前線はラグナローとユエリアとオデオンさんに任せて俺はとにかく街を防衛していた。
ユエリアがいれば楽に撃退出来るんだが前線組が回復できないとモンスターがより侵入してしまうからな。ここは俺が単騎で食い止める必要があるんだ。
「にしたってオイオイ……幾ら何でも多すぎやしないか?」
街の近くまで数十匹の
しかも一匹一匹がバケモノのように強い。サメとかドラゴンの幼体だとかの雑魚敵ですら、この俺を一撃で屠ることができるくらい強い。
…………でも本当に厄介なのは『ボス』だ。
『グオオオオンン!』
『ホギャアアアア!』
『キシュアアアア!』
シャドウドラゴン。
シャドウレックス。
シャドウバード。
……とでも呼ぼうか?
黒影化したボスモンスターがやべぇくらい強い。
レベル30のこの俺が、ライフマスターのこの俺ですら全く歯が立たない。
──って!しまっ──!?
いつのまにか俺の横にクマみたいな黒影怪物が立っていて、俺はそいつの大ぶりな攻撃を避け損ねてしまった。
「ガブッ!?」
っ、や、やられ………。
………。
……。
…。
「っはあ!? マジクソゲーすぎだろ難易度!? 頭バグってんじゃねぇの!?!?!?」
一応これでも俺はこの世界の上位10%は入っているはずの人間なのに……。
ごめん嘘。河童だったわ。
……あぁ。うん。ツッコミとか、相槌打ってくれる人って大事なんだなぁ。
……いや、アイツはチョウチョか。
……あ”ー。これ終わったら海でバカンスでもしようかなー。ユエリアと水着買いにいかねぇとなァ。
『キシュルァ!』
めんどくせぇけど行くしかねぇなぁ。
だってユエリアの水着みてぇもん!
「どうせぺったんこだけどな」
「何か言いましたかルーベルトさん?」
「!?!?!? お、おまっ!? 前線はどうした!」
「なんかめっちゃ強い魔法使いのおばあちゃんと、これまたなんかめっちゃ強いキグルミの傭兵のおじいちゃんとそのお孫さんが増援に来てくれて、あとなんかルーザさんが持って来た本からなんかすごいのがこう、ぐわわわわぁぁぁぁ!………って感じでなんとかなりました」
「なるほど、わからん」
「で、前線は落ち着いたのでルーベルトさんの方を支援しにきました」
「たすかる」
「IQ溶けてません? 大丈夫ですか?」
「たぶんだめ」
「本当に大丈夫ですか!?」
「おそらく」
「おそらく!?」
『『『『『ガァァァァァァ!!!』』』』』
耳をつんざくような咆哮を聞いて俺たちは顔をきゅっと引き締めた。
どうやら茶番はここまでのようだ。
「ユエリア」
「言われなくとも回復準備は出来てます!」
「流石相棒! 俺が死んだらそせいやくかけてくれ!」
「わかりました! でもなるべく死なないでくださいね? 見てるこっちまで痛くなりますから!」
「そこは『私、ルーベルトさんが傷つくところなんて見たく無い!』だろ?」
「男子は傷つくほどカッコよくなると思います!」
「冒険譚の見過ぎだぜェユエリア! まあ俺も同感だけどな!」
……俺は後ろにいるユエリアに振り返って。
「また今度、水着買いに行こうぜ」
「──はいっ!」
守りたいものを噛み締めた。
……今回の黒影怪物は今までよりも全体的に強い。だからこそ一匹一匹確実に背水の陣で討伐していく。
今までは街を守ることと、ユエリアの回復がなかったから生存を優先し、牽制しかできなかったが、ユエリアの回復がある今からは捨て身の短期決戦で攻めていく。俺の痛みというデメリットを除けば最適な戦術だと思う。少なくとも俺の頭ではコレが限界だ。なんかもっと軍師みたいな奴が俺の周りにいれば、こんな倫理観をかなぐり捨てた戦法をとらなくても…………まぁいいや、突撃ィィィィィ!!!!!(考えるのがめんどくさくなった)
「オラァ! 今の今までよくもボコボコにワンパンしてくれたなこのやろう!」
『キュシュルァ!?』
目の前にいたシャドウシャークを両手を上げて、金槌のように振り下ろした! 一撃だ。 ……しかし、その反動は大きい。
「ガフッ! ……ッ、ユエリア!」
俺は吐血した。クチバシの中が鉄っぽい…。
「『ヒール』! ………あと40回はいけますよ!」
流石ユエリア。一度で全回復だ。
「そいつは頼もしいな。んじゃ次! いくか!」
さぁて……。あと……100はいるか?
「……背水の陣…10倍…! くらえ!
背水の陣で強化された水宝玉は、俺の口から本当に出てるのか疑問を抱くほどに巨大だ。大体直径5メートルほどの水の大玉だ。普段は小さく圧縮し、一点の火力を求めているが、今回は足止めの防衛戦だ。全体攻撃技を使わない手はない。
「ゴフッ……さすがに10倍はきつ……」
何度も言うが反動がやばい。有名な漫画の主人公が使うナントカ拳の10倍を未完成な身体で行使しているんだ。骨は砕け、内臓は歪み、たった1秒で死に至る。
「おはようございます!ルーベルトさん!」
「おは」
ユエリアがそせいやくをすぐにかけてくれたみたいだ。
「『ヒール』……まだ私はいけますよ!」
「俺もいけるさ…!」
そせいやくはHPの半分しか回復しないから追加で回復が必要だ。
でもユエリアが居るおかげでそんなことは関係ねぇ。そんなの関係ねぇ。はい、オッパッ──。
「ルーベルトさん! 増援が来ました!」
「まじか!?」
ユエリアが指を刺す方を見るとそこには傷だらけながら、強者の風格を漂わせる奴らがいた。
「ルーザ、オデオンさん、ラグナロー。……ん? しかもダヨル爺さんとキスカ姐さんまで……?」
「あと魔法学院校長のカニアさんもいますよ!」
オイオイオイ……ダルスモルス最強パーティーじゃねぇか…。
「待たせたなルーベルト! あとはボクにまかせておけ! この【
ルーザがそう言うと、本から10メートルはあるであろうペラッペラの魔人が出てきた。
『……ペラーラ。ペララーラム。ペーラ。ペラペラム。ぺぺパラーラム。ペラペラッハム……ハーッ!!! ……本を読むもの、すなわちニンゲンたちよ。ワガハイの名前は闇の辞書であル。【
「「「「「………」」」」」
…………スゥ────。
「なんだコイツ!?!?!?!?!?!?!?」
なんかヤベェのが出てきた。