ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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サクラバクシンオーで地の文ありの耳かき小説を書きました。

最初に書いたころから時間が経ちましたが、最初の頃より好きになりましたねこのウマ娘。頭撫でたら全力で喜びを表現しそう。

公式でキタサンブラックとの交流が描かれたので、その内そちらも書きたいです。


サクラバクシンオー(地の文あり)

「バックシーン! さぁ、今日もトレーニングを頑張りましょう!」

 

 今日の授業を終えた私は早速トレーナーさんの元に向かいます。先日スプリンターズステークスにて一着となった私はまさに最強! これからも皆さんの為に、欠かさぬ努力を続けなければなりません!

 

「トレーナーさん! 今日のトレーニングは一体……おや?」

 

 ミーティングルームを開けた時に私の目に入ってきたのは、机に突っ伏して寝息を立てるトレーナーさんでした。

 

「ふむ。トレーナーさん、居眠りでしょうか? どれどれ……」

 

 後ろから覗き込んでみると、机には今後の私のトレーニングやレースに関する資料やスケジュールに関する書類が何枚も置かれていました。そして、トレーナーさんの目元には黒く浮かぶ隈。トレーナーさん、そこまで私の事を……!

 

「私、感動しました。これは、お礼をせねばなりません!」

 

 さて、お礼ですがどうしましょうか。レースに勝つ? それは当然の事です。ですからそれ以外……ふむ……そうだ、耳かきが良いでしょう。

 

「委員長たる私は耳かきも習得していますから、トレーナーさんは以前と同じように骨抜きになるでしょう。さぁ、早速準備です」

 

 静かにミーティングルームを出た私はバクシン的速度で耳かきの道具を用意します。そして戻ってきてトレーナーさんがまだ起きてない事を確認して、彼を仮眠用ベッドの上に運びます。

 

「さてさて、それではまずは膝枕から……ふふ、可愛らしい寝顔ですね、トレーナーさん」

 

 寝入っている彼の顔は、普段見せる事のない穏やかな顔をしています。こうして彼の普段見ない表情を独占できるというのはなんとも嬉しくて、彼が起きるまで、私はズッと見入っていました。

 

「ん……ん……? な、なんだ……?」

 

「おはようございますトレーナーさん。どうやらお疲れのようですね」

 

「うおっ! バ、バクシンオー!?」

 

 目を覚ましたトレーナーさんに声をかけると、トレーナーさんは驚いてベッドから転げ落ちそうになったのでしっかりと支えて上げます。

 

「本日のトレーニング内容を聞くためにここに来たところ、トレーナーさんが机に突っ伏して寝入っていたのでここまで運びました。どうですかトレーナーさん? 私の膝枕は気持ちいいでしょう」

 

「お……おう、そうなのか。あ、そうだな……確かに気持ち良かったよ。じゃぁ起きた事だし俺はどくから……」

 

「では、トレーナーさんも起きたのでここから耳かきを始めましょうか」

 

 どこうとするトレーナーさんの頭を押さえて、耳の中を覗いてみます。うーん、やはり耳垢が溜まってるようですね。

 

「ちょ、バクシンオー。い、いきなりすぎて何が何だか……」

 

 そう言ってトレーナーさんはジタバタと暴れます。おっと、自分としたことが説明を忘れていましたね。

 

「トレーナーさん、私は日頃トレーナーさんに大変お世話になっています。なので、今日はそのお礼も兼ねてトレーナーさんに耳かきをしたいと思います。トレーナーさんも、耳かきをするのは随分と久しぶりのようなのでちょうどいいわけです」

 

「あ……? ああ、そう言えば前にやってもらってからけっこう時間は経ってるが……いや、だからって寝込みを襲うな。本気で何事かと思ったぞ」

 

「はい、大変失礼しました。では、説明もしたのでこのまま耳かきをしていきましょう!」

 

 さて、まずは耳の外側……以前ミホノブルボンさんから聞いた時には外側や裏側をタオルで拭くのが良いと仰っていましたので、熱いタオルで拭いていきましょう。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……ゴシゴシ……

 

「うお……前はこんなのなかったよな? どうしたんだ?」

 

「以前ミホノブルボンさんから教えてもらいました。その様子ではトレーナーさんも気持ちよさそうで何よりです」

 

 ふむふむ、これは今後の耳かきでも活用すべきですね。さて、そろそろタオルも切り上げて、掃除に掛かりましょう。

 

「トレーナーさんの耳垢は粉っぽいので、綿棒で絡めとっていきますね……ふむふむ、水分を吸った分、粉がペースト状になっていますね。なるほど、これは取りやすいです」

 

 これは一つの発見です。これがベストのやり方かは検証が必要ですが、今後はこれも視野に入れていいかもしれません。

 

「ゾリッ……ゾリッ……ふむふむ、外側の広い部分も、窪みの部分も、綿棒で念入りに、掃除をしていって……」

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ズリッ……ザリッ……

 

「あー……風呂上りの耳垢みたいな感じだな。耳かきでこんなの見ることないから、なんか新鮮な感じだな」

 

「ふむふむ、そう言う視点もあるのですね。さて、外側はこれぐらいにして、中を掃除していきましょう」

 

 外側を掃除して汚れた綿棒は捨てて、新しい綿棒でいざ、掃除です。ふむ、中も粉がペースト状になっているようですね。どうやらトレーナーさんは少々汗かきなのかもしれません。

 

「ゾリゾリ……ザリザリ……トレーナーさんの耳の中をお掃除していきますよー」

 

 ザリッ……ザリッ……

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

「くぅ……耳の中をそう擦られると……ゾクッてするな」

 

「それは迷走神経を刺激してるからですね。トレーナーさんが気持ち良くなって何よりです」

 

 やはり、耳かきというのは気持ち良くなければなりませんね。さぁ、このままどんどん汚れを取っていきましょう。

 

「ゾリゾリ……んー、やはりトレーナーさんの耳垢は粉っぽい為か、大きい塊になる前に崩れているようですね。ザリザリ……」

 

 大きい耳垢を取るというのも一つの快感ですが、やはり耳の中は綺麗な方が良いですね。

 

「そう言えば、昔から大きい耳垢が取れたことは確かにないなぁ……。そうか、でかくなる前に崩れるんだな」

 

「はい、ですのでこのまま、綿棒で擦り取っていきますね」

 

 ザリザリ……ザリザリ……

 

 ガッ……ペリッ……ベリッ……

 

「ふむふむ……ふーむ、粗方取れたでしょうか。やりすぎては耳の中を傷めますので、この辺りで終わりましょう」

 

 大体の汚れは取れたので、綿棒を捨てて、次はローションを塗っていきましょう。

 

「お、これで終わりか……うおっ、冷たッ」

 

「後は肌荒れ対策のローションを塗っていきますので、もう少しお待ちください」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ズチュ……ヌリヌリ……

 

「はい、これでローションもお終いです。では、最後に……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「ッ……! み、耳の中が濡れてる状態のそれは……ちょっとクルものがあるな」

 

「なるほど。では、もう一度行きますね」

 

「ちょ、まっ……」

 

 ふ~……ふ~……

 

 ふ~……ふ~……

 

「ッ……つ、次はもうやるな、頼むから……」

 

「おや、気持ち良いと思うのですが……仕方ないですね。それでは、反対側もやっていきましょう」

 

 なぜかこれ以上を拒否されてしまいましたが、気を取り直して反対側をやっていきましょう。トレーナーさんをコロンと転がして、さぁ、反対側です。

 

「さてさて、こちらも……粉が多いですね。では、先程と同じようにしていきますよー」

 

「あ、ああ。頼むぞ」

 

 さてさて、それでは先程と同じ手順でやっていきましょう。まずは、トレーナーさんの耳をタオルでゴシゴシと拭いていきます。

 

 ゴシゴシ……ゴシゴシ……

 

 ギュッギュッ……グリグリ……

 

 うーん、窪みまでしっかりとタオルで擦る事が出来ました。次は、綿棒で残った粉を掃除していきます。

 

 ゾリッ……ゾリッ……

 

 ザリザリ……ゴシゴシ……

 

 よしよし、タオルで取り切れなかったドロドロの粉もちゃんと取れましたね。では、新しい綿棒で、中を掃除していきましょう。

 

 ザリザリ……ガリガリ……

 

 ゾリッ……ベリッ……ガリッ……

 

 んー。こちらはちょっと固い耳垢がありますね。綿棒でゴリゴリと擦っていって……おっと危ない、落としそうになりましたが無事に取れました。

 

 さて、それではこのまま、ローションをヌリヌリ、ヌリヌリ。ヌリヌリ、ヌリヌリ。完璧です。後は、息の吹きかけだけです。

 

「な、なぁ、バクシンオー。ここまででいいから。な? ここまででいいから」

 

「何を言うのですかトレーナーさん。さぁ、おとなしくしてください」

 

 なぜか逃げようとするトレーナーさんを抑え込み、そのまま息を吹きかけていきます。ふ~……ふ~……おや、トレーナーさんの背中がビクッと大きく動きましたね。

 

「ふむふむ……トレーナーさんは耳が弱いのですね。んー、でもここまでするのが耳かきのお約束ですから、次からもしていきますね」

 

「ちょ……えぇ……」

 

 さて、それではこのままお昼寝です。寝落ちしていたトレーナーさんに必要なのは睡眠ですから。

 

「それではトレーナーさん。このままお昼寝をしましょう。大丈夫、私がこのまま膝枕をしてさしあげますから」

 

「……いや、ここまで来たらもう諦めるけど。で……もしかして、また子守歌か?」

 

「勿論です。さぁ、トレーナーさん、行きますよー。バクシンバクシンバクシーン」

 

 トレーナーさんの手をギュっと握り、子守歌を歌い続けていると、気づけばトレーナーさんから寝息が立っていました。ふふ、お休みなさいトレーナーさん。

 

「バクシンバクシンバクシン、バクシンバクシンバクシン、バクシン、バクシン、バクシンシーン♪」


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