ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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以前に続き、夜勤終わりに付き、普段の時間に投稿できないためこの時間に投稿します。

タキモルタグは女性トレーナーの方が多いイメージを持っています。後、好きな絵描きさんがメインでタキモル♀を描いてたりもしてるので、個人的に書いて楽しいい作品になりました。


アグネスタキオン(地の文あり、女トレーナー視点)

初めてタキオンに耳かきをしてもらってからけっこう時間が経ったなぁ。あの頃はタキオンは自分が走れなくなった時の事を考えてのプランBなんてものを考えてたって言ってたけど、もうそんなものも必要ないでしょ常識で考えて。あの子はGIレースを複数勝利した最強レベルのウマ娘なんだから。

 

 それは良いのよ、それはね……でもね、彼女の実験に付き合わされて、何かにつけて発光するようになったのとか、本当に勘弁にしてほしいのよ……でも、愛バの頼みはできるだけ叶えたいし、それにこれから行われるのは、まだ大丈夫……まだ大丈夫だから……。

 

「さて……さてさてと。準備は万端だ。さてモルモット君。さっそく君の一部を頂くとしようか」

 

 私の目の前でタキオンが嬉しそうに道具を手にしてこちらを見ている。だから、その言い方。

 

「……タキオン、その言い方やめて欲しいんだけど? なんか別の意味に聞こえそうで嫌なんだって」

 

私のツッコミにタキオンは不思議そうに首を傾げる。え、もしかしてわからないの? わかってよ、お願いだから。

 

「何を言っているのかわからないな。君の体から出るものだ。君の一部で間違いないだろうに」

 

「……いや、そうなんだけど……まぁいいや、もう」

 

 なんだか、これ以上詳しく説明するのもアホらしくなってきたので今日は諦めることにした。

 

「さて、それでは私の膝の上に頭を置きたまえ。なんだかんだと言っても、君も楽しんでいるのだろう?」

 

「う……それはその……」

 

 割と図星を突かれてしまい、私は言葉に困り……結局そのまま何も言わずにタキオンの膝枕に頭を置いた。あーん、タキオンの膝枕って、なんでこう寝心地が良いんだろう。こんなんだから逃げられないのに。

 

 そんな事を思っていると、耳が摘ままれ、軽く引っ張られたと思ったら、彼女の息遣いが聞こえてきた。

 

「さて、それじゃぁ今日のモルモット君は……ふむ。今日は耳の手入れが疎かなようだね。まぁ、私はサンプルが取りやすいので構わないが、もう少し身だしなみに気を付けたほうが良いんじゃないか?」

 

「いやぁ……耳の穴の中って別に見られる場所じゃないよ? それに……最近タキオンのレース関連で忙しかったじゃん? 正直、最低限の身だしなみぐらいでなんとかしてたんだから、普段から汚いわけじゃないのよ」

 

「ふむ……そう言われては私も何も言えないな。まぁ良い、それよりサンプル採取と行こうじゃないか」

 

そう言って、彼女は片手で耳を摘まんだまま、もう片方の手でツボの場所をギューッ……ギューッ……と指圧してきた。んー、指圧されて気持ち良くて暖かくて……なんだけど、それ以上に久しぶりにタキオンの手が袖から出てるんだなぁ。って言う事実に新鮮味を感じている。この子、普段本当に袖から手が出てないんだもん。

 

「ふふふ。どうだい、モルモット君。気持ち良いかい?」

 

「ん……すっごい気持ち良いよ。それに、普段袖の中のタキオンの手が外に出てるのも、なんだかとっても新鮮な感じがする」

 

 そんな言葉を返しながらタキオンの方を横目で見上げると……え、なんでそんな微妙な顔? 私何もおかしい事言ってないよ? 言ってないよね?

 

「そんなことより、耳の調子はどうだい? 痛かったりしてないなら、この力加減で進めるが」

 

「ん……痛くないよ。だからこれぐらいでお願い」

 

 タキオンの力加減は私にとってちょうどよくて、私はとくに問題がないと伝える。そうすると、タキオンの指の動きが少し早くなって、ちょっとする頃には私の耳は十分に熱くなっていた。

 

「ふーむ。ふむふむ。そろそろ良いかな? あまり長時間指圧するものでもないだろうしね。さて、それでは耳かきの登場だ」

 

 そう言ってタキオンの息遣いが離れていき、横目で耳かきを手にしてこちらを覗き込んでるのを確認できた。

 

「中は……外と同じ感じか。それでは早速始めようか。体の力を抜いて、私に全てを任せるんだぞモルモット君」

 

 私の頭をポンポンと叩きながらそんな事を言われる。あのー……私の方が年上なんだけど、忘れてません? まぁいいや、今更だし。そう思って、私は目を閉じて体の力を抜いて、タキオンに身を任せる。

 

「さてと。それではお待ちかねの耳かきだ。ふーむ、中々取り甲斐がありそうじゃないか」

 

 そんなどこか呆れたような、そうでないような、ちょっと判断に困る声でそんなことを呟かれたと思うと、耳の中に固い物が入ってきて、そのまま入口すぐの所からカリカリカリ……と掻かれ始める。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ちょっと湿っている耳垢をカリカリカリと。ふーむ、表面は湿っているが、芯は硬いままのようだ。とは言えしつこい物ではなさそうだな」

 

 まぁ、そりゃね? 指圧で多少の汗はかいたけど、流石に奥まで浸透してないと思うよ。あー……でも、耳かきされるのが気持ち良いから、ちょっとぐらいは耳かきが長引いてくれる方が嬉しいかも。んー、タキオンの膝枕で横に慣れるのも嬉しいなぁ。耳かきじゃなかったら、うつ伏せになってもいいかも。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……ふふふ、どうしたんだいモルモット君? そんなに気持ち良さそうな顔をして、そんなに心地良いのかい?」

 

「んー……んー……うん、そうだよ。正直言って……凄い安らぐ。タキオンがこんなことをしてくれるほど信用してくれてるって思えて、とても気持ち良いよ」

 

「……ふふ、なんだいそれは。まったく、君というのは……まったく」

 

 ……えーと? どういう反応なのこれ? 良いのか悪いのか、ちょっと判断に困るんだけど。変な事言ったつもりないけどなぁ。

 

「それでは耳かきを継続しよう。まだ汚れはあるからね」

 

 私が頭にハテナマークを浮かべている間に耳かきが再開される。カリカリって、カリカリって耳かきに掻き続けられ、細かい汚れがティッシュの上に捨てられていって……あれ、もう耳かき置いちゃった。

 

「どうやら目ぼしいのは大体取れたかな。モルモット君的にはさて、朗報かな? 悲報かな?」

 

「……ノーコメントという事で……お願いします」

 

 んー……流石に……ねぇ? いくら同性とは言え、そこそこ年が離れてる年下の子にそう言う事を言うのも……ね? 私も大人だし。

 

「さて、それでは保湿用ローション……を塗る前に梵天で掃除をしなければいけないね。動くんじゃないぞ」

 

 そんな私のちっぽけなプライドなんて気にもされず、タキオンが梵天を耳の中に……あぇ……? な、なにこれぇぇぇ。

 

「ほぁぁ……タ、タキオン……? この梵天何……いったい何を開発したの……?」

 

 ふさふさして、滑らかで……あうう、私の肌にピッタリ合ってるよぉ、この梵天。こんな梵天初めて……私、癖になっちゃうよ、こんなの……。

 

「別に開発と言うほどではないさモルモット君。そうだねぇ……強いて言うのであれば、私の尻尾の毛を使ってるぐらいしか心当たりはないかな」

 

 ほえ? ……タキオンの尻尾の毛? それを聞いた私は思わず彼女に顔を向けようとしたが……思い切り頭を抑え込まれた。痛い痛い痛い痛い! あ、頭! 頭が痛いです!

 

「こらこらモルモット君。耳の中に梵天が入ったままで頭を動かすなんて自殺行為だよ」

 

「ちょ……ま……? え? 尻尾の……毛……?」

 

 尻尾って……ウマ娘にとってとっても大事な部分だよね? その尻尾の毛を使った梵天? な、なんで? なんでそんな大事な部分の毛を使って梵天作ってるの!?

 

「おや、そんなに驚く事かな? 身近な素材で市販品より効果の高い物を作れるんだ。使わない手はないだろう? まぁ、手入れには相応の手間暇と時間と費用がかかってしまったがね」

 

 平然とした様子でそんな事を言いながら、タキオンが再び梵天を動かして……はわぁ……力が抜けていっちゃう……。

 

「手間も時間も費用も掛かったけど、その甲斐はあったようだねモルモット君。さぁ、もっと蕩けてみたらどうだい?」

 

「やめ……ちょ、くすぐった過ぎて……や、やめてぇ……癖になっちゃうよぉ……」

 

 これ以上、これ以上この梵天を味わってたら本当にダメになっちゃう。でも、逃げれない。振り切って逃げようとしてもタキオンに抑え込まれてて逃げれない。

 

「まぁ、もう片方が残っているし、この辺にしてあげよう。それではこのまま……ふ~……ふ~……」

 

「ひゃう……ッ……タキオン、それ、本気でヤバイ……」

 

 梵天で優しく癒された耳の中を、タキオンの吹きかけた息が通って……あうう、背筋、背筋がゾクーッてしちゃう。

 

「ああ、そんな顔をされるとこちらがゾクゾクしてしまいそうだよモルモット君……とは言え、本題はこれではないのだから、この辺りにして、後はローションを塗ったら反対側を掃除しなければならないな」

 

 ヌリヌリ……ペチャペチャ……

 

 ヌチュ……グチュグチュ……

 

 息が吹きかけられ、最後にローションが耳の中に丹念に塗られていく。んーこれは……余韻が全部潰されちゃった。

 

「ん……これ、やっぱ慣れそうにないかなぁ。これ、やっぱり必要なの? なくてもよくない?」

 

「ふむ。どうしても嫌だというのなら次からはやめてもいいが……耳の中が荒れたままという事は耳垢が余計に発生したり、他にも良い影響が出る事はないだろうねぇ。それでも構わないのかい?」

 

「……やっぱりお願いします」

 

 荒れたらまた掃除して欲しい……なんて思うけど、私の我儘でタキオンを困らせるのも悪いし。タキオンの我儘で困らされるのはこの際置いといて。

 

「さて、それではそろそろ反対側をしておこうじゃないか、モルモット君」

 

 ローションの余韻にちょっと微妙な気分になってる間に体の下に手が入ってきたと思うと、そのままコロンと引っ繰り返され、タキオンのお腹が視界に広がる。うーん、ウマ娘の方が筋力高いのはわかるけど、なんかもにょる。

 

「ねぇ、タキオン。私が体を入れ替えるんじゃだめだったの? ちょっとこの体勢はどーかと思うのよ」

 

「んー? 別に構わないのではないか? 前は君に体を入れ替えてもらってたが、こちらのほうが早いわけだし、別に服をめくってお腹を凝視されてるわけでもないのだから、私は気にしないぞ」

 

 いやいや、君はそりゃ気にしないじゃん? そう言う発想がなさそうだし。でも、世間的にはどうかと思うのよ。

 

「さぁさぁ、それより掃除の続きだ。おとなしくしてくれたまえよ、モルモット君」

 

 ああ、私の心配をよそに耳かきは進められていく。うん、今日はもう諦めよう。多分聞いてくれないわこれ。

 

「グッグッ……ギューッ……ギューッ……」

 

「はふぅ……」

 

 全て諦めた私の耳の外側を彼女の指が耳のマッサージでツボをギューッ、ギューッて指圧されていって……。

 

「ゴシゴシ……ゴシゴシ……ふぅ、粉だけでも存外取れるものだね、モルモット君」

 

「改めて言われるとその……恥ずかしいからやめて欲しいなぁ……」

 

 外側の粉が搔き集められ、ティッシュに集められていき、纏めて捨てられる。改めて見ると、本当に外側だけでも汚れが目立つぐらい溜まってるのかなぁ。自分の耳は見れないからなぁ。

 

「カリカリ……ガリガリ……ゴゾッ……ズズ……オノマトペに反応するようになったという事は、もうこれがないと満足できそうにないね? そうだろう?」

 

「言わないでくださいやめてくださいお願いします」

 

 仕方ないじゃん。可愛い可愛い愛バの膝枕の耳かきなんだよ? 普通の耳かきで満足できなくなっても仕方ないじゃん。タキオンだって狙ってやってるでしょ。私がモルモットとして逃げないようにこういう手段を使っても捕獲しようとしてるんでしょ。わかるよ、私はタキオンに詳しいんだ。

 

 そんな事を思っている間に掃除が終わって、次はあの梵天で細かい汚れを搔き集められていって……。

 

「くっふふ、そんなに私の尻尾の毛で作った梵天は気持ちいいかい? 耳垢を取っている時より余程気持ちよさそうじゃないか……これなら、作った甲斐があるというものだよ」

 

「やめてええ……言わないでえええ……恥ずかしい、恥ずかしいからぁ……」

 

 ヤバイヤバイ。堕とされる、このままじゃ耳かきで堕とされる。私、一生タキオンのモルモットになっちゃう。いや、最愛の愛バの為ならそりゃできる限りのことはするけど。でも、このままだとトレセン学園卒業した後のタキオンにも耳かきお願いしちゃいそうなんだもん。それは流石にダメだよ、ここで踏みとどまらないと。

 

「ふ~……ふ~……おいおい、身悶えしすぎじゃないかい? 流石にちょっと私も驚きを隠せないよモルモット君」

 

「……何も言い返せないから、本当、もう勘弁してください……」

 

 仕方ないでしょ! タキオンがそうしたんだから! 私は悪くない! 私は悪くないもん!

 

「ペチャペチャ……ヌリヌリ……さて、これで耳掃除はお終いだ。いやぁ、普段のモルモット君からは想像できない身悶えを見せてもらったよ」

 

「もうやめてください……お願いだからもう言わないで……」

 

 同性とは言え、自分より年下の子にそこまで言われてしまうと、もうここから全力で逃げ出したくなる。逃げても扉に到着する前に捕まるのは確定的に明らかだけど。

 

「ふぅ……これぐらいの事を気にするんじゃないよモルモット君。私としては信頼している君のこういう姿を見れて面白いぐらいさ。さぁ……後はお昼寝だけだから、これで少しでも普段の疲れを取ると良い」

 

 いやいや、この状態で寝るのは無理じゃない? 散々辱めを受けた後に更に寝ろと言うのは辛いものがあるよ? 顔赤いんだよ私。

 

「……この状態で寝ろって……あのー、キツイんですけど、タキオンさん。できればもう一人にしてくれる方が嬉しいかなーって」

 

「ふーむ。それは困ったね、そんなに私の膝枕は嫌いかい? それじゃぁ、耳かきもやめた方が……」

 

「……寝かせて頂きます」

 

 ここで拒否して今後のタキオンからの耳かきが無くなるのは嫌なので、なんとか寝るようにしよう……と思っていたら、タキオンに頭を撫でられながら子守歌を聞かされていって……あ、なんか本当に眠気が来た……。


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