「アンタたちふざけんじゃないわよ!」
「「ごめんて」」
あのあと結局、スノウちゃんの歌声が街まで響いて豪邸にファンが押し寄せる事態になった。あんまりにも大規模な騒ぎだったから王国兵士たちが総動員されて事態の鎮静をはかった。リンドやローマンさん。イザベラさんに挨拶していると、マスタング隊長と出会った。
「すまないが同行してほしい」
「「わかりました」」
小一時間程度やれ情報モラルがどうや、個人情報がどうや、プライバシーがなんとか言っていた。
全くもってその通りだと思います。
……んで、それがエリック王に報告されて、それがラウラに伝わって……今に至る。
「私だってスノウちゃんのライブ見たかったわ! アンタたち私の隠し部屋見たことあるでしょ!」
「「?」」
「……あれ? 見たことなかったっけ? ほら」
ラウラがリンゴの模様が入った壁を押すとグゴゴゴゴ……と扉がスライドして隠し部屋に繋がった。
「えっ、この部屋そんなギミックあったのかよ!」
「窓になわばしごがかかっていますけど……何のためですか?」
「冒険に出かける用よ。パパとママの寝室のベットの下にあるやつをこっそりね。そういえば……ほら、イネムリドラゴンが黒影怪物化しちゃうかもってときがあったじゃない? その時足を滑らせたからルーベルトを圧殺しちゃったのよ」
「圧殺しちゃったのよ……じゃねぇだろ! 割と痛かったぞアレ!!」
「コホン。王族だからしょうがないわ」
「暴君め……」
「何か言ったかしら?」
「いえ何も? そうだラウラ様。出来立ての激ウマアップルパイです」
「ママのね! ……ところでルーベルト。あなたアップルパイを何処にしまってたの?」
「ラウラさん……気にしたら負けです。というか世の中には知らない方が幸せなこともあります」
「って言う割には「無知は罪」とかいうし、世の中ってよくわかんねぇな。ツンデレかよ」
「アンタたちあたしと会わないうちに随分と考え方が大人になってきたわね。捻くれたって意味で」
「余計なお世話だぜ……って、オイオイマジかよ。なんでこの隠し部屋の中にスノウちゃんのアイドル衣装があるんだよ!?」
「ら、ラウラさん…まさか…!」
ラウラは俺たちの視線に、恥ずかしそうに指をモジモジさせながら赤面し、今にも消えてしまいそうなか細い声で。
「わたしだってかわいい服着たいわよ……」
「「かわいい!!!!!!!」」
何だこいつめちゃくちゃ可愛いな!!!!!
思わず俺は大声で。
「エリック王ーーーー!!!! お前の娘めっちゃ可愛いぜーーーー!!!!!」
「ちょっ!? ルーベルト! アンタっ!」
ドタドタドタドタ!!!!!
ガチャ!
「そりゃそうじゃろ!!!!!!!!!!」
7歳くらいの見た目の子供が真剣に親バカしてる光景ほど面白いものはないかもしれない。
「ほら、あなた。まだ今日の謁見の仕事が残ってるんですから。行きますよ」
「ああ! フェリアちょっと! ちょっとだけでいいから我が愛娘を愛でさせてくれ!」
「あらあら。その情熱。若い頃の私に惚れたあなたみたいですね」
「フェリア……」
「「「マジか…」」」
二人は仲良く謁見の間へと戻って行った。
あの二人もう40いくつだろ? しっかり夫婦してんなぁ。
「……はぁ。パパとママのラブラブに当てられてアンタたちへの恨みつらみがなくなっちゃったわ」
「なんかすまねぇな」
「私とルーベルトさんもラブラブですもんね」
「「ちょっ!?」」
割とぶっこむなこのチョウチョ。
「いいわよ……私はどうせ一人ぼっちの寂しいお姫様なんだから……」
「おいチョウチョ、ラウラが三角座りでいじけちゃったじゃねぇーか!」
「冒険行きます?」
「行く!!!!! ねぇ何処行く!!!!! ポルトポルト? ダルスモルス? コモレビィの森?」
ユエリアのやつ、結構ラウラの理解度高いな。
……いや、これは流石にラウラがいい意味で単純なだけか。
「ポルトポルトに行きましょうよルーベルトさん! 折角ですし、オリビアさんやアンディさんにも会いに行きましょう!」
「たしかにしばらく行ってねぇなぁ。ラウラ、今すぐ行けるか?」
「もちのろんよ! 40秒で支度するわ!」
そんな海賊が整備士に言うようなセリフを……。
……整備士。整備士っていえば、アイツ。今ポルトポルトにいるんだっけか。
なぁ、ロビン……。