河童は不思議な生活がしたい   作:東風ますけ

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第51話「別荘 美味そう ダイナソー」

 

「ようこそお越しくださいましたルーベルト様、チョウチョ様。不肖ルチアーノ。お二人に会うことを心待ちにしておりました」

 

「丁寧にありがとうございますルチアーノさん。早速なんですけど…」

 

「別荘についてですね? かしこまりました。今回ルーベルト様にご紹介する別荘は宮殿街の東にあります。私が先導いたしますので、皆様方は後ろからついて来てください」

 

「わかりました!」

 

「オイ、ラウラ。なんでこいつらは別荘を買おうとしてるんだ?」

 

「おかしいわね。なんかこの国のお偉いさんと会うはずだったんだけど」

 

 説明しよう! 別荘とは! それはもう素晴らしいものである!

 なんとびっくり! ワープができるのだ!

 具体的に言うと、体感的擬似ワープだな。

 移動する時に意識はあるんだが、なんかいつの間にか移動が終わってるんだよ。

 仕組みはよくわからねぇけど、とにかく便利だ!

 どのくらい便利かと言うといちいち移動の描写をしなくて済むくらい便利だ!

 

「な! チョウチョ!」

 

「内容が全くわからないんですけど、たぶんそうだと思います!」

 

「そうかそうか。チョウチョ、お前もそう思うか。やっぱり別荘って最高だよな!」

 

「……なぁラウラ。俺はもしかしてとんでもない奴らについて来てしまったのか?」

 

「今更気づいたの? もう手遅れよ」

 

 後ろで文句を言っている二人は置いといて、俺たちはついに別荘を購入した!

 

「これにてこの別荘はルーベルト様のものです。チョウチョ様もどうぞこの穏やかなポルトポルトの潮風で、心も体も癒していってください。私はこれにて失礼致します。ごゆるりとお過ごしくださいませ…」

 

「「ありがとうございました!」」

 

 ルチアーノさんはオリビアの公務を手伝うようだ。オリビアに夕食に招待されているから、それまで時間を潰すか。

 

「ラウラ、グレン。頼みがある」

 

「「頼み?」」

 

「困ってる人を見つけたら助けてくれ」

 

「え? そ、そりゃあ助けるに決まってるけど…」

 

「違う、ラウラが想像してるような絶体絶命のピンチみたいな人だけじゃなくて、アメジストが欲しいだの、ランニングフラワーが欲しいだのつべこべ言ってるやつらのねがいを聞いてくれ」

 

「話が読めないぞルーベルト。貴様一体何が目的なんだ?」

 

「……二人には話しておくか。いいか? ユエリア?」

 

「はい! 私は大丈夫ですよ!」

 

「……ちょっと待って。チョウチョってユエリアって名前なの?」

 

「俺も初耳だな。まるで人間みたいな名前だな」

 

「まあ人間じゃないけどな。……っとと。あんまり外では話さない方がいいな。二人とも別荘の中に入ってくれ!」

 

「わかったわ」

 

「了解」

 

 別荘の中は青と白のコントラストが美しい港町風の家具がいい感じに置いてあった。きっとルチアーノさんが用意してくれたんだな。

 

 俺たちは丸いテーブルを円を囲むように座って話し始めた。

 

「実はなラウラ、グレン。このファンタジールはあと1ヶ月で滅ぶんだ」

 

「「!?」」

 

「だが、対抗策が無いこともない」

 

「……なるほど。さっきのはそういうことか?」

 

「理解が早くて助かる。そう、世界を救うにはその世界の住人の、『世界への愛』が必要なんだ。それは個人的な願いでもいい。友愛も親愛も巡り巡ってはこのファンタジールを好きっていう想いなんだ」

 

「……でもルーベルト。なんでアンタはそんなことを知ってるの?」

 

 ラウラとグレンが俺を真剣な眼差しで見つめている。

 

「……ユエリア」

 

「わかりました! えいっ!」

 

 ボンッ! と音を立ててユエリアはチョウチョの姿からマーズの子の姿へと変身した。

 

 真っ先に反応したのは、やっぱりラウラだった。

 

「あ、アンタ! キリタチ山の時の!」

 

「えへへ。ルーベルトさんにすぐにバレちゃったのでラウラさんにもバレてるのかなーってビクビクしてたんですけど、どうやら私の演技はカンペキだったようですね!」

 

「んなわけねぇだろ」

 

「……勘違いだったらすまんが、ライフの女神に似ていないか?」

 

「アタシもそれは思ってたわ! ねぇもしかして…?」

 

「はいっ! ある時はチョウチョ。またある時は謎多きほっかむりの少女。その正体は──! 世界を創ったかみさまと、ライフの女神ステラの娘。マーズの子! ユエリアです!」

 

 あっ、ラウラとグレンが白目剥いて倒れた。

 

■■…………ん? なんか、嫌な予感が…。

 

ドッカーーーーーーーーン!

 

 雷が落ちてくるような轟音を認識した時には、既に俺の目の前には、緑色の恐竜が立っていた。

 

「──っ! 逃げろ! ラウラ! グレン!」

 

 俺がそう叫ぶ頃には、ラウラとグレンの姿はなかった。くそっ! 守れなかった!

 

「ユエリア! 無事かっ!!」

 

「はい、私は大丈夫ですっ! でも、ラウラさんとグレンさんが!!」

 

「きっとクルブルクに戻ってるから心配はいらねぇ! それよりも俺たちは目の前のこの恐竜をなんとかしねぇとな!」

 

「オイ、勝手に俺たちを殺すな」

 

「アタシとチョウチョは援護に集中するから、ルーベルトとグレンは攻撃に集中してちょうだい!」

 

「「了解!」」

 

「わかりました!」

 

 ……ここからは特に苦戦することもなく、俺が背水の陣でチマチマ削りながら、グレンが大技を叩き込んで倒した。

 

 かなりの強敵だったが、それ以上にグレンやラウラの動きが良かった。正直なところ、こんなに強いとは思ってなかったぜ。

 

 そして、戦いが終わったころに警備隊がやってきた。

 

「い、一体何事だ! ……ってお前、あのポルトポルト防衛戦のときの河童じゃねぇか!」

 

「あー、お久しぶりですね。兵士長」

 

 傭兵上がりの兵士長、ハンニバルさんだ。

 

「このモンスター、レックス種か。……緑色の恐竜。もしやあのきょうぼうレックスか!」

 

「知ってるんですか?」

 

「傭兵ならば一度は耳にしたことのあるモンスターだ。伝説の魔獣キマイラと暴君きょうぼうレックス。いずれも目撃情報が限りなく少なく、一説には空に住んでいるとも言われるほどの幻のモンスター! ……ああこれ、夢か? 夢な気がしてきたぞ?」

 

「ところがどっこい夢じゃありません! 現実です…!」

 

「……にわかには信じ難いが、とりあえず元締めのところに報告だな」

 

「ですね」

 

■■■■■■

 

ポルトポルト客室の間にて。

 

「アハハハハハ! 久々に来たと思ったらルーベルト! やっぱりおまえは最高だな!」

 

「照れるぜ」

 

「まあ細かいことはアンディやお父様がやってくれるから、みんなは是非とも宴を楽しんでくれ!」

 

「……なぁオリビア」

 

「ん? どうかしたか?」

 

「これ…」

 

 俺は目の前に出された料理を恐る恐る指差しながら。

 

「ああ。今日取れた肉だ」

 

「マジっすか……」

 

「別荘美味そうダイナソーって感じですね! ルーベルトさん!」

 

「どんな感じだよ……」

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