ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

63 / 172
シンボリルドルフで耳かきを書きました。

いやぁ、前々から書きたいと思ってましたし、感想で希望を書かれている方も居ましたが、こう……なんというか、自分の中でキャラを掴み切れておらず、ようやく、ですね。

まぁ、最初の頃に書いていたらシリウスに関して言及することもない作品になっていたので、早く書いていれば良かった。とも一概に言えないです。


シンボリルドルフ

 やあ、トレーナー君。少し時間を貰っても良いかな?

 

 ああ、今日は君にお礼をしたいと思ったんだ。心当たりがない? 何を言うんだ、君のおかげで私は無敗三冠を達成できたじゃないか。

 

 それは私の努力の賜物であって、自分は大したことをしていない? 謙遜も度を過ぎれば嫌味だぞ。確かに私個人の力だけでもある程度はいけただろう。だが、無敗三冠は私だけでは達成できてない。君が居てくれたからだ。

 

 さて、そう言うわけだ。無敗三冠も含め、君には大変な世話になってきたからな。そのお礼としてなんだが……耳かきを君にしてあげたいと思っている。

 

 ふふ、どうやら想像してる範囲ではなかったようだね。だが、中々良い物じゃないか? さ、早速こっちに来てくれ。既に準備は整えている。

 

 どうかな? 君の愛バの膝枕の感触は。無敗三冠の膝枕、中々味わえるものではないぞ。

 

 さて、まずは君の耳のマッサージからだ。人間の耳はウマ娘の耳とは違う形をしているが、凝るのはどちらも同じだ。だからこうして、君の耳に手を添えて、グッグッ……グッグッ……

 

 どうだいトレーナー君? 君の耳が少し赤くなっているな。血流が促進される事によって汗を流し、耳垢に水分が含まれることによって汚れが浮かび上がって取りやすくなるんだ。それに、各所のツボを刺激すると、それによって体の調子を整えることもできる。とは言え、水分を多く含ませればいいと、お風呂上りなどに耳かきをやると逆に耳の中を傷めるから注意は必要となる。

 

 さて、それでは綿棒で汚れを集めていこう。君の耳はウマ娘程ではないが……人間としては大きめに見えるからな。垢だけでなく、空気中の埃も溜まりやすいだろう。

 

 ザリザリ……ザリザリ……ん? なんで口ずさんでいるか? か。シリウスに耳かきをしている時にこうして囁いていると、気持ちよさそうにしていたからな。トレーナー君はどうだい? もしいらないならやめておくが。

 

 そうか、あるほうが嬉しいか。なら、囁き続けるとしようか。

 

 ザリザリ……ガザガザ……ああ、見たまえトレーナー君。もうこんなに汚れが取れている。やはり大きさがある分、汚れも多くなるんだな。

 

 ザリザリ……ザリザリ……ん? そうだね、そろそろ中の掃除に移ろうか。外側だけで長引いていたら、中の水分も乾いてしまうだろうからね。

 

 さて、中の様子を拝見……む。これは予想以上にまずいな……君の耳……ほとんど塞がっているじゃないか。

 

 入口から少し奥の曲がった部分だから気づかなかったが、これはちょっと本気で取り掛かる必要があるな。まずは……耳かきで少し触れてみよう……ん、癒着とかはしていないようだな。触れば動くから……このまま少しずつでも剥がしていこう。

 

 ガリッ……ガリッ……表面から少しずつ剥がして……ん、このままガザッと……ゴゾッと……少しずつ、剥がして……動かして……

 

 ガリガリガリ……ガリガリガリ……お、奥の方から動き始めたぞ。よし、よし……このまま……ん? 耳の中でバリッとかガザッとか音がすると怖い? ああ、大丈夫だよトレーナー君。耳垢は大きさはあるが、しつこく耳の中にこびりついているわけではない。このまま……剥がしていけば……。

 

 ……ようやくとれたよ、トレーナー君。見てみたまえ、茶色く凝り固まった耳垢だ。まったく、まさか君の耳かきで一番最初にこんな大物を掻き出す事になるとは思っても居なかったよ。

 

 さて、この大物を取れた満足感はあるが……掃除はまだ終わってない。ここから剥がれ落ちた小さい耳垢もあるし、奥にもまだあるかもしれないからね。もう一度覗かせてもらおう。

 

 カリカリ……カリカリ……手前から順番に、小さい欠片をカリカリカリ……小さい欠片は、落とさないように注意をして……穴に薄く張り付いている汚れも、ペリペリって剥がしていこうか。

 

 ……よし、粗方の汚れは取れたようだよトレーナー君。とは言え、こんな大きな耳垢があったとなると、君の耳の中は少々荒れていると判断せざるを得ないな。と言うわけで……このローションを塗ろう。

 

 なに? 耳の中が濡れるのは好きじゃないと? 気持ちはわかるがねトレーナー君。さっきの耳垢を見ただろ? あんな耳垢がこれからもできるぐらいなら、大人しくローションを塗るほうが良いだろう。さぁ、おとなしくするんだ。

 

 ヌリヌリ……ヌリヌリ……ん? 楽しそうに擬音を呟いているな? ああ、そうだね。こうしてオノマトペを呟いていると昔を思い出す。あの頃のシリウスとはもっと仲が良かったからね。……別に、彼女とは昔から今のような状態だったわけではないさ。できれば、また昔のように過ごしたいのだが……。

 

 さぁ、今は彼女の事よりトレーナー君の事だ。ほら、もう塗り終わったぞ。後は……ふ~……ふ~……ふふ、驚かせてしまったかな? だが、ローションを塗った後の息の吹きかけは、普通とは違うものがあるだろ?

 

 癖になりそうだ? それだけ気持ち良かったなら良かったと。さて、そろそろ反対側に取り掛かろう。こちら側も詰まってたりしてたら……さて、どうしようかな?

 

 ふむ……うん、詰まってる……と言うほどではないが、こちらも大きい物があるね。君の耳は本当に汚れが溜まりやすいのかもしれないな。やりがいがあるというものだ。さぁ、耳かきを始めるよ。

 

 まずは……ツボを、ギュッギュッギュ……ふむ、手が暖かくて安心できる? なるほど、そう言う発想はなかったな。それなら、これからは毎日トレーナー君の手を握ってあげるのもいいかもしれないな。

 

 外側をザリザリ……ザリザリ……君の耳垢が全体的に粉状の物なら綿棒だけでも十分かもしれないが……流石に、大きな耳垢を綿棒で取るのは少し気を使いすぎる。ちゃんと耳かきで取るようにしよう。

 

 さぁ、本命の耳の中だぞトレーナー君。カリカリカリ……カリカリカリ……うーん、固いな。さっきほど大きくはないが、固くて取るのに少し難儀しそうだ。痛かったらすぐに言ってくれたまえ。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……端っこから少しずつ、慎重に剥がしていって……カリカリカリ……カリカリカリ……

 

 はは、気持ち良いのかな、トレーナー君。まぁ、気持ちはわかるよ、私も耳かきは気持ち良いと思うし、トレーナー君がこうして気持ち良くなってくれているのはとても嬉しい。

 

 ん、良かった、少し手強かったが、このまま安全に剥がせそうだ。ガリガリ……ガリガリ……ガリッ……ベリッ……ベリッ……!

 

 ふぅ、無事に取れたよトレーナー君。ふむ、こうして改めてみると、この耳垢もけっこう変色しているようだね。君の耳の中はどうも……厄介なタイプなのかもしれないね。

 

 さて、後は……カリカリカリと……カリカリカリ……カリカリカリ……小さい垢をカリカリカリ……

 

 ふふ、耳かきを動かすたびに君が気持ち良さそうにしているのを見るのは楽しいな。トレーナー君の意外な姿を見れた気分だよ……なんだ、気づいてないのかい? 君はいつも私のトレーナーとしてふさわしくあろうと努力してくれているじゃないか。それは嬉しいんだが、たまにはこうして……肩ひじ張らず、私に甘えてくれる君を見ていたいかな。

 

 さぁ、こうして話している間にも粗方の汚れは取れたかな。後はローションを塗ろうじゃないか。ヌリヌリ……ヌリヌリ……。

 

 うん、これで取り敢えず十分かな。あれだけ耳垢があるとわかっていたらもうちょっと準備していたんだが……私も見通しが甘かったと言わざるを得ないな。

 

 ふ~……ふ~……ふふ、どうしたのかな、トレーナー君。先にやった方でも息は吹きかけただろ? もうそんなに警戒しなくても、これでお終いさ。

 

 しかし、つぎにみみかきをするときには事前準備を怠らないようにしなければならないね……まだするのかって? 君もあの耳垢を見ただろう。あんなのができる状態なんだ、君の愛バとして、これを見過ごすのは頂けないな。

 

 誰かに見られたらどうするのか? その時には正々堂々耳かきを行っていると言うに決まっているじゃないか。

 

 さぁ、そんなことより……昔から耳かきの後はお昼寝だと言われているし、トレーナー君もこのまま寝ると良い。普段、君には苦労をかけてしまっている。だから……たまには……な。

 

 ああ、素直に寝てくれるなんてありがたいな。お休み、トレーナー君、良い夢を……。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。