ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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メジロマックイーンで耳かき、女トレーナー視点で書きました。

メジロに耳かきされたら多分女トレーナーでも堕ちちゃうだろうなぁ。そんな事を考える今日この頃です。

なお、百合的な意味ではない模様。




メジロマックイーン(地の文あり、女トレーナー視点)

 先日、私の担当ウマ娘のメジロマックイーンは、メジロ家の悲願である天皇賞を制覇。更にそのままエリザベス女王杯、ジャパンカップを制し、今は有馬記念に向けた僅かばかりの休養期間となっている。

 

 なんて素晴らしい事なんだろう。長いレースの歴史の中でもGIレース三連勝なんてどれだけのウマ娘が達成できたというのか。それを私の担当ウマ娘が成し遂げてくれた。トレーナー冥利に尽きる。

 

 だけどここで気を緩めちゃいけない。次の有馬記念に向けてしっかりとトレーニングを……と言いたいんだけどね、ここで焦るのは素人のすること。いくら彼女にやる気あろうとも疲れは蓄積しているはずだから、ここでしっかりと休養を取らせなければならい。ここで焦ってトレーニングをさせたら体を壊しちゃうんだから。

 

 と言うわけで、今日は体を訛らせないための最低限の運動を行った後は休養を取る……はずだったんだけど、どういうわけでしょう、今私は彼女の部屋でアフタヌーンティーを楽しんでいた。彼女たっての希望なんだけど……まぁ、これで彼女が休息になるというのならいくらでも付き合おうじゃないの。 

 

「しかしまぁ……メジロのアフタヌーンティーはほんっとうに本格的よね。私、このお菓子乗せるやつって映画とかぐらいでしか見た事なかったんだよねー」

 

 紅茶を口にしながら視線を向けた先にあるのは、銀で作られているというお菓子置きである。こんなお洒落な物を実際に使う日が来るとは思いもしなかったよ……。

 

「うふふ、それでは今度メジロ家に招待した時はもっとちゃんとしたものをお見せしますわ。おばあ様からもトレーナーさんにご挨拶したいと聞いておりますから」

 

「えー……ア、ハイ」

 

 メジロ家ねぇ……以前マックイーンが三冠を達成した時に一度お邪魔したけど……私みたいな庶民にはどうにも縁のない場所過ぎて、滅茶苦茶緊張したなぁ……。次に行くときにはもっとちゃんとした態度をできるだろうか? うん、無理無理。でも、それってマックイーンのトレーナーとしてどうなのってなるし……。

 

 そんな事を悩んでいると、マックイーンがカップを置いてこちらを見てきた。

 

「さて……トレーナーさん、本日はまだ時間に余裕がありましたよね?」

 

「ほえ? う、うん。先輩からも休息日は作るように言われてるし。今日はメディアからの取材とかもないし、本当のフリーだよ」

 

 紅茶を一口飲んで、私は大きく息を吐く。ああ、そう言えばこうして一日フリーなんていつぶりだろうか。おかげで何をやろうか……と言うのが思い浮かんでこない。……あれ、ヤバくない? 私、まだまだ若いのにこんなんじゃ、もう頭の中がお年寄りになってない? 私、仕事は好きだけど仕事人間にはなりたくないよ!?

 

「さて、と。トレーナーさん、後片付けはこちらでしますので少し待っていて頂けますか? 耳かきの準備も一緒に行いますので」

 

「あ……う、うん。わかった」

 

 そんな事をボーッと考えていると、マックイーンが食器類を片付けていく。あれ、私そんなに食べたっけな? ボーっとしながら食べてたかも? あー、それより彼女にそんな片づけなんてやらせるのも……いや、あんな高そうな食器類、うっかり割ったりしたらお給料がどれだけ飛んでいくか……、うん、彼女に任せようそうしよう。

 

 取り敢えず私はマックイーンのベッドの上に移動して彼女を待つ。少しして、道具を片付け終えたマックイーンが耳かきの道具を持って私の隣に座ってきた。

 

「お待たせしましたトレーナーさん。それでは、こちらに頭を置いてくださいませ」

 

 膝を叩くマックイーンに従い頭を置く。うん……良い固さだ。太り気味の時の柔らかさがないのは良い証拠だ。この足なら次のレースも勝てるはず……それはそれとして太り気味の時の柔らかさは捨てがたいんだけどね。

 

「さぁ、始めますわよ。くすぐったかったりしたら言ってくださいね。自分で変に動くと危ないですから」

 

 そんな注意を言いながら、マックイーンはウェットティッシュで私の耳を拭いてくる。冷たいティッシュに擦られ、垢が落ちる感覚がちょっと恥ずかしい。

 

「ふぅ、こんなに黄色い汚れがついて……粉が多く出てる証拠ですわ。さて、それでは耳かきで、残りの汚れがないかを確認しまして……」

 

 カリカリ……カリカリ……

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 はぅぅ……まだ耳の外の掃除中なのに耳かきで掃除される音が気持ち良い……擦られる気持ち良さも良いし、音も気持ち良い……メジロ家には何か耳かきの秘訣とかでもあるのか? ありそうな気がする、だってメジロだもん。

 

 そんな私の驚きをよそに外側の掃除を終えた耳かきが中に差し込まれていく。

 

「カリカリ……カリカリ……ウフフ、こうしてトレーナーさんの耳かきをしていると、なんだか普段とは立場が逆になった気分になりますわ」

 

「ん? ……ん、んー……言われてみればそんな気もしなくもないような……」

 

 まぁ、ね? そりゃぁ、私は大人だし、トレーナーだし。普段はマックイーンをお世話する側だから、こうして耳かきをしてもらってお世話してもらうってのは普段とは逆の立場だと思うけど。

 

 なーんてことを考えている間に耳かきの動きが止まり……マックイーンが顔を近づけてきた。

 

「ん……ちょっと見辛いですわね。えーと……」

 

 んー……くすぐったい……マックイーンの息が音と共に耳にかかって……くすぐったくて……でも、こんなのマックイーンのファンでもある私にとってはこの上ないご褒美でもあって……ふぁぁぁ……。

 

 サリサリ……サリサリ……

 

 ガッ……ベリベリ……

 

「はい、綺麗に取れましたわね。どうでした? 痛くはなかったですか?」

 

「ん……うん、大丈夫。でも、その辺もーちょっと掻いて欲しいなぁ……なんか、痒くてさ」

 

 耳かきが終わった……んだけど、あれなんだよな。まだ掻いて貰った気持ち良い場所がある。その辺、その辺を掻いてくれたら……。

 

「この辺……ですか? 見た限り、特に汚れはありませんが……」

 

 疑問を抱きながらも耳かきを動かしてくれるマックイーンにちょっと心苦しさを感じつつも耳かきを堪能していると……。

 

「……トレーナーさん? 前に言いましたよね、やりすぎれば耳の中が悪化すると」

 

ちょっと怒ってる気配がするし、耳の中をコツコツって突かれるし……あ、ヤバイ。謝らないとヤバイ系だこれ。

 

「……バレるの早くないですかね? ……取り敢えずごめんなさい」

 

「以前ももっと掻いてほしいなんて仰っていたからです。さぁ、バカな事を言うのはこれでお終いにしてくださいまし……その代わり」

 

 呆れ口調でそこまで言ったと思うと、彼女の顔がまた耳元に近づいてきて……。

 

「こうして……囁いて差し上げますわ」

 

 はぉぉぉぉっ! 囁きが……マックイーンの囁きが耳の中に……耳かきも別の部分を掻き始めて……ひゃぁぁぁぁぁッ

 

「マ、マックイーン……そんなに囁かれたら……私……私……ッ」

 

「うふふ、気持ち良いでしょ? こうして……貴方の愛バが耳元で……囁いてあげてるのですよ。カリカリカリ……カリカリカリ……」

 

 ハウッ マックイーンが愛バって……わたし……私の愛バって……し、幸せ過ぎる……ッ!

 

 あまりにも嬉しすぎて、頭の中がハッピーな感情でぐっちゃぐちゃになっちゃう。マックイーンの……マックイーンからの愛バ発言とか……破壊力がありすぎるよおおお。

 

「カリカリカリ……掃除はこの辺りにしておきましょうか。それでは、梵天で細かい粉の掃除していきますわ」

 

 そんな風に悶えている間に耳かきは引き抜かれ、もっと掻いて欲しいという欲望がムクリと起きそうになったけど、さっき怒られた事を思い出してしゅんと引き下がる。そうしている間に、今度は梵天が差し込まれ、クルクルと掃除を始めた。

 

「んん……前のより柔らかいのかな?」

 

「はい、今回のは毛が柔らかい物をご用意しました。ですので、以前のよりも優しくて……気持ち良いでしょう?」

 

 前のよりもフワフワーと柔らかくて、きめ細かい毛が耳の中を余すところなく優しく撫でていく。はぁぁ……これも……気持ち良い……。

 

「さぁ、梵天も終わって……ふ~……ふ~……」

 

 梵天が引き抜かれた後の息の吹きかけで、彼女の吐息が鼓膜まで届く。掃除をしてもらったばかりの耳の中を通っていく吐息の気持ち良さに、私の背筋はビクッと震えあがった。

 

「はううう……はぅぅぅぅ……」

 

「あらあら、そんなに悶えちゃって。やはり梵天の後の息は気持ち良いのですね。これからもして差し上げますわ」

 

 ……あれ、何か凄い事言われなかった? 私、次もマックイーンに耳かきをされるのが確定してるの? 聞き返そうと思ったけど、それより先に体が簡単にひっくり返されて、彼女のお腹をガン見する体勢になった。

 

「さぁ、こちら側の掃除をしていきますわよ。体の力を抜いて、大人しくしていてくださいませ」

 

「う……わ、わかったけど、体勢は変えても良いんじゃ……」

 

「問答無用、ですわ」

 

 私が身を捩ろうとするより先に頭をしっかりと押さえつけられ、最初と同じようにウェットティッシュで耳を掃除されていく。あっれー、これじゃぁ私が我儘言ってるようになってない?

 

「ふぅ、やはりトレーナーさんは耳のお手入れが疎かですわね。これからもメジロのウマ娘として、パートナーの身だしなみには私も参加しなければなりませんわね」

 

「あ……と、うん、お願い……?」

 

 だから、なんかさっきから凄い事言ってない? 私、次どころか、これからも継続的にマックイーンに耳かきされるのが決定してるの? お嬢様にそんなことさせちゃっていいの? いや、こうして耳かきしてもらってる時点であれだけどさ。そもそも最初にお願いしたのも私だけどさ。

 

そんな私の困惑をよそに耳かきは続いていく。

 

 カリカリカリ……ガリガリガリ……

 

 ザリッ……ベリッ……ズズ……

 

「耳垢を一つ一つ……丁寧に掻き出して……耳の中を傷めないように……」

 

「はぅ……そこ……気持ち良い……もっと掻いて……掻いてええええ」

 

 私がそう懇願しても、マックイーンは何も反応せず、耳かきを続けていき。

 

 コシュコシュー……コシュコシュー……

 

 クルクル……フワフワ……

 

「耳かきで終わりではなく、こうした細かい汚れも取ることが大事ですわ。粉が固まったら困りますもの」

 

「ん……まぁ、理屈はそうなんだろうけど……気持ち良かったら正直細かい理屈はどうでも良いかな……」

 

 トレーナーをしている身としてはなんとも酷い発言だと思うが、割と本心だからどうしようもないの。

 

「最後は……ふ~……ふ~……」

 

「はぅぅぅ……」

 

 最後に息を吹きかけられ……はぁ……気持ち良かった。極上の耳かきを堪能できたよ。

 

「さぁトレーナーさん。耳かきはお終いですが、後はお昼寝をしましょうね」

 

「……いや、前にやってもらった時は確かに私からお昼寝させてって言ったけど、今はマックイーンは疲れが溜まってるんだし、ここまでしなくても……」

 

 流石に今回は昼寝までする気はないからこのまま移動しようと思ったけど、マックイーンに耳を摘ままれ、引っ張られ、そして、広がった穴にマックイーンの声が響く。

 

「良いんですの。私がやりたいんですから。トレーナーさんは……文句を言わず、大人しくお昼寝してください」

 

「……はい」

 

 そこまで言われては仕方がない。私はマックイーンに全てを任せ、目を閉じる。そんな私の耳に彼女の声が届いた。

 

「トレーナーさん? これからも人バ一体、宜しくお願いしますわね」


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