河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第50話「元王国兵士ナンバー2」

 

 俺たちはポルトポルトへ向かう為に、陸路を選択した。ラウラには一応青い帽子の少年にはなってもらっているが、国営の飛行船を使うとすぐバレそうだから念のためな。

 

 なわばしごから降りて、クルブルク郊外東から、南、パーテル大平原東まで進み、今ちょうどパーテル大平原西に入ったところだ。

 

 休憩も兼ねてハーベス大農園へ立ち寄った俺たちは、久々にハーベスさんとジュエルに挨拶しようとしたのだが……。

 

「おにーちゃん!!!!! お姫様きた!!!!!」

 

「えー!?!?!?!?!?」

 

 ラウラの正体が速攻バレた。流石ジュエル。こいつ経営センスもあるし、人を見抜く力も申し分ない。こりゃ大農園は安泰だな、なんて考えていると。

 

「ラウラさま! これ! うちで採れたりんごです!」

 

「ラウラ様! こんなものでよろしければどうか受け取って下さい! うちの野菜をたっぷりと使ったサンドイッチです!」

 

「あはは……どうも親切にありがとうね」

 

「なぁジュエル。俺は?」

 

「ねぎあげる」

 

「ありがとう……本当にありがとう」

 

「ジュエルさん私は?」

 

「砂糖水あげる」

 

「ありがとうございます……それしかいう言葉が見つかりません……本当にありがとうございます」

 

 とまあそんな感じで昼飯をゲットした俺たちは、桜の木の下でお昼ご飯を食べようとしたんだが……。

 

「オイお前ら。久しぶりだな」

 

「「???」」

 

「オイ……まさか忘れたわけないよな?」

 

「「どちらさま?」」

 

「嘘だろ…………」

 

 なんかぼんやりと見たことあるようなやつに話しかけられた。俺たちが思い出さそうと首を傾げながら、頭を捻っていると。

 

「あら、グレンじゃない」

 

「ラウラか。久しいな」

 

「あら知り合い」

 

「私の知らない交友関係! ワクワクします!」

 

「……ねぇグレン。まだりゅうごろしなんてやってるの?」

 

「……ああ。俺はまだまだ強くならなければならない。「あの人」よりも!!!!!」

 

「……あの人?」

 

「誰でしょうか?」

 

「……もう、私の騎士には、なってくれないの?」

 

 気がつくと、ラウラは寂しそうにグレンの服の裾を掴んで、濡れた子犬のように縋っていた。

 

「…………すまない。今の俺は傭兵で、りゅうごろしだ。ジジイに課された試練を乗り越えなければ、「でんせつ」の王国兵士に勝てないんだ」

 

「もう、別にママに勝てなくてもよくない?」

 

「ダメだ。俺は最強になりたいんだ。……元王国兵士ナンバー2のプライドに賭けて…な」

 

 ……ラウラのママ…。フェリアさんか。なるほど。完全に理解したぜ。

 

「つまりグレンさんはドラゴンさんをいっぱい倒して最強さんになりたいんですね!」

 

 ……言おうと思ったら先越された。

 

「そういうことだ。その察しの良さをぜひとも記憶力に回してくれ」

 

「どうしよう。ぐうの音も出ないんだが」

 

「私はぐーの音はでますよ。ほら」

 

 ぐー!

 

「……ほんとだ」

 

「おなかすきました」

 

「……で、なんで私たちに話しかけたの?」

 

 漫才していた俺たちを呆れた目で見ていたラウラは話を戻そうとグレンに問いかけていた。

 

「……いや。俺もちょうどポルトポルトに用があってな。他人というわけでもないし、同行したいんだが……いいか?」

 

「もちろんいいわよ!」

 

「おう。ええで」

 

「私はウェルカムです!」

 

「助かる」

 

 ……とまあそんなわけでグレンも仲間に加わった!

 

■■■■■■

 

 ポルトポルトに向かう途中、俺はグレンに質問をしていた。チョウチョとラウラは後ろで恋バナしてるから、一対一だな。

 

「そういやさ、グレン」

 

「なんだ?」

 

「なんで傭兵なのか気になったんだけど」

 

 グレンはなんかちょっと嬉しそうな顔してる。

 意外と話すの好きなタイプか。もっと孤高の一匹狼かと思ってたぜ。

 

「ジジイ……かんむりじいさん曰く、「お主は誰かを守ることを意識しすぎているんじゃよ。攻めが弱いんじゃな。まあ王国兵士たるもの民を第一に考える志は素晴らしいが、意識しすぎるとそれが弱点となる。敵にも手加減しとるしの。優しすぎるんじゃよお主は。じゃから、誰かを守るより、勝つことに集中できる傭兵に転職して、戦闘の技術を身につけるんじゃよ。なぁに、12のライフを極めたわしの言葉じゃ。間違いないじゃろ。たぶん」……だそうだ。最後ちょっと責任から逃げてる感あってムカつくが、それでも指摘は的確だと思った俺はジジイの指示通りに傭兵になり、ドラゴンに挑むことにしたんだ」

 

「なるほど。……ポルトポルトに来たのもドラゴンか?」

 

「ああ。といっても、ポルトポルトにはドラゴンは居ないがな」

 

「え? じゃあなんでだ?」

 

「……ルーベルト。お前は「空島」というものを知っているか?」

 

「……噂程度なら」

 

 ……空島。それはファンタジールの何処かに浮かぶ島の話。でも現実的に考えて島が浮かぶわけないからおとぎ話だと思われている。

 

「……俺が倒していないドラゴンはあと2匹。伝説の銀の竜、シルバードラゴンと、最強の金の竜、ゴールドドラゴンの2匹だ。そのうちの1匹、シルバードラゴンが空島に生息しているとジジイから聞いてな」

 

「……なあグレン。それってつまり──」

 

 俺は与太話のような事実にクチバシを押さえながら、グレンの言葉に集中する。

 

「──ああ。空島は「存在する」」

 

 …………その言葉を聞いてすぐ、俺はある少年を思い浮かべていた。

 

「グレン。俺にあてがあるぜ」

 

「本当か!? ……フッ。やはりお前は面白い。ジジイが気にいるわけだ……。これからよろしく頼むぞ、ルーベルト」

 

「あぁ、これからよろしくな。グレン」

 

 空島。もしも、本当に実在するなら、とても不思議な冒険が待っていそうな、そんな気がするぜ……。




祝! 50話!
ここまで読んでくれた読者さんに、ただひたすらの感謝を! ありったけの感謝を込めて! 乾杯!!
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