そしていよいよ反撃の狼煙があげられます!
それと同時刻‥動き出す闇の組織も‥
「しっかしこの日までよく整備できたな‥」
たださえパンデミックで物資が不足しているというのに状態のいい4台を見て驚きを隠せない日野。そんな彼を自信満々に見つつ話を続ける。
「パーツとかはあらかた揃ってたからね〜♪それで定期的にエンジン回したり整備したりしてたから状態はいいはずよ」
そう言いつつ立てかけてあるM4カービン米軍仕様を取り、日野に渡す。
「その20小銃残弾あまりないでしょ?それならこっちを使いなさい」
「おっおう‥、サンキュ」
初めて見る彼女の手際の良さにただ従うしかない日野。他のメンバーにもM4を渡していく。
「誰が何のために、こんな地下ガレージを作ったのかはわからない。けど、このときの為にあるんじゃないか‥って思ってね」
そう言いつつ、武器や車両に視線を向ける睦。彼女の言うとおりなんのためにこんな施設を作ったのかは謎に包まれている。しかしこれだけはわかる。
ここを作った人はきっとこのパンデミックを予想して、あのアンブレラやランダルに一泡浴びせられる人物に託して作ったのじゃないか‥。それなら期待に答えない訳がない。
「それじゃ、作戦会議と行きましょうか‥!」
「あぁ‥!この悪夢を終わらせてやる‥!!」
同時刻‥巡ヶ丘市の倉庫にて
敷地の広いスペースには例のステルス攻撃ヘリや通常の輸送ヘリなども止まっていた。そして倉庫の入口前にはアンブレラ御用達の車両、シボレータホ、サバーバンなどが何台か止まっていた。
「よぉし!ここにある弾薬は全部詰め込んでおけ!
それと手榴弾もだ!」
兵士達がせっせと弾薬パックと手榴弾の入った箱が詰った大きめの手さげバックパックを車のトランクに積み込んでいた。そんな兵士達を声を上げて指示を出しているのはモーゼ・ジャカンディ
あのステルス攻撃ヘリの機長でありこのアンブレラ・ランダルの特殊部隊の現地指揮官でもある。元は中東などでアメリカ軍の傭兵部隊として活躍、その後民間軍事組織に入り、アフリカでの内戦などの治安維持で再び活躍。それがアンブレラ社の目に止まり、特殊部隊の現地指揮官として迎え入れられたのであった。
「隊長!!各部隊準備が整いました!!」
そんな彼の部下で同じく傭兵出身のキエットが素早く報告に来る。それに頷いて準備が完了して整列している部隊の前に立つ。
「いいか!よく聞け!!今回の相手は!軍人や警察官を含めた民間人だ!!だが情けはいらん!!彼らは我々の同志の特殊部隊を返り討ちにした集団だ!!なんとしてでも見つけて始末しろ!!一人残らずだ!!」
「「「イェッサー!!!」」」
「よし!準備が出来次第各隊出発しろ!!核ミサイルの雨が来る前に仕留めるんだ!!」
モーゼの指示を受けた各特殊部隊の兵士は急いで車や輸送ヘリに乗り込んで各自出発していく。その様子を見つつモーゼ自身も攻撃ヘリに待機している部下の元へ向かおうとする。
「気合が入ってるな。流石はもと民間軍事組織のリーダー」
「‥!ウェスカー少佐!?」
先ほどまでの威厳はどこに行ったのか、黒メガネをかけた男を見るなり慌てふためくモーゼ。彼の名はアルバート・ウェスカー。アンブレラ社の特殊部隊の事実上トップでエリート士官とされている。(現設定ではウェスカーは軍人兼研究員という設定)
「敬語は構わん。それではこの先の戦闘でやっていけないぞ」
「こっこれは失礼しました‥!それより、少佐はどうしてここに‥?確か艦隊の司令部におられたはずでは‥」
「少しやることがあってな。ここはそのついでに視察に来たようなものだよ」
「やること‥ですか?」
「そうだ。だがそちらには影響はないから気にしなくて構わない。それじゃ、健闘を祈るぞ」
「はっ!少佐こそ!」
そういってモーゼと別れたウェスカーは愛車のブガッティ・ヴェイロンに乗り込んでその場を後にする。
同じくモーゼもウェスカーを見送ったのを確認してヘリに向かうのであった。
同時刻‥ガレージにて
「んじゃま、最終確認をするわね」
巡ヶ丘市の地図を広げつつ作戦の最終確認の説明を行う睦。一同は真剣にそれを聞いていた。
「と言っても単純な内容だけどね。ヒカさんのハッキングが完了するまで市内爆走して引っ掻き回す。んでその後は由紀を無線電波の届きやすい屋上に連れていく。以上!」
「ざっくりしすぎですよ‥(汗)」
しかし、あまりにもざっくりしすぎているため美紀がツッコミをする。それを聞いて一瞬不満そうな顔をしたが切り替えて再び作戦を説明する。
「ハッキングするといってもヒカ達は無防備に近いからバレた場合かなり不味い。だから私達が車で市内爆走して時間を稼ぐわけ。ゴッドアイを奪えば奴らはいろいろと狂うはずよ、その隙に高校の貯水タンクの水を持ってる由紀ちゃんを無線の届きやすい屋上まで連れてって交渉、ってね」
「うぅ‥けっこうわたしの役目重要‥‥」
「安心しろ、由紀のことはオレが護ってやるから」ナデナデ
「ありがと〜‥♪マーくん♪」
「あとは車の乗車メンバーの内訳か‥」
「それもこっちで決めさせて貰ったわ。と言ってももうだいたい決まってるようなもんだけど」
フォードクラウンビクトリアNYPD仕様
日野・胡桃
ダッジチャージャーNYPD仕様
美紀・圭
日産フェアレディZ34警視庁仕様
理琉・由紀
日産GTR R35栃木県警仕様
睦
「睦は一人で大丈夫なのか?」
「大丈夫よ。あれをするにはこっちのほうがやりやすいから、」
「美紀!!私運転したい!」
「いいですが‥事故はしないでくださいね‥?」
「任せなさい♪」
「心配です‥(汗)」
「あ〜、今私のこと信用してないでしょ〜?」ムスゥ
「ふふ‥♪」クス
「お前のことはゼッテェ守ってやるからな‥!」
「私も‥!マーくんを守りたい!!」
「んじゃま‥、よろしくな‥!胡桃!!」
「あぁ‥!!」
「んじゃ、決行は夜で行くわよ。いいわね?」
「オッケーです!」
倉庫を離陸したステルス攻撃ヘリは学園生活部を探すため上空を飛行して捜索していた。
「各部隊からの報告は‥!!」
「未だに発見できていないとのことです」
操縦担当のパイロットの報告を聞き、彼は指示を出す。
「よし!ゴッドアイを起動して奴らを探せ!」
「わかりました!ゴッドアイを起動します!!」
指示を受けたコンピュータ担当がゴッドアイを起動街中を隅々まで捜索する。
「いました!!白黒のGTRです!」
するとゴッドアイの探索システムに町中を走る睦のGTRの姿が‥
「よし‥!すぐに部t‥」
「手を出すな。そいつは私が対応する、君達は引き続き捜索を続けてくれ」
地上部隊に指示を出そうとしたモーゼだが、それをウェスカーが止めて指示を出したあと無線機をきり交差点を左折、睦のGTRを追い始める。
「どうしますか‥!?」
「仕方ない‥!ヤツは少佐に任せろ。残りの奴らを探し出せ!!」
「了解!!」
「睦さん一人で大丈夫かなぁ‥」
Z34の助手席から外の様子を見つつ睦のことを心配そうに思う。
「分散するなら3台のほうがやりやすいから仕方ないさ‥なんとか無事なのを祈るしかないな」
運転しつつ、たしなめる理琉。現在Z34を先頭に2台にチャージャー、最後尾にクラウンビクトリアが並ぶ形で
市街地を走行していた。
「っと‥どうやらお出ましのようだぜ‥?」
助手席でサイドミラーを見ていた胡桃がなにかに気づいて窓を開けて直接見る。そこには夜の暗闇に紛れて接近してくるヘリの姿が、
「各車へ、お客さんだ」
無線で各車両に情報を共有する胡桃。同じ頃、攻撃ヘリの機内でも動きがあった。
「いました!!Z34及びチャージャー、CVPI(クラウンビクトリア)の3台です!」
「‥‥」
部下の報告を聞いて、並んで走行している3台を上空から見下ろすモーゼ。追尾してくるヘリをちら見で見つつ理琉が指示を出す。
「よし!合図で分散する!3!2!1!今!」
「っ!」ギュン!!
「っと!」ギュン!!
合図をうけて、日野のCVPIが右に、圭の操るチャージャが左へと急旋回で曲がり理琉のZはそのまま直進する。
ゴッドアイの探索システムには分散する3台の様子が表示される。
「無駄だ。ゴッドアイが見つける」
「引っかかりました!!ヒカさん‥!」
「わかった‥ハッキング‥開始‥!」
相手の意識がこちらに向いたことを確認して美紀がヒカに無線で合図を送る。それを聞いたヒカがパソコンを操作ハッキングを開始する。
もちろんモーゼ達が気づかないはずがなく‥
「っ!!ハッキングされてます!」
「何!?」
ゴッドアイを操作する乗員からの報告をうけて振り向くモーゼ、そして少し考えてから指示を出す。
「シグナルの発信源を潰す!!プレデターを放て!!」
「了解!!」
指示を受けたヘリの乗員の一人がコントロールパネルを開いて操作する。直後攻撃ヘリに懸架されていた無人機のロックが外れ、そのまま下方に降下
慣れた手つきでエンジンを起動、水面ギリギリでホバリングさせたあとエンジンのアフターバーナの向きを調整する。すると、水面に水しぶきをあげつつフル加速、上昇していくのであった。
「振りきった‥かな?」
あれから数十分経ち、助手席の窓を開けて確認する胡桃。そこにはヘリの姿や音は確認されずどうやら振り切ったようだ。
「いや‥ヘリより厄介なのが来たぞ‥!」
しかし日野がそれを否定する。現在日野のCVPIは陸橋を渡っているのだがその出口には塞ぐようにホバリングする黒い機体の姿が
「なっ‥なん‥だよ‥あれ」
得体のしれない機体、それは驚きは計り知れないだろう、胡桃の表情が固まる。無人機のカメラがこちらに向くと同時に反射的に日野がアクセルを踏み込む。
「どうするんだ‥!?」
「少し荒い手でいく‥!しっかりつかまってろ!」
そういった直後、無人機のバルカン砲が火を吹き数百発の弾丸がCVPIへ襲ってくる。
「っ!!」
反射的に目を瞑りかがむ胡桃。しかし日野は視線を外すことがなくしっかりと無人機を見つめている。そして撃たれることお構いなしにアクセルを踏み込んで突っ込む。
あと少しでぶつかる、その直前に無人機の衝突システムが作動、避けるように高度をあげる。その際にできた地面と機体の間に滑り込むように通過、そのまま走り去るのであった‥。
「‥‥」
その頃、睦のGTRは大通りの交差点に差し掛かっていたのだが正対する形で通りを挟んだ側にウェスカーのベイロンが停車していた。
「やれやれ‥いきなり大ボスですかい‥まあいいわ‥」
そうポツリと呟いた直後、アクセルを踏み込み急発進。交差点を左折する。ウェスカーも続くように少し遅れて急発進、睦を追い始める。
「‥ふっ、ようやく見つけた」
2台は放置車両の合間を縫うように爆走、激しいカーチェイスを繰り広げていた。
「ったく!まさか大ボスにモテるとはね‥!いいんだか悪いんだか!!」
更にアクセルを踏み込んで交差点を猛スピードで通過、後から続いてきたヴェイロンも速度上げて追いすがっていくのであった。
「圭!!もっと飛ばして!!追いつかれるよ!」
「わかってる!!」
同時刻、美紀と圭の二人が乗るチャージャーは何台ものアンブレラの車両に追われていたのであった。
「いやぁ!!ここまでモテるなんてねぇ!!最高じゃない!?」
「そりゃこんだけサイレン鳴らして爆走してたら寄ってくるよ!!というかこれヘイト集めすぎなんじゃないの!?」
「そのほうが賑やかでいいんじゃない!?どうせこの作戦の趣旨は誘導なんだし!!」
「その分の負担こっちに来るんだけど!!」
「ファイト!!」
「あぁもう!!この戦い終わったらなんか奢ってよね!!」
そう叫びつつ助手席の窓を開けて少し身を乗り出してひたすら追いかけてくる何台ものバンに向かって射撃を続ける美紀。そして相手も撃ち返して来るため激しい撃ち合いに発展していた。
「何台来てる!?」
「4台!!追ってきてる割には少ない!!可能な限り相手に進路を悟らせないで!!これたぶん先回りしてきてるやつ!!」
「わかった!!」ギュン!!
美紀の指示をうけて圭がハンドルをきって左折、それに続くように後続の車両も追いかけるために左折していく。
地上での激しいカーチェイスが繰り広げられている中
上空ではあのステルス攻撃ヘリがシグナルの発信源である電波塔の元へ来ていた。
「これだな‥!ミサイルを放て!!」
「了解!!ミサイル撃ちます!」
電波塔へ狙いをロックして、ミサイルの発射ボタンを押す隊員。直後左右につけられていたミサイルの一発が放たれて電波塔へと着弾。
ゴォォォン!!ギギギ
着弾した爆発音の直後、鉄柵が軋む音を響かせつつ電波塔が倒れていってしまう。それを横目に見つつヘリはその場を後にするのであった‥。
同時刻‥建物に身を隠してハッキングしているヒカも異変に気づく。
「っ‥!?」
「ん?どうしたんだ?ヒカ」
ヒカの様子がおかしいことにトーコが気づいて声をかける。珍しく焦りの表情を見せているようだ。
「ハッキングが‥止まりました‥」
「なっ‥!?」
まさかの言葉にトーコでさえも開いた口が塞がらない状態になっていた。ハッキングのメーターは90のところで止まっていた。さらに慈があることに気づく。
「みなさん‥あれ!」
そう言われて視線を向けるとそこには燃えている電波塔だったものの姿が‥
「‥ちっ!やられた‥!」
思わず悪態をつく小春、悠里も少し悔しそうな表情を浮かべていた。
「それができるのは向こうもわかってましたか‥」
「しかもあれをやられたら‥交渉もできなく‥」
「どうしたら‥‥」
再び追い詰められしまった学園生活部、電波塔を破壊されたのはどうやら想定外だったようだ‥。あのヒカではさえも必死に頭の回転をフル活用して打開策を考えていたのであった。
一瞬は有利に動くことのできた学園生活部
しかし、あっという間に逆転されてしまう‥。
無事にゴッドアイを奪えることはできるのか‥