がっこうぐらしー守るべきものー   作:三坂

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徐々に馴染んできた学園生活部の面々

ある日由紀の提案で敷地内の散策をすることに‥


第三十七話 りがくとう

大学に来てからはや数日がたち、すっかり学園生活部と穏健派組は馴染めてきたようだ。そんなある日‥

 

 

「そういえば‥、トーコさん〜。大学の敷地内ってどこまでが安全なの〜?」  

 

 

ふと思い出したのか、由紀が何気なくトーコに質問をする。

 

 

「あっ(汗)そういえば言うの忘れてたね‥(汗)」

 

 

 

由紀の言葉を聞いてアキが思い出したようにはっとなる。その横ではトーコが大学パンフレットをテーブルの上に広げ、みんなに見せる。

 

 

 

「えっとね〜、一応校門とかの入口は封鎖してるから一通りは安全かな?でも、この区画と理学棟には近づかないようにね?」

 

 

 

「ん?なんでだ?」

 

 

 

一通り安全と言いながらなぜ近づいては行けないのか、それを疑問に思った理琉が問う。

 

 

 

「ん〜‥、簡単に言えば掃除がしきれてないんだよね‥。それにここのコンテナは墓場みたいなもんだから‥」

 

 

 

「つまり‥アイツらがうようよいるってことかァ‥」

 

 

 

「その捉えで間違いはないわ」

 

 

 

「じゃあそのへん以外は大丈夫なんだね〜?」

 

 

 

「もちろん〜♪というかその顔は久しぶりに外で遊びたい顔だね〜」

 

 

目をキラキラさせつつ聞いている由紀、そして瑠璃や太郎丸まで見つつ笑みを深くするアキ。

 

 

 

 

 

「イヤッホ〜♪外だ〜!」

 

 

 

「久しぶりに遊べる〜♪」

 

 

 

「わあい〜♪」

 

 

 

「わふ〜♪」

 

 

 

 

 

そんなこんなでグラウンドでは、由紀や圭、瑠璃や太郎丸が楽しそうにはしゃぎ回っており、他のメンバーは微笑ましく眺めていた。 

 

 

 

「いやはや〜、お宅の生徒さんは元気ですね〜」

 

 

 

「まあ、元気過ぎて大変ですけどね‥(汗)」 

 

 

 

トーコは元気そうにはしゃぐ3人と一匹を見つつ、元気過ぎて逆に心配になっている慈と話を、しているようだ。そんな彼女達の後ろの階段に座っている学園生活部のメンツも雑談を交えているようだ。

 

 

 

「しっかし、ここまで外でくつろげるなんていつぶりだろうなぁ‥」

 

 

 

楽しそうにしている由紀達を眺めつつ、胡桃がそんなことを言う。

 

 

 

「確かにねぇ‥、高校だと安全とかでグラウンドとかを走ることが出来なかったものねぇ」

 

 

 

そんな胡桃の発言に賛同して、はしゃいでいる自身の妹を眺める悠里も高校での生活を振り返る。

 

 

 

「軍にいたときもこんなに自由には過ごせなかったし‥、なんだかんだいいながらここにきて正解だったねぇ」

 

 

 

小春も自身の過去を振り返りつつ、改めていまの自分達は幸せだなというのを感じ取っていた。

 

 

 

「よっと‥(立ち上がる)」

 

 

少しして、理琉が立ち上がる。それに気づいて雪が声をかける。

 

 

 

「ん?どうしたの?」

 

 

 

「ちょっと、理学棟とコンテナ区画の近くまで見に行ってくるぜ。」

 

 

 

「それなら俺も行くか、」

 

 

 

日野に釣られて美紀も反応する。

 

 

 

「それなら私も‥!」

 

 

 

 

 

 

「‥という訳で来てみたもんだが‥、言った通りだなこりゃ‥」

 

 

 

コンテナがたくさん置いてある区画に来てみた3人だが

トーコの言った通り、中ならは彼らのうめき声が絶えず響いてきていた。

 

 

 

「墓場とはまさにこれだな‥」

 

 

 

「ここにいるほとんどがここの学生さんだったのでしょうね‥‥」

 

 

 

そんなことを言いつつ、美紀と理琉は静かに黙祷を捧げ日野は乱れる敬礼を送って後にする。そして理学棟にも3人は足を運ぶことに。

 

 

 

「ここが理学棟か‥」

 

 

 

「なんか薄気味悪いですね‥」

 

 

 

「そりゃ奴らがいるんだ。そんなところはだいたいこうなってるはずさ‥」

 

 

 

そんなことを話しつつ、少し理学棟を見てからそこを後にしようとする‥が‥

 

 

 

 

 

「待って!!そこを動かないで!」

 

 

 

「なっなんだ!?」

 

 

 

突然どこからともなく呼び止められて、3人は周囲を慌てて見渡す。しかし‥人の気配は全くしない。

すると再び声をかけられる。

 

 

 

「そっちじゃないわ!こっち!」

 

 

 

そう言われて声がする方角に視線を向けると、そこには理学棟が‥そしてよくよく見ていると理学棟入口に防犯カメラとスピーカーが‥、どうやらそこから声の主は話しかけて来てるようだ。

 

 

 

「一体なんのようだ‥?」

 

 

 

「なんの‥用かしらね‥」

 

 

 

パソコンの画面から理琉達を見つつタバコで一服する白服をきた女性。その後側には獲られられた彼らがとじこめられているようだ‥。マイク越しでも伝わってくる。

 

 

 

「なんの用かしら‥って、じゃあなんで呼んだんですか?」

 

 

呼ばれたのに、曖昧な言い方をされて、不満な表情を見せる美紀。そんな彼女をよそに、その主は話を続ける。

 

 

 

「というか‥あなたの声に混じって聞こえてるのはもしや‥」

 

 

 

「察しがいいわね。そうよ、あの日から私は彼らについて研究しているのよ。こいつらはそのサンプルで捕獲してるの」

 

 

 

そしてひと間隔あけて話しかける。

 

 

 

「それより、あなた達見慣れない顔ね。外から来たの?」

 

 

 

「あぁ、絶賛籠城中だけどな‥それより、どうして危険な理学棟にわざわざいるんだ?」

 

 

 

「簡単よ。ここで彼らの研究をしていると武闘派の奴らに知られたら何されるかわからない。だから、危険な場所と偽って貰ってるの。あいつらは生存者の管理に凄く厳しい、それはあなた達もわかってるでしょ?」

 

 

 

「まあなァ‥ンで?なんかわかったのか、研究して」

 

 

 

「えぇ、いつか成果はあるわ‥。教えてあげてもいいけど‥、」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    「 知りたい? 」

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよ‥、その不気味な言い方は‥」

 

 

 

さっきまでの声とは違う雰囲気に日野が少し怖じける。

息を飲み込みつつ美紀が勇気を振り絞り聞き出す。

 

 

 

「‥教えてください‥。もしかしたら‥この先役に立つかもしれないですから‥」

 

 

 

「そう‥、わかったわ。教えてあげる」

 

 

 

そしてひと間隔あけて理学棟の女性は話を、続ける。

 

 

 

「君達もすでにわかりきってるだろうが、すでにパンデミック発生から半年近くたつ。それなのに救助や国からの放送がないのはなぜかわかるか?」

 

 

 

「おそらくキャンパス外に生き残りはほぼいないだろう‥。そしてパンデミック直後は飽きるほどの放送があったのにそれが今はない‥、それを踏まえると‥」

 

 

 

 

「日本全土‥いや、世界中各地でー」

 

 

 

 

 

 

 

「国家‥いや政府と同等の組織は壊滅か消滅したと考えた方がいいー」

 

 

 

 

 

 

「ーーでさ〜、これがね〜‥って美紀聞いてる?」

 

 

 

「あっ‥ごっごめん(汗)聞いてるよ」

 

 

 

「んもう‥どうしたのさ‥、さっきから上の空だよ?」

 

 

 

 

あれからキャンパスにもどった一同だが、理琉や日野、そして美紀の3人は完全に上の空状態で珍しく話を聞き逃す場面をチラホラ見かけていた。

 

 

 

「なんか美紀が話逃すのって珍しいかも‥」

 

 

 

「日野と理琉もおんなじ感じだよね?」

 

 

 

「悪い悪い‥(汗)」

 

 

 

「大丈夫だから気にするな‥」(クソったれ‥)

 

 

 

理琉は問題ないと答えつつ、理学棟の女性が言ったことを思い出し、苛立ちを出しかける。それを見つつ美紀が圭に質問する。

 

 

 

「ええっと、それで‥何だったけ?」

 

 

 

「何って外に遠征に行こうって話だよ〜?」

 

 

 

「把握した‥、ありがと(汗)」

 

 

 

「じゃあ話を、進めるよ〜」

 

 

3人が話についてきたことを確認しつつトーコが会話を進める。

 

 

 

「今までは大学内で賄えたし、外は怖いというのはわかってたからあんまり行きたくはなかったんだ‥。でも君達と出会えた。だからきっと助けを求めてる人はいると思うんだ。それで決心したんだ。」

 

 

 

「だね♪困ってる人はほっとけないし!」

 

 

 

「「「‥‥」」」

 

 

 

外部遠征に気合の入ってるメンバーだが、理琉達3人は理学棟の女性の言ったことを思い出しすこし微妙な表情になるのであった。

 

 

 

それなら長いこと話し合って、遠征組と待機組の二チー厶に分けることになった。理由しては全員でいけないこともないがここキャンパスを守る人も必要との意見があり以下のメンバーになった。

 

 

遠征メンバー:日野祐也 黒田理琉 湯月雪 丈槍由紀

恵飛須沢胡桃 直樹美紀 祠堂圭 太郎丸

 

 

待機メンバー:佐倉慈 若狭悠里 若狭瑠璃 狭山小春 

出口桐子 光里晶 喜来比嘉子

 

 

「めぐねぇはいかないの‥?」

 

 

「ごめんね‥?ここも守らないといけないし‥。体力とかに自信がないから‥」

 

 

「小春、俺がいない間はここを任せたぜ?」

 

 

「もっちろん!任せなさい!」

 

 

「あんなとこいいながら任せっきりでごめんね〜(汗)」

 

 

「大丈夫だ。ここに残るのも充分に仕事だから」

 

 

「とりあえず最終確認するぞ。目的はランダルコーポレーション巡ヶ丘支社製薬会社に潜入、あいつらの情報をいただくことだ‥。」

 

 

「もしランダルコーポレーションで何かあれば何らかの情報があるはずだしね」

 

 

「車はどうするんだ?」

 

 

「待機メンバー用に俺のクラウンは置いていく。すでに鍵は佐倉さんに渡しておいた。」

 

 

「ということはキャンピングカーとカローラで行くんですね?」

 

 

「そうゆうことだ」

 

 

「んで出発日は明後日、武闘派の連中の動きによって日にちは多少変わるかもだけど、とりあえずはこの日程で行きます」

 

 

「じゃあ決まりだね〜。話もまとまったし、これからは出発に向けて準備をいろいろしておこうか〜」

 

 

 

そして‥その日の夜‥武闘派では‥

 

 

「ん‥」

 

 

武闘派の縄張りのキャンパス屋上ではシノウが静かに夜空を眺めていた。

 

 

「きれい‥‥、この子と見られるかな‥」

 

 

そうポツリと口に溢しつつ、下腹部を擦る。そう彼女には新たなる命が宿っていたのだ。あのクロスボウの少年レンヤとの‥。

 

 

同時刻‥その高上聯弥の寝室では、スヤスヤと寝静まっている彼の姿が

 

 

 

「‥‥」スヤスヤ

 

 

 

気持ち良さそうに寝ていた彼なのだが‥途中から容態がおかしくなっていく。

 

 

 

「ゼェ‥‥ゼェ‥‥ヴウ‥‥‥」

 

 

 

 

このとき‥学園生活部は知るよしもなかっただろう‥

この感染がきっかけであの大事件が起こるなどと‥

 

 

 

 

 




理学棟の主に現実をつけられた3人 

そんなモヤモヤの中一同は遠征に向け話し合うことに

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