「暇だな」
「暇ですね」
あれから3時間後。俺たちはロッテンマイヨーさんに宛てがわれたダルスモルスの宿屋に居た。
「俺たち、1ヶ月間ここに居るのか?」
「私個人としては別にいいんですけど(旅行気分ですし…)、タイムリミットを考えるとちょっとマズイですね」
「だよな。つっても、ルーザに伝えられることは、全部伝え……た…………し………?」
「どうしたんですかルーベルトさん。言葉尻がだんだんと弱くなってますよ?」
おかしい。何か、何か見落としている気がする。
「ルーベルトさん!聞こえてますか!?」
「あっ、ああ。わりぃ、ちょっと考え事してて」
「なにかありましたっけ?」
「………ルーザに俺ら、なんか話し忘れてないか?」
「………そうですかね?声に出して振り返ってみますか?」
「賛成だ。早速やってみようぜ」
ベットに寝転んでいた体を起こして俺はソファーでくつろいでいたユエリアのそばに寄る。
ユエリアは指を一本立てて数え始めた。
「えぇと、まずは私たちのことについて。ただの自己紹介ですね」
ああ。これはそう、俺も覚えている。大丈夫だなと思った俺は頷き、ユエリアに続きを促す。
その意図を汲み取ってユエリアは二本目の指を立てる。
「次が私たちの旅路。大体ポルトポルトまでのお話について話しました」
………?
「………あっ」
「何かおかしなところでもありましたか?ルーベルトさん」
「うん。まあおかしなところというよりは、俺らの頭がバカってことだけはわかった」
「ばっ──!?バカってどういうことですか!?!?」
「もちつけ」
俺がそう言うとユエリアはイメージ。つまりエアーで餅つきを始めた。
俺は手に水をつけるイメージで、イメージの臼のなかを、イメージで転がしていく。
「あそれっ!ぺったん!ぺったん!(ヨイショ!ヨイショ!)ぺったん!ぺったん!(ヨイショ!ヨイショ!)ぺったんぺったん!!(アドッコイ!ドッコイ!)私の胸は?(つるぺったん!…………あっ、つい本音が………)………ふーん、そうですか。ずっとそう思ってたんですねルーベルトさん………」
「あっちょっ、かっ、勘弁して──」
グガッ。ドゴッ。バキッ。ボゴォ。ゴスッ。ガスッ。びよよ〜ん。ドンガラガッシャァァァン。ブーン。バシーンッ。パァン。ドグシャァ。ボゲバァ。ぷしゃあああああ。ザシュッ。トントントン。シャカシャカシャカシャカドッカアーーーーーン!!!!!テッテレー(?)(以下略)
────そして、十分後。
「ず”び”ば”ぜ”ん”で”じ”だ”!!!!!」
「わかればいいんですよ?ね?ルーベルトさん?」
「はい……」
ボッコボコのフルボッコだドン…。
例えば、俺のHPがまあ250だとしよう。今は13くらいだ。
アレだ、今の俺、その辺のならずものに小突かれただけで死ぬわ。
「………あれ?そういえば私たち、何について話してたんでしたっけ?」
「ルーザに話し忘れたことについてだよ。………ってああ!こんな無駄なことに時間を割いてる場合じゃないんだよユエリア!」
「そんなに大事なこと忘れてましたっけ?」
「……古代遺跡」
「あっ(察し)」
「……じゃあ俺はルーザのところに行ってくるから」
「……私はいいんですか?」
俺はポケットに入れていたリッチを取り出して。
「ああ、別に頼みたいことがあってな」
「頼みたいこと…?」
「ああ、このリッチでありったけの…」
「夢をかき集めるんですね!」
「いや、そせいやくを買ってきといてくれ」
「わかりました。でも、なんでそせいやくなんですか?」
「……気になる?」
「……まあそれなりには」
「ついてこいよ。目ん玉飛び出ないようしっかり抑えとけよ?」
「そんな、ギャグ漫画じゃないんですから…」
俺たちは宿屋から出て、人気のない郊外の方へ向かった。
「ここらなら誰も見てないかな…?んじゃ、行くぜ!新技!」
「新技!いつのまに!」
「話は後だ!まずは見てくれ!……いくぜ!」
俺は背中に全水分を集中させる。倍率は……まあ、最大火力で自慢するかな!
俺が空中に向かってパンチを繰り出すと。
俺の目の前に巨大な砂嵐が生まれた。
「す、スゴイですルーベルトさん!一体何をしたんですか────って!?ええええええ!?!?!?!?!?ルーベルトさんがミイラに!?!?!?!?!?」
「そ、ソセイヤク…」
そう言い残して、俺は死んだ。
〜一分後〜
宿屋で生き返った俺はさっきの場所に戻ってきた。
「と、いうわけだ」
「なるほど。ミイラになって相手の意表を突くというびっくり技ですね!」
「いや普通に超パワーだよ。ほら、筋肉って水分をたくさん含んでるだろ?それを意図的に膨張させて一瞬のパワーを跳ね上げてんの。最大10倍くらいになる代わりにミイラになる」
「じゃあルーベルトさんが『
「15トン」
「なんかルーベルトさんが見たって言う悪夢の時のルーベルトさんより強そうですね」
「まああの夢を見て思いついたしな。シンプルな肉体強化の方が格上と戦う時に役立つし」
「なるほど…!だからこそのそせいやくですね!」
「あぁ!生き返れば水分が元通りだからな!何回でも『
今の俺たちに最も遠い言葉をあげるならば、それはきっと倫理観だろう。
「……んじゃ、ユエリアはそせいやくの購入を頼む。俺はルーザの所に行ってくるからな」
「わかりました!宿屋で待ってますね!」
「おう!」
………この時の俺たちは知る由もなかった。
このダルスモルスに未曾有の危機が訪れようとしているだなんて…。