シャワーを浴びた後のスッキリとした彼女の膝枕とか憧れます。憧れません?
ツイッターにてウマ娘ウェブ上耳かき小説合同の参加者を募集しています。もしよければ活動報告に内容が書いていますので読んでみてください。
そしてさらに宜しければ参加していただければ非常にありがたいです。
「んー……なんだろうなぁ、なんか痒いんだよなぁ……」
耳の奥、どうにも言い表しにくい所がこないだから痒いというか、違和感を感じる。指じゃ届かないし、かと言って自分で耳かきを突っ込むのも怖いし。という事で、ライアンに頼むことにした。
異性の教え子にこんなことを頼むってのも世間体が怖いんだが、そもそも一番最初にやったのはライアン側だし。だからライアンのせいなんだ、うん。
そんな風に自分の中で納得させつつミーティングルームに入ると、ちょうどそこにはライアンが居てくれた。トレーニングでもしてたんだろうな、今やってるのはトレーニング後のストレッチだし。
「お、ここに居たのかライアン。ちょっといいか?」
「あ、トレーナーさん。どうかしましたか?」
ストレッチを行っていたライアンがこちらを向いた。汗を拭いているライアンは、最初の頃は思わず見惚れなそうな程の健康的な魅力を感じたものだな。なんて事を思い出したがそれは置いておこう。
「悪い、ライアン。その……耳かき、頼めるか? どうも耳の中に違和感があってな」
「はい、わかりました」
申し訳なさそうに言うと、ライアンは笑顔で了承してくれた。嬉しそうに了承してくれると、俺としてもありがたい。
「それじゃぁ、ちょっとシャワー浴びてきますので、待っていてください」
「え? 別に俺は気にしないけど」
トレーニングに付き添ってると大抵汗まみれの彼女と接するんだから、今の汗ぐらいなら本当、気にしないんだが。
「私が気にするんです!」
そう叫んでライアンは部屋を出ていった。うーん、思春期の異性は難しいな。
そんな事を思っていながら彼女が戻ってくるのを待っていると、程なくして彼女が戻ってきた。
「さぁ、それでは耳かきをしていきましょう。どうぞこちらへ」
正座をしてポンポンと膝を叩く彼女の膝の上に頭を置く。んー、ライアンってウマ娘の中でも筋肉質だからなぁ。固めの暖かい枕に頭を置いてる気分になる。
「では、まずはマッサージしますね。耳をグッグッと……指圧して……」
ライアンの筋肉があるわりに柔らかい彼女の指が俺の耳を指圧したり、揉んだりしてマッサージしてくれる。ツボをギューッと指圧され、全体的に揉み解されて、耳が熱くなるのが自分でもよくわかる。あー、安心できるなー。
「トレーナーさん、以前も言いましたが、耳もちゃんとケアをしないといけませんよ」
俺が安心しきってボーっとしてるとそんな事を言われてしまった。いや、言いたいことはわかるんだがな。
「んー……ライアンがマッサージしてくれるから、いいかなぁって」
「もう、そんなこと言わないでください」
いやだってなぁ。ライアンのマッサージ気持ちいいし。頼んだらやってくれるし。別にいいんじゃないか? 俺自身がやらなくても。なんて思っても仕方ないと思うんだが。
そんな事を思っている間にマッサージは続いていき、耳から手が離れたと思うと、今度は耳から少し離れた前の方をグッグッと指圧されていく。
「お……おお? そんなところもマッサージするのか?」
「はい。ここは顔のたるみやむくみを押さえる効果があります。トレーナーさんも、小顔効果がありますよ」
「お……おう? 嬉しいような、そうでもないような……?」
小顔なんて言われても正直ピンとは来ない。でもまぁ、たるんだりしてると印象は悪いからそこのところはありがたいか。
「では、マッサージはこの辺で……うん、程よく汗が出てますね。このまま耳かきをしていきましょう」
と、そんな事を考えていたらマッサージが終わって、綿棒が耳の外側を擦っていっている。おー……ゾリッ、ゾリッ、とドロッとした汚れが掻き出されていくとなんとも言えない気持ち良さを感じるな。
「ゴゾッ……ゴゾッ……水分を吸ったら随分と取りやすくなりますね」
「そうかぁ。じゃぁ、次の耳かきの時にもマッサージを受けないとな」
「もう、その前にちゃんと自分でケアをしてください」
うーん、あんまりおねだりすると流石に怒られるか? 流石に少しぐらいは自分でやるほうがいいかも。
「カリカリカリ……カリカリカリ……どうです? 痛かったりしません?」
「ああ、大丈夫。このまま続けてくれ」
耳かきが耳の中を掻くと、湿った粉を取っていた時とは違う、軽快な音が耳の中に響く。そのまま耳垢をコリコリと掻き取ろうとする動きそのもので気持ちよくなれる。
「カリカリ……カリカリ……ちょっと固いですけど、このまま、カリカリ……ガリガリ……」
端っこのほうから丁寧に剥がしていき、剥がれてきた隙間にグッと耳かきの先端が入り込む。そのままグイッ、グイッとてこの原理で剥がされていく耳垢。そしてそのまま耳かきに引っ張られ、耳の中をズリーッと引き上げられていく。
「お、もうちょっとで……はい、取れました。後は……うーん、なさそうですね。トレーナーさん、そんなに耳垢が溜まらない体質なんでしょうか?」
「どうなんだろうな? 言われてみたらそんなに耳かきとかしたことないような……でも、なんか違和感あるんだよなぁ……」
確かに昔から耳かきはほとんどしたことはないし、それで不自由したこともない。でも、今回は奥の方になんかあるんだよなぁ。こう、なんか、微妙に何かが引っかかってるような、そんな違和感が。
そう訴えるとライアンが顔を近づけて、耳の中をよく見てくる。彼女の吐息が感じられると、それだけ距離が近い事を自覚してしまう。おおう……ちょ、恥ずかし……。
「よく見たら……奥の方、あるっぽいかも? ちょっと試してみますけど、深めですから、怖くなったらすぐに言ってくださいね」
「お、おう」
あれ、そんな奥の方にあるの? もしかして医者案件とかじゃないよな? 大丈夫かな?
そう思ってると、耳かきがこれまでにないほど奥に、深く入り込んでいく。これ、鼓膜まで行ってないよな? 大丈夫だよな? ……って、痒、痒いぞそこ。
「どうです? この辺り、痒いですか?」
「うおお……痒……マジで痒い」
「なるほど、この辺りに耳垢がありそうですね。では、このままやっていきます」
耳かきが痒い部分を中心にカリカリと引っ掻いていく。早く……早く取ってくれええ。もう、耳かきが奥に入ってる恐怖よりも、この痒みを取ってほしいという気持ちの方が強い。
「カリカリ……ガッ……ガッ……うん、少しずつ取れてきてますから……トレーナーさん、動かないでください」
「は、早く……痒いし怖いし……は、早く取ってくれええ」
早く早くと急かすが、ライアンは中々耳垢を取ってくれない。ぬおおおお、痒い所を刺激されて余計に痒いんだ。早く、マジで早くしてくれー。
「ガリガリ……ガリガリ……ん、剥がれてきましたから……このまま一気に……よしっ!」
お、よし、よし。取れてきた。取れてきた。ベリッ、ベリッて音と共に耳垢が剥がれてきたぞ。よし……よし、取れた。
「おお……違和感が無くなって……なんか、一気に耳の通りが良くなった気がするぞ」
耳垢と、その周りの汚れとを掻き出されると、耳の中を風が通ったような、そんな錯覚を覚える。それぐらい爽快だ。
「それは良かったです。その様子ですと他にはなさそうですし、梵天で軽く掃除していきますね」
どうやらあれで最後らしい。はぁ~……痒みから解放されて思わず深く息を吐いてしまう。マジで痒かったからなぁ。あんなのが二個も三個もあってたまるか。
「コシュコシュ……コシュコシュ……トレーナーさん、そんなに気持ちいいんですか?」
梵天で耳の中を擦られ、多少くすぐったい感触を味わう。あー……このまま寝そう。寝てもいいかな?
「ああ。違和感が無くなって……爽快な気持ちだし、このまま寝てしまいたいよ……」
「もう、反対側も残ってるんですから、寝るには早いですよ」
そう言えばまだ片耳残ってたな。さっきのが強烈過ぎてつい終わった気分でいたけど。そうだ、反対側の奥にもあんなのがあるかもしれないな。あって欲しいような、ないほうが良いような……。
妙な悩みを感じていると、ライアンの手が体の下に入ってきた……と思ったとたん、まるで子供のように簡単に俺の体は持ち上げられ、ライアンの方に向きなおされる。
「……なんかなぁ、いや、わかってはいるんだが、自分よりも年下の女の子に簡単にひっくり返されるのは違和感があるな」
「あはは、前も言ってましたねトレーナーさん。でも私の鍛え上げた筋肉の前には、トレーナーさんをひっくり返すぐらい朝飯前です。マッスルマッスル」
そう言って力こぶを作るライアン。良家の淑女のはずだが、こうしているととてもそんなイメージが浮かばない。でも、マッサージするときの力加減や指の柔らかさから、その片鱗はなんとなく感じた。
「おー……やっぱ、ライアンの手は暖かいから気持ちいいなぁ……やっぱ、これからもライアンにマッサージ頼みたい」
「もう、あんまり恥ずかしい事言わないでください」
そう言われても、やっぱりライアンにこうして貰っていると、その辺のマッサージ店とかじゃ満足できなくなりそうなんだよ。俺の愛バからのマッサージなんだぞ。
「さ、さぁ、耳かきしていきますよ」
なんて思ってたらなんかあっさりマッサージが終わってしまった。あれ、さっきはもうちょっとやってたよな? もしかして怒ったか?
「ペースト状になった粉を掬っていって……外側が綺麗になったら中を……」
でも、外側を掃除する手つきとかはさっきと変わらない。んー、もしかしてこっちの耳はそんなに凝ってなかったのか? ……まぁ、いいか。それより、耳かきが耳の中に入ってきた。
……んー? なんだ? 耳かきが入ったはいいが、全然動かない。どうかしたのか?
「うー……ん。んー……と、うん、こっちは汚れてないですから、掃除の必要はないですね」
「あ、本当? 奥の方とかも大丈夫か?」
「ええ。よく見てみましたが、奥の方も大丈夫です。良かったですね、トレーナーさん」
うーん……反対の耳の中が中だっただけに肩透かしが半端ない。それに、あの奥の耳垢程じゃなくても耳垢を取る事になると思ってたのに。残念だ。
「いや、汚れてないのは良い事なんだけど……ライアン、梵天だけでもしてくれないか?」
「え? ええと……良いですけど」
せめて梵天だけでもとお願いしたら、ライアンは梵天を耳の中に差し込んできた。耳垢を取ってない中での梵天は、さっきと同じ物のはずなのにどこか物足りない。物足りないまま梵天は終わり、最後の息の吹きかけも行われたが……うーん、物足りないなぁ。
「ふ~……ふ~……はい、これで終わりました」
「なぁ、ライアン。このまま寝たいんだが、ダメか?」
「え? えーと……トレーナーさん、片耳だけでしたし、そんなに眠くないですよ……ね?」
「いや……悪い、最近疲れが溜まっててな……ダメか?」
困ったような顔をしているライアンを横目で見上げながら懇願する。こうなったらせめてこのまま昼寝をさせてもらわないと消化不良が半端ない。頼むぞ、ライアン。
「うう、そ、そんな上目遣いで見ないでください。わかりましたけど……早めに起きてくださいね」
「悪いな……」
罪悪感が半端ないが……すまん、ライアン。疲れが溜まってるのは事実だし、このまま昼寝できずに終わったら正直悶々と過ごす事になるのが自分でもわかってるんだ。
そう思いながら目を瞑っていると、自分でも思った以上にあっさりと眠気が襲ってきて……そのまま、俺は眠気に身を任せた。
「……お疲れ様です、トレーナーさん」
意識が落ちる寸前、そんな声が聞こえた気がした。