河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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投稿頻度遅くてすみません!次の話書いて来ます!


第37話「魔王と河童」

 

「というわけですまんかった。ルーザ」

 

「いや、いいさ。古代遺跡には封印が施されているからね」

 

「封印?」

 

「あぁ、王家の従者によってね」

 

「じゃあなんでネクが入ってたんだ?」

 

「…………おかしいな。魔王軍でも指折りの術師だったんだけど……?」

 

「……というか俺ら、古代遺跡の入り口まで普通に行けたぞ?」

 

「…………あれ?これ結構マズい感じ?」

 

「……でもルーザよぉ。古代遺跡は広大なサンサン砂漠の1番奥だろ?もしこっちに黒影怪物(シャドウモンスター)が来たとしても、そん時にはドクロ石の有効範囲からはでてるから、元に戻ってるだろ。たぶん」

 

「なるほど。確かルーベルトは今まで何度もドクロ石を見てきているからね。君の仮説は信用に値する。……と、なると、別にそこまで大きな問題じゃないね。ボクが修行する時にちょっとキツくなるだけだし」

 

「まあドクロ石を見つけさえすればさっさと壊せるしな」

 

「だね。……ねぇ、ルーベルト。今暇かい?」

 

「ああ、まあ予定は特にねぇな」

 

「……じゃあさ」

 

ルーザは指を天に向けて突き立てた。

 

「ボクと話でもしないか?」

 

■■■■■■

 

ヒュウウウウウ──。

 

「高いな。何メートルだ?」

 

「ざっと100はあるよ。多分ね。まあ下は海だから大丈夫だよ」

 

「なんか知らんけどこの高さから落ちるとコンクリートくらい硬いんじゃね?」

 

「まずコンクリートってなんだい?」

 

「さあ?なんだろな?」

 

俺はたまに自分でもよく知らないことを口走る時がある。

もしかしたら赤子の時にでも聞いたんだろうか?

 

「……なぁルーザ」

 

「……なんだいルーベルト」

 

「ルーザはさ、なんで魔王になろうと思ったんだ?」

 

「…………うーん。…………期待……かな?」

 

「期待?」

 

「うん。ボクへの期待」

 

「国民からのか?」

 

「ううん。ボクが、ボクに期待してるのさ。魔王になれるって」

 

ほぉ。

 

「あくまでも自分ってことか?」

 

「うん。別に、いやいやだとか、血筋だとかにこだわったりしてないさ」

 

「…………そっかぁ。ルーザはスゲェなぁ……」

 

「ルーベルトだって──」

 

「いいや、俺はチョウチョのためだ。俺は自分のために努力できない人間だ。そういう、タイプなんだよ俺は。……ま、俺は人間じゃなくて河童だけどな?」

 

なんだか少し自虐気味な俺に対してルーザは。

 

「でも、ボクはルーベルトのそんなところが好きだな」

 

「…………ありがとよ。俺も、ルーザのそういう素直なところが好きだぜ」

 

「「………」」

 

なんだか褒め合うのが恥ずかしくて、俺たちは黙ってしまった。

でも、気まずさから生み出される沈黙とは違う。

言葉を交わさずとも心を重ねられる、優しい沈黙だった。

 

このファンタジールで、最も高い建物の屋上に訪れた平穏は。

 

「し、失礼しますっ!ルーザ様、ルーベルト様!」

 

魔王軍の兵士が階段を駆け上がってきた。

 

「何があった!?落ち着いて話すんだ!」

 

「は!郊外にて黒いモンスターが暴れており、オデオン兵士長と、謎の少女と勇者のような者が戦闘中!以前苦戦中です!」

 

笑えるくらいに恐ろしい出来事に塗りつぶされていった。

 

「わかった!今すぐ向かう!ルーベルト!キミは………?キミは一体何を!?」

 

「ルーザ。先行ってるぜ!」

 

背水の陣(ウォーターバック)

 

………からの!

 

水宝石(ウォータージェム)』!

 

「そ、空に!?」

 

「ルーベルト!なんて速さだ!」

 

反対向きに撃って俺は空を飛んだ。

 

いやはや本当にラッキーだったぜ?

 

地上じゃまず俺のかかとがゴリゴリになるからな。

 

ここが世界一高い建物で本当に良かった!

 

「魔王様!我々も早く移動しましょう!」

 

「あぁ!ルーベルト!ボクもすぐ行く!それまで耐えてくれ!」

 

「了解!」

 

…………あっ、着地考えてなかった!?

 

……どうしよ。

 

■■■■■■

 

〜ダルスモルス郊外〜

 

「オデオン兵士長!傷が深すぎます!一度我々の後ろに!」

 

「……フリフリ」

 

「オデオンさん!私が回復します!」

 

「……コクッ」

 

「いきますよ!」

 

金色の鱗粉が舞うと、周りの人間たちの傷が癒えていく。

 

「……!」

 

「えっ?なんで私の手を──」

 

オデオンが少女の手を引いた意味が、すぐわかった。

 

「み、水……」

 

「る、ルーベルトさん!?一子相伝の暗殺拳の伝承者みたいに干からびてます!?」

 

俺は空を飛んだ。そしてミイラになった。で、死んだ。

 

「\チーン/」

 

「ルーベルトさん!?と、とりあえずそせいやくを!」

 

「…………はっ!?俺は一体何を!?ユエリア!何した!?」

 

「ルーベルトさんが空から降ってきたんですけど」

 

「……おはようユエリア。今日もいい天気だな」

 

「おはようございますルーベルトさん。やっと目覚めましたかこの寝坊助さん」

 

「ひでぇ言いよう……カッコ悪い登場とはいえ、一応助けに来たんだぜ?…………にしても、マジかよ。本当に街まで黒影怪物が来てんじゃねぇか!古代遺跡のドクロ石はそんなにもデケェのか!?」

 

もし本当に超巨大ドクロ石があったとしたら、この前のポルトポルトん時の何倍だよ!

 

「…………ルーベルトさん落ち着いて聞いてください」

 

「……おう」

 

「…………どうやら、彼らはドクロ石に影響されたモンスターではないようです」

 

「…………ありえんのかよそんなチート?」

 

俺は空いたクチバシが塞がらなかった。

 

今まではドクロ石を壊すことでなんとか終わらせていた。

 

それが、ない?ないだと?

 

「…………黒影怪物は、海を超えて来ています」

 

「海!?一体どこからきてるんだ!?」

 

「…………亜空間」

 

オデオンさんが口を開いた。

 

「「亜空間?」」

 

「ルーベルト。ユエリア。このダルスモルスの南西に『ポツン島』というものがある。巨大なサボテンと洞窟があって、1人とそのペットのドラゴンが住んでいるだけのただの島……というのが表向きの扱いだ」

 

「表向きの?どういうことですかオデオンさん?」

 

「……亜空間というのは、はるか昔。この世界に争いが続き、まだライフの女神ステラが人々にライフを与える前。実はモンスターは全て黒影怪物だったのだ」

 

「全て黒影怪物だと!?」

 

「……女神ステラはその状況を憂いで、地上のすべてのドクロ石をどこか一箇所に集結させたらしい」

 

「お母様が……」

 

「……お母様?」

 

「お、おいユエリア。それはマズい」

 

「あぅ…………」

 

「…………!!!!!!もしや、貴女は……。いや、この癒しの力。間違いない」

 

オデオンさん急にめっちゃ喋るじゃん!?

いや、まあそれくらい重要なことが起きてるんだけどさ!

 

「と、とりあえずそれは置いとこうぜオデオンさん!」

 

「……あぁ。わかった。……まあつまり、亜空間というのは女神ステラがドクロ石を一箇所に集め、その中心が空洞となっており、その穴に落ちたモンスターが黒影怪物となり、闊歩している魔境だ。……で、理由はよくわからないが、その亜空間と唯一繋がっている場所がポツン島。『封印の洞窟』なんだ」

 

「名前からしてわかったぜ!封印が解けちまったってことだなコンチクショウ!?」

 

「なにか解決法はないんですかオデオンさん!」

 

「…………一つだけ。魔王一族に伝わる切り札がある」

 

「どこに行けばいい!」

 

「『やみのじしょ』。ダルスモルス大図書館に封じられし大悪魔だ」

 

「じゃあ早速いきましょうルーベルトさん!」

 

「いや、その必要はない。ルーザ様がきっと説得して連れてきてくれるだろう」

 

「なるほど!じゃあ俺たちの目標は」

 

「とにかく耐えることですね!」

 

「だな。じゃあ俺は逃げ遅れている人を救助してくるから、オデオンさんとユエリアはここにいててくれ!」

 

「わかりました!」

 

「………コク」

 

魔王と河童の絆を黒影怪物たちに見せつけてやるぜ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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