第46話「キグルミ演奏団」
スヤァ……。スヤァ……。う、うへぇへへ。ち、チョウチョ、もう……食べられな……。
「もしもし」
んにゃぴ……すぅー。スゥー。あと三時間……。
「もしもし。ルーベルトさん、ごめんください」
うぅん……マジ卍……。
「流石に起きてくださいルーベルトさん。今もうお昼の一時です」
「んにゃ?」
「あ、やっと起きましたか。ルーベルトさん。おはようございます!」
「ん、あっ。うん。おはよう」
「すみません。ルーベルトさんはいらっしゃいますか?」
「ルーベルトさん、キグルミ演奏団の方がお待ちです」
「キグルミ演奏団?」
「まあ詳しい話は直接聞いてください。ほら、早く着替えてください」
チョウチョに着替えを促された俺は、寝巻きタンクトップからおめかしタンクトップに着替えた。
ちなみにサイズも色も変わらない同一品だがな。
「じゃあ私はルーベルトさんのタンクトップの中でお話を聞いていますね!」
「おう」
チョウチョはきらりと光りながら俺の胸元に入ってきた。
さて。まずはあいさつか。
「……おはようございます」
「おはようございます。わたくしキグルミ演奏団の団長を務めさせて頂いている者です。最近はバラードの酒場で演奏をさせて頂いています」
バラードの酒場。クルブルクの西側にある繁華街の中の端っこにある小さな酒場。普段は呑んだくれと傭兵と曲芸師が集まる酒場だが、そこに演奏団か……。
思えば俺も随分と長いこと行ってなかったな。傭兵のマスターセルヴァンデスさんや、店主のバラードさん。バラードさんの息子で臆病者で、俺の友達のコンシー。たくさんの知り合いがいるところだ。
……それで、このキグルミさんはどんな要件なんだろうか。
「わたしたちはそこで【マスターの詩】を演奏しているのですが……」
「マスターのうた?」
「えぇ。かつて、女神ステラが与えた12のライフ。そのそれぞれには、その道を極めた者を讃える賛美歌があったのです。……しかし時代の変革と共にそれは人々に忘れ去られ、忘却の
「ご老人?」
「おおきなかんむりをかぶった方でしたね」
「それせんだいこくおうだろ」
全く、あの人はどれだけ博識なんだ?
……そういやずっと前、「ワシ、空島行った事あるぞい」って言ってたけど、もしかしてマジなのか?
「まあ、マスターの詩についてはご理解いただけたと思います。我々の用件は一つ。ルーベルトさん。あなたにインタビューをさせてもらえませんか?」
「……なるほど。そりゃそうだよな。13個目の詩なんて用意されてねぇよな」
「だからこそ我々の手で創り上げましょう。女神ステラの
「わかったぜ! 俺はインタビューされればいいんだよな!」
「えぇ。よろしくお願いします。……風の噂で聞いたのですが、このファンタジールに危機が訪れていると。……それは本当なのですか?」
「……ああ。本当だぜ。……でも」
「?」
「俺が救うぜ。この世界を」
「!」
「賛美歌は、俺が世界を救った後に聞かせて欲しいんだが……いいか?」
「……勿論ですよ。英雄の貴方様に相応しい、ファンタジール最高の賛美歌を創ることを誓います!」
「じゃ、早速インタビューだな! バラードの酒場でまったりやろうぜ!」
「えぇ、是非、我々の演奏を楽しんでいってくださいね」
世界を救う目的が、また一つ増えた。
マスターの詩。聴くのが楽しみだ!