河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

42 / 56


3000ユニークアクセスありがとうございます!
いつも見てくださいっている皆さんのおかげです!
本当にありがとうございます!
筆の遅い作者ではありますがこれからもよろしくお願いします!

それでは本編! どうぞ!


第42話「剣豪ダヨルとその孫キスカ」

 

 

 魔法学院を後にした俺たちは次にダヨルさんの元へと向かっていた。ダヨルさんの家は学院から一分以内の近所にある。……ん? ダヨルさんの家の前に誰か立ってるぞ? ちょっと話しかけてみるか。

 

「あの、どうかしましたか?」

 

「え、えぇ。わたくしここに、かの【剣豪】ダヨルが住んでいると聞いて、自慢の剣を売りに来たんですけど、中にいたのはキグルミ族のおじいちゃんで、話を聞いても「ワシがダヨルじゃ」しか言わないんです。……はぁ。嘘の情報をつかまされたみたいです」

 

「たぶんあってますよ」

 

「またまた。もう騙されませんから。……それはそうとわたくし、傭兵の方に向けて商売をしているのですが、何か買って行きますか?」

 

「今あんまり手持ちないんで、また今度寄らせてもらいますね」

 

「そうですか……はぁ。【剣豪】は今どこにいるんだろうなぁ?」

 

 確かにダヨルさんはぱっと見強そうじゃないけど、傭兵のえいゆうだからな。上から2番目の階級だ。ライフマスターのセルヴァンデスさんの古くからのライバルらしいし、傭兵を志すものでその名を知らないものはいないだろう。

 

「とりあえずお邪魔しませんか?」

 

「それもそうだな」

 

 俺はドアをノックして、扉を開けた。

 

「お邪魔しますダヨルさん」

 

「おぉ! ルーベルトか! どうじゃ? 傭兵のランクはいくつまでいった? お主はコンシーよりもレベルこそ低かったが、傭兵としての才能はワシよりもあったからな。もうたつじんくらいにはなったか?」

 

「えっと、今は河童のライフマスターやってるんだ」

 

「……ん? 新しくライフが出来たのか?」

 

「13個目のライフだって。今のところ俺しかいないから俺がライフマスター」

 

「そうかそうか。ま、お主ならばなんとかなるじゃろ」

 

「なんとかなるって…そんな簡単に?」

 

「なるさ。お主は”優しい”からな。……それはそうとルーベルトや。あの戦いの時にいた少女はどこじゃ? ワシはてっきりお主と一緒にくると思ってたんじゃが」

 

「ほら、チョウチョ。ご指名だぞ」

 

「わかりました!」

 

 チョウチョは俺のタンクトップからヒラヒラと出て、人間の姿になった。

 

「お久しぶりですダヨルさん! えっと、名前はユエリアです! 今はクルブルクで、メグさんとルーベルトさんに居候させてもらってます!」

 

「よろしく。ワシはダヨル。キグルミの老兵じゃよ。ま、わざわざこんな異国の地に来て戦ってくれたんじゃ。お主らも疲れたじゃろう。茶でも飲んでゆっくりしようか」

 

「おう!」

「はい!」

 

 ダヨルさんの家には囲炉裏があって常にあったかい。クルブルクの傭兵の溜まり場であるバラード酒場も実家のような安心感があるけど、ダヨルさんの家はおじいちゃんちの安心感がある。

 

「ほれ。のめ」

 

「「いただきます」」

 

 俺たちは正座して緑茶を啜る。

 

 ……おいしい!

 

 俺とユエリアがまったりとお茶を飲んでいると、扉を叩く音がした。

 

 コンコンコン。ガチャッ。

 

「おじいちゃん、遊びに来たよ……あれ? ルーベルト君にあの防衛戦の時の子じゃありませんか?」

 

「ユエリアっていいます! よろしくお願いします!」

 

「こちらこそよろしくお願いします」

 

「キスカ、立ち話もなんじゃからお主もこっちにおいで」

 

「はいおじいちゃん」

 

 キスカ姉さんは丁寧な動きで腰を下ろした。

 

「キスカ姐さん! お久しぶりです!」

 

「ルーベルト君、大きくなりましたね。どうですか? 傭兵のライフは?」

 

 キスカ姐さんは糸目で赤色の髪をした落ち着いたお姉さんだ。キスカ姐さんはダヨルさんに育てられた人間だ。ダヨルさんとは血の繋がりはないが、立派な家族だ。キグルミ族のダヨルさんのことをおじいちゃんと呼び、ダヨルさんもキスカ姐さんのことを孫だと思っている。俺は傭兵として昔から稽古を付けてもらっていたんだ。

 

「えっと、かくかくしかじかで!」

 

「なるほど、かくかくしかじかですか。……そうですか。コンシー君は元気ですか?」

 

 コンシーはバラード酒場の一人息子にして、俺と同い年のライバルだ。セルヴァンデスさんの一番弟子でもある。もし俺が傭兵だったら今頃一緒にモンスターを倒しているだろうな。

 

「えぇ、アイツもアイツなりに頑張って、今はうでききだったかな? 中々ああ見えて強いんですよねアイツ」

 

「ルーベルト君が傭兵だったらコンシー君も、もう少し早くランクアップしたと思いますけどね」

 

「いえいえそんな。なにより、俺の戦い方は俺の隣にいる相棒を前提にしていますから。ユエリアが居なかったら俺はここまで強くなれていませんよ」

 

「る、ルーベルトさん…!」

 

「フフフ……昔から君は謙虚ですね。……ちなみに気になったので少し質問させてもらうのですけど、ルーベルト君の戦い方って今どんな感じなんですか?」

 

「ダヨルさんお茶のおかわりください」

 

「ユエリアちゃんはよく飲むのぉ…!」

 

「美味しいです!」

 

「フォッフォッフォッ。そうかいそうかい!」

 

「今俺は素手で戦っていますね」

 

「やはりそうでしたか。昔のように両手剣を持つのは?」

 

「ライフの適性がないみたいなんですよ。『河童』に関連するものならできると思うんですけど」

 

「なるほど。……ルーベルト君、たしか『河童』の好物はキュウリでしたよね?」

 

「俺はネギの方が好きですけど、その通りです。よく知ってましたね?」

 

「ルーベルト君と出会ってから偶然ダルスモルス大図書館で見つけたんですよ。……それで本題なんですが、『キュウリの剣』……というのはどうでしょう?」

 

「キュウリの剣ですか! なるほど! ……でも誰に頼めば作れますかね?」

 

「この際、他の12ライフの人たちと交流して、そのノウハウを学び、自作してみてはどうでしょうか?」

 

「なるほど! まあたしかに俺が作るのが一番早いですもんね!」

 

「ダヨルさんこのおまんじゅう美味しいです!」

 

「味噌まんじゅうもあるぞ」

 

「食べます!」

 

「俺にもください」

 

「私にも」

 

「フォッフォッフォッ。お主ら成長期じゃのぉ。そういえばお主ら今歳はいくつじゃ? ちなみにワシは75じゃ」

 

「私は21ですね」

 

「俺は15」

 

「えっと……たぶん1000……以上?」

 

「「!?!?!?」」

 

 ロリババアだもんな。ダヨルさん見ろよ。さっきまで少女を見守る目だったのに、歳上を見つけてびっくりしてるぞ。キスカ姐さんも普段糸目なのに目が開いてるし。

 

「私、かみさまと女神ステラの娘なんですよ…」

 

「「!?!?!?!?!?」」

 

「二人とも驚いてるけど、コイツの見た目見ろよ。いかにも『私、神聖な存在です!』って感じだろ? 浮世離れしてる雰囲気って感じかな?」

 

「ルーベルトさん私のことそんな特別な感じに見ていたんですか!? 見ていていつもあんなにドライなんですか!?」

 

「そんな俺ドライじゃねぇだろ」

 

「そういえばそうでした」

 

閑話休題(それはさておき)。キュウリの剣ってカッコいいですねルーベルトさん! まるで御伽話の中の勇者様みたいですね!」

 

「そうだな。勇者……勇者?」

 

「「…………あっ!」」

 

「どうしたんじゃ?」

 

「何か思い出したような顔ですね」

 

「「ラグナロー(さん)……」」

 

 あいつポツン島にポツンと一軒家してるわ。

 

「なぁキスカ姐さん。ポツン島にいつ帰る?」

 

「そうですねぇ。ペットのフランにおやつをあげたいのでそろそろ帰ろうと思っていますが……ルーベルトさんたちも来るんですか?」

 

「……知り合いがぼっちで待ってるかもしれない」

 

「流石にちょっと可哀想なのでルーベルトさんと私で迎えに行ってあげようと思います」

 

「そうでしたか。じゃあ早速行きましょうか。おじいちゃん、また来るね!」

 

「また今度お邪魔します!」

 

「おやつとお茶とっても美味しかったです!」

 

「フォッフォッフォッ。いつでもおいで! 待っとるからな!」

 

 俺たちはダヨルさんに手を振ってダルスモルス郊外への魔法陣に乗った。

 

■■■■■■

 

「おまたせしやした〜〜。ポツン島〜〜ポツン島でございます〜〜」

 

 ポツン島。ダルスモルスの南東にある島。30メートルを超える巨大なサボテンタワーが目印のほぼ無人島だ。ほぼというのはキスカ姐さんだけが住んでいるからだ。

 他にも影の洞窟というものがあるらしく、今回シャドウモンスターが出てきた原因だな。シャドウモンスターの巣窟である『亜空間』に繋がってるらしい。

 ちなみにこの影の洞窟の監視人としてキスカ姐さんはこの島に住んでいる。

 島には虹色の木、通称『星の木』が生えている。貝殻もにじいろかいがらが拾えて、ポツン島と言う名前じゃなかったら『虹の島』という名前だっただろう。

 ちなみにたい焼きがたまに釣れるらしい。

 

「いや最後のはなんですか?」

 

「考えるな。感じろ」

 

 そういうことだ。

 まぁつまり、結構愉快な島ってわけだ。

 

「帰るときはあっしに言ってくださいね〜」

 

「わかった!」

 

「ありがとうございます!」

 

 ポツン島の出入りは俺たちが乗ってきた船一本だけだ。キスカ姐さんがダルスモルスに買い出しに行っているときは船頭さんもダルスモルスの港で待機していてくれる。

 つまり……そういうことだ。

 

「丸一日あいつぼっちだったんだな」

 

「かわいそうなことをしてしまいましたね」

 

「大丈夫ですよキスカさん! ラグナローさん、ああ見えて結構タフなので!」

 

「そ、そうなんですか…? なんだかそんなイメージ無いんですけど…?」

 

「まあ確かにキスカ姐さんが来たのは結構後だったしな。……さぁて、ラグナロー、どこにいるかな?」

 

「ルーベルトさんルーベルトさん! このおっきなサボテンタワーに登ってみましょうよ!」

 

「おお、いいな。高いとこからなら見つけやすいしな」

 

 俺たちはサボテンの周りにぐるぐると巻きつけられた木製のスロープをゆっくりと登っていく。

 

 やがててっぺんに着く頃。

 

「……おうちかえりたい」

 

「「あっ」」

 

「あっ」

 

 三角座りしているラグナローと目が合った。

 

 

 

 

「お前らどうして吾輩を置いていったんだよおおおおお!!!!!」

 

 

 

「「マジごめん……」」

 




戦闘ライフのえいゆうで仲間になる人がだんだん出てきました。

王国兵士りゅうごろし 両手剣使い、本名グレン。
傭兵ダヨル 着ぐるみのおじいちゃん。
狩人アロ 初期装備の最強狩人
魔法使いネク わざわいを討伐したい。

の4人です。アロはまだ未登場ですね。

さて。ぼっちのラグナローを回収したルーベルトとユエリアは次は魔王の塔の番人と番犬に会いに行くそうですよ?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。