オラリオに最悪の呪詛師がいるのは間違っているだろうか?   作:五月雨@ノン

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初規投稿です





冒険者

 

 

 リリの証言やこれ迄にソーマ・ファミリアから被害を受けた人達の()()()()をしてもらったことによって、ソーマ・ファミリアの大半数の団員はオラリオから追放され、財産も還元という形でほぼ全てを没収。

 ソーマ・ファミリアはあらゆる活動を縮小することを与儀なくされ、実質的にソーマ・ファミリアは壊滅状態に陥った

 

()()()()ギルドもソーマ・ファミリアの動向に目を向けていたということもありリリのこれ迄の過去や犯してきた罪状も明らかにされた上でそうせざるを得ない状況もあったことにより、罰金だけで罪は許され、リリはソーマ・ファミリアをギルドを介して無事退団することとなった

 

そんなリリは無事に私の説得によりヘスティアに受け入れられ、ヘスティア・ファミリアの団員の一人となった。まぁ、団員と言ってもリリと私しかいないのだけれど、まぁそこは気にしないとしよう

 

私は現在リリを連れてダンジョンの四階層に来ており、リリの手にはナイフが握られており、背負っている鞄にはロングソードや弓、ハンマー等の様々な武器が仕舞ってある

 

何故、そんなにも武器を持っているのかと言われればリリのステータスを上げる為にも縁下力持(アーテル・アシスト)の効果範囲を調べる為である

リリのスキルである縁下力持(アーテル・アシスト)はリリにとって過負荷になるほどの重量を持つ物を身に付ける、又は手に持った場合にそれに比例した能力補正を発動するスキルであり、サポーターのリリにとってはうってつけのスキルだ

 

()()()()()にとっては

 

冒険者となると話は違ってくる

 

 冒険者にとってはまぁなんとも扱いにくいスキルになってくる。スキルによって補正はされるが自分の本当の力で持っている訳もないので力も敏捷のステイタスも大して上がる訳もなく、一から五階層迄ならばハンマーやら斧等の重たい武器を振っていれば何とかなりはするかもしれない。

 だが、六階層からは話が違ってくる。六階層には初心者殺しと言われるウォーシャドウや仕留め損ねれば大勢の仲間を呼び寄せるキラーアントなどを筆頭とした厄介な敵が出現し始める。何処ぞのアマゾネスのように頑丈であれば大丈夫だが、リリにはそんな頑丈さは持ち合わせておらず、ステイタスで敏捷も補正はされているが補正はその重量に比例する為、動きはさほど変わらない

 

つまりリリ自体の過負荷にならない程度で尚且つ負担になるようなギリギリのラインの武器を敢えて使用させることによってステイタスの向上を図ろうという訳だ

 

 荷物持ちをするだけならばステイタスなど上げなくても良いがここはダンジョン。何時、何処でに何が起こるかも分からないブラックボックスだ。

 その為、いざという時の為に足でまといにならないようにステイタスを上げておいて損はないだろうし、私がダンジョンにいる間にヘスティアを襲う輩もいるかもしれないのでリリを盾に出来れば良いと私は考えた

 

「リリ、どれが君のスキルの効果範囲外か分かったかい?」

 

「はいっ!どうやらこのロングソードがギリギリだと思います」

 

そう言ってリリが地面に刺しておいたロングソードを握るが、手は若干プルプルと震えていてなんとも滑稽であったがそれもステイタスを上げる為なのでそのことは口にしないでおこう。その方がリリの気持ち的にも良いだろう

 

「じゃあ今後はそのロングソードを使って訓練、ダンジョンを潜るとしよう。これも()()()()()()()、期待してるよ」

 

「!はい!!夏油様の期待に応えられるようリリは頑張ります」

 

「それじゃあリリにはあそこにいるリザードを倒そうか。ピンチになったら私が助けに入るから心配しなくても良いよ」

 

「お任せ下さい!夏油様の御手を煩わせずに倒してみせます!」

 

ふんす!と如何にもやる気十分といった感じでリリはロングソードを前方にいるリザードマンへと刃先を向けた

 

「ギィェェェェ!!」

 

「!」

 

リザードマンがリリを中心として壁や天井など、縦横無尽に跳ね回る

 

「ッ!」

 

(目では追える····けど、ロングソードが重りになって体が追い付かない···!このままじゃ不味い)

 

「シャァ!」

 

リリの背後からリザードマンが自信に備わっている爪で切り裂かんと接近するが何とか体を動かしたリリが体を翻すことによってローブのみが切り裂かれるという結果になったが、多少の防御力を持っているローブが難なく切り裂かれたこともありその鋭利さが伺える

 

「ギァァァ!!」

 

リリが改めてリザードマンというモンスターの持つ爪の鋭利さに少し戦慄するが敵が待ってくれる訳もなく、また縦横無尽に跳ね回り、ある種の本能なのかはたまた強化種のようなものなのかは分からないがリリの死角となる場所から攻撃を仕掛けてき、リリは回避に専念することによって何とか切り抜けている

 

「ッ」

 

(コイツ、リリの死角を的確に····!このままじゃジリ貧です!)

 

リリはギリリと歯を噛み締め、自らの非力さを悔いる

 

(考えろ、リリがコイツを倒す為の手を―――そうだ!)

 

リリは正面にリザードマンが跳ねた瞬間に接敵し、リザードマンへとロングソードを振るう。だが、敏捷は彼処の方が勝っているのでそれは難なく躱されてしまい、背後に回られてしまう

 

「ギィエエエ!!」

 

リザードマンが嬉々としてリリを切り裂かんとその無防備な背中へと近付き、その爪を振りかぶった

 

「これは勝負あったね」

 

夏油がそう呟いた

 

 

「分かってましたよ、あなたがリリの背後から攻撃してくることを!!」

 

リリは態と後ろに残していた左足を軸として腰の捻りを利用することによってリリは地面に円を描きつつも、リザードマンへと斬撃を放つ

 

「!?」

 

リザードマンがリリに嵌められたことを察したが既に自らの地から足は離れ、ロングソード既にリザードマンの目前へ迫っていた

 

「ギィァァァ···ァ―――」

 

ロングソードはリザードマンの顔を真っ二つに切り裂き、リザードマンは悲痛な声を上げた後に魔石へと姿を変えた

 

コツンと魔石がリリの足元へと転がり、一瞬の静寂の後にリリは吼えた

 

「や、やりましたぁぁぁ!!」

 

 リリはぴょんぴょんと小さな子供のように飛び上がり、破顔した。下級冒険者でも二、三ヶ月程あれば簡単に倒すことの出来るモンスターであるが、リリにとっては恐ろしいモンスターであることには変わりなかった。

 だが、そんな恐ろしいモンスターをリリは初めて誰の手も借りることなく自分のその手で倒してみせたのだ。

それがどれだけの衝撃なのかはリリしか分かり得ぬことだろう

 

「見てましたか夏油様!リリがあのリザードマンを倒したんですよ!!」

リリのその言葉に夏油は笑い、頭をポンポンと撫でる

 

「やるじゃないかリリ」

 

(体は貧弱だが、頭は回る。案外、鍛えれば化けるかもしれないな)

 

夏油は良い拾い物をしたと心の中で呟いた

 

「えへへっ、そんなことないですよ〜」

 

そんなことを言っているがリリの顔はあからさまに嬉しさに顔を歪ませている。そんなリリに夏油は顔を覗き込むようにしゃがみ込み、リリの両肩に手を置いた

 

「おめでとうリリ。これで君も立派な()()()だ」

 

夏油のその言葉にリリは目を見開いた後に、今日一番の笑顔を見せた

 

「はいっ!」

 

リリの笑顔に呼応するように夏油も穏やかな笑みを浮かべ、昼食でも取ろうかとリリへと声を掛ける。リリはそうしましょう!と夏油の後ろをついていく

 

今、この瞬間から無力なサポーターであったリリルカ・アーデは姿を消し、そこには冒険者のリリルカ・アーデ

がそこに立っていた

 

これより彼女の本当の冒険は始まりを告げた

 

彼女が何処まで冒険者として成長するのかは夏油も、リリ自身も、そして神すらも理解し得ぬこと

 

だが、リリは確かに冒険者としての大いなる一歩を踏み出したの確かだった

 

 

 

これより冒険譚の前日譚は終わりを告げた

 

 

「此処がオラリオ!大きいなぁ!」

 

小さな少年がオラリオを見上げ、そう声を上げた

 

 

これより始まるのは異分子が紛れた正史から外れた歪な英雄譚

 

その結末はまだ誰も知らない

 

 

 

 






次回 原作始まります



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