河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第41話「ダルスモルス魔王学院」

 

 ダルスモルスの宿で1日休んだ俺たちは、今回の旅の当初の目的であったカニアさんの元へ向かうことにした。

 

「カニアさんって魔法学院の校長なんだろ?」

 

「どうやらファンタジールの中でも最強の魔法使いらしいですね。ルーザさんのお父様であるせんだいまおうさんよりも強いみたいです」

 

「魔王より強い校長ってなんかシュールだな」

 

「でもロマンありますよね!」

 

「だな!」

 

 ユエリアとの会話は頭からっぽでも成立するから心地いいな。

 

 宿から5分ほど歩くと魔法学院にたどり着いた。

 

 魔法学院と聞いていたからもっと大きいと思っていたが、実際は一軒家ほどの大きさで魔法教室といったサイズ感の方が正しいだろう。

 

 しかし他にはない特徴がこの魔法学院にはあった。

 

「「浮いてる…」」

 

 そう。浮いていた。30センチくらい。

 

「「何のために…?」」

 

 マジでなんのメリットがあるんだろう。だって今浮いているのは誰か……まあたぶんカニア校長が魔力を送り続けているんだろ?

 

「もしかしなくともヤベーヤツか?」

 

「おそらく…」

 

 自分で言うのもアレだが、俺たちが奇想天外なんだから、競争してこないでほしい。濃いんだよ、とんかつソースか!

 

「とりあえず入りますか?」

 

「そうだな。入るか」

 

 俺たちは魔法学院の中へと入った。

 

 中はやはり小さく、教室一個分の空間しかない。奥には黒板があり、その前の教卓にはおばあちゃんがいる。

 

 生徒は5、6人居て、段々になっている長机に椅子を並べて授業を聞いている。

 

 そして後1人。紫色のローブで全身を包み、こちらに話しかけてくる人がいた。

 

「おはようございます」

 

「「おはようございます」」

 

「私はこの教室の担任です。カニア校長からお話は聞いています。ルーベルト様にチョウチョ様ですね? 今日はせっかくなので授業を聞いていけと校長から伝言ですが、どうしますか?」

 

「どうする? チョウチョ」

 

「私もルーベルトさんと魔法については詳しくないので是非教えて欲しいです! ルーベルトさんもいいですか?」

 

「チョウチョがそう言うなら賛成だ」

 

「わかりました。こちらの椅子にお座りください」

 

 担任の先生がそういうと、部屋の隅にあった椅子が浮かんで、俺たちの前に着地した。

 

「「ありがとうございます!」」

 

 俺たちは席についてカニアさんの授業を聞くことにした。

 

「みんなおはよう」

 

「「「「「おはようございまーす!」」」」」

 

「今日は6属性について話していくよ。まずは『火』。あったかくていいね。真面目な子が向いてる魔法だよ。キャンプに行く時に便利だね。つぎに『水』。冷たくていいね。冷静な子に向いてるよ。キャンプに行く時にいつでもお水が使えるね。次に『風』。涼しくていいね。マイペースな子に向いてるね。キャンプの時にものを乾かせるね。次に『大地』。やさしくていいね。優しい子に向いてるよ。キャンプの時に怪我をしても回復できるね。ここまではみんな知ってるね?」

 

「「「「「はーい!」」」」」

 

「えっ、魔法使いってキャンプしかしないのか?」

 

「たぶん違うと思います」

 

「そして今日のメインは残る2つ! 『光』と『闇』だね。『光』はまぶしくていいね。愛が深い子に向いてるよ。キャンプではランタン代わりになるね。いざとなれば星を降らせれるよ。最後に『闇』。くらいね。苦しいね。厨二病の子が向いてるよ。キャンプではあまり使えないね。使えるのは魔王とか暗黒騎士くらいだね。あとは古代遺跡の奥にある『わざわい』も使うよ。キャンプには使えないね」

 

 意外と俺も闇に適性ありそうだな。厨二病だし。にしても。

 

「なるほど。キャンプに『闇』は使えないのか…!」

 

「ルーベルトさん影響されやすすぎです」

 

「そういえばチョウチョは星を降らせられるのか?」

 

「私も頑張ればいけますね」

 

「はえー。強くね?」

 

「えっへん!」

 

 ぺったん。と心の中で独白すると、チョウチョが足をつねってきた。なんで人間状態と同じパワーが出るんだよおかしいだろ。あれか? チョウチョの時って普通に見えてないだけで人間なのか?

 

「じゃあみんな。今度はキャンプに行くからしっかり復習しとくこと! 今日の授業は終わりだよ! 気をつけて帰ってね!」

 

 カニアが手を叩くとみんなは今日習ったことを話しながら帰っていった。

 

「カニアさん。勉強になったぜ!」

 

「ためになりました!」

 

「カッカッカ……そうかいそうかい。……じゃあルーベルト。おまえさんの秘密について話そうか」

 

「!」

 

「楽しみです!」

 

「昔々のそのまた昔。いにしえの時代だね。はじまりの島という島があって、そこでは「いにしえのわざわい」という厄災が発生したんだよ」

 

「大ピンチですね!」

 

「そうじゃろそうじゃろ。そしてそれを見事解決した者がいた。名を『ルーベルト』という」

 

「!?」

 

「ルーベルトさん!?」

 

「……まあ十中八九おまえさん本人だろうね」

 

「俺まだそんなことした憶えないぞ!」

 

「おそらく時を越えたんだろう。何らかの方法によってね。ワタシが知ってあるのはこのくらいだね。カッカッカ!」

 

「ルーベルトさん!ルーベルトさん!気になりますね!」

 

「……んまあでも、今はいいかな」

 

「ほぅ。流石その歳でライフマスターとなり、3カ国を救っただけあるね。……世界のおわりは近いよ」

 

「…! カニアさんは気づいているんですか!?」

 

「あぁ、なんならおまえさんの正体にもね」

 

「まさかのチョウ展開! チョウだけに…(小声)」

 

「……寒いぞユエリア。……なあカニアさん。俺たちはどうすればいいと思う?」

 

「ふむ。不思議なことを聞くねぇルーベルト。もうおまえさんは、自分がやるべきことをわかっているんじゃないのかい?」

 

「……そうだな。愚問だった。忘れてくれ。行くぞ、チョウチョ」

 

「あっ、はい! カニアさん! 今日はありがとうございました!」

 

「俺からもありがとうございます。また来てもいいですか?」

 

「もちろんいいとも! 次はククやネクやワズも連れておいで」

 

「わかった! 今日は本当にありがとう、カニアさん。……なあそういえばカニアさんの『ねがいごと』ってなんだ?」

 

「ワタシ? ワタシは……『みんなが魔法を好きになる』かな」

 

 カニアさんの願いに呼応するようにチョウチョがキラリと光った。

 

「……! その願い! 受け取りました!」

 

「カッカッカ……2人とも。頑張るんだよ!」

 

「「はい!」」

 

 俺たちはカニアさんに手を振って、次に会う人の元へと向かったのだった。




新作楽しみですね!
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