河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第32話「魔法使いの矜持」

 

さて、国王公認でダルスモルスに行くことになった俺たちは、その旨をクローネさんに伝えに行ったんだが。

 

「私も連れてってルーベルト君!チョウチョちゃん!」

 

「………にゃああ(申し訳ないけれど、この子も連れてってくれないかい?)」

 

「いいぜ!」

 

「いいですよ!」

 

「やったー!」

 

ククが仲間になった!

 

「よろしくなはちじゅういt(セイッ⭐︎)──ッテエエエエエ!?何すんだユエリア!?」

 

「人の名前で遊ぶなんて最低ですルーベルトさん!」

 

「ユエリアちゃん…!」

 

チョウチョの方が正論だ。ぐぬぬ。

 

………はて?何かやらかしてしまったような…?

 

一体、この違和感の正体は──?

 

………あ。

 

「「………名前」」

 

どうやらユエリアも気がついたみたいだ。

 

「私チョウチョちゃんの名前初めて聞いたわ!だってみんなチョウチョって呼ぶんだもの。名前がないかと思ってたわ。でも、『ユエリア』って名前!可愛いわね!」

 

無邪気そうに笑うククとは対称に、ユエリアの目は死んでいる。………多分。ああ、でもわっかんねぇわ。だって今チョウチョだし。

 

■■■■■■■■■

 

クローネさんの家があった郊外東から、飛行艇がある郊外西へと俺たちは向かった。もうチケットの予約はとってある。あとは時間が来るのを待つだけだ。………と、思っていたんだが。

 

「待ってよクク姉ちゃん!オレも連れて行って!」

 

「ダメよ。ワズは師匠と一緒にいるの」

 

クローネの三番弟子。風魔法が得意ないたずらっ子。ワズが走ってやってきた。

 

ちなみに補足しておくが、ククはワズの姉ではなく、姉のように尊敬している人である。尊敬と親しみを込めてこう呼んでいるそうだ。

 

「………兄ちゃんを連れてきてくれるのか…?」

 

「………えぇ。私がネクを必ず連れて帰るわ。だからいい子でお留守番しててね?」

 

「………うん」

 

ワズの兄の名はネク。クローネさんの一番弟子らしい。ランクも「えいゆう」と素晴らしく強い、優秀な魔法使いだ。

 

………ただ、今はある任務によってワズと離れ離れになっている。だからワズは付いてきたがってるのだ。尤も、ククもそれは重々承知だろう。だが、俺たちが行く場所はこのファンタジールにおいて、 ”見つかっている場所” の中では最も危険な場所。「たつじん」レベルのククはなんら問題はないが、「いっぱし」レベルのワズには荷が重すぎる。………いや、正直言ってククでも危ないレベルだ。

 

よって、今回ククは一応「マスター」である俺たちに同伴する形で、旅を提案した。

 

「………話はついたか?」

 

「えぇ。ワズ、私はしばらくルーベルト君たちと一緒に過ごすわ。師匠のこと、魔法教室の生徒のみんなのこと、頼んだわよ?」

 

「………わかった!いってらっしゃい!クク姉ちゃん!」

 

「ふふふ、いってきます!ワズ!」

 

「あ!飛行船が来ました!」

 

「行くぞクク。目指すはダルスモルスだ」

 

「──はいっ!」

 

飛行船に乗り込んだ俺たちは、地上で手を振り続ける、紫色の髪をしたいたずらっ子の見送りに、手を窓から振り返し続けるのであった。

 

■■■■■■

 

「で、どうする?」

 

ダルスモルスへと無事到着した俺たちはどういうプランで行くかを考えていた。

 

「ルーベルトさんルーベルトさん」

 

「はいどうぞ」

 

「私は直接ネクさんの所に行けばいいと思います」

 

「なるほど」

 

「ルーベルト君ルーベルト君」

 

「はいどうぞ」

 

「私はまず武器を調達したり、薬を整えるべきだと思うわ!言っておくけれど今回の目的地、『古代遺跡』はファンタジールで最大最強の遺跡よ!?………私は仲間をもっと増やしたり、何かしら対策をしておくべきだと思うよ!」

 

「なるほど。………とりあえず一回死ぬまではノープランでいっか!」

 

俺は強行突破することにした。

 

「なんで聞いたんですか」

「なんで聞いたのよ」

 

ダルスモルスから東に広がる『サンサン砂漠』。その更に北東に進むとあるのが『古代遺跡への道』。タイラントが行く手を阻む。どうせならロケランでも持って行こうか(?)

 

ん?というかロケランってなんだ?

 

………まぁいい。

 

………んで、『古代遺跡への道』を北に進んでいくとやっと『古代遺跡』に着く。

 

なるほど。とてもとてもキツい旅路だ。俺のレベルじゃ無駄足だろう。タイラントとかめっちゃ強いし。殺されるだろうな俺。

 

と、いうことで。

 

「空飛べジュータン!」

 

「「「ひゃっほう!」」」

 

ダルスモルスではメジャーな乗り物である空飛ぶジュータンで古代遺跡まで送ってもらうことにした。流石魔導大国。技術力が違うな。

 

………まあ高度限界が低いから、そこだけが弱点かな。割と砂場スレスレだし。

 

「「ひゃっほほおおおお!」」

 

俺とチョウチョはノリノリだ。

 

「………なんだろう。なんか、魔法使いとしての矜持(プライド)がそこはかとなく痛いような…?」

 

対してククはこの王道もしきたりも何もない、我が道を行くスタイルに、開始早々、飲み込まれそうになっていた。ははは、まだはえぇよ。俺たちの冒険はコレからだ!(フラグ)

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クローネ
猫ちゃん。大魔法を使う魔法使いのマスター。しかしその正体は──。
得意魔法は炎。

クク
赤っぽいピンク髪をした魔法使いの女の子。多分17とか18とか19歳とかだろう。見た目はザ・魔法使い。黒い帽子に黒いローブ。実に魔法使いらしい服装だ。クローネの二番弟子。得意魔法は炎。

ワズ
紫髪のいたずらっ子。わんぱんな少年。クローネの三番弟子。年は12くらい?こっちも魔法使いみたいな帽子をかぶっている。兄であるネクに追いつこうと努力を日々重ねている。得意魔法は風

ネク
ローブと大杖が目立つ紫髪のイケメン。(東風目線)
クローネの一番弟子にして「えいゆう」
今は「とある任務」によって古代遺跡で苦戦中。
ワズの実の兄であり、ワズのことが心配。
得意魔法は風。

ルーベルト
河童。引きこもり。ユエリア大好きマン。
得意魔法は水

ユエリア
マーズの子。世間知らず。ルーベルト大好きロリババア。
得意魔法は光
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