オラリオに最悪の呪詛師がいるのは間違っているだろうか?   作:五月雨@ノン

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お 待 た せ(威風堂々)







決闘 【後編】

 

 

黒閃

 

 夏油の拳に黒い閃光が宿り、オッタルの恐るべき剛腕から振るわれた大剣とぶつかった。

 バチバチと黒い閃光が大剣を蝕み、その一部を包み込んだその瞬間

 

 

「は」

 

オッタルの剣の刀身は夏油の拳によって破壊された

 

(俺の剣が、拳に負けただと!?)

 

オッタルの内心は驚愕に満ちているが、刀身が折れたその一瞬の体幹の軸のブレ、衝撃で振り上げられた腕、そしてそれによって出来た隙を夏油は決して見逃すことはなかった

 

素早く、懐へと潜り込み、発勁などを使用せずに呪力で強化した拳をオッタルの腹部へと叩き付けた。

 

先程では、決して決定打にならない程しか与えられなかった技術なしの拳での攻撃は黒閃という呪術師での一種の儀式を経て、猛者オッタルでさえ決定打に成りうる程に重く、鋭い攻撃へと昇華された

 

オッタルは口から体内の二酸化炭素を吐き出し、くの字に体を曲げ、ダンジョンの壁へと叩き付けられた。

 

 

「.....どういうこと」

 

 フレイヤは目の前の出来事にまるで信じられないものを見るかのように目を大きく見開いた。

 それは夏油の急激な進化のことも多少は含まれるが、フレイヤが驚愕しているのは夏油の魂だった

 

(魂が浄化されている....!?)

 

 フレイヤから見た夏油の魂はまるで汚泥を煮詰めたかのようなおどろおどろしい人間の負の感情をかき集めたように穢れた物だった。

しかし、先程の黒閃を経て、黒茶色の中から純白の色を灯した。魂とはそう簡単に変えられるものではなく、その人の人格や人生を表したものだ

 

 

だが、夏油はその魂をこの短時間で純白を灯してみせた

 

(私の、見間違え?いや、確かにアレの魂は全て穢れていた筈。この短期間で改心?いや、()()()()()?)

 

どれだけ考えようともどれも答えとなる決定打にはなることがなかった。

 

フレイヤは思わず、口角を上げた

 

(あぁ、分からない!まるで理解出来ない!この私が!)

 

 

 

だからこそ、()()()

 

それは未知を求める神としての性か、それともフレイヤという神の傲慢さが表れたものなのか、それはフレイヤ自身でしか分かり得ぬこと

 

フレイヤは先程とは明らかに違う目付きでのこの戦いを見守る。結果の分かりきった出来の悪い紙芝居から、結末は文字通り神ですら知り得ない演目へとその姿を変えたその戦いを

 

「さぁ、見せて頂戴!名も知らぬ貴方のその魂を!未知を!」

 

フレイヤは興奮を隠しきれぬように妖艶に頬を紅く染め、更に口角を上げた

 

 

 

 

ダンジョンの崩落した瓦礫に身を沈めていたオッタルがガラガラと瓦礫を吹き飛ばし、その身を現した

 

口からはタラりと血が流れており、ポタリポタリとダンジョンの地面を紅く染めていた。決して少なくないダメージを負っているのは誰から見ても明らかであるが、流石は現オラリオ最強と言うべきか、体幹は全く崩れておらず、身に纏う覇気は未だに健在だった

 

 オッタルは自身が握っている刀身を折られた剣を邪魔だと言わんばかりに投げ捨て、拳を構える。

 普通であれば、自身の武器を破壊されれば圧倒的な不利に陥り、誰もが苦々しく顔を顰めるがオッタルには鍛え抜かれた鋼の肉体がある。そして、オッタルは歓喜していた

 

オッタルの一番の使命はフレイヤの従順なる僕であること。だが、そのオッタルにも人並みの感情は持ち合わせており、最近のオラリオでは自身を追い詰める敵など存在せず、オッタルは戦士として暇を余していた。

 

だが、そんな時に夏油が現れた

 

(あぁ、何時ぶりだろうか。このピリつく緊張感、一瞬の油断が死へと繋がる命の取り合いを!)

 

オッタルは口角を僅かに上げ、その身に纏う覇気をより深く、より猛々しいものへと変化させる

 

夏油はそのオッタルの様子を冷静に観察しながらも、黒閃を経験して自分がナニかの境界線を越えたのを感じていた

 

夏油は内心驚愕に満ちていた。まるで世界が広がったような錯覚に自身から溢れ出る程の全能感に

 

そして、チラリと一瞬だけ最強(五条悟)の背中が瞳に映ったことを

 

(お前はとっくの昔に此処を通っていたんだな)

 

追い付くにはあまりにも遠すぎるその(五条悟)に手を伸ばす

 

誰もが無理だと手を伸ばすのを諦めてしまったそれを愚直に追い続ける夏油は見る人によっては愚かに見えるだろう

 

だが、夏油は諦めるつもりなんてサラサラない

 

 

(だから、これも私にとっての通過点だ。私が更なる跳躍をする為の踏み台。それ位でなければ最強には届かない)

 

 夏油もオッタルに応えるように拳を構える。その存在感は先程までとは段違いで清廉ながらも相手を圧倒する恐ろしさをその身に秘めていた。

 だが、オッタルは怯むことは無い。何故ならオッタルは現オラリオ最強なのだから

 

「往くぞ」

 

オッタルが一歩を踏み出した。先程までなら見失っていたオッタルの姿を夏油はその目に映し込んでいた。

 

次の瞬間にはオッタルと夏油の拳がぶつかり合っていた。その余波にダンジョンの一部は崩落し、地面に亀裂が走った。技など存在しない純粋な殴り合い、だからこそそこで身体能力の差が表れる

 

「オォォォ!!」

 

「ッ」

 

(やはり、純粋な殴り合いとなれば此方が不利。だが、この程度を覆すことが出来ずに、最強を名乗れる訳がない!!)

 

 

拳がぶつかり合う度に響き渡る衝撃音と、巻き起こる突風。二人の拳の応酬のレベルの高さがそこに表れていた

 

 だが、ぶつかり合う度に夏油の拳に響く衝撃は段々と蓄積していく。

 段々と激しさを増していくこの応酬に夏油はどう突破口を開くか頭を回す

 

その時、ふと頭を過ぎったものは夏油の持ちうる中でも切り札に当たるうずまきだった。

 

夏油は一旦、疾毀鋼と千切れた鎖を収納型の呪霊に吸わせつつ思考を続ける

 

(私は今までうずまきを呪霊からの呪力を抽出し、併合させる物だと思っていた。だが、術式を抽出することも可能なのでは無いか?.....試す価値はある)

 

 

極の番 うずまき

 

「ッ!」

 

(威圧感が増した....!アレは一体)

 

オッタルはうずまきを警戒して、迂闊に近付けないでいる

 

(やるなら今か)

 

「抽出」

 

夏油は準一級の呪霊をうずまきで取り込み、呪力と術式の曖昧な境界線を正確に読み取り、術式を抽出させる。常人では放り投げ出す程に精密な作業を夏油は正確に、尚且つ恐るべき速さで進める

 

そして、作業を終えて手に残ったのは黒い玉だった

 

(作業は成功した。私の推測が正しければ、私は術式を複数使用することも可能になる)

 

夏油はゴクリとその黒い玉を呑み込んだ。最早懐かしくもある吐瀉物を処理した雑巾のような味が口に広がる。慣れていなかった頃はその度に嘔吐き、涙を流していたが最早それにももう馴れてしまった

 

 

(黒い玉を呑み込んだ?一体何の――)

 

そんな考えを遮るように夏油から白い閃光が舞った

 

 

「ッ!?」

 

 

次の瞬間には夏油の姿が消えていた

 

「一体何処に――」

 

オッタルの言葉は言い終わることなかった

 

突如、腹部に走る鈍い痛みに口を止め、口から血を吐き出した

 

(馬鹿な、意識が少しズレたといってもあの一瞬で俺の懐に入った、だと!?)

 

「ッ!ガァァ!!」

 

オッタルは懐にいる夏油を退けようと剛腕を振るった。オッタルの全力その一撃は最早人智の領域を超越しており、これを喰らえば幾ら覚醒状態の夏油といえど死ぬことはないだろうが戦闘不能に陥る程の傷は負うだろう

 

夏油の顔面へと拳が刺さろうしたその直前に、夏油は白い閃光と共に姿を眩ました

 

 オッタルの一撃が地面へと突き刺さり、階層全体を大きく揺らし、亀裂を走らせた。

 それにオッタルは躱されたことを即座に悟り、防御の構えを来るであろう夏油の攻撃に備え、防御の構えを取る

 

だが、夏油のスピードはそれを上回った

 

「鈍い」

 

 夏油の蹴りがオッタルの脇腹に突き刺さり、オッタルはダンジョンの壁へと再度体を叩き付けられた。

 自分が目で追うことすら出来ない超高速の移動からの芯の入った蹴りにオッタルは目を白黒させ、その鋼の如き体躯は再度ダンジョンの壁へと叩き付けられた。

 

夏油は叩き付けられた衝撃で崩れた瓦礫に呑まれたオッタルを警戒しつつ自分の現在の状態を確認する

 

(黒閃の副次効果なのか、異様に体が軽い。何より呪力の質が圧倒的に上がったのは此方としても有り難い。そして、うずまきは術式を抽出することが可能ということが分かった。しかし、これを使用すると呪霊を消費するようだ。だから無闇に使うものではない)

 

「だが、今回においてこの選択は間違っていなかった」

 

バチバチと夏油は指から眩い球体を作り出し、オッタルが埋まる壁へと放つ

 

高速で放たれたそれはオッタルがいるであろう場所へと着弾する直前に剛腕がそれを薙ぎ払った。

 

「全く、恐ろしいよ」

 

「貴様のそれはあの電撃を放ったモンスターの魔法か」

 

オッタルが瓦礫を吹き飛ばし、夏油へと問い掛ける。

夏油は内心、そのタフさに驚愕するがそれを心の内に塞き止め、オッタルの問い掛けに応える

 

「あぁ、私の術式...いや、魔法であのモンスターの魔法を抽出して私が取り込んだ」

 

「.....なるほどな。どうやら俺は未だにお前を無意識下で侮っていたようだ」

 

「だが、安心しろ。ここからは俺の全身全霊を賭けてお前を打倒することを誓おう」

 

オッタルから放たれる威圧感が明確な意志を持って、夏油へと牙を向いた。その威圧感は実際に質量があると錯覚させる程に重圧でその全ては標的である夏油へと向けられる

 

そんなプレッシャーの中、夏油は気遅れせずに笑ってみせた。まるで日常の一コマのように

 

 

「ほざけ、私にとってこの戦いオッタルは通過点に過ぎない。故に、退いてもらおうか元オラリオ最強」

 

そう夏油が答えると、オッタルはクツクツと笑った

 

「退くのはお前だ、なんせ俺は現オラリオ最強なのだから」

 

瓦礫の一部が、落ちた瞬間に二人はほぼ同時に動き出した。ぶつかり合う超速度の拳のぶつかり合いはさながら台風の如く風を巻き起こしては、ダンジョンの壁や地面を抉る

 

スピードは夏油、パワーではオッタルが勝り、総合的に見れば二人はほぼ互角の状態。

 

 

故に、その二人の戦いは一瞬の油断が命取りだった

 

(もっと、もっと深く!術式の理解を!概念を!そして、想像を拡大させろ!!)

 

 夏油は地面へと電磁波を放つ。ビリビリと地面へと電磁波が広がり、オッタルへと迫るがそれをオッタルはものともせずに夏油へと肉薄する。

 オッタルの拳が轟音を立て、凄まじい速さで夏油へと迫る。その威力は例え夏油でも防御をしなければ致命傷を負う程の威力。

 

それを夏油はただ見つめていた。

 

(コイツ、一体何を....?目に追えていな訳でもない。なら勝つことを諦めた....?いや、有り得ない。コイツの目は、何かを待って―――

 

 空気を切り裂く音と共に、オッタルの腕に衝撃が走り、夏油へと放った拳が下へとブレる。

 オッタルの目が驚愕で見開き、一瞬遅れた後に腕から激痛が走り、激痛が走った部分から温かい液体が流れ、紅い川を描く

 

(何が、起こって―――)

 

自らの腕を貫いていたのは

 

 

(俺の剣、だと!?)

 

それはオッタルの剣。より正確に言うのならば夏油によって折られた刀身と言った方がより正確だろう。それがオッタルの拳が夏油へと当たりそうになるその瞬間に、寸分違わずに狙って下へ逸れるように腕を深く貫いていた

 

(どんな仕掛けが――)

 

「考える暇なんてあるのかな?」

 

夏油の拳がオッタルの鳩尾へと深く刺さり、その衝撃によりオッタルの巨体が地面から離れ、宙を浮く

 

「ァ」

 

(不味い、流れに追いつけ―――)

 

オッタルの巨体を柄が下へと叩き付け、強制的に思考を止められる。その叩き付けられた方向の先には夏油が既に拳を構えており、顔面へと振り抜かれる

 

まるで顔の肉その物が抉られるようなその衝撃にオッタルは少なくないにダメージを受けるが、夏油の拳に対抗するように首に力を入れ、その衝撃で横へと吹き飛びそうな体を堪える

 

夏油は完璧な隙を突いた自身の拳が受け切られたことに衝撃を受けながらも、攻撃する手を止める程、夏油は愚かではない。夏油はオッタルの顎を撃ち抜かんと足に呪力を纏い、蹴り上げる

 

「舐めるなァァッ!」

 

 オッタルは自身の背中に叩き付けられている柄を脅威の腕力で打ち払い、ハンマーを振り下ろす要領で両腕を夏油へと叩き付けた。

 夏油は咄嗟に腕に呪力を集中させ、腕をクロスさせて防御をするがギシギシと骨が悲鳴を上げる

 

(呪力を集中させての防御でもこれ程衝撃が来るのかッ、コイツの腕力は出鱈目過ぎるッ。体勢が崩れ――)

 

 足を蹴り上げた状態から咄嗟の防御で体勢はお世辞にも整っておらず、夏油の足は限界を迎え、地面へと背中から倒れる。

 背中に走る衝撃に夏油は口から空気と血液を吐き出し、ギシギシと背中の骨も悲鳴を上げた。

 

そんな夏油に追い打ちを掛けるように夏油の顔面へとオッタルは拳を振り抜く

 

「ッ!」

 

 夏油はそれを体をローリングすることで回避し、その勢いで体制を立て直し、立ち上がる。

 地面はオッタルの一撃を受け、その階層全体へとヒビを入れる。それに少し戦慄しながらも夏油は勝つ為の思考を回し続ける

 

(一進一退の戦いだ。だが、長引けば長引く程に不利な立場になるのは恐らく私だ。なら....)

 

オッタルも夏油へと目を向けながら思考を回す

 

(奴の対応力はハッキリ言って異常だ。それに奴が使役するモンスターや魔法、それ等を含めば俺を封じ込める手立ては時間を経つ度に完成度が増す。なら....)

 

 

 

“一気に畳み掛ける!”

 

二人の思考が完全に合致し、ほぼ同時に両者は動き出した

 

(力の押し合いでは私の方が分が悪い。なら、圧倒的に速さからの一撃で終わらせる!)

 

夏油は持ち前のセンスと黒閃により誘発されたゾーンという領域に入ったことにより極限まで研ぎ澄まされた集中力により、夏油は呪霊から抽出した術式を元々の持ち主以上に使いこなし、出力も呪霊のそれより限界値を大幅に上回り、範囲も広がっていた

 

夏油は体に纏っていた閃光を、恐るべき呪力操作で自らの足に集中させる。もし、少しでも操作を誤れば自らの足を潰すことになるがそんなことを毛ほども気にしない様な澱みない操作でバチバチと輝く閃光をより圧縮させ、足へと纏う

 

(足に光が集中している。奴も俺と同じ考えに至ったということだな....ということは速攻か、ならば俺は....)

 

「往くぞ」

 

「ッ!来い!!正面から叩き潰してやる!!」

 

夏油が力強く一歩を踏み出した瞬間に地面が罅割れ、その身から閃光が弾けたと思ったその瞬間に

 

 

夏油は既にオッタルの背後に移動していた

 

「ッ!」

 

(目で、追うことすら出来なかったッ!)

 

「終わりだ」

 

夏油が拳に呪力を纏わせ、オッタルの体にその拳を叩き付けた。その威力はこれまでの一連の流れによってオッタルにダメージを与えられることが分かっており、それに加えて呪力を拳に集中させたことからオッタルを吹き飛ばし、戦闘不能に陥らせることが出来るだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

(拳が進まない)

 

 だが、夏油の一撃はオッタルを戦闘不能する処かその身を吹き飛びすことすら無かった。

 夏油の拳はその鋼の体に完全に受け止められ、ピクリとも拳は進むことは無かった

 

(分かっていたとも、お前が俺を振り切る程のスピードを出せることなど。故に、態と俺は攻撃を受けた。俺自身の全てを防御に回して、な)

 

オッタルは夏油の足を踏むことによって夏油が自らの一撃を回避することを未然に防ぎ、夏油を確実に仕留める準備が整わせた

 

オッタルの拳が夏油の脳天へと振り下ろされた

 

(捕ったッ!)

 

オッタルが勝ちを確信すると夏油がオッタルを見上げる。自身の拳をけ止められ、逃げを防がれた夏油にもう打つ手はない

 

だが、その目は三日月を描いていて―――

 

「ありがとうオッタル。()()()()に動いてくれて」

 

オッタルの腕に何かが這った、それは鎖

 

 それが何重にも重なり、オッタルの攻撃を阻害するように腕に絡み付いた。

 それは先程オッタルによって千切られた物であり、強度は変わらずとも、何重にも重なることで千切られることを未然ひ防いでちた

 

(馬鹿な、確かにコイツは鎖を仕舞って......ッ!まさか、コイツ!!)

 

「切ったのか、鎖を!俺を鎖を完全に仕舞ったと錯覚させる為に!!」

 

その証拠にその鎖は千切られたにも関わらず、刃物で切断されたような人為的な切れ目が付いていた

 

(クソッ!クソッ!クソッ!!この状況も全て、全てコイツの掌だったのか!)

 

「言っただろう、終わりだと」

 

夏油の拳に呪力と白い閃光が纏われていく、オッタルに出来ることはただ敗北を待つのみ

 

(次だ、次こそは――――

 

「ありがとう。君のおかげで私は更なる高みへと至った」

 

夏油の一撃がオッタルの頬を突き刺し、オッタルは地面へと倒れ伏した後に夏油は戦闘態勢を解いた。

 

これにより決着はついた

 

 

「私の勝ちだ」

 

闘争の果てに立っていたのは嘗ての最強の片割れ、そして史上最悪の呪詛師、(五条悟)に手を伸ばす愚者

 

 

その名は――――

 

 

 

 

 

          夏油傑

 

 

 これより(五条悟)を追い続ける愚者の冒険譚は始まった。本来交わる筈の無い出会いがどのような変化を世界に下すのかそれは神にすら理解し得ぬこと。

 だが、夏油は止まらない。例え、その身が太陽に近付きすぎたイカロスの翼が燃え尽きたように、星に手を伸ばしその身が焼け焦がれようとも夏油は足を止めない。

 

何故ならば―――

 

(後戻りなんてしない。何故なら私は五条悟の唯一の親友にて、片割れなのだから。例え、どれだけ時が経とうとも、必ず至ってみせる)

 

「ここからだ、ここからが本当の始まりだ」

 

夏油は薄暗い地下から宇宙(そら)へと手を伸ばした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでどうするつもりだ?お前は」

 

「フフフ、何もしないわ。オッタルを回復させて、ホームへ帰るだけよ」

 

 それだけ聞くと、夏油は上の層へ戻る為にフレイヤへと背を向けて歩き出す。念の為に呪霊を呼び出し、フレイヤを監視しながら。

 フレイヤは呪霊を見て一瞬だけ顔を顰めた後に、夏油へと蕩けるような笑みを向ける

 

「ねぇ、貴方の名前を教えて欲しいの」

 

 男であれば誰でも顔を赤くし、どんな無茶難題でも頷いてしまいそうな程の甘い声で夏油へと問い掛ける。

 夏油はその声にピタリと足を止め、フレイヤへと振り返る

 

その表情は能面のように冷たく、フレイヤを明らかに軽蔑していた

 

「誰が教えるか、若作り尻軽クソビッチ。さっさと腐り死ね」

中指を立て、ニッコリと嗤った後に夏油は来た道を戻って行った

 

「ふ、フフ、フフフフフ」

 

 女であれば全て侮辱に当たるその暴言の嵐に、フレイヤは肩を震わせた。

 普通の女性であれは怒りで顔を歪めるが、フレイヤは普通などでは決して無かった

 

「この私がこんなぞんざいに扱われるのなんて初めてよ。けど、不思議と悪い気はしないわ」

 

そこにあるのは未知に対する喜びの笑みとまるで好いた相手に向ける乙女のような表情だった

 

「あぁ、名も知らない貴方!貴方を私の手に収めた時、どれ程の未知が手に入るのかしら!あぁ、本当に」

 

 

楽しみだわ

 

フレイヤは自身が思い描いた未来に、体をくねらせた

 

 

 

 







思ったことがあるんですけど、準一級以上の呪霊の術式
を使うことが出来る夏油ってレフィーヤに似てると思いませんか?

レフィーヤ=夏油.....つまり夏油はレフィーヤってこと!?

ッ!レフィーヤの服を着た夏油

( ゚∀ ゚)ハッ!
ちょっとインスピレーションが湧いたので失踪します


感想、書いてくれてもええのよ?(小声)

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