「イムカちゃーん! へい! イムカちゃーん! オレとお茶しない?」
「するわけないだろう……」
「萎えるぜ」
「……ホーク。大体、キミはブルーメがサンダーバードを倒すための、助っ人として呼んだんだぞ」
「アロさんにマルマルのテリヤキバーガー食べさせてもらったら、遅刻しちゃったね」
「遅刻しちゃったね。じゃ、ないのだが。どうするんだ。ブルーメ一人では荷が重いぞ」
「風が俺を呼んでいる……」
「話聞いてたか?」
「イムカちゃん。大丈夫だよ。ブルーメくんには仲間がいるからさ」
「仲間? ダルスモルスに狩人なんでほとんどいないぞ? 居るのはボイドのじいさまくらいだ」
「ふふ。イムカちゃん。別に仲間ってのは何も、狩人だけじゃないんじゃないか? ほら、例えばそう! 『河童』の彼とか!」
「——! ルーベルトか!」
「ワン!(ご主人さま! 鈍感!)」
「む。シジミ。お前今悪口いっただろう」
「ワン!?(バ、バレてる!?)」
「あちゃー。こうなったイムカちゃんは俺でも収められないぞ」
「ふふふ。シジミ。私達は狩人だが、どうだ? たまにはイネムリドラゴンにでも挑んでみないか?」
「ワオーン!(ごめんなさーい!)」
「こういう風も悪くないね……」
■■■■■■
一方その頃。俺とブルーメはサンダーバードに苦戦していた。灼熱の砂漠でなんでこんな重労働せねばならんのだ。ふふふ。話せば長くなるが、簡単にまとめると、ブルーメが女の子にモテるために強くなりたいと言い出したんだ。で、今に至る。
どうだ? 簡単だろ?
「ホキャアアアアア!」
耳をつんざくような鋭い咆哮。雷雲のヌシと呼ばれる怪鳥。サンダーバードの咆哮だ。
「ルーベルトさん! 危ないですよー!」
ユエリアが遠巻きから何か叫んでいる。
「なんか言った──あばばばばば!?!?」
振り返った直後、俺は電撃を浴びた。
「おいルーベルト! 大丈夫か!?」
「な、なんとか…」
電撃を浴びて少し焦げた俺の手を、ブルーメが引っ張り上げる。
「ルーベルト! 天才有限! 努力無限だ! がんばれ! ブルーメも! がんばれー!!!!!」
「こ、こわいいいいいい!? 何あの電撃ブレス強すぎだよおおおおおお!?」
「ルーベルトぉ! リンドとコンシーにも手伝ってもらおうぜ!」
「ダメだぁブルーメ! あいつらはあいつらで、ゴールドドラゴンと、ロードオブデスが待ってる!」
「ちきしょおおおおおお!」
黄金竜ゴールドドラゴン。
暗黒竜ロードオブデス。
どちらもサンダーバードに並ぶ『マスター』の試練の相手だ。
「ブルーメ! 俺がお前をかちあげる! お前は真上から麻痺の矢を、サンダーバードの口目掛けて撃て!」
「でもルーベルト! 隙が──うぉっと!? す、隙がねぇよぉ!」
「『アローレイン』を撃て! ブルーメ!」
「わかった! 『アローレイン』!」
狩人のテンション技。アローレイン。サンダーバードの上空に矢の雨が降り注ぐが、全く効いていない。
だけど! それでいいんだ!
俺は腰を深く落として、手を合わせて握り込む。そして腕を上に向けて、踏み台にする。
「こい! ブルーメ!」
「うおおおお! 頼んだぞ! ルーベルトぉぉぉ!」
ブルーメを、思いっきりうえにかちあげた!!!
「たけぇぇぇぇ!?!?!?」
「ブルーメっ! 麻痺の矢を思いっきり振り絞れ!」
「ホキャアアアアア!!!!!」
アローレインが降り終わり、サンダーバードがこちらに襲い掛かろうとして来た。
「奥義! 【
九つの水の龍が、全てサンダーバードのアゴへと向かっていく。
初めの一発だけ口の中に命中し、残りは全てアゴに当たった。
サンダーバードは攻撃を受けて真上を向いている。
「ビリビリするぜサンダーバード! 穿て! ブルーメッ!!!」
「モテてええエェェェェェ!!!!!」
ブルーメの渾身の一撃は──!
『ホキャアアアアア!?!?!?!?!?』
見事に炸裂したのだった!
サンダーバードはズサリと砂漠に倒れ込んだ。
サンダーバードは雷を使うモンスター。麻痺は本来は効かない。しかしそれは羽毛が電気に耐性があるからであって、体内は至って普通の鳥類だ。
麻痺の矢は微弱だか、風の精霊の力で、電気を帯びている。
ヒュドラの一発目を口の中に入れておくことで感電しやすくしといたんだ。
「いてっ」
ブルーメが頭から砂漠に落ちた。
「あ。すまんブルーメ。着地のこと忘れてたわ。いやすまん。まあ砂だし」
「あちいいいいいいい!!!!!」
「ああ、そうか。ここ、灼熱の砂漠だったわ。すまん」
「ルーベルト!」
「ん? どうしたんだリンド?」
「さっきのアレはゴールドドラゴンではやらないでくれ! オレはオレの剣で勝ちたい!」
「えー。勝てるからいいじゃん」
「努力無限! 努力無限!! 努力無限!!!」
「わ、わかった。わかったよ。今やったのはナシだ。だけどなんかいい戦略はあんのかよ?」
「イザベラさんから教わったイナズマ斬りを連打する!」
「ほぉ。リンド。お前いつのまにイザベラさんと?」
「この前キュアエイドを買いに行ったら、偶然出くわしたんだ。ぬいぐるみを選んでたな」
「イザベラさん。ぬいぐるみ好きですもんね」
「なんで知ってんだよユエリア」
「よくイザベラさんとお人形さんでおままごとするんですよ」
「「!?!?!?」」
俺とリンドの驚いた顔が戻るのに、30秒かかった。
「あちちちちちち!?!?!?」
「だ、大丈夫!?」
「あちちちちち──モテたかったな」
「ぶ、ブルーメえええええええ!」
コンシーがブルーメを引き上げた頃には、ブルーメは気絶していた。
■■■■■■
「見えた! 好きの糸!」
「さっきから無駄にハイテンションだな。ホーク」
「イムカちゃんこそ、オレがこんなにも口説いているのに、無表情じゃないか」
「ワオーン!(ご主人様! クール!)」
「む。シジミ。干し肉食べるか?」
「……イムカちゃん。無表情だけど、意外と感情は豊かだね。このことを話したら、アロさん、驚くかな」
ホークはパーテル大平原の方角へ黄昏ながら、つぶやいた。
「……ん? アロ? アロって、あのアロか?」
「え、イムカちゃん。今更?」
「アロ! アロはどこだ! アロはいまどこにいる! 教えろホーク!!!!!」
「しまった! イムカちゃんアロを探してたんだった! ……風がオレを呼んでいる!」
「ま、待て! 逃げるな! 逃げるなホークウウウウウウ!!!!!! 逃げるなァァァァ!!!!! 逃げるな卑怯者オオオオオオオ!!!!! 私だってアロのハンバーガー久しぶりに食べたいんだぞおおおおおおおおお!!!!!」
「わ、わん?(え、そこ?)」
シジミは珍しいイムカの激情に、少し困惑しつつも、目の前の干し肉を食べることに集中することにした。
今日もクルブルク郊外東は、賑やかだ。
お久しぶりです。
グースカ過ごしてました。東風です。
イムカの弓の師匠。アロ。
その弓の腕前はファンタジール1です。
パーテル大平原西の、商人のキャンプにいます。
見た目は狩人の初期装備。ハンターシリーズです。
オリジナル設定で、最近はハンバーガー作りにハマっています。