がっこうぐらしー守るべきものー   作:三坂

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学園生活部のこれまでを知った穏健派組は
自分達の生活を見直して再スタートを切ることに


第三十六話としょかんのあるじ

そして翌日、大学組は早速行動を起こしていた。

まだ学園生活部のメンツが起きてない早朝、コソコソと散らかっていた部屋の掃除を始めていた。

 

 

「ヒカ〜、これをそっちに」

 

 

 

「わかった‥」 

 

 

 

「しっかしこうして見てるとどんだけ散らかってたのかわかるねぇ‥」

 

 

 

掃除をしている部屋を見渡しつつアキがそう溢す。実際掃除をする前と比べて、まだ完全に終わっていないのに綺麗になりつつあった。それを見てどれだけ前の自分達が酷かったのか、改めて実感させられたのであった。

 

 

「全くだね‥、これからはちゃんとしないと‥」

 

 

「うん‥」

 

 

それから少しして、みんなが起床して朝食を食べ終えたあとある講義室に集まっていた。

 

 

「という訳で〜、とりあえず新たに仲間が増えたわけだし今後の方針とかの説明をしようかと」

 

 

トーコがホワイトボードの前に立ちつつ座っているみんなに視線を向けていていた。    

 

 

「一夜の間になにがあった‥(汗)」

 

 

「ホントだね‥(汗)」

 

 

「昨日の、様子が嘘のようだよ‥(汗)」

 

 

自分たちが知らない間に大学組が変わってしまったことに驚きを隠せずにいる学園生活部。そんな様子をみて心の中でガッツポーズを決めつつ話を続ける。

 

 

「まあ、奴らの正体について話し合いたいんだ。それに対処法とか、今後役に立つかもしれないし」

 

 

「たしかにそれもそうだな。といってもだいたいこっちはわかってるが‥(汗)」

 

 

こうして各自意見を出し合い、それをヒカがホワイトボードにまとめている。そこに書き出されているようだ。

 

 

「まあ、あいつらは基本動きがとろいから数体なら相手はできる。」

 

 

「あとは目が見えてないことですかね?音を頼りに襲ってきてそうです。あとは生前の行動をもとに動いてるとか」

 

 

「噛まれたりしたら数分後に、空気感染でも数日で彼らかしてしまうのもあるね」

 

 

「頭も弱点だよな」

 

 

「なるほど‥(カキカキ)」 

 

 

「それとパンデミック発生原因は言わずがなランダルコーポレーションの仕業で確定だろうな。」

 

 

「だけど、その理由がぱっとしないのよね‥。事故か‥故意で起こしたのか‥。」

 

 

「やはり本拠地に直接乗り込まないといけないだろうな‥。いずれかは」

 

 

 

 

 

「う〜ん‥」

 

 

 

「圭〜、なにか見つけた?」

 

 

 

「今は特に‥、あっあったあった(一冊の本をを引っ張り出す)」

 

 

会議が終わったあと、美紀と圭、そして由紀は図書館にやってきていた。なにかおもしろい本がないかと、由紀の提案でやってきていた。

 

 

「けーくん〜それってなんの映画〜?」

 

 

由紀が不思議そうに映画のタイトルが書かれた表紙を覗き込む。

 

 

「えっとね〜、ワイルド○ピードスカイミッションっていう映画だね」

 

 

「これって、車系のカーアクション映画だよね?圭ってこんなの興味あったんだ」

 

 

「あっいや‥、興味を持ち始めたのは最近かな。いろんな車の挙動体験してたら勉強したくて‥、それにこの映画、車を利用したダイナミックな作戦とか銃撃アクションがてんこ盛りなんだ〜。飛行機から飛び降りたり、有能AIをめぐったカーチェイス場面とか〜」

 

 

表紙を見つつ、少し目を光らせつつ嬉しそうに語っている圭を苦笑いで聞いている美紀と、よくわからないが凄そうなのは伝わっているのかうんうんと首を縦に振りつつ聞いている由紀、しかし微かな物音が聞こえてくる。

 

 

「っ‥!」

 

 

物音に反応して、素早くホルスターに手をかけつつ周囲に視線を向ける美紀。しかし誰かがいる雰囲気は見て取れない。

 

 

「どうしたの?美紀」

 

 

「みーくん表情硬いよ?」

 

 

美紀の異変に気づいたのか2人が心配そうに声をかけてくる。

 

 

「いえ‥、特には‥」

 

 

2人に問題ないと返事を返しつつ、ホルスターにかけていた手を離して警戒を解‥

 

 

 

 

 

「やぁ〜、君達なんのやつ見てるんだ〜?」

 

 

 

 

 

「「「うぉぉぉぉ!!!!!!??」」」

 

 

 

 

 

突如として背後からにょきっと現れた人物に驚き盛大に悲鳴?をあげる3人。そしてその悲鳴が聞こえたのか学園生活部のメンバーが駆けつけてくる。

 

 

「3人ともどうした!?」バァン(M1887を持ちつつ)

 

 

「まさか彼らが出たのか!?」20小銃持ちつつ

 

 

「すっごい悲鳴でしたけど大丈夫ですか!?」

 

 

 

勢いよく入ってきたのだが、3人の隣にいる人物と視線が合う。

 

 

「やぁやぁ、君達が学園生活部かい?」

 

 

 

「「ゑ?」」

 

 

初めて見る人物+想定外の事態のため一同の思考が一瞬フリーズしている。

 

 

 

「ちょっとリセさん〜、驚かしちゃいけないでしょ〜?」

 

 

頭をぽりぽりかきつつトーコが図書室に入ってくる。

リセと言われたピンク髪の女性。

 

 

「ごめんごめん〜(汗)普通に声かけたつもりだったんだけど‥、あっ自己紹介してないね。私はリセって言うんだ。あなた達のことは一通り聞いてるから大丈夫よ〜」

 

 

「昨日言い忘れてたけど、この子はリセっていうの。いっつも図書館にいるから私達は図書館の主っていうあだ名をつけてるよ〜」

 

 

「図書館の主って‥ずっとここにいるのか!?」

 

 

トーコの説明を聞いて、胡桃が驚きの声をあげるが、首を横に振りつつリセは否定する。

 

 

「ご飯食べたりするときとかはみんなと一緒にいるからずっとじゃないけどね‥(汗)」 

 

 

「でも、ほとんど図書室で過ごしてるじゃん〜」

 

 

そんなリセとトーコの雑談を聞いていると自然と緊張が解れていく学園生活部メンバー。

 

 

 

「そういえば、美紀‥さんかな?」

 

 

 

「あっはい‥、どうされました?」

 

 

 

リセに呼ばれた美紀が反射的に反応する。

 

 

 

「あなたも見た感じ本が好きそうね」

 

 

 

「そうですが‥、どうしてわかるんですか‥?」

 

 

 

「わかるわよ〜、そんなの。だってさっき本の選び方が慣れてたものの〜。せっかくだし、今度一緒に読書について語らない?」

 

 

 

「いいんですか‥!?私で良ければぜひ‥!」

 

 

 

同じ本仲間が出来たことに喜びを隠せずにいる美紀。そんな彼女を他のメンバーは微笑ましく見ていた。特に圭は友人の笑顔を嬉しそうに見ていたのであった。

 

 

 

 

そして少し長い雑談を終えて、図書館を後にして籠城しているキャンパスへと戻ってきた。

 

 

 

「しっかし、大学はいろんな本が置いてあるんだな〜」

 

 

 

「雪はどんな本にしたんだ〜?」

 

 

 

「ん〜、丁度翻訳の本があったから持ってきた。久しぶりに見たからさ」

 

 

 

「うぅ‥、この本小難しい‥」

 

 

 

「由紀は漫画とかのほうが好きそうだしな〜」ぺらぺら

 

 

 

「うォ、この本懐かしい。昔よく読んだなぁ」

 

 

 

「この本面白い〜。アメリカだとどうしても日本語訳手に入りくかったから〜」ぺらぺら

 

 

それぞれ思い思いに本を楽しんだりしつつ読んでいた。

なんだかんだ言いながら美紀も圭と一緒に例の小説を読み込んでいるようだ。

 

 

「そういえば‥、この本達‥。もう書く人いないでしょうね‥まるでいまの世界みたいに‥」

 

 

ふと、慈がそうつぶやきつつ置いてある本達を眺める。

しかしそんな暗い雰囲気を打ち破る美紀

 

 

「確かにそうかもしれません‥それでも‥本っていうのは終りがないんです。読めば読むほど可能性を導き出してくれる‥。人類もそうです‥!終わりなんて来ません‥!いつか‥可能性が出てくるんですから‥!」

 

 

 

「そうだな‥」

 

 

 

そんな少し興奮気味の美紀に、賛同するように理琉も加える。

 

 

 

「俺達‥いや、人類がこんなのでくたばってたまるか‥。諦めなければ必ず希望は見いだせる。ランダルの精鋭軍を潰した俺達に出来ないことはない‥だろ?みんな」 

 

 

「あぁ‥!」

 

 

 

「だね!」

 

 

 

「こんなので折れてたまるかってんだ‥!」 

 

 

 

「私達も諦めません‥!」

 

 

 

「可能性が1でもあれば、それに突き進まなきゃ‥!」

 

 

 

「るーも!」

 

 

 

「やりましょう‥!たどり着けなかった人達が見たかった未来を‥!」

 

 

 

「みんなで力を合わせれば学園生活部は不滅!!」

 

 

 

「ワン!!」

 

 

 

 

 

「‥‥、諦めなければ‥か‥」

 

 

 

そんな会話をトーコはドア付近で聞いていた。偶然通りかかったとはいえ、彼女には身に染みる言葉のようだ。

 

 

 

「やっぱり‥凄いや‥。あの子達‥、もしかしたら‥いや‥この先必ず人類の希望になるだろうな‥。」

 

 

 

そんなことを思いつつ、再び歩きだし後にするのであった‥。 

 

 

 

 

「んで‥なんで呼んだのさ‥」

 

 

 

その数時間後、日が暮れてきた頃にトーコは武闘派と穏健派の縄張りで接する会議室に来ていた。彼女は対面に座っている金髪で釘バットを持っている青年を睨みつけつつ見つめる。そう彼こそが武闘派のリーダーである頭護貴人。その隣には長髪で目つきの鋭い女性神時朱夏、

貴人の右側にいるのがサイドテールの女性、右原篠生の姿が

 

 

「そっちにポリ公を含めた何人かが来たそうじゃないか」

 

 

「確かに来たけど‥、だから何?」

 

 

 

「忘れたの?得たものは共有するのがルールでしょ?」

 

 

 

 

「知らないわよ。そんなの、そっちの子があの子達にクロスボウ撃ったそうじゃない。それで一人怪我したんだからね?」

 

 

 

「はぁ‥、あとで高上には説教と罰だな‥。だがなぜ高上が怪我をしてるんだ?」

 

 

「そこまで私が把握してると思う?」

 

 

「まあいい‥、こっちに不手際があったのなら謝ろう‥、だが独占はよろしくないなぁ‥?」

 

 

「それを決めるのはあの子達よ。とりあえず話せることはそれくらい‥。それじゃ、」

 

 

 

「また何か情報を得たら連絡をくれ」

 

 

「わかった」ガチャン

 

 

そう言い残してトーコは部屋を後にするのであった。その様子を見つつ貴人は悪笑みを浮かべ、何やら企んでいるような表情を浮かべていたのであった‥。

 

 

 

 

その日の夜‥静まり返った巡ヶ丘市内上空を暗闇にまぎれて飛行しているヘリの姿が‥、そのヘリは明らかに民間機などではなく‥ステルス容姿を、施された軍用ヘリに見える。そのヘリは聖イシドロス大学上空につくとある荷物を投下して飛び去っていく。

 

 

 

投下された荷物は途中パラシュートを開いてゆっくりと降下しつつ大学敷地内に着地する。数分後して、何人かの人物が建物から出てきて、荷物の確認をしたあと協力して運び込んでいくのであった‥。

学園生活部‥そして穏健派は知るよしもないだろう‥

再び魔の手が迫ろうとも‥。

 

 

 

ー同時刻‥某所にてー

 

 

 

巡ヶ丘市内のとある建物‥その真下の地下にあるガレージでは明かりに照らされ誰がゴソゴソしていた。

 

 

 

「よっと‥」ガチャガチャ

 

 

 

リフトに上げられた車両の下で部品を組み付けて作業をする黒に近い赤髪ショートの少女。おそらくまだ若いのだろうが慣れた手付きで作業をしている。

 

 

 

「さてと‥今日はこんなもんかな?」

 

 

 

そう言いつつ、リフトを下げて上げていた車両をおろしているようだ。その車の他にも何台か停められている車が数台ほどがブルーシートをかけらている。しかし形からしてスポーツカータイプだろうか‥。 

 

 

 

「あとは‥エンジン回して終了かな‥、そういえば‥大学の方に新しい仲間が増えたってトーコが言ってたな‥今度久しぶりに顔を出しに行こうか‥」

 

 

工具を片付けつつ、少し楽しそうに思っているのであった‥。

 

 




図書館の主であるリセという新たな仲間にであった学園生活部 


そんな彼女らとは別にある場所では新たな人物が動き出していた。

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