河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第36話「背水の陣」

 

「暇だな」

「暇ですね」

 

あれから3時間後。俺たちはロッテンマイヨーさんに宛てがわれたダルスモルスの宿屋に居た。

 

「俺たち、1ヶ月間ここに居るのか?」

 

「私個人としては別にいいんですけど(旅行気分ですし…)、タイムリミットを考えるとちょっとマズイですね」

 

「だよな。つっても、ルーザに伝えられることは、全部伝え……た…………し………?」

 

「どうしたんですかルーベルトさん。言葉尻がだんだんと弱くなってますよ?」

 

おかしい。何か、何か見落としている気がする。

 

「ルーベルトさん!聞こえてますか!?」

 

「あっ、ああ。わりぃ、ちょっと考え事してて」

 

「なにかありましたっけ?」

 

「………ルーザに俺ら、なんか話し忘れてないか?」

 

「………そうですかね?声に出して振り返ってみますか?」

 

「賛成だ。早速やってみようぜ」

 

ベットに寝転んでいた体を起こして俺はソファーでくつろいでいたユエリアのそばに寄る。

 

ユエリアは指を一本立てて数え始めた。

 

「えぇと、まずは私たちのことについて。ただの自己紹介ですね」

 

ああ。これはそう、俺も覚えている。大丈夫だなと思った俺は頷き、ユエリアに続きを促す。

 

その意図を汲み取ってユエリアは二本目の指を立てる。

 

「次が私たちの旅路。大体ポルトポルトまでのお話について話しました」

 

………?

 

「………あっ」

 

「何かおかしなところでもありましたか?ルーベルトさん」

 

「うん。まあおかしなところというよりは、俺らの頭がバカってことだけはわかった」

 

「ばっ──!?バカってどういうことですか!?!?」

 

「もちつけ」

 

俺がそう言うとユエリアはイメージ。つまりエアーで餅つきを始めた。

 

俺は手に水をつけるイメージで、イメージの臼のなかを、イメージで転がしていく。

 

「あそれっ!ぺったん!ぺったん!(ヨイショ!ヨイショ!)ぺったん!ぺったん!(ヨイショ!ヨイショ!)ぺったんぺったん!!(アドッコイ!ドッコイ!)私の胸は?(つるぺったん!…………あっ、つい本音が………)………ふーん、そうですか。ずっとそう思ってたんですねルーベルトさん………」

 

「あっちょっ、かっ、勘弁して──」

 

 

グガッ。ドゴッ。バキッ。ボゴォ。ゴスッ。ガスッ。びよよ〜ん。ドンガラガッシャァァァン。ブーン。バシーンッ。パァン。ドグシャァ。ボゲバァ。ぷしゃあああああ。ザシュッ。トントントン。シャカシャカシャカシャカドッカアーーーーーン!!!!!テッテレー(?)(以下略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少女(貧乳合法ロリババア赤ちゃん)

 

制裁中(河童わからせタイム)

 

 

 

────そして、十分後。

 

「ず”び”ば”ぜ”ん”で”じ”だ”!!!!!」

 

「わかればいいんですよ?ね?ルーベルトさん?」

 

「はい……」

 

ボッコボコのフルボッコだドン…。

 

例えば、俺のHPがまあ250だとしよう。今は13くらいだ。

 

アレだ、今の俺、その辺のならずものに小突かれただけで死ぬわ。

 

「………あれ?そういえば私たち、何について話してたんでしたっけ?」

 

「ルーザに話し忘れたことについてだよ。………ってああ!こんな無駄なことに時間を割いてる場合じゃないんだよユエリア!」

 

「そんなに大事なこと忘れてましたっけ?」

 

「……古代遺跡」

 

「あっ(察し)」

 

「……じゃあ俺はルーザのところに行ってくるから」

 

「……私はいいんですか?」

 

俺はポケットに入れていたリッチを取り出して。

 

「ああ、別に頼みたいことがあってな」

 

「頼みたいこと…?」

 

「ああ、このリッチでありったけの…」

 

「夢をかき集めるんですね!」

 

「いや、そせいやくを買ってきといてくれ」

 

「わかりました。でも、なんでそせいやくなんですか?」

 

「……気になる?」

 

「……まあそれなりには」

 

「ついてこいよ。目ん玉飛び出ないようしっかり抑えとけよ?」

 

「そんな、ギャグ漫画じゃないんですから…」

 

俺たちは宿屋から出て、人気のない郊外の方へ向かった。

 

「ここらなら誰も見てないかな…?んじゃ、行くぜ!新技!」

 

「新技!いつのまに!」

 

「話は後だ!まずは見てくれ!……いくぜ!」

 

背水の陣(バックウォーター)

 

俺は背中に全水分を集中させる。倍率は……まあ、最大火力で自慢するかな!

 

俺が空中に向かってパンチを繰り出すと。

 

ビュオオオオオオオン!

 

俺の目の前に巨大な砂嵐が生まれた。

 

「す、スゴイですルーベルトさん!一体何をしたんですか────って!?ええええええ!?!?!?!?!?ルーベルトさんがミイラに!?!?!?!?!?」

 

「そ、ソセイヤク…」

 

そう言い残して、俺は死んだ。

 

〜一分後〜

 

宿屋で生き返った俺はさっきの場所に戻ってきた。

 

「と、いうわけだ」

 

「なるほど。ミイラになって相手の意表を突くというびっくり技ですね!」

 

「いや普通に超パワーだよ。ほら、筋肉って水分をたくさん含んでるだろ?それを意図的に膨張させて一瞬のパワーを跳ね上げてんの。最大10倍くらいになる代わりにミイラになる」

 

「じゃあルーベルトさんが『背水の陣(バックウォーター)』を使った時の握力って…」

 

「15トン」

 

「なんかルーベルトさんが見たって言う悪夢の時のルーベルトさんより強そうですね」

 

「まああの夢を見て思いついたしな。シンプルな肉体強化の方が格上と戦う時に役立つし」

 

「なるほど…!だからこそのそせいやくですね!」

 

「あぁ!生き返れば水分が元通りだからな!何回でも『背水の陣(バックウォーター)』できるぜ!」

 

今の俺たちに最も遠い言葉をあげるならば、それはきっと倫理観だろう。

 

「……んじゃ、ユエリアはそせいやくの購入を頼む。俺はルーザの所に行ってくるからな」

 

「わかりました!宿屋で待ってますね!」

 

「おう!」

 

………この時の俺たちは知る由もなかった。

 

このダルスモルスに未曾有の危機が訪れようとしているだなんて…。

 

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