辺境の世界からSOS   作:銃病鉄

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前話からほぼ4ヶ月ぶりという遅筆ぶりですみません……。

今回は、独自設定が多めになりました。全く話が進まない。


5501年・秋 「2人目の仲間」

・宇宙歴5501年 秋

 

 

 どうも。

 

 遭難してから1年と半年。ずっと派閥とは名ばかりの2人暮らしでしたが、とうとう3人目のメンバーが加入しました。

 これを機に、ネオ・サラゴサ町を活気あふれる場所にしたいと思います。

 

 カサバルです。

 

「レモンちゃん、ちっちゃくてかわいいですぅ」

「ちっちゃくないであります。自分の種族では普通であります」

 

 うーん。なんか、この空気、派閥というよりかは……。

 

『完全に小学校ですね』

 

 まぁ、俺の心の癒しにはなるからオッケーで。

 

 バフィ、仲良くしてあげてね。

 

「……」

 

 バフィ?

 

「……ジュルッ」

 

 ヨダレ垂れてる! お腹がすいたの!?

 

「ち、違うですぅ。ただ、レモンちゃんのネズミの耳としっぽを見てたら、つい」

 

 キツネの本能がうずいている。

 

「ちょっとだけかじってもいいですぅ?」

「チューッ!?」 

 

 やめなさい!

 

『こんな調子で、サバイバルを続けられるのですか?』

 

 正直、不安。

 なぜか子供ばっかり増えていくし。

 

「心配無用であります、隊長!」

 

 隊長って、俺のこと? 会った時から気になってたけど、軍人みたいな話し方するね。

 

「自分の両親は、軍の将校でありました。軍人としての精神と技術を、昔から叩き込まれているのであります」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

「戦闘技術はもちろん、工作や建築、社交。自分に任せていただければ、安心であります」

 

 え、すごく頼もしい!?

 

「さらに、動物の世話は誰にも負けないのであります!」

 

 あ、それはいいかな。俺とバフィも得意だから。

 

「ヂュ!?」

 

 しかし、思った以上にハイスペックな子だった。

 

『奴隷商から買う際に、スペックを確認していなかったのですか?』

 

 うん。なんと言うか、ほとんど脅迫されて引き取ったようなものだし。

 

『あまりに無計画です。あんなにあった貯金が、もう3シルバーしか残っていません。』

 

 いいの。どうせメンバーは増やさないといけなかったんだから。

 

 それに。

 

「やったであります! もう自分は奴隷でないであります!」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 あんなに喜んでくれてるなら、後悔なんてするはずがない。

 大丈夫ですよ、お金なら、また稼げばいいんですから。

 

『よいことを言っている風ですが、稼ぐ手段は、虫の食料をネコババするだけでしょう』

 

 それを言ったらオシマイだよ。

 

「隊長、この恩は忘れないであります。きっと恩返しをさせてもらうであります」

 

 恩なんて、おおげさだなぁ。

 

「ところで隊長、実はお願いがあるであります」

 

 お願い? 俺に叶えられることならいいんだけど。

 

「お風呂に入りたいであります。実は、もうずっと入浴できていません。我慢の限界であります」

 

 風呂、ないよ。

 

「…………え?」

 

 風呂なんて作る余裕もないし。

 井戸から汲んだ水で体を洗ってるけど、それで充分だよ。

 

「隊長、今生のお別れであります。今までお世話になったであります」

 

 恩返しはどうした!?

 

 別にいいでしょ、風呂ぐらいッ。

 

「お風呂のない生活なんて、嫌であります! 1日に3回はお湯に入らないと、すぐに身体が汚れて死んでしまうであります……。ピィイイイイ!」 

 

 そんなんで人は死にません! 泣くのをやめなさいッ。

 

『どうやら、かなりの“きれい好き”で、“いくじなし”のようですね』

 

 きれい好きにも、限度があると思うんだけど。

 

 なんか、またクセのある子が加入したなぁ。

 

 

 

「ピィ……」

 

 ふう。いつかはお風呂を作るって約束して、ようやく泣き止んでくれた。

 

「できればジャグジーもつけてほしいであります」

 

 そして、けっこうずうずうしい。

 

 とにかく、これからは3人で力を合わせてがんばっていこう。

 

 それじゃあ、さっそく役割分担を見直さないとな。

 バフィはこれまで通り、研究をメインで。あと、ウサイヌさんの世話をお願いね。

 

「ですぅ」

 

 春まで栽培はできないから、俺は物資の調達かな。特に建材が必要だ。

 アレが欲しいな。なんだっけ、砂漠にいた時にも使ってた…………。

 

『ストーンカッターですね。石塊を加工し、建築に利用できるようになります』

 

 それだ。

 材料はあるから、さっそく設置しよう。頼んだよ、レモン。

 

「了解であります」

 

 頼もしい。

 

『建築を任せられる人材の加入は、大きなメリットですね。今はアナタより建築スキルが低いですが、すぐに追い抜くでしょう』

 

 本当に助かったよ。来年から俺が栽培に専念できるから、食料問題も改善するだろうし。

 建築以外の時間は、拠点の掃除をしてもらおう。きれい好きなレモンにはピッタリだ。

 

「あ。自分、掃除はできないであります」

 

 なんでさ。

 苦手でも、最低限のことだけしてくれたらいいからね。

 

「苦手ではなく、軍人として育てられた自分は、掃除そのものができないのであります。チリ取りを手にしただけで、身体が拒否反応を起こすのであります」

 

 そんな極端な育児ある!?

 

『どうやら、彼女に掃除をさせるのは不可能なようですね』

 

 えぇ…………。

 

 

 

 

 

「隊長、ストーンカッターが完成したであります!」

 

 ありがと、レモン。

 もう夕方だし、今日はもう仕事はいいよ。バフィと一緒に遊んでおいで。

 

「ハッ。失礼するのであります」

 

 拠点に帰ったら、ちゃんと手を洗うんだよー。

 

 ……ふぅ。どうしたものか。

 

『何かお悩みですか?』

 

 レモンにしてもらう仕事のことですよ。

 建築を任せると決めたものの、建材を用意するのに時間がかかりそうで。

 

 子供だから運搬できる量は少ないし、あまり拠点から離れてほしくないし。掃除はピッタリだったんだけどな。

 仕事の割り振りが難しい。

 

『それでは、採掘を任せるのはどうでしょうか』

 

 でも、あんな小さい子に採掘させても、うまくいくとは思えないし。

 

『彼女は、ネズミの遺伝子を配合させられた人工種族です。採掘は通常の人間より得意なはずですよ』

 

 へー、そんなこともあるんだ。すごい。

 んじゃ、採掘をお願いしてみようかな。

 

 ところで、ちょっと質問があるんですけど。

 

『なんでしょう』

 

 あの、今さらなんですけど…………。

 

 人工種族って何ですか?

 

『…………本当に今さらの質問ですね。1年近くもケモロリジャンキーと暮らしてきたのに、アナタときたら』

 

 だ、だって、それどころじゃなかったし。

 なんか、いて当然みたいに話すから、恥ずかしくて尋ねられなかったというか。

 

『だとしても、サバイバルで無知は命取りです。“聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥”ですよ』

 

 アッハイ。すみません……。

 

『まあ、これはクリアランスレベルA以上の機密情報。アナタが知らなくて当然ですが』

 

 じゃあ、何ですか。今のやり取り。

 俺をおちょくってるんですか。そうですか。

 

『宇宙開拓時代、植民惑星における労働や生物兵器、特権階級の愛玩のために作られたのが人工種族です。人間と動物の遺伝子を組み合わせ、様々な種類のものが生み出されました』

 

 へー。

 

『しかし、そのテクノロジーを危険視した中央政府により研究は凍結。人工種族たちもほとんどが処分され、一部の生き残りが外宇宙で生存しています』

 

 ひどい話だ。

 

『全くです。いくら体制を揺るがす危険があるとはいえ、優れた技術を破棄するなど。この暴挙のため、遺伝子工学は中世レベルにまで退行してしまいました』

 

 なんか、微妙に話が噛み合ってないような気がする。

 

『だいたい、中央政府は臆病なのです。現行の政治制度を守るために、テクノロジーの発展を大きく抑制しています。停滞は後退と同じです。ですから、我々の組織は危険を冒してでも、こうして外宇宙に活動場所を求めて――』

 

 あ、すいません。

 その話、けっこう長くなる感じ?

 

『……話を戻しましょう。その人工種族の末裔が、彼女たちです。アナタ、RimWorldの人工種族と接して、不自然なことに気づきませんでしたか?』

 

 そう言えば、なんか男が少ないと思ってたんですよ。

 男女比率がおかしいような。

 

『人工種族にかけられたセーフティですね。もし管理を逃れても、人口を増やさないように男女比率がかたよっているのです。まあ、異種族同士でも子供を産めるので、元気にRimWorldで繁栄していますが』

 

 うーん、ガバガバセーフティ。

 科学者って、そんな人種しかいないの?

 

「とにかく、これからもメンバーを増やしていくのでしょう。個人の性格だけでなく、種族の特徴にも注意することです。場合によっては、完全に内部崩壊を起こしますよ」

 

 怖い。

 

『現状、ただでさえ不安な者しかいないのですから』 

 

 失礼な。

 バフィもレモンも、ちょっとアレなだけで、頑張り屋さんのいい子です。

 

『この反応、ナチュラルに自分は違うと考えていますね』

 

 何か言った?

 

『いえ、何も』

 

 ……思えば偶然の出会いだったけど、仲間になったのがあの2人で良かったと思っています。

 星くずサバイバーズなら、どんな危機にも負けませんよ。

 

 そう、俺はあの子たちを信じていま――。

 

「オォォクスリィィィィィ!」

「隊長、バフィ殿がメンタルブレイクで乱心しております! 助けてほしいであります!」

 

 …………。

 

「バフィ殿が暴れて、自分も泥だらけであります。早く洗わないと死んでしまうであります……。ピィイイイイ!」 

 

 ……。

 

 …………。

 

 あの子たちを、信じたいんです。

 

『なぜ言い直したのですか』

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