各ライフには「奥義」と呼ばれる必殺技がある。
王国兵士は光の剣を放ち、傭兵は大地を叩き割る。狩人は幾千もの矢の雨を降らせ、魔法使いは星を落とす。
ライフマスターとして、ライフに相応しい「奥義」を、この宴の続く一週間の間、ずっと考えていた。
──そして宴の最終日。
それは成った!
「奥義! 【
俺の皿から水が溢れ出し、九つの首が宙に浮かぶ。
竜の顔をしたその水は、敵に向かって自動的に攻撃を行う。
「す、すごい!」
アンディが俺の技を見て、目を光らせている。
「驚くのは威力だぜ」
竜の頭が的に当たると、的が粉々に砕け散った。
「ここ最近は数の不利が多かったからな。このくらいの威力ならボスモンスター以外なら倒すか、最低でもしばらくダウンさせられる」
「流石、ライフマスターですね。お見事です」
「アンディも、酒と船酔い。克服したみたいだな」
「ルーベルトさんの頑張っている姿を見ていたら、自分も成長しなくちゃなと思いましてね」
「嬉しいこと言ってくれるぜ」
奥義、つまりテンション技は、敵を攻撃してテンションを上げて、それを解放する技だ。
だからボスを殴りながら雑魚殲滅を行えるこの技はかなり便利だと思う。
雑魚がいなくなったらボスに9連撃与えられるから、役割が色々あるのが我ながら素晴らしいな。
……今日は宴の最終日。
ラウラとグレンにクルブルクの願い集めを任せたし、ポルトポルトはオリビアとアンディに任せた。
……残るはダルスモルスか。ルーザの修行が終わるまであと3週間。
「なあアンディ。一つ、頼みがあるんだが」
「はい、なんでしょうか?」
「ポルトポルトにいるロビンっていう飛行機整備士にこう伝えておいてくれないか?『空島はある』って」
「……わかりました。必ずお伝えしますよ!」
「ありがとな!」
──そして。
「ガハハハハハ! また来いよ! ガキンチョ共!」
「アタシたちもできる限りのことはしておくよ!」
「お二人ともお元気で!」
「ああ! またな!」
「宴、とっても楽しかったです!」
1週間の宴が幕を閉じ、俺たちはポルトポルトを後にした。
そして、パーテル大平原西にて。
「ラウラ。グレン。頼んだぜ」
「ホント、アンタたちと居ると退屈しないわ。……パパとママに頼んで、たくさんの人の願い事を集めておくわ。だから……安心して、クルブルクに帰ってきてね! ルーベルト! チョウチョ!」
「俺もジジイや騎士団に駆け寄って、出来ることはしておこう。貴様らは貴様らのやるべきことを果たせ。それがこのファンタジールの為になるんだろ? ……全てのドラゴンを倒し、最強になるまでに世界がなくては、意味がないからな。だから、頑張ってこい」
「二人とも、本当にありがとうな。俺、昔はひとりぼっちだったけれど、お前らと出会えて本当に嬉しいよ」
「ルーベルトさんのことは私に任せておいてください! そしてまた四人でおしゃべりをしましょう!」
俺たちはダルスモルスに向かう。
王が不在の今、砂漠の国の民たちは未来に不安を抱えているはずだ。
すこしでも多くの願いを集めて、俺たちはこのファンタジールを救わなくてはいけない。
俺のためにも、ユエリアのためにも。
「歩いて向かうのは初めてですね?」
「確かにな。お、キャンプがあるじゃねぇか」
世界が滅ぶまで……いや。
俺たちが世界を救うまで、あと一ヶ月と、三週間。
──覚悟は、もう決まった。あとはもう、前に進むだけだ。
空に浮かぶマーズの、その先まで──。