オラリオに最悪の呪詛師がいるのは間違っているだろうか?   作:五月雨@ノン

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決着

 

 

ベート・ローガ(凶狼)....!」

 

 夏油の鋭い視線の先には、月光を存分に浴び、本来の姿を取り戻した気高い狼がそこに立っていた。その姿にロキ・ファミリア一同は動揺し、主神であるロキですら珍しく目を開いて驚いていた。

 ベートは背後にいるアイズに一瞬だけ目を向け、退けるようにと手を振る

 

「これは俺とアイツの戦いだ。他の奴等は手を出すんじゃねェ」

 

「....でも、このままじゃ」

 

「でもじゃねぇ。俺が始めたことだ、俺だけで終わらせるのが筋だろうが」

 

 ベートのその言葉にアイズは黙り込むが、団長であるフィンは自殺とも言えるベートのその無謀な行動を咎める

 

「今の君では彼には勝てない。単独で挑むのは極めて危険な―――「分かってる、アイツが俺よりも強いなんてことわよ。けど、此処で逃げたら冒険者じゃねェ」

 

 ベートのその言葉と決意の篭ったその瞳にフィンは、ロキ・ファミリアの面々は息を呑み、察した。ベートが己という殻を突き破らんとしていることを

 

 

殻を破る。即ち――――レベルアップ

 

ベートは今正に、己を越えようとしている

 

「....分かった」

 

「フィン!?」

 

リヴェリアがフィンの判断に異議を唱えようとするが、フィンの視線により押し黙らせられる

 

「....本当に危険だと僕が判断した場合は止めに入る。これが妥協点だ」

 

「....あぁ、それで構わねぇよ」

 

ベートがそうぶっきらぼうに言い放ち、フィンへと背を向ける

 

 

「やるからには全力で勝ちをもぎ取ってこい、これは団長命令だ」

 

背後からのフィンのその言葉にベートは笑った

 

「言われなくても、やってやるよ」

 

 ベートは首の骨をコキリと鳴らし、夏油と向き直った。夏油は周りにいる呪霊達を仕舞い、ベートとの一対一という状況を作り出す

 

「おや、大丈夫かい?飼い主達と一緒に戦わなくて、自分の尻拭いすら出来ない()()()

 

 夏油はその優秀な頭を回転させ、ベートを煽るのに最適な言葉を選び抜く。そうすればベートのプライドが大いに刺激され、激昂することを知って

 

 

「返す言葉もねぇよ」

 

だから、その返しに夏油は大いに困惑した

 

ベートはプライドが高く、自分を侮辱するような言葉を吐かれればその者を叩きのめす程に短気で喧嘩早い

 

そんな男が、先程の夏油の言葉を受け入れるなんてことはこの場にいる全員が予想だにしていなかった

 

「今の俺は負け犬だ。勝手に思い上がって、見たくねぇもん現実から逃げて、周りの奴等に迷惑を掛けて、そんで自分の尻拭いも出来ねぇ。そんなみっともねぇ存在だ」

 

「けどよ、もし俺がここでお前が言う通りに逃げちまったら俺は本当の負け犬になっちまう!逃げちまうこのクソみてぇな現実から!!無駄になっちまう!アイツ等の思いが!!」

 

「そんなこと俺は赦さねぇ!そんな腑抜けた自分を想像するだけで反吐が出そうだ!!俺は前に進み続ける!それが俺が俺たる証明だからだ!!」

 

「だから!俺は、お前に立ち向かう!全てを賭けてでも!!例え、それが自らの命だとしてでもだッ!!」

 

ベートのその叫びに、夏油は少し目を瞑った後に開眼した。その瞬間、先程の夏油の重苦しい雰囲気がガラリと変わり、研ぎ澄まされた刀のような物へと

 

 

「そうか、ならば掛かってくるといい。凶狼、いや()()()()()()()

 

その言葉にベートは口角を裂かんばかりに笑った

 

「やってやるよ!夏油傑ゥゥゥゥ!!」

 

二人は同時に駆け出した

 

(真正面だとステイタスの差で押し切られる!なら、俺のやれることは速さで勝負するしかねぇ!)

 

「ラァァァァァ!!」

 

ベートが銀色の光と化し、夏油を振り切らんと疾走する。その勢いは突風を巻き起こし、轟音を鳴らした。

 

「リヴェリア!追加の魔法を頼む!」

 

「あぁ、全く人使いが荒い!!」

 

 

「舞い踊れ大気の精よ、光の主よ。森の守り手――

 

 スピードに乗ったベートの拳が夏油の頬目掛けて放たれるが、夏油もそれを拳で応戦する。この程度は捌かれると察していたベートは、ラッシュを繰り出す。

 だが、それも全て夏油に対応され、夏油が反撃の横蹴りを放つ。それをベートはギリギリで反応し、右手の籠手で防御をする。体は吹き飛ばされなかったが、土煙と共に両足と地面の擦れる音が大きく響いた

 

 

我等を囲え大いなる森光の障壁となって――

 

 

「ラァァァァ!!」

 

 ベートが地面を深く踏み込み、先程よりも速いスピードで夏油へと接敵する。それは今までよりも1段階速く、それはレベル5の域をとうに超えていた。

 だが、それでも夏油には届かない。

 光を纏った夏油は、攻撃を仕掛けるベートの背後へと立ち、ベートの無防備な背中へと拳を振るう。ヒヤリとベートの背筋に悪寒が走り、ベートのこれまでの戦いで築いた勘が夏油の攻撃を察知する。ベートは咄嗟にバク転をすることによって攻撃を躱す

 

 

我等を守れ

 

 

「夏油!!!」

 

着地した瞬間にベートは夏油へと走り出し、自慢の蹴りを放ち、夏油は何時の間にか取り出したのか、特級呪具である游雲へと呪力を纏わせる。游雲は蒼色の呪力を纏い、ベートへと振るわれる

 

 

我が名は――アルーヴ」

 

リヴェリアが詠唱を唱え終わると同時に、二人の攻撃はぶつかり合った

 

その瞬間に、今までのものとは比べにもならないほどの衝撃が走り、金属音と共に激しい突風を巻き起こし、地面の一部にヒビ割れ、風で浮き上がらせられる

 

「ッ!」

 

(なんて、衝撃だ!ギリギリ間に合ったが、もしリヴェリアの詠唱が間に合わなければ....)

 

フィンは想像しただけでゾッと背筋に冷たいものが走った

 

 一級冒険者であるフィン達ですら驚く程の強風を恩恵を持たない住民やレベルの低い冒険者からすれば脅威でしかないの当たり前のことだった。

 フィンはリヴェリアに深く感謝し、それを生み出した夏油とベートに驚愕する

 

(やはり、彼の戦闘能力は計り知れない。だが、ベートがアレを使用したとしても余りにも高すぎる。一体どういう事だ.....)

 

「フッ!」

 

 

 夏油が游雲を振り切るが、ベートは空中でフワリと一回転することで勢いを殺し、何事もなく着地をする。

だが、それを先読みしていた夏油はベートの着地をした瞬間を狙う。ベートもそのことを瞬時に察知し、体勢を変え、近くに形だけを保っていた木を踏み台として夏油へと蹴りを放つ。

 それを夏油は游雲で難なくと瞬時に対応するが、ベートの蹴りの威力が思いの外強かったのか、グラりと体の重心が僅かに後ろへと傾く

 

それを見逃す程、ベートは甘くなかった

 

「ガラ空きだァ!!」

 

ベートの蹴りが夏油の脇腹を捉え―――

 

 

 

 

「それはどうかな?」

 

るより前に夏油がベートの足をガシリと掴み、傾いた重心を利用し、後退した右足で地面へと思いっきり踏み込み、背負い投げの要領でベートの攻撃を受け流すのと同時にベートを地面へと叩きつけるカウンターを放つ

 

(コイツッ!ワザと重心をズラしやがった!!俺の攻撃を誘う為に!!)

 

ドォン!という轟音と共に、ベートは地面へと叩き付けられ、ベートの口からは空気と共に血が吐き出される

 

「ァ」

 

(まず、い。体勢、を整、え―――

 

 

「隙ありってね」

 

 そんな夏油の声と共に、夏油の蹴りがベートの腹を穿つ。ミシミシとベートの骨が悲鳴を上げ、ゴロゴロと地面を転がされた後にその勢いのまま壁へと叩き付けられ、ズルりと瓦礫と共に崩れ落ちた。

 これにはベートの要望で様子を見ていたロキ・ファミリアの幹部等や主神であるロキ、ヘスティアも止めに入ろうとする

 

 

「これ以上は、流石にアカンちゃうか」

 

ロキの口からそんな言葉が漏れる

 

「フィン!これ以上はベート死んじゃうよ!」

 

「団長!ティオナの言う通りです!止めに入るべきでは無いですか!?」

 

「フィン....」

 

団員達の声がフィンへと決断を迫る

 

 

「そうだね。これ以上は流石に不味い」

 

(幾らベート自身の要望と言えども、これで仮にベートが死んでしまっては戦力の大幅な低下、ファミリア全体の意識が下がる。それに、僕としてもこれ以上は看破出来ない)

 

「流石にベートも今の一撃を喰らって戦闘不能に陥っている筈だ。ベートには悪いがこの戦いはやめに「邪魔、すんじゃ、ねぇよ」ッ!ベート!?」

 

意識を失ったと思っていたベートの声にフィンは驚愕し、ベートの姿をまじまじと見せつけられる。体は傷がない場所が少ないと思えるほどにボロボロであり、口から流れ続ける血が地面を紅く濡らし続けていた

 

「ハァ、ハァ....」

 

「....ベート、流石にこれ以上は君の命が」

 

「分かってるッ!そんなことはッ!!」

 

「君がここで命を落とすには惜しい。戦いの続きならまた今度の機会で良いんじゃないか?」

 

「....今じゃなきゃ駄目なんだよ、今ここで超えなきゃいけねぇんだよ!!過去も!俺自身も!!」

 

フィンが違うとまた口を開こうとするが、それよりも早く、アイズが口を開いた

 

 

「どうして、そこまで戦うの....?ベートさんは何を成したいの?」

 

 アイズは分からなかった。ベートがどうしてここまで実力差を見せつけられ、ボロボロになりながらも立ち上がり、夏油へと立ち向かおうとするのかを。

 アイズは怪物を、自分の両親を殺した黒龍を憎悪している。故に、アイズは自身がどれだけ傷つこうとも前へと歩みを進め続ける。その果てが自身の死であったとしても、自らの悲願が達成されるならば喜んで命を捧げるだろう。だが、ベートにはモンスターに対する憎悪はあれどアイズのような悲願は無い、あるのは力に対する執着とその中にある僅かな自責。

 アイズには分からなかった。どうしてそこまで力に対して執着するのか、第一級冒険者に至っても尚、止まることの無いその思いが

 

 

ハッとベートが笑って、口を大きく開けた

 

「そんなの決まってんだろ!!」

 

 

「俺の護りてぇもん全部!護る為だ!!」

 

その答えにアイズが、ロキ・ファミリア等が目を驚愕に目を大きく見開いた

 

 

「今までの俺は護りてぇもんを全てこの手から零し落とし続けてた!!それにヤケになって、色んな奴に噛み付いて!暴力を振るって、周囲に迷惑をかけ続けるゴミだ!」

 

「それでも!この零し続けたこの両手でも護りたいと、心から思えるもんを護れることが出来たのなら!!そんな力を手に入れられるのなら!俺は前に進み続ける!過去の愚かな自分すらも振り去って!」

 

「例え、この思いが俺の身勝手なエゴだったとしても!!俺のこの思いは、間違いだなんて誰にも言わせねぇ!!!」

 

ベートの心からの叫びに、ロキ・ファミリアは、ロキは、ヘスティアは、息を呑んだ。目の前にいる血に塗れている狼人の中に見た。その壮絶なまでの人生の一旦を、その英雄にも似たベートの本質の一端を

 

 

「だから!だから!!勝負だ、ゲトォォォォォ!!」

 

ベートが己自身すらも振るい去るように疾走する

(...これ以上は、私としてもヘスティアとしてもメリットがない。増してや、死んだとすればペナルティは流石に免れ無い。)

 

 

 夏油は手の平に光を顕現させ、それを地面へと弾けさせる。それは疾走するベート目掛けて奔り、ベートのその身を駆け―――ることは無かった

 

ベートの体に駆け巡る筈であった、雷電はベートの靴に吸収され、ベートの足に光が灯った

 

 

「ッ!」

 

(私の攻撃が吸収されたッ!)

 

だが、ベートのフロスヴィルドは魔法を吸収する物であり、夏油が行使する術式は魔法と似て非なるものであるが故に、完全に吸収することは出来ず、フロスヴィルドから吸収しきれなかったものがベートの全身を駆け巡った

 

「―――ッ!」

 

(体が痺れ、る。だが、我慢できねぇ程じゃねぇ!!)

 

 

「ォオォォォォ!!」

 

 ベートが夏油に接敵し、蹴りを放つ。それを夏油はギリギリ反応し游雲で防御をするが、その上で後ろへと飛ばされる。ベートは夏油に更なる追撃を放つが、寸での所で夏油は全てを対処する。それにベートは内心、舌打ちし、自らの能力不足を呪った

 

 

(足りねェ!!もっと、もっとはやく、疾く!!全てを置き去りにする程に!!逆境すらを踏破する程の!!)

 

 その時、運命が祝福でもしているのか、ベートの背中に熱が灯った。次の瞬間、ベートは流星となった

 

「ラァァァァァァ!!!」

 

ベートが游雲で防御する夏油を下から蹴り上げ隙を無理矢理作る

 

「ッ!」

 

(コイツ!先程よりも、攻撃が強くッ!?)

 

「オォォォォォ!!!」

 

夏油の顔へとベートの蹴りが放たれる。それは幾ら夏油と言えども最早、防御するには既に遅くかった。ゾクリと這い寄る敗北の気配に、夏油は無意識の内に切り札を切った。

 

 足に収束する光と共に夏油はベートの背後へと移動していた。夏油はベートの後頭部へと拳を振るう

 完全に意表を突いた夏油の攻撃。これを躱すのはオッタルと言えども困難であり、それよりもレベルが下であるベートなど以ての外だった。

 だが、それを覆すようにベートは夏油の拳を回避した

 

 

「!」

 

(意表を突いた。目も私の動きに追い付いていなかった。なのに何故―――!まさか、勘で私の攻撃を!?)

 

 そう考えている内にベートの裏拳が放たれるが、夏油はそれを回避し、バックステップをすることで後ろへと大きく飛び、着地をする。

 その際に、地面に赤い雫が滴り、自らの頬に血が流れていることを初めて認識をする。夏油は頬に流れる血を親指で拭き取り、ベートへの認識を改めた

 

「往くぞ」

 

夏油がそう言うと、体から光が弾けさせた

 

「止めに入った方がええんちゃうか?フィン」

 

「そうだね....けど、今の僕じゃ彼どころかベートすらも止めることは出来ない」

 

 フィンは己の無力さに唇噛み締め、血が滲み出る程に拳を握った。その様子をロキは見ないふりをしながら、心からの言葉を漏らした

 

「ほんま、ままならないもんやな此処(下界)は」

 

「あぁ、全くだよ」

 

ロキとフィンは今の己の無力さを噛み締めた

 

そんな二人の様子を知らず、夏油とベートの戦いは続く

 

 

 夏油が光を弾けさせ、ベートへと接近するがそれを当たり前のようにベートは反応をする。だが、やはり実力の差はあるのか全てを完璧に対処出来る訳でもなく、体勢が崩される。

 だが、それを埋め合わせるように夏油の隙を突いた一撃を勘か又は本能なのか、それを回避してみせる。

 普段のベートならば勘で迎撃など出来る訳が無いが、今のベートは極度の覚醒状態であり、身体能力は普段のソレとは比べ物にはならない程向上している。それは、聴覚や触覚もそうであった。彼の一般的な獣人よりも優秀な耳は更に強化され僅かな音すら聞き逃さず、触覚は空気の揺れすらも完治し、それ等を無意識の内に行使し、ある種の未来視、第六感に昇格させ、夏油の攻撃を尽くを対処してみせる

 

最も、それに体が追いつくかは別の話であった

 

「ッ!」

 

夏油の攻撃を感知したは良いが、遂に体が限界を迎え始めたのか、体が動きに間に合わず、形だけの防御の上に強烈な蹴りが放たれる、それにベートは大きく後退し、膝を付いた

 

(ッ!体中が痛てぇ...これは、もう限界だな)

 

 

ベートは痛む体を無理矢理に立ち上がらせ、夏油へと向き直る。ベートのその様子に夏油は限界だと察した

 

 

「これで最後だ」

 

ベートは地面を大きく踏み込んだ

 

「行くぞ!!」

 

ベートが銀色の光となって夏油へと疾走する

 

夏油はそれを、游雲に大量の呪力を纏わせることによって応えた

 

 

「喰らいやがれェェェェ!!」

 

 ベートの蹴りと夏油の游雲がぶつかり合い、轟音と共に突風を巻き起こし、更に結界へとヒビ入れた。それにフィンとリヴェリアは即座に気付く

 

「リヴェリア!!」

 

「もう準備している!」

 

リヴェリアは詠唱のみに集中し、その邪魔をさせまいとフィンはリヴェリアの前に立つ

 

 

ぶつかり合う二つの光は、徐々に游雲が纏う蒼色の光がベートの白銀の光を呑み込み始める

 

そして、次の瞬間にはその全てを呑み込んだ

 

 

(あぁ、やっぱり、高ぇなそこ(頂点)は)

 

だが、ベートは笑った。まるで無邪気な子供のように

 

「次は、勝つ」

 

 

その言葉と共に、ベートの意識は闇に呑み込まれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ」

 

「何か用かい」

 

ヘスティアの説教も終わり、夏油はベートの怪我の処置をするフィン達を横目にそう答えた

 

「アンタは何しに此処(オラリオ)に来たんや?」

 

そう言い、ロキは夏油へと目を向けた。その目は、嘘をつくことは許さないと物語っていた

 

「ただ、最強を掴み取る為に」

 

「は?」

 

夏油のその答えにロキは素っ頓狂な声を出した後に声を上げて笑った

 

「そうか!最強か!!」

 

「.....笑われると不愉快なのだが」

 

「いや、すまんすまん。何だか馬鹿らしくなってきてな。そうか、最強かぁ。お前もただの男の子やったってことやな」

 

「.....私は別に男の子と呼ばれる歳ではないが」

 

「私等からしたら下界の子達は皆子供みたいなもんや!」

 

「....帰らせてもらう」

 

夏油はそれだけ言うとヘスティアへと声を掛け、歩き出した

 

「夏油!次、アイズたん達の肌に傷付けたら容赦せんからな〜」

 

そんな呑気な声とは裏腹に次は許さないという副音声を夏油は聞こえたような気がしたが、それを意図的に無視する

 

「ロキ、ベートの処置を終えた。取り敢えずは命に別状は無さそうだ」

 

「そうかいな!それなら安心したわぁ」

 

だがとフィンは言葉を詰まらせる

 

 

「?どうしたんや」

 

「...この惨状はギルドにどう説明しようか」

 

「あ.....」

 

ロキは顔を青くし、夏油とヘスティアが歩いて行った方向へと顔を向けるがそこには既に二人の姿を見当たらなかった

 

 

「あ、アイツら逃げたんか!?このことを知ってて!!」

 

「.....多分ね」

 

ロキはワナワナと震え、青筋を額に浮かばせながら口を大きく開いた

 

「この恨み覚えとくで!どチビに前髪ィィ!!」

 

 

ロキのそんな叫び声が夜空に響いた





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最近、ダンまちの小説が多くなってて、しかも人気の作品が続出していてとても嬉しいです。


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