。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? トレーナーさん、この黄金の触れ心地は」

 

「ああ……うん、馴染みはないが、気持ちいいよ」

 

 むっふー、そうでしょうそうでしょう。金の触り心地に慣れてる人なんて早々居ませんからね。存分に味わってください。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……トレーナーさんの耳垢を、カリカリっと掻いていきますよー。カリカリカリ」

 

 耳かきでカリカリと掻いていくと、小さい耳垢はポロッと匙の部分に落ちます。そのままティッシュに捨てて、次をカリカリカリ。

 

「やはり、シラオキ様のお告げは正しいのです。トレーナーさんの耳の中、ちょうど掃除頃ですよ。ほら、次の耳垢に、カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

「本当なんだろうな……?」

 

 むぅ、トレーナーさん、少し疑いすぎじゃないでしょうか。でも構いません、これからもじっくり、シラオキ様の素晴らしさをお伝えするだけです。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……次の耳垢も、カリカリカリ……ペリッといって……はい、取れましたよ、トレーナーさん」

 

 順調の耳垢を掃除していき……うん、こんなものですね。さぁ、次は、新兵器の登場です。

 

「ではトレーナーさん、次は梵天をしていきましょう」

 

「ん。ああ、わかったよ」

 

 ふっふっふっ。さぁトレーナーさん、このマチカネフクキタルとっておきの梵天を味わっていただきます!

 

「ゴーシゴシ、グールグル、トレーナーさんの耳の中をゴシゴシ、ゴシゴシ」

 

「おお……おぉ……なんだこの梵天……気持ちよすぎる……」

 

 ふふふ、どうやら気に入ったようですね。勿論、これは市販の物とは一味違いますからね、当然です。

 

「ふふふ、トレーナーさん、そんなにこの梵天が気に入りましたか?」

 

「ああ。これ、本当に気持ちいいな。ふわふわして……柔らかくて……耳の中が幸せって感じがする。こんな梵天、どこで手に入れたんだ?」

 

「んー。では、実物を見せるので、当ててみてください」

 

 そう言って梵天をトレーナーさんの前に持っていきます。さぁ、この栗毛色の梵天、見覚えがないとは言わせませんよ。

 

「ん? なんだこれ? フクキタルの尻尾とまったく同じ色……え、これってまさか」

 

「はい、トレーナーさんの想像通り、これは私の尻尾の毛を使った梵天です」

 

 ふふふ、この為に、毎日しっかりと手入れして、信用できる所で加工してもらいましたから、市販の物なんて比べ物になるはずがありません。

 

「え……いいのか? お前、自分の尻尾の毛をこんなのに使って」

 

「良いんです。トレーナーさんが気持ち良くなってくれてるんですから、これぐらい、貴方の愛バとして当然の範疇です! さートレーナーさん、もっと気持ち良くなってください」

 

 ゴーシゴシ、グールグル。トレーナーさんの耳の中を、梵天でグルグルグル。

 

「さて~、それでは掃除は終わったので……顔を近づけてと……ふ~……ふ~……」

 

 顔を近づけ優しく息を吹きかけると、おや? トレーナーさん、前に耳かきした時より背中がゾクッて動きましたね。

 

「ふっふっふっ。トレーナーさん、気持ちよさそうですねぇ。さぁ、反対側もしましょうねー」

 

「お……おう。頼む」

 

 ふっふっふっ、やはりトレーナーさんはこの梵天にメロメロですねぇ。さぁ、気合入れてやりましょう。

 

 さてさて、また耳の外側、裏側をタオルでゴシゴシしまして……溝の部分も指を突っ込んでしっかりと擦ります。

 

「なぁ、フクキタル。その……あんまり指でゴシゴシされるのって恥ずかしいんだぞ」

 

「むむ、何を言ってるのですかトレーナーさん。これは健全なマッサージの一種であり、何一つやましい事はありません」

 

 まったく、何を変な事を言ってるのでしょう。さぁ、外の掃除も終わりましたし、中をやりましょう。純金の耳かきで掃除です。んー、カリカリカリ……カリカリカリ……耳垢が取れた時のトレーナーさんのホッとした表情、見ていて私も嬉しくなります。

 

「ふふ、トレーナーさん、なんだかんだと言いながらも、やはりこの耳かきはお気に入りですね。作った甲斐があるというものです」

 

「そりゃまぁ……気持ちいいし。お前が用意してくれたものなら猶更だし」

 

「……トレーナーさん、真顔で凄い事言わないでください」

 

 まったく、トレーナーさんはたまにこういうのを真顔で言ってきます。心臓に悪いです。

 

「さぁさぁ、気を取り直して耳掃除しますよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 んーとは言え、正直言えばそんなに汚れてもないので……残念、もう終わってしまいました。ですが、この後ですよ、大事なのは。

 

「ではでは、梵天でクシュクシュ……ゴーシゴシ……」

 

 むっふー、気持ちよさそうにするトレーナーさんの顔、見ていて気持ちいいです。この為に、何か月もきちんと尻尾の手入れをしてきた甲斐がありました。シラオキ様のお告げの通りです。

 

「さぁ、梵天も終わりましたので……ふ~……ふ~……。はい、これで耳かきお終いです。トレーナーさん、どうでしたか? 癖になりそうですか?」

 

「む……いや、耳かきは癖にはできないんだよ。わかるだろ?」

 

「ええ、勿論。耳かきそのものは癖にはできませんが……ですので、こちらを差し上げます」

 

 そう言って、私はトレーナーさんの手に梵天を握らせました。

 

「ん? 良いのか? これ、作るのに相当手間がかかっただろ?」

 

「ええ。勿論手間はとてもかかりました。この毛の質を維持するのに何か月も手入れをしましたからね。大変なんですよ、これだけの艶を出すのって」

 

 で、も。そこまでしたやつだからこそ、トレーナーさんに持っていて欲しいのです。

 

「トレーナーさん、これだけ手間暇かけて作られた梵天……気持ち良かったですよね? これなら、頻繁に使っても耳を傷めませんし、何より、これでいつでもどこに居ても私の存在を感じられますよ」

 

「いや、そこまで深い意味を与えられても困るんだが……まぁいいや。ありがたく頂くよ」

 

 むっふー! やりましたよシラオキ様。やはり、シラオキ様のお告げは絶対です。さぁ、これでトレーナーさんはずっと私の存在を感じられますよー。


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