ルームメイトな二人ですが、史実の絡みがそんなないですし、互いにメインのCP先があるので作中での絡みも少ないですが、少ないからと言って書いていけないわけではない。そう思った今日この頃です。
日も暮れた夜中。昼間は大勢のウマ娘達で賑わう寮も、今は静かな眠りに包まれていた。翌日に行われる様々な活動の為に、ウマ娘達は睡眠に入り、英気を養う。
ミホノブルボンもまたその一人であった。ベッドで安眠を取り、明日の朝に再び目を覚ますはずであった……が。
「……?」
ふと、ミホノブルボンの耳に声が聞こえてきた。人間には聞こえない程度だが、ウマ娘であるミホノブルボンの耳はしっかりと捉える。眠りから覚め、訝しみながらもミホノブルボンが音のした方を向くと、それはニシノフラワーのベッドであった。
「……ニシノフラワーさん?」
ベッドから降り、彼女の方へ向かうミホノブルボン。そして暗闇の中でニシノフラワーの顔を覗き込む。電気のない、だが、カーテンの隙間から覗き込む月明りに映し出された彼女の目元には、確かな涙の後があった。
「ニシノフラワーさん?」
思わぬ光景にミホノブルボンの動きが止まる。そうしている間に、ふいにニシノフラワーの手が伸びてミホノブルボンの服を掴んだ。ミホノブルボンはその手を外そうとするが、固く握られている手は簡単に外れそうにはない。
「……」
少し困ったミホノブルボンだが、意を決し、ニシノフラワーの横に寝そべる。より近くに来たことで見やすくなった彼女の眉間には皺が寄っており、口からは小さく嗚咽が漏れている。それを確認したミホノブルボンは、そのままニシノフラワーを抱きしめ、頭を撫で始めた。
「よしよし……よしよし……」
頭を撫でられるニシノフラワー。しばらくして彼女の眉間からは皺が無くなり、ミホノブルボンの胸に顔を埋めながら彼女を抱きしめていた。
そしてしばらくして、目を覚ました彼女はミホノブルボンの胸の暖かさに再び眠りに落ちそうになるも、なぜ自分がこうなっているのかに疑問を抱き顔を上げる。そして、自分を見下ろしながら頭を撫でるミホノブルボンに気づいた。
「は……え? ……ブ、ブルボン……さん?」
「おはようございますニシノフラワーさん。気分は大丈夫でしょうか?」
「え? うぇぇ? な、なんで……?」
混乱するニシノフラワーの頭を撫でながらミホノブルボンは答える。
「先程までニシノフラワーさんは泣きながら眉間に皺を寄せていて、近づいた私の服を掴んで離しませんでした。その為、良かれと思ってやりましたが……御迷惑だったでしょうか?」
ミホノブルボンにそこまで言われてからニシノフラワーは自分の事を思い返す。そしてハッと思い当たったのか、顔を上げた。
「あの……ごめんなさい、ちょっとお父さんたちの事を思い出しちゃって……夢の中でもお父さんたちと一緒で……」
「なるほど……ホームシックですね」
ニシノフラワーの言葉にミホノブルボンは答える。
「アハハ……ダメですね、皆も寮生活なのに、私だけこんな……」
そんな事を言うニシノフラワー。だが、ミホノブルボンはその言葉を否定するように再びニシノフラワーを自分の胸に埋める。
「そんな事はありません。私も初めての頃は実家が恋しくなったことがあります。ですから、気にすることはありません」
そう言ってミホノブルボンはニシノフラワーを抱きしめながら背中を撫でる。そうしていると、ニシノフラワーは恥ずかしさを覚えつつも、ミホノブルボンを抱きしめ返す。
「……ありがとうございます、ブルボンさん」
「いえ、ルームメイトとして当然の事です……ああ、ニシノフラワーさん、このまま添い寝をしても良いのですが……良ければ耳かきなど如何でしょうか? 私も、眠れないときは父に良くやってもらっていました。もしかしたら、ニシノフラワーさんにも効果があるかもしれません」
「耳かき……そ、それじゃぁ、お願い……します」
流されるままに承諾するニシノフラワー。そして、ミホノブルボンは一度離れると、部屋の電気を付けた後にいくつかの道具を持ってニシノフラワーのベッドに腰掛けた。
「では、どうぞ。頭を置いてください」
促され、ミホノブルボンの膝の上に頭を置くニシノフラワー。その頭を優しく撫でながら、ミホノブルボンが彼女の耳を覗き込んだ。
「お風呂に入った後ですし、汚れは大したものはありません。なので、まずは耳のマッサージ、その後に穴の中に汚れがないかを確認します」
「は、はぃ……」
ニシノフラワーの小さい耳にミホノブルボンの手が触れていく。比較的大柄なミホノブルボンの手は余すところなくニシノフラワーの耳を蔽い、凝っている部分を探していく。そして、凝りを発見すると、そこを揉み解していく。
「この辺りなどは……筋肉が凝っていますね……ニシノフラワーさんが、頑張っている証拠です」
「あぅ……あぅぅ……」
同室とは言え、走るレースの距離や交流関係の影響でそこまで深い関係のない二人。それゆえにニシノフラワーはここまでミホノブルボンと肉体的に接触することが無く、それでいて、自分がホームシックに陥っている状態を慰められるという羞恥心を覚える状況。飛び級でトレセン学園に入学する程の賢さを持つ彼女であっても冷静になる事ができないのは仕方ない事であろう。
「モミモミ……グッグッ……ギューッ……」
「はぁ……温かい……」
通常、筋肉がある側とない側で言えばある側のほうが平熱は高くなる。それがアスリートとして理想的な年齢である学生のウマ娘ならば猶更であり、ミホノブルボンの手の放熱はニシノフラワーに温かいと感じさせる高さであった。
更に、ミホノブルボンのマッサージにより筋肉の凝りが解れ、滞っていた血流が流れる。血流によって運ばれる熱が耳全体を覆い、更に温かさを感じさせた。
「ギューッ……ギューッ……ふふ、可愛いですよ、ニシノフラワーさん」
「そ……そんな……」
耳が暖かさに包まれ、ホゥッと……安堵の息を漏らしながら頬が緩むニシノフラワーの様子にミホノブルボンは思わずそんなことを呟いていた。
「問題はありません。そうして……少しでもリラックスしていただけるなら……やりがいがあるというものです」
そんなニシノフラワーの頭を撫でつつもミホノブルボンはマッサージを続けていき、やがて、両方の耳のマッサージを終えた。
「さて、マッサージを終えたので耳の中の掃除に移行します。何かありましたら仰ってください。下手に動かないようにだけお願いします」
そう言って、ニシノフラワーから手を離したブルボンは、耳かきを手にして、ニシノフラワーへの耳かきを始める。まずは外側、縁からカリカリカリ……と目に見える汚れを掻き取っていく。
「今はまだそんなに汚れてはいませんね。では……こことかはどうですか?」
「ひゃぅっ!」
ミホノブルボンが動かした耳かきが、ニシノフラワーの耳の敏感な場所を擦る。その反応に彼女はその周辺に耳かきを這わせていく。
「なるほど、ここが良いのですね。では……カリカリカリ……カリカリカリ……」
ミホノブルボンの耳かきが動くたびにニシノフラワーは体を震わせ、熱い息を吐きながら快感に耐える。
「はぁ……はぁ……ブ、ブルボンさぁん……♡」
「カリカリカリ……カリカリカリ……ここも……ここもですね……どうやらニシノフラワーさんの耳はかなり敏感なようですね」
暫くの間、ニシノフラワーの耳をカリカリと掻いていくミホノブルボン。そのたびに熱い息を、艶のある声を漏らすニシノフラワー。そうして、彼女の体から力が抜けたのを確認してから、耳に手を添えた。
「では、中をやっていきましょう。おや、手前側にさっそく耳垢が……カリカリカリ……カリカリカリ……」
耳かきの動きに合わせ、耳に近づけた口から囁かれるミホノブルボンのオノマトペ。それはニシノフラワーにとって強い刺激となった。
「ひゃぅっ! ブ、ブルボンさん、くすぐったい……!」
「もう少しで取れそうなのでどうか我慢してもらえますか? カリカリ……カリッ……はい、取れました」
耳から取れた耳垢をティッシュの上に捨てて、再び耳かきを差し込む。暫くの間、耳かきの動く音、ミホノブルボンのオノマトペ、ニシノフラワーの艶のある声が部屋の中に響いた。
「ニシノフラワーさん。大丈夫ですか?」
「はふ……はふ……だ、だいじょうぶ……れすぅ……♡」
耳かきを引き抜かれて上から顔を覗かれるニシノフラワー。その表情は蕩けており、彼女の年齢を考えれば、普段目にすることは絶対にないであろう顔となっていた。
「……気持ち良かったなら良かったです。さて、それでは反対側をやっていきましょう」
「はぇ……はぃぃ……♡」
ミホノブルボンの言葉にニシノフラワーは期待の眼差しを向ける。そして、彼女の反対側の耳に、耳かきが差し込まれていった……。
「……これにて耳かきは完了です。どうでしたか? 気持ち良かったでしょうか?」
「はぁ……はぁぁ……♡」
程なくして耳かきを終えたミホノブルボンが声をかけるも、ニシノフラワーは荒い呼吸のまま、返事もままならない。
「さて……それでは、このまま就寝に移行します。よいしょっと」
いったんニシノフラワーの頭を下ろしたミホノブルボンは、道具を纏めて片付けた後、ニシノフラワーの体を抱き上げ、自分のベッドへと連れて行く。そして、彼女をベッドに下ろすと、自分もベッドに入り込んだ。
「あ、あれ? ブ、ブルボンさん!?」
「耳かきの後はそのまま就寝するまでがお約束です。今日はこのまま一緒に寝て、ミッション、もっと親密になる。を遂行したいと思います」
そう言うと、ミホノブルボンはニシノフラワーを抱きしめ、そのまま眠りについた。時刻は既に深夜に差し掛かっており、睡魔は容赦なく彼女を眠りに落とす。
「ブ、ブルボンさん……」
ニシノフラワーは最初こそ戸惑うも、暖かなミホノブルボンの体に包み込まれ、その温もりを感じながら眠りに落ちていった。
それから数日。午後の授業を終えたミホノブルボンが食堂に向かっていると、後ろから声を掛けられる。
「ブルボンさん、一緒にお昼にしませんか?」
声をかけてきたのはニシノフラワーであった。尻尾をぶんぶんと振り、ミホノブルボンを見上げる彼女の頬には僅かばかりだが赤みが差している。
「はい、構いませんよ。それでは行きましょう」
「えへへ、はい」
普段通りのミホノブルボンと嬉しそうに歩くニシノフラワー。そんな二人を後ろから眺める二つの影がある事に二人は気づかなかった。
「フラワーが……フラワーが……なんでぇ……」
「ブルボンさん……ライスももっと親密になりたいのに……」