ウマ娘耳かき小説   作:雨宮季弥99

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マルルドで2作目を書きました。前回からの続き物ですが、読まなくても大体大丈夫だと思っています。

今後は恐らくルドルフが耳かきをする側で書く事が多くなると思いますが、そんな彼女の傍にはいつも、普段ならあまりCPとして登場しないマルゼンスキーが居ると思ったら良いと思いませんか? 私は思います。

今回の作品はウマ娘耳かき小説合同への投稿作品となります。他の参加者の方の作品のリンクは確認次第貼る予定です。

追記 今回の参加者3名の内、一人は期限に間に合わず、二人は連絡すらなしとなりました。期限に間に合わなかった方の作品は一応掲載されたらリンクを張ります。


マルルドⅡ

 ある日のトレセン学園。今日も生徒会室ではルドルフ、エアグルーヴ、そして珍しい事にブライアンが学園の事について話し合っていた。学園の経営は勿論理事長達が行うのだが、学園の自治に関しては生徒会は大きな役割を担っている。

 

 そして、ここに居る三人はそれぞれがG1レースを制しているレースでの猛者でもある。それゆえにこうして生徒会としての活動をしつつも、レースの練習、メディアへの対応等、多岐にわたり活動をしているのだ。

 

「今日の議題はこの辺で終わりかな……。二人とも、他に何かあるかな?」

 

「いえ、私の方は大丈夫です」

 

「こちらも何もない。それじゃぁ、私はこれで失礼するぞ。レースが近いのでな」

 

「ああ、頑張ってくれブライアン」

 

 ブライアンが生徒会室を後にし、エアグルーヴもこの後に雑誌の取材があるという事で生徒会室を後にする。それを見送ったルドルフは書類を片付けつつ……大きく息を吐いた。

 

「……疲れた……な」

 

 先日、ルドルフはレースに出場して勝利した。だが、そこまでには当然過酷な練習を積んでおり、更にレース後のメディア対応、生徒会長としての責務、生徒としての勉学と、ウマ娘としての体力を考慮しても、それは過労に到達するものであった。

 

 そうして疲れを自覚したルドルフは、スマホを手に取ると電話をかける。

 

「ハーイ、ルドルフどうしたの?」

 

「マルゼン……ああ、いや……お姉ちゃん。今度の週末は……空いてるだろうか?」

 

「あらー。良いわよ、予定はないから。ちゃんと歓迎の準備をして待っててあげるわね」

 

「うん、お願い」

 

 短いやり取り。だが、普段ならルドルフの口から出る事のないお姉ちゃんと言う言葉。これをルドルフを知るものが聞いたら耳を疑っただろう。

 

「ふぅ……トレーナー君には、週末は空けさせてもらおうか。ふふ……楽しみだな」

 

「おいおい、皇帝様が何を楽しみにしてるって?」

 

 ふいにルドルフの耳に声が届く。声のした方を向くと、そこには部屋の扉を開けたシリウスの姿があった。

 

「シリウスか。なに、極個人的な事さ。それで、何か用なのかな?」

 

「なーに、レースを終えた皇帝様が腑抜けていたら叩き潰してやろうと思っただけさ。しかし……先程妙な言葉が聞こえた気がしたな。お姉ちゃん。と言ったか?」

 

 シリウスの言葉にルドルフの尻尾が僅かに反応する。だが、それを悟らせる事はなく、ルドルフは会話を続ける。

 

「さて、気のせいではないかな? 私にそう言った呼び方をする相手がいない事は君も良く知っているだろう」

 

「……確かにそうだな。だからこそ気になるんだがな。教えてくれないか? 皇帝様よ」

 

「教えるも何もない。そんな相手など居ないさ。用事はそれで終わりかな?」

 

「……へっ、教える気はないってか。まぁいい、腑抜けてるわけでもなさそうだし、この辺で終わってやるさ」

 

 ルドルフの態度にシリウスは不敵な笑みを浮かべながらも生徒会室を後にした。それを見送ったルドルフは深く息を吐き……そして、スマホの画面を見て、少しだけ、笑みを浮かべた。

 

 

 週末、事前に外泊届を出したルドルフは宿泊用の道具を鞄に詰め、トレセン学園を出発する。そしてしばらくして、彼女は目的の場所に到着した。

 

 そこは二階建ての一軒屋であった。周囲と比べて取り立てて変化があるわけではなく、強いて言うのならばウマ娘が住んでいるのであろう、人間の感覚としては大きめの庭に、いくつかの大がかりなトレーニング道具が置かれているぐらいであろうか。そんな家のインターホンを、ルドルフは押した。

 

「ハーイ、待ってたわよルドルフ。鍵は開けてるから、入ってきて頂戴」

 

 インターホンから流れてきたのは、マルゼンスキーの声であった。それを聞いたルドルフは扉を開け、敷地に入ると、家の玄関の戸を開ける。

 

「いらっしゃい、ルドルフ。待ってたわよ」

 

「ああ……今日はお世話になるよ、お姉ちゃん」

 

「ふふ、たくさん甘えてね、ルナ♪ さ、こっちが客間だから、荷物を置いてね」

 

 ルナ。ルドルフの幼い頃の呼び名で呼びながらマルゼンスキーはルナの手を取って客間に案内する。そして、ルナは客間に荷物を置くと、そのままマルゼンスキーに抱き着いた。

 

「……お姉ちゃん、疲れたよ……疲れた……」

 

「よしよし、お疲れねルナ。ほら、お姉ちゃんの胸の中で甘えていいからね」

 

 ルナがマルゼンスキーの胸に顔を埋めると、マルゼンスキーはルナを抱きしめつつ、頭を撫でる。豊満な胸の感触と、彼女の体から漂う香り。それらを存分に堪能したルナは、そのまま彼女にもたれかかり、彼女の尻尾に自分の尻尾を絡ませる。

 

「あらあら、甘えん坊ねルナったら。そんなにお姉ちゃんが恋しかったの?」

 

「うん……疲れたんだ。とても疲れて……甘えたくなった」

 

 普段のルドルフからは出ないであろう率直な弱音。それを聞いたマルゼンスキーは笑顔を浮かべながらルナを抱きしめ続ける。

 

「良い子ねルナ。今日は一杯、お姉ちゃんに甘えちゃいなさい。さ、いつまでも立ってないで、ソファーにでも座ってなさいな、飲み物とお菓子持ってくるから」

 

 そう言って彼女はルナをソファーに座らせると、ジュースとお菓子を持ってきた。ウマ娘の好物であるにんじんジュース。そして、おかき類である。

 

「さ、今日は一緒に映画でも見ない? ちょうど良い映画を買っちゃったのよー」

 

「良い映画? どんなの?」

 

「じゃーん、あの往年の名作、全てのサメ映画の原点にして頂点よ」

 

 そう言ってマルゼンスキーが取り出したのは、往年の名作サメ映画であった。突然のチョイスにルナはしばしサメ映画のパッケージを眺める。

 

「ふふ、ルナったら、普段は怖い物なんてありませんって態度だもん。今のルナだったらどうなのかなーって思って持ってきたけど、もしかして嫌かしら? それなら別のにするけど」

 

「……いや、確かに怖いのは好きじゃないけど……これはただ怖いだけの作品じゃないと言うのは聞いているから。興味はあったから、ちょうど良い機会だよ」

 

 ルナがそう言うと、マルゼンスキーは映画を再生させる。既に50年も前の作品ながら、未だにサメ映画界の頂点とまで言われるほどの名作。それは普段そう言ったタイプを見ないルナですらも虜にする魅力があった。気づけば映画に熱中するルナ。そして最後のシーンを見終わった後には大きく息を吐いていた。

 

「ふふ、ご満足いったかしら?」

 

「うん、見て良かったと思うよ。あのサメのシーンは恐ろしかったが……主人公の家族愛の素晴らしさを感じられる作品だった。これが50年も前の映画だとはとても思えないよ」

 

 そう言って嬉しそうに笑うルナ。だが、その笑顔にどこか影が差しているのにマルゼンスキーは気づいた。

 

「ルナ、別に良い子しなくて良いのよ? 怖かったなら怖かったってはっきり言ってくれていいから」

 

「ん? いや、本当に見て良かったと思ってるよ……ああ、でも、ちょっと、シリウスの事を思い出しちゃって……」

 

 そう言うと、ルナはマルゼンスキーにもたれかかり、そのまま彼女に抱き着いた。

 

「……お姉ちゃんに電話した後、シリウスが入ってきて……また、口論したんだ。昔は……もっと仲良くできてたのに……シリウス……なんで私の事を嫌いになっちゃったんだろう」

 

 耳が垂れさがり、尻尾も力を無くし、マルゼンスキーの胸に顔を埋めるルナの弱弱しい声に、マルゼンスキーは彼女を抱きしめながら答える。

 

「大丈夫よ、シリウスが本気で嫌っていたらルナに突っかかりもしないわ。あの子はあの子なりにルナの事を心配してるだけよ」

 

「……本当?」

 

 埋めた顔を上げ、不安げにマルゼンスキーを見上げるルナ。そんな彼女に苦笑を浮かべながらもマルゼンスキーは答える。

 

「本当よ。なんなら、今度お姉ちゃんがシリウスに言ってあげるから。そんなに不安げにしなくても大丈夫よ」

 

 そう言ってマルゼンスキーはルナを抱きしめながら彼女に頬ずりする。それがくすぐったく、そしてマルゼンスキーの体温が心地よくて、ルナもそれに応えて頬ずりした。

 

「ん? もうルナったら、耳がちょっと汚れてるじゃない。ブラッシングのついでに耳かきしてあげるから、ちょっと待ってなさいな」

 

 マルゼンスキーはそう言うとルナから離れ、道具を用意する。そしてルナの頭を膝の上に乗せると、耳を摘まみ、視線を凝らす。

 

「やっぱり疲れてると手入れが疎かになっちゃってるわね。もっと言ってくれたら私も手伝ってあげるのに」

 

 そう言ってマルゼンスキーはルナの片耳を両手で包み、丁寧に凝りを揉み解していく。固まってる所を重点的に、ギュッギュッと指圧を加えていくと、滞っている血流が促進され、手の温もりとともに、耳を熱で包み込んでいく。

 

「んんっ……ん……気持ち良い……もっとして……」

 

「んー、やりすぎも駄目なのよ。あんまりやりすぎると痛いだけなんだから。でも、これだけ凝ってるとちょっと重点的にしないといけないかしら」

 

 グニグニ……モミモミ……

 

 ギュッギュッ……グーッ……

 

「あぁ……良い……すごく良いよ……お姉ちゃん……」

 

 マルゼンスキーの指が揉み解すたびに、ルナは気持ちよさそうに目を閉じて、快感を甘受する。

 

「ふふん、どう? 良い感じでしょ? 結構上手いでしょう?」

 

 マルゼンスキーはそう言いつつ、耳の付け根辺りを強く押し込む。すると、ルナの口から甘い吐息が漏れた。

 

「うぅ……そこ……もっと強く……」

 

「はいはい、分かったわよ。こうかしら?」

 

 グリグリ……グリッ! 

 

 グイッ……グッ……グッ……

 

「あっ!?……んっ!」

 

 ちょうどマルゼンスキーの指が押した場所が気持ちの良い場所だったのか、ルナの口からこれまで以上の嬌声が漏れる。

 

「あら、ここが良いのかしら? じゃあ、ここはどうかしら」

 

 それを確認したマルゼンスキーはそこを重点的に指圧していく。そして凝りを解し終わる頃には、ルナは体の力を弛緩させ、マルゼンスキーに全ての体重を預けていた。

 

「はぁ~……良いよぉ……お姉ちゃん……」

 

 マッサージが終わる頃には、ルナは彼女の太ももの上で身を捩り、顔を蕩けさせていった。

 

「ふふふ、可愛いわねぇ。前にやってあげた時も気持ちよさそうにしてたもんね」

 

 揶揄うようなマルゼンスキーの言葉に、ルナが顔を赤らめる。

 

「だってぇ……こんな事してくれるのはお姉ちゃんだけだもの……。他の人には頼めないから……」

 

「ふふ、分かってるわ。だから、今日はタップリ甘えなさいね」

 

 そう言ってマルゼンスキーはルナの耳を揉む。そしてしばらくマッサージし続け、程よく汗をかいたところでマルゼンスキーは手を離した。

 

「さぁ、汗もかいた事だし、耳かきをしていこうかしら。まずは、外側の汚れから取って行っちゃうわね」

 

 ルナの耳から離れた手が、今度は耳かきを手にして彼女の耳を摘まむ。そして、汗を吸って浮き上がった汚れを掻き取っていく。

 

「カリカリ……カリカリ……ルナの耳が綺麗になっていくのを見るのは楽しいわね」

 

「お姉ちゃん、あんまり言われると恥ずかしい……」

 

 ルナはそう言って視線を逸らすが、マルゼンスキーは気にせず、耳垢を掻き取り続ける。そしてある程度、耳が綺麗になったところで、マルゼンスキーがルナに声をかけた。

 

 「よし、これで大丈夫かな。それじゃ、次は内側の掃除を始めるけど……ちょっと危ないから動かないでね」

 

 マルゼンスキーはそう言うと、ルナの耳に耳かきを入れる。そして、先ほどと同じように耳の中を掃除し始めた。

 

「んー、外に比べるとそこまで汚れはないわね。まぁ、私達の耳は大きいから、外側に汚れが溜まりやすいのも仕方ないんだけどね」

 

 そんな事を呟きながら慎重に耳かきを差し込むマルゼンスキー。穴の手前側から慎重に、小さい耳垢や粉を搔き集め、ティッシュの上に捨てていく。

 

 カリカリカリ……カリカリカリ……と耳かきの音が木霊し、気持ちの良い部分を掛かれ、ルナはもッとしてほしいと思う。

 

「んっ……んっ……はぁ……お姉ちゃん……もっと奥まで入れても良いんだよ?」

 

「駄目よ。下手にやっちゃうと傷つけちゃうかもしれないから。そう言う我儘はメッよ」

 

 ルナの嘆願をマルゼンスキーは拒否する。一瞬ルナが悲しそうな顔をしたが、すぐに耳かきの気持ち良さに身を委ねていく。

 

「カリカリカリ……カリカリカリ……まぁ、この辺にしとこうかしら。ルナはそんなに耳垢が溜まる体質でもなさそうねぇ。前にやった時もそんなに汚れてなかったし」

 

「ん……そう……なんだ……」

 

 マルゼンスキーの言葉にルナは物欲しそうに見上げる。それを見たマルゼンスキーは笑みを浮かべた。

 

「大丈夫よ、もう片方もあるんだから。まだ終わらないわ」

 

 それを聞いたルナは、笑みを浮かべた。

 

 

「ん? ……あれ……?」

 

 目を開けたルナはぼんやりとした視界の中で周りを見渡す。すると、自分を見下ろすマルゼンスキーに気づいた。

 

「おはようルナ。耳かきで寝ちゃってたのよ」

 

「あ……」

 

 言われれば、自分の記憶の最後らへんは、耳かきで耳の奥の方を掃除されている時であった。どうやら気持ち良さのあまり寝落ちしていたようだ。

 

「うふふ、ちょっと早いけど、お昼にしようかしら。お昼もルナの大好物を用意してるから、ちょっと待っててね」

 

 そう言ってマルゼンスキーはルナの頭を下ろすと、そのまま台所へと向かっていく。一人残されたルナは、ボーっとしながらマルゼンスキーが戻ってくるまで天井を眺めていた。

 

 しばらくしてマルゼンスキーがお盆を手に戻ってくる。そこには二人分の、人参を中心にした料理が用意されており、そこには先程彼女が言った通り、ルナの好物となるものもいくつも用意されている。

 

「ほら、起きて起きて。お昼ご飯よ」

 

 そう言ってマルゼンスキーはソファー前のテーブルに料理を並べていく。

 

「うわぁ……美味しそうだよ、お姉ちゃん」

 

「ええ。一所懸命に作ったから、遠慮なく食べて頂戴ね」

 

 マルゼンスキーに勧められ、ルナは料理を口にしていく。その味はとてもおいしく、ルナは夢中になって箸を進め。そんなルナをマルゼンスキーは微笑ましそうに眺める。こうして、二人は食事を楽しむのだった。

 

 昼食を食べ終わった後、マルゼンスキーは食器の後片付けをし、ルナは再びソファーに座ってテレビを見ていた。そして、食器を洗い終えたマルゼンスキーがルナの隣に座ると、ルナは彼女にもたれかかり、体重を預ける。

 

「よしよし、良い子良い子」

 

 もたれかかったルナの頭を軽く撫でると、彼女は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 

「お姉ちゃん……大好きだよ」

 

「あらあら、嬉しい事言ってくれるわね。私も、ルナの事が大好きよ」

 

 ルナの言葉に答えたマルゼンスキー。その言葉にルナは気を良くし、笑みを深める。そうして二人はのんびりと過ごしていると、次第に日が落ち、夜が訪れた。

 

「あらあら、もうこんな時間になっちゃった。お風呂入りましょう」

 

「ん、わかったよ、お姉ちゃん」

 

 マルゼンスキーに促され、ルナは持ち込んだ荷物の中からお風呂の道具を用意する。そして、マルゼンスキーも自分の道具を準備し、浴槽に湯を張ると、二人揃ってお風呂に入った。

 

「それじゃぁ、まずは先に体を洗いましょう。ルナから先に洗ってあげるわね」

 

「うん、お願い、お姉ちゃん」

 

 椅子に座ったルナに掛け湯して、マルゼンスキーは背中を洗っていく。そして、背中を洗い終えた後にタオルを受け取ったルナが体の前面を洗っていく。

 

「じゃぁ頭を洗ってあげるわね」

 

 体を洗い終えたルナの頭を濡らし、洗っていくマルゼンスキー。くすぐったいのか時折頭を揺らしている。

 

「お客さん、痒いところはございませんか?」

 

「えっと……左側の……あ、そこ。そこが痒くて……」

 

「かしこまりました~」

 

 そんなノリでマルゼンスキーが洗っていき、洗い終えるとお湯で泡を全て流していく。

 

「はい、これでお終いね。それじゃぁ、次は私の事お願いしちゃうわね」

 

「ん、わかったよお姉ちゃん」

 

 次にルナがマルゼンスキーの後ろに回り、背中を洗っていく。そして、背中を洗い終えた後に前面を洗ったマルゼンスキーの頭を洗い、泡を全て流した後に二人で湯船に浸かる。

 

「ふぅ……やっぱりお風呂は気持ちいいね」

 

「そうでしょう? 疲れが取れていく感じがするのよねぇ……」

 

 肩まで浸かり、ホッと一息つくルナ。マルゼンスキーも同じ様にリラックスしており、その表情には安らぎが満ち溢れていた。

 

「……でも、この体勢はちょっと……恥ずかしいよ」

 

「あら、同性なんだから、気にする必要はないわよ」

 

 マルゼンスキーの家のお風呂はあくまで一人用であり、ウマ娘として身長も体格も良い二人には少々手狭である。その為、現在はマルゼンスキーにもたれかかる形でルナが背中を預けている状態であった。

 

「そうだけど……重くはない?」

 

「大丈夫よ。私だって鍛えてるんだから。それより、こうしてルナと触れ合えるほうが幸せよ」

 

 そう言ってマルゼンスキーはルナを抱きしめ、首元に顔を埋める。すると、ルナはくすぐったそうに身を捩った。

 

「お、お姉ちゃん、くすぐったいって……それに、胸が背中に当たって……」

 

「ウフフ、当ててるのよ。ルナだって立派なものを持ってる癖に」

 

「ん……んん……」

 

 マルゼンスキーの戯れにルナが身もだえる。そんなじゃれ合いをしばらく続けたのち、二人は風呂から出て、リビングで寛ぐ。互いの尻尾や髪を手入れし合い、冷たいジュース飲みながら雑談を楽しむ。

 

 そうして穏やかな時間を過ごしている間に時計の針は進んでいき、やがてルナの口からあくびが出た事を切っ掛けに就寝することになった。

 

「それじゃぁ、今日は一緒に寝ましょうか」

 

「うん、そうしよう、お姉ちゃん」

 

 マルゼンスキーの提案に頷いたルナ。そして一緒に寝室に向かうと、同じベッドに入り、互いに向き合うようにして横になる。そして、優しく抱き締めあうと、二人は眠りについた。

 

 

 

 

「ふぁぁぁ……」

 

 翌朝、マルゼンスキーがベッドで目覚めると、既にルナの姿はなかった。それに気づいたマルゼンスキーが寝室を出てリビングに向かうと、そこには既に制服に身を包んだルドルフの姿があった。

 

「おはよう、マルゼンスキー」

 

「ふぁ……おはよう、ルドルフ。もういいの? 別に学園に帰るまではルナで良いと思うけど」

 

「いや、万が一にも外で誰かに見られたくはないからな……あの姿を見ていいのはマルゼンスキーだけだよ」

 

「あらあら、嬉しい事言ってくれちゃうわね」

 

ルドルフの言葉に笑みを浮かべるマルゼンスキー。その反応を見たルドルフも微笑みを浮かべると、二人で朝食の準備を始めた。そうして準備を終えた二人は食事を摂る。その後、身支度を整えたマルゼンスキーとルドルフは自宅を出ると、電車に乗り、トレセン学園へと向かうのだった。

 

 トレセン学園に到着する頃には二人は既に普段の二人に戻っており、当たり障りのない会話をしながら学園に入る。すると、校門から二人に声をかけるウマ娘がいた。

 

「おう、お二人さん。どうしたんだ? 怪物に皇帝様ともあろう方々が、随分腑抜けた週末を過ごしてたようだな」

 

 声をかけてきたのはシリウスシンボリ。その声を聴いた瞬間、ルドルフの眉間に一瞬皺が寄るも、すぐに皇帝としての態度に変わる。

 

「なに、マルゼンスキーとは旧知の仲だ、たまには親睦を深めようと思ってな」

 

「それでこいつの家から朝帰りか? はっ、良い御身分な事で」

 

 憎まれ口をたたくシリウスに、彼女からは見えない位置でルドルフの尻尾が荒ぶる。それに気づいたマルゼンスキーは不意にルドルフに抱き着いた。

 

「そうよー。私とルドルフはマブダチなんだから♪ 羨ましいでしょ、シリウス」

 

 明らかにルドルフと顔が近く、ともすればそのままキスができるのではないかと言うその距離にルドルフは顔を赤らめ、シリウスは眉間に皺を寄せた。

 

「マ、マルゼン……ち、近い……」

 

「はっ、なんだそりゃ。見せつけてるつもりか?」

 

「そうよー……シリウス、ルナの事が気になるのはいいけど、たまには素直に接してあげないと、ルナが困っちゃうわよ。程々にね」

 

 マルゼンスキーの言葉にシリウスは更に眉間に皺をよせ……そして、舌打ちをした後にそのまま背を向け、歩き出してしまった。

 

「……あらあら。恥ずかしがり屋ね、シリウスったら」

 

「……なぁ、マルゼンスキー……そろそろ離れてくれないか……」

 

 クスクスと笑うマルゼンスキーにルドルフが困った顔で嘆願する。それを聞いたマルゼンスキーは更にルドルフに引っ付く。

 

「何よー。私達マブダチじゃない、これぐらい平気平気」

 

 楽しそうに引っ付き、尻尾ハグまで行うマルゼンスキーと、困った顔をしつつも、無理に引き離そうとしないルドルフ。そんな二人は傍から見ればじゃれ合いながら、学園内を歩いていくのであった。

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