河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第48話「豪邸に引っ越してきたのはだれ?」

 

 目を覚ました俺が一階に降りると、そこにはいつもよりハイテンションでルンルンなメグおばさんが居た。

 

「ふんふふん〜♪ふふん〜♪」

 

「おはよう、メグおばさん」

 

「あら、ルーベルト。おはよう。いい夢は見れたかい?」

 

「チョウチョが森の奥深くでおっきなおっきなパーテルベアに叫ばれて驚いている夢だったな」

 

「そうかいそうかい。アタシはルーベルトがフロムゲーみたいに前転ローリングしながらクルブルクを一周する夢だったよ」

 

「なんだよそのシュールな夢、怖いな」

 

「でもルーベルトさんならやりそうですよね」

 

「あら、チョウチョちゃん。おはよう」

 

「おはようございます! メグさん! ちなみに私は砂糖水のプールを泳ぐ夢でした!」

 

「あらあら。食いしん坊さんね」

 

「砂糖……リッチ……うっ、頭が!」

 

 よし、これ以上深く思い出すのはやめよう。その方がきっと幸せだと俺は信じてる。

 

「そういえばメグおばさん。今日はやけにハイテンションじゃないか?」

 

「あら! わかる? ほら、私、不動産屋でしょう? そうねぇ……ルーベルトとチョウチョちゃんは繁華街の北の方にある豪邸がわかるかしら?」

 

「コンガス食堂の右側にあるやつですね!」

 

「そうよ! それでね、その物件、中々高くて買い手が全くつかなかったの」

 

「へー。いくらなの?」

 

「30万リッチよ」

 

「「30万!?!?!?!?!?」」

 

「あははははは! そうよね、私もその物件を見た時思わず笑っちゃったもの。……でもね、なんと! 売れたの!」

 

「「30万が!?!?!?」」

 

「そうなのよ。サングラスにマスクをつけた女の子だったんだけど……どっかで見たことあるような気がしたのよね」

 

 サングラスとマスク……それってつまり。

 

「……有名人ってことですよね?」

 

「そうとしか考えられねぇよな。なあメグおばさん、その人ってどんな感じだった?」

 

「そうねぇ……とても真面目で礼儀の正しい子だったわよ。あとは確か……女神を祭る一族の末裔とかなんとか……まあ、アタシにはよくわからないからとりあえず飴ちゃんをあげといたわよ」

 

「美味しいですよねメグさんの飴ちゃん」

 

「マジで美味い。キャンディーの中で1番好きだぜ」

 

「ふふっ、二人ともお世辞が上手ねぇ。……そんなに気になるなら少し様子を見に行ってみれば?」

 

 お世辞じゃねぇんだけどな……って!

 

「え? いいのか?」

「いいんですか?」

 

「なんかその子がね、『この辺りに降臨されたはず……』とか、『女神像に似た人を探しているんですが……』とか言ってたわよ。ユエリアちゃんのこと、探してるんじゃないかしら?」

 

「なるほど……ん? メグおばさん。今なんて?」

 

「え? ユエリアちゃんことを探してるんじゃないかしら?」

 

 …………俺とチョウチョは目を合わせて。

 

「「バレてる!?!?!?」」

 

「そりゃわかるわよ。ウチの屋根の上にいつも座っている白いほっかむり少女は、チョウチョちゃんの本当の姿なんだろう?」

 

「うっ!」

 

「そりゃばれるわ」

 

「なんなら毎日夜に一緒に砂糖水飲んでるしね♪」

 

 なにそれ初耳。

 

「……ちなみにいつから?」

 

「1ヶ月前からかしら」

 

「そりゃばれるわ(当然)。というかめちゃくちゃ仲良しじゃねぇーか」

 

 つまりメグおばさんは俺より先にユエリアの人間フォルムと出会っていたってわけか。

 

「なるほど。……で、なんだっけ?」

 

「豪邸を買った人についてですね」

 

「そうそう。たしかその人がユエリアを探してるって話だったよな?」

 

「そうねぇ。……あ、今日の晩御飯は天ぷらと蕎麦よ」

 

「東の島風だな」

 

「私結構好きですよ。なんだか懐かしいんですよね」

 

「だから、二人とも。晩御飯までには帰ってくるんだよ?」

 

「「はーい!」」

 

 晩御飯に胸を躍らせながら、俺たちは豪邸へと出発した。

 

■■■■■■

 

「ごめんくださーい」

 

「はい。どちらさまですか?」

 

 出てきた人はメグおばさんから聞いた通り、サングラスとマスクを着けていたが、めっちゃ可愛い子だとわかった。白い髪をしていて、どこか幻想的な雰囲気だ。

 

「すみません。メグおばさん……不動産屋から聞いた話なんですが、なんでもアナタが『女神の娘』を探していると聞いて来たんですが……」

 

「…………あれ? 貴方様はもしかして、ルーベルト様ですか!?」

 

「えっ? あっ、はい。ルーベルトです」

 

「やっぱり! 伝承通りですね! 立ち話もなんですので、どうぞ中にお越しください!」

 

「「お邪魔します!」」

 

「あれ? もう一人の声が聞こえましたけど……まさか!」

 

「こんにちわ!」

 

 チョウチョが俺のタンクトップからひらひらと出ていった。

 

「わっ! こっちも伝承通りですね! ……こほん。名乗り遅れて申し訳ありません。私は東の島の第137代目巫女。スノウと申します」

 

「「スノウちゃん!?」」

 

「あっ。ご存知でしたか。あはは……恥ずかしいです」

 

 説明しよう! スノウちゃんとは! このファンタジールで圧倒的人気を誇る、歌って踊れてめちゃ強い完璧なアイドルなのだ!

 

「お二人のことは伝承によって知っています。第20代目巫女であるミコと、その大切な友達ドグを助けた恩人だと。『いにしえのわざわい』を退けた英雄だと聞いています」

 

「「えっ?」」

 

「えっ?」

 

 なにそれ初耳…。

 俺とチョウチョが並んでポカンという顔をしていると、逆にスノウちゃんの顔はどんどんと青ざめていった。

 

「も、もしかして私……歴史を歪めてしまったのでは!?」

 

 スノウちゃんは手に持ったサングラスをガクブルさせて慄いている。まあ気持ちはわかる。歴史改変って大抵の場合悪だもんな。

 

「スノウちゃん。俺にいい案がある!」

 

「本当ですか!」

 

「俺とチョウチョの頭をスノウちゃんの可愛さで上書きしてくれ!」

 

「?????????????????????」

 

 困惑の色でいっぱいなスノウちゃんはやっぱり可愛かった。

 

「なあチョウチョ。お前もそう思うだろ?」

 

「黙って聞いていればよくもまあそんな……まったく。最高ですよルーベルトさん!」

 

「…………伝承では、もう少しかっこよかったんだけどなぁ……」

 

 広い豪邸の中で、スノウちゃんの小声は俺たちのハイテンションに打ち消されたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 




早くルーベルトたちをはじまりの島に連れていってあげて下さい。……はい、頑張ります。

9章は「グルグルの竜と時を盗む少女」です。

お楽しみに!(早く書かないと間に合わねぇ!)
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