第29話「暗黒騎士」
「マジで危なかったなチョウチョ」
「谷底に行かなかっただけラッキーでしたねルーベルトさん」
ここは『砂漠への谷』。陸路でダルスモルスに行く場合、必ずここを通らなくてはいけない。しかし、この砂漠への谷にはジャッカルやキラーホーンといったそれなりに強いモンスターが生息している。
そもそもの話だが、この砂漠への谷は、パーテル大平原西と繋がっている。
パー西(省略)はホラ、あれだよ。ハーベス大農園とか、りゅうごろし(笑)と会ったりとか、アンディ助けたりとか、色々あったあそこだ。
「さて、この状況、どう打開する?」
『『『『『キャオオオオオンンンンンン!!!!!』』』』』
「ど、どうしましょうルーベルトさん!?」
「落ち着け。落ち着いて考えるんだチョウチョ」
「落ち着けって言っても相手は待ってはくれませんよ!!」
「落ち着け。落ち着いて死のう」
「諦めないでくださいよ!?私まだ生きたいです!」
俺たちはジャッカルの群れに完全に包囲されていた。
周りは谷。もう落ちたくはないな。
となると………。
「頑張って下さいルーベルトさん!」
「あいよ」
俺は果敢に、堂々とジャッカルの群れの前に立ち向かい──!
「い、イテッ、ちょっ、タンマ………イテテテテテ!!!コイツ噛みやがった!!!!!」
「そりゃ噛みますよ。ジャッカルですからね」
「冷静にツッコんでないで助けてくれ!?」
「無理ですよ。私チョウチョですし」
「嘘つけ!!!!!」
どうしよう、1匹でも強いのに10匹以上いるんだけど。
もしかして詰んだ?
「危ないです!ルーベルトさん!」
『ギシャア!』
ちょっ!?死──!
俺が死を覚悟した、その時だった。
『キュワァ!?』
俺に噛みついてきていたはずのジャッカルはそこには居なくて。
「………………」
ふと、見上げてみると………。
「………………」
それはそれは、大きな、大きな体をした、暗黒騎士が佇んでおりました。
「あわわわわわ!?ルーベルトさん大丈夫でしたか!?」
「あ、あぁ………この人に助けてもらったおかげでな。………なぁ、アンタ………じゃなくて………、アナタは誰なんですか?なんで俺を助けてくれたんですか?」
「………………」
「ルーベルトさん無視されてますね」
「うるせぇ」
「………………フリフリ」
両手剣と見間違えるほど、大きな片手剣を持っている暗黒騎士は、俺たちの問いに対して静かに首を横に振って否定した。
「………とりあえず人間ではあるな」
「そうですね、喋れないんでしょうか?」
「………………フリフリ」
「首振ってるな」
「ただ無口なだけでしたか」
「………………クルッ」
「「あれ?」」
無口な暗黒騎士が、唐突に振り向いた。どうやら、ジャッカルと戦ってくれるようだ。
『チャオ!』
『シュビドゥバァ!』
『キャイオーン!』
『ブルァァァァァァァァ!』
『ピッカーン!』
『イーヤッハアアア!!』
『キョジオーン!』
『ダイナマイト!』
「………………」
無口な暗黒騎士はバッサバッサとジャッカル達を薙ぎ倒していく。
というかなんかアイツらの断末魔変なやつばっかだな。最後なんて絶対世紀末の方のジャッカルだろ。ダイナマイトって言ってたし。
「………すごく強いですね」
「………………ああ。恐ろしいくらいな」
「………………スタスタスタ」
結局、無口な暗黒騎士は一言も喋ることなく、ジャッカルを倒して去っていった。
「行っちゃいましたね」
「だな。ま、とりあえず助かったってことか?」
「そうみたいですね。ダルスモルスは目と鼻の先です!行きましょうルーベルトさん!」
「ああ!レッツゴーだ!」
「おー!」
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「我は勇者なり!邪悪なる魔王を撃ち倒す勇者なり!………うーん。なんか違うなぁ………。おのれ魔王め!貴様に虐げられし民を我は救う!………これもビシッとしないなぁ。………魔王滅ぶべし!………おお!いいんじゃないかコレは!!コレで行こう!!!よし、早速魔王城へ!いざ、ゆこう!!!」
「ルーベルトさんルーベルトさん。あの人なんの人ですか?」
「しっ!見ちゃいけません!!」
ダルスモルスに無事辿り着いた俺たちが目にしたのは、自称勇者の変なやつだった。大体、魔王を倒すってこの国の王を殺すってことだろ?テロリストやん。国家転覆やん?
「とりあえずメシ、食おうぜ」
「賛成です。確かここで有名なのは『ピストロジル』ですよね?」
「ああ、魔王城に1番近い『魔王街』にあるらしいな」
「ポルトポルトで言うところの『宮殿街』ですね」
「そうそう、それそれ。………そういえばアレ、魔法陣か?」
「アレの上に立つと魔王街にワープ出来るって近衛兵士さんが言ってました」
「へぇ〜〜ワープねぇ」
どれ、どんな感じになんのかな?視界が揺れたりするのかな?
シュワン。
「「………早っ!!」」
マジでワープだった。
「思ってたよりつまんなかったな」
「そうですねー。まあ今回はご飯がメインです!観光を楽しみましょう!」
「ああ!今回は観光だからな!」
さて、どんな料理が出てくるのか………じゅるり。
まだなのに、今からよだれが垂れそうだ…!