ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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アグネスタキオンで地の文ありで耳かき小説を書きました。

本日は夜勤明けで普段の時間に起きられないのが確定の為この時間の投稿となりました。

改めて見直すと、タキスカにタキデジに……タキオン系統の耳かき大目に書いてますね、私。次はタキカフェを書く方が良いでしょうか?


アグネスタキオン(地の文あり)

 最初にトレーナー君の耳かきを行ってからどれだけ経ったかな。その間に私も随分と立派になったものだ。プランBも、もう必要ないのかもしれない。

 

 まぁ、そんな事は今は置いて置こう。今重要なのは、トレーナー君への耳かきだ。さてさて、今回はどのような趣向を凝らしてみようかな。

 

「さて……さてさてと。準備は万端だ。さてモルモット君。さっそく君の一部を頂くとしようか」

 

「……タキオン、その言い方どうにかならんか? なんか別の意味に聞こえそうなんだが」

 

 ふむ? 私は何か間違った事を言っているだろうか?

 

「何を言っているのかわからないな。君の体から出るものだ。君の一部で間違いないだろうに」

 

「……いや、そうなんだが……まぁいいや、もう」

 

 ふーむ。何やら諦めた様子だね。ちょっと気にはなるがまぁいいだろう。時間は有限だ、早速始めよう。

 

「さて、それでは私の膝の上に頭を置きたまえ。なんだかんだと言っても、君も楽しんでいるのだろう?」

 

「むぅ……」

 

 私の言葉にトレーナー君は微妙な顔つきになるが、それでももそもそとベッドの上に横になると、私の膝の上に頭を置いた。

 

「さて、それじゃぁ今日のモルモット君は……ふむ。今日は耳の手入れが疎かなようだね。まぁ、私はサンプルが取りやすいので構わないが、もう少し身だしなみに気を付けたほうが良いんじゃないか?」

 

「耳の穴の中まで見るような奴は普通居ないんだよ。それに、最近はタキオンにとって重要なレースが続いただろ? そっちの方が大事だ」

 

「ふむ……そう言われては私も何も言えないな。まぁ良い、それよりサンプル採取と行こうじゃないか」

 

 トレーナー君の耳の外側を、まずは指圧していく。耳のツボは多種多様、色んな効果があるが、取りあえずは血流促進、汗をかいて貰って、耳垢をふやかしていこう。同時に他のツボもちゃんと刺激していってあげないと、トレーナー君も疲れが溜まっているだろうからね。少しでも軽減させてあげようじゃないか。

 

「ふふふ。どうだい、モルモット君。気持ち良いかい?」

 

「ん……気持ち良いよ。それに、普段袖の中のお前の手が外に出てるのも新鮮な感じがする」

 

 むぅ……何やら妙な感想を抱かれてしまったようだ。そんなに私は袖の中に……入れているな。ふむ、少しは出すようにしようか? いや、そんな事は今はどうでもいいだろう。

 

「そんなことより、耳の調子はどうだい? 痛かったりしてないなら、この力加減で進めるが」

 

「ん……大丈夫だ」

 

 ふむ、問題ないようだね。私も随分慣れたものだな。こう、グッグッ……グッグッ……と。

 

「ふーむ。ふむふむ。そろそろ良いかな? あまり長時間指圧するものでもないだろうしね。さて、それでは耳かきの登場だ」

 

「中は……外と同じ感じか。それでは早速始めようか。体の力を抜いて、私に全てを任せるんだぞモルモット君」

 

 そう言ってトレーナー君の頭をポンポンと叩いてみると、目を閉じて体の力を抜いてくれた。ふふ、素直なモルモット君は嫌いじゃないよ。

 

「さてと。それではお待ちかねの耳かきだ。ふーむ、中々取り甲斐がありそうじゃないか」

 

 どうも、トレーナー君は耳垢ができやすい体質なのかもしれないねぇ。そっちのほうがやりがいがあるというものだけどね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ちょっと湿っている耳垢をカリカリカリと。ふーむ、表面は湿っているが、芯は硬いままのようだ。とは言えしつこい物ではなさそうだな」

 

 こうして何回も掻いていると、徐々に耳垢が剥がれていっている。耳垢そのものは小さいし、力を入れればそこまで苦労するものではないのだが、何分耳垢を剥がすというのは個人的にはカサブタを取るのに似ていると思っている。つまり変に力を入れれば痛みを与えるだけでなく、下手をすれば耳の中を傷つける恐れもある。気を付けないといけないね。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふふ、どうしたんだいモルモット君? そんなに気持ち良さそうな顔をして、そんなに心地良いのかい?」

 

「あー……んー……ああ、そうだよ。正直……凄い安らぐよ。お前がこんなことをしてくれるほど信用してくれてるって感じがしてな」

 

「……ふふ、なんだいそれは。まったく、君というのは……まったく」

 

 まったく、天然ジゴロじゃあるまいし、そんな事を言われてホイホイと気を良くすると思っているのかい? その通りだけど、言ってはあげないでおこう。

 

「それでは耳かきを継続しよう。まだ汚れはあるからね」

 

 気を取り直して再び耳かきを行っていく。ふーむ、割と簡単に取れる物から取っていっていたら随分早く終わりそうだ。少々つまらないが……さて、どうしたものか。ああ、そうだ。折角だしあれを使ってあげよう。

 

「どうやら目ぼしいのは大体取れたかな。モルモット君的にはさて、朗報かな? 悲報かな?」

 

「……ノーコメントという事で……」

 

 それはもう答えてるようなものではないのかね? まぁまぁ、モルモット君がシャイなのは別に構わない。

 

「さて、それでは保湿用ローション……を塗る前に梵天で掃除をしなければいけないね。動くんじゃないぞ」

 

 そう言って私は梵天をモルモット君の耳の中に差し込む……おやぁ? 目を見開いたね、トレーナー君。

 

「ほぉぉ……タ、タキオン……? なんだこの梵天……いったい何を開発したんだ……?」

 

 ふふふ。これは良い表情だ。こんな恍惚に陥るとは……この梵天を用意した甲斐があるというものだ。

 

「別に開発と言うほどではないさモルモット君。そうだねぇ……強いて言うのであれば、私の尻尾の毛を使ってるぐらいしか心当たりはないかな」

 

 そう答えてやると、モルモット君はこれでもかと目を見開き、そして顔をこちらに向けようとしたので強引に押さえつける。

 

「こらこらモルモット君。耳の中に梵天が入ったままで頭を動かすなんて自殺行為だよ」

 

「いや……え? 尻尾の毛……?」

 

「おや、そんなに驚く事かな? 身近な素材で市販品より効果の高い物を作れるんだ。使わない手はないだろう? まぁ、手入れには相応の手間暇と時間と費用がかかってしまったがね」

 

 そう言って梵天を動かしてあげると。ふふふ、また顔が蕩けてしまっているじゃないか、トレーナー君。

 

「手間も時間も費用も掛かったけど、その甲斐はあったようだねモルモット君。さぁ、もっと蕩けてみたらどうだい?」

 

「やめ……ちょ、くすぐった過ぎて……や、やめてくれぇ……」

 

 コッシュコッシュと梵天を動かしていると、トレーナー君は面白いほどに顔を赤くしていく。ふふ、何やらゾクゾクしてきそうだが……この辺りにしておこうか。

 

「まぁ、もう片方が残っているし、この辺にしてあげよう。それではこのまま……ふ~……ふ~……」

 

「ぬお……ッ……タキオン、ヤバすぎるって……」

 

 息を吹きかけたら、トレーナー君の顔が更に赤くなる。ふふ、梵天で敏感になったところに息の吹きかけは効果が十分にあるようだね。

 

「ああ、そんな顔をされるとこちらがゾクゾクしてしまいそうだよモルモット君……とは言え、本題はこれではないのだから、この辺りにして、後はローションを塗ったら反対側を掃除しなければならないな」

 

 続けたいという気持ちを抑え、私はトレーナー君の耳の中に保湿用のローションを塗っていく。

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ヌチュ……グチュグチュ……

 

「ん……これ、やっぱ慣れないな。これ、やっぱり必要なのか?」

 

「ふむ。どうしても嫌だというのなら次からはやめてもいいが……耳の中が荒れたままという事は耳垢が余計に発生したり、他にも良い影響が出る事はないだろうねぇ。それでも構わないのかい?」

 

「……やっぱりお願いします」

 

 トレーナー君の陳情に私が懇切丁寧に説明してあげると彼もおとなしく承諾してくれたようだ。私としても彼の耳をいたずらに傷めたくはないからね。さて、そろそろ塗るのはこの辺にしておこう。

 

「さて、それではそろそろ反対側をしておこうじゃないか、モルモット君」

 

 そう告げてからトレーナー君をころんとひっくり返す。さぁ、反対側の掃除を始めよう。

 

「なぁ、タキオン。この体勢はちょっとどうかと……」

 

「んー? 別に構わないのではないか? 前は君に体を入れ替えてもらってたが、こちらのほうが早いわけだし、別に服をめくってお腹を凝視されてるわけでもないのだから、私は気にしないぞ」

 

 まったく、トレーナー君は妙な事を気にするものだ。確かにへそが出てるような服装なら私も恥ずかしいが、普段から目にしてる白衣なのだぞ。

 

「さぁさぁ、それより掃除の続きだ。おとなしくしてくれたまえよ、モルモット君」

 

 気を取り直し、トレーナー君の耳かきを再開する。まずは、耳ツボを指圧して、事前準備をしていって……。

 

「グッグッ……ギューッ……ギューッ……」

 

「ふぅ……」

 

 耳ツボの指圧が終わったら、外側の粉を搔き集めてティッシュに捨てて、人目に付く部分をしっかりと綺麗にしていって……。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ふぅ、粉だけでも存外取れるものだね、モルモット君」

 

「改めて言われるとその……恥ずかしいんだが……」

 

 外側の掃除が終わったら次は中。んー……こちらは取り甲斐のある耳垢は無さそうだ。やれやれ、楽しみを先にやってしまったようだね。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴゾッ……ズズ……オノマトペに反応するようになったという事は、もうこれがないと満足できそうにないね? そうだろう?」

 

「ノーコメント、ノーコメントで頼む」

 

 掃除が終わったら、次は梵天で細かい粉や欠片を搔き集めて……

 

「くっふふ、そんなに私の尻尾の毛で作った梵天は気持ちいいかい? 耳垢を取っている時より余程気持ちよさそうじゃないか……これなら、作った甲斐があるというものだよ」

 

「やめてくれええ……言わないでくれえええ……」

 

 梵天が終わった後の敏感な耳の中を息を吹きかけていって……

 

「ふ~……ふ~……おいおい、身悶えしすぎじゃないかい? 流石にちょっと私も驚きを隠せないよモルモット君」

 

「……何も言い返せないから、本当、もう勘弁してくれ……」

 

 そして最後にローションで保湿をしていって……。

 

「ペチャペチャ……ヌリヌリ……さて、これで耳掃除はお終いだ。いやぁ、普段のモルモット君からは想像できない身悶えを見せてもらったよ」

 

「イワナイデ……イワナイデ……」

 

 ふーむ、少しやりすぎてしまったかな? 仕方ないなトレーナー君は。

 

「ふぅ……これぐらいの事を気にするんじゃないよモルモット君。私としては信頼している君のこういう姿を見れて面白いぐらいさ。さぁ……後はお昼寝だけだから、これで少しでも普段の疲れを取ると良い」

 

「……この状態で寝ろってけっこうキツイんだぞタキオン。できればすぐにでも逃げたいのに」

 

「ふーむ。それは困ったね、そんなに私の膝枕は嫌いかい? それじゃぁ、耳かきもやめた方が……」

 

「……寝かせて頂きます」

 

 やれやれ、変な意地を張らずに最初から素直に寝てくれればいいものを……トレーナー君の頭を撫でながら子守歌を歌っているうちに少しずつ寝入っていき、今は寝息を立てているトレーナー君を見下ろしながら、私はため息をつく。

 

「ふぅ……まったく、これなら素直に耳かきをしてあげたいから。と言った方が良いのかね? 言うつもりなかったのだが……どっちのほうがいいかい? トレーナー君」


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