河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

29 / 56
第3章 「魔国ダルスモルス編」
第29話「暗黒騎士」


 

「マジで危なかったなチョウチョ」

「谷底に行かなかっただけラッキーでしたねルーベルトさん」

 

ここは『砂漠への谷』。陸路でダルスモルスに行く場合、必ずここを通らなくてはいけない。しかし、この砂漠への谷にはジャッカルやキラーホーンといったそれなりに強いモンスターが生息している。

 

そもそもの話だが、この砂漠への谷は、パーテル大平原西と繋がっている。

パー西(省略)はホラ、あれだよ。ハーベス大農園とか、りゅうごろし(笑)と会ったりとか、アンディ助けたりとか、色々あったあそこだ。

 

「さて、この状況、どう打開する?」

 

『『『『『キャオオオオオンンンンンン!!!!!』』』』』

 

「ど、どうしましょうルーベルトさん!?」

 

「落ち着け。落ち着いて考えるんだチョウチョ」

 

「落ち着けって言っても相手は待ってはくれませんよ!!」

 

「落ち着け。落ち着いて死のう」

 

「諦めないでくださいよ!?私まだ生きたいです!」

 

俺たちはジャッカルの群れに完全に包囲されていた。

周りは谷。もう落ちたくはないな。

となると………。

 

「頑張って下さいルーベルトさん!」

 

「あいよ」

 

俺は果敢に、堂々とジャッカルの群れの前に立ち向かい──!

 

「い、イテッ、ちょっ、タンマ………イテテテテテ!!!コイツ噛みやがった!!!!!」

 

「そりゃ噛みますよ。ジャッカルですからね」

 

「冷静にツッコんでないで助けてくれ!?」

 

「無理ですよ。私チョウチョですし」

 

「嘘つけ!!!!!」

 

どうしよう、1匹でも強いのに10匹以上いるんだけど。

もしかして詰んだ?

 

「危ないです!ルーベルトさん!」

 

『ギシャア!』

 

ちょっ!?死──!

 

俺が死を覚悟した、その時だった。

 

『キュワァ!?』

 

俺に噛みついてきていたはずのジャッカルはそこには居なくて。

 

「………………」

 

ふと、見上げてみると………。

 

「………………」

 

それはそれは、大きな、大きな体をした、暗黒騎士が佇んでおりました。

 

「あわわわわわ!?ルーベルトさん大丈夫でしたか!?」

 

「あ、あぁ………この人に助けてもらったおかげでな。………なぁ、アンタ………じゃなくて………、アナタは誰なんですか?なんで俺を助けてくれたんですか?」

 

「………………」

 

「ルーベルトさん無視されてますね」

「うるせぇ」

 

「………………フリフリ」

 

両手剣と見間違えるほど、大きな片手剣を持っている暗黒騎士は、俺たちの問いに対して静かに首を横に振って否定した。

 

「………とりあえず人間ではあるな」

 

「そうですね、喋れないんでしょうか?」

 

「………………フリフリ」

 

「首振ってるな」

 

「ただ無口なだけでしたか」

 

「………………クルッ」

 

「「あれ?」」

 

無口な暗黒騎士が、唐突に振り向いた。どうやら、ジャッカルと戦ってくれるようだ。

 

『チャオ!』

『シュビドゥバァ!』

『キャイオーン!』

『ブルァァァァァァァァ!』

『ピッカーン!』

『イーヤッハアアア!!』

『キョジオーン!』

『ダイナマイト!』

 

「………………」

 

無口な暗黒騎士はバッサバッサとジャッカル達を薙ぎ倒していく。

というかなんかアイツらの断末魔変なやつばっかだな。最後なんて絶対世紀末の方のジャッカルだろ。ダイナマイトって言ってたし。

 

「………すごく強いですね」

 

「………………ああ。恐ろしいくらいな」

 

「………………スタスタスタ」

 

結局、無口な暗黒騎士は一言も喋ることなく、ジャッカルを倒して去っていった。

 

「行っちゃいましたね」

 

「だな。ま、とりあえず助かったってことか?」

 

「そうみたいですね。ダルスモルスは目と鼻の先です!行きましょうルーベルトさん!」

 

「ああ!レッツゴーだ!」

 

「おー!」

 

■■■■■■■■■

 

「我は勇者なり!邪悪なる魔王を撃ち倒す勇者なり!………うーん。なんか違うなぁ………。おのれ魔王め!貴様に虐げられし民を我は救う!………これもビシッとしないなぁ。………魔王滅ぶべし!………おお!いいんじゃないかコレは!!コレで行こう!!!よし、早速魔王城へ!いざ、ゆこう!!!」

 

「ルーベルトさんルーベルトさん。あの人なんの人ですか?」

 

「しっ!見ちゃいけません!!」

 

ダルスモルスに無事辿り着いた俺たちが目にしたのは、自称勇者の変なやつだった。大体、魔王を倒すってこの国の王を殺すってことだろ?テロリストやん。国家転覆やん?

 

「とりあえずメシ、食おうぜ」

 

「賛成です。確かここで有名なのは『ピストロジル』ですよね?」

 

「ああ、魔王城に1番近い『魔王街』にあるらしいな」

 

「ポルトポルトで言うところの『宮殿街』ですね」

 

「そうそう、それそれ。………そういえばアレ、魔法陣か?」

 

「アレの上に立つと魔王街にワープ出来るって近衛兵士さんが言ってました」

 

「へぇ〜〜ワープねぇ」

 

どれ、どんな感じになんのかな?視界が揺れたりするのかな?

 

シュワン。

 

「「………早っ!!」」

 

マジでワープだった。

 

「思ってたよりつまんなかったな」

 

「そうですねー。まあ今回はご飯がメインです!観光を楽しみましょう!」

 

「ああ!今回は観光だからな!」

 

さて、どんな料理が出てくるのか………じゅるり。

 

まだなのに、今からよだれが垂れそうだ…!

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。