・宇宙歴5502年 冬
どうも。
1年ほど一緒に暮らしてた同居人が去ってから、早数日。たった1人いなくなっただけなのに、拠点が急に静かになったように思えます。寂しいです。
でも、別れがあるから新しい出会いがある。そう信じてがんばろうと思います。カサバルです。
『はいはい。いつものいつもの』
対応がぞんざい。
まあ、それはいいとして。そろそろ今年の終わりも見えてきた。
思い返せば、年始にスタートした宿屋もけっこう評判もいいし、ネオ・サラゴサ町も順調に拡大していってるし。だいぶ躍進の年だったのでは?
『アナタは寝てばっかりでしたけどね』
それはしかたないじゃない。感染症やらインフルエンザやらカタトニーやら、ベッドから起き上がるたびに死にそうな目に会うんだから。
『とにかく人材不足、特に医者の不在に泣かされる一年でしたね』
うむ。なんとか、来年こそは問題を解決したいものだ。
それでも、スパロウのおかげで戦闘面は改善してきてるし。それに芸術品のおかげで生活環境も整って、金策の目途も経ってきた。金策に関しては、まだ売ったことないからどこまで稼げるか謎だけど。
ところで、他のみんなはどこにいるんだろ。さっきから拠点の近くで作業してるんだけど、さっぱり姿を見ない。
『どうやら研究室に集まっているようですよ』
研究室に? 何か問題でも起こったのかな。
心配だから、ちょっと顔を出しておこう。お邪魔しまーす。
「ちょっと、おじさん。今は女子会の最中なんだ。悪いけど、ナニをぶら下げている人は帰ってくれないか」
女子会してんの!? どうしてそんな、的確に俺だけをハブる集まりを……。
「ウヘヘヘ……バフィお姉さまたちと一緒。たまらんね」
こいつの発案か。
「カサバルさん。そういうわけで、今は遠慮してほしいですぅ。バフィも楽しみにしていましたから」
「チュー。たまには、こういう時間もよいでありますな」
「そういうわけで、ホラ、帰った帰った」
くっ。人を邪魔者みたいに扱いやがって。
今更なんだけどさ。俺の扱い、ひどいよね。
これでもさ、星くずサバイバーズの創設者というかリーダー的な役割なのに。普段は難しい決断とかゆだねてくるくせに、肝心なところで指示に従ってくれないし。
挙句の果てには、女子会をしてるから出ていけだと。俺だって、仕事の合間にはみんなと楽しくお話したいってのに。
派閥で唯一の男ってだけで、ハブかれるなんて。こんな疎外感を覚えたのは、RimWorldに落ちてから初めてだ。
まあ、女子は女子で楽しめばいいさ。俺たちだって、男同士で楽しんでやるもんね。
ね、クロウサさん。
「ガ、ガルぅ?」
『すごく困惑していますよ。このフレンチブルドッグ』
一応はオスだし。
『自分で言ってて、むなしくならないんですか?』
「隊長、トラップゾーンの建築が完了いたしました!」
ん、ありがと。
ふむ。人が2人並んで通れるぐらいの細長いゾーンだ。いつかは、ここにトラップを敷き詰めるんだよね?
「ハッ。安定したサバイバルを続けるためには、できるだけ無傷で敵を撃退するのが肝要であります。そのため、接敵の前に襲撃者をトラップゾーンで疲弊させるのであります。可能なら、トラップだけで撃退するのが理想でありますが」
そうそう、うまくもいかないだろうね。
「しかし、トラップゾーンの有無でこちらの損害は大違いなのであります。将来的には、さらに面積を増やしたいでありますな」
そうだね。トラップで敵をバッタバッタ撃退して、来年こそは無病息災の年にしてみせる。
……まずは、トラップを作れるだけの物資を集めないとな。
『現状、ただ長いだけの通路なんですね、コレ』
うーむ。ワンチャン、いつの間にか物資が増えてないかと思って倉庫を確認してみたものの。減ってはいるものの、増えてはいないな。
『当たり前です。結局、トラップは作れそうにないのですか?』
一応、木材はある程度溜まっているんだけど、最低限の量は焚き火のために備蓄してないと怖い。
『Rimworldで確認されている現象に、太陽フレアというものがあります。一定期間、電子機器が利用不可能になるというものです。もちろん電気ストーブも止まりますね』
うーむ、普通に死活問題。
いっそのこと、スチールでトラップを作ってみるか? でも、スチールの鉱床も有限だしなぁ。今後どのくらいのスチールが必要になるのか、分からない以上はあんまり消耗品には使えないんだよな。どうしたものか。
む?
なにやら、ドタバタ走ってくるネズミっ子の姿が見える。
「た、隊長! 大変であります!」
はいはい。どったの、レモン。
「採掘中に、新しいゾーンを発見いたしました!」
うお、北西の岩山にどデカい洞窟ができてる!
『ふむ、スキャン開始。……ほう、内部にスチールと潰れた機械の鉱床が確認されました。こんな近くに未発見の資源が眠っていたとは』
これはありがたい。でかした、レモン。
「チュー。物資の発見は喜ばしいことでありますが、防壁の内部まで洞窟が伸びているのが不安でありますな。少し岩壁を採掘すれば、簡単に内部に侵入できてしまうのであります」
たしかに。
とりあえず、時間を見つけて防壁を増築しとくのもアリだな。
「チュー。また仕事が増えそうであります……」
ふー。あとちょっとで新しい年が始まるな。なんとか今年もサバイバルができたか。
明日の今頃には、みんなで寝室に集合だな。それから、いつもの行事として並んで記念写真を取るか。
アイちゃん、今年もよろしく。
『ですから、ワタシをカメラ係にしないでほしいのですが』
いいじゃないの。かれこれ3回目でしょ。
『まったく。感謝することですね。本来なら、ワタシほどのテクノロジーにこのような雑用をさせるなど、科学への冒涜と申しても過言ではn』
さて、そろそろ晩ご飯の準備をするか。とは言っても、インセクトゼリーを皿に盛るだけなんだけど。
『……スリープモード解除。不審な生命反応をキャッチ。データを参照』
むにゃ。いらっしゃいませぇ。
『ほう。これはずいぶんと久々なお客様ですね。とにかく、このマヌケ面で寝ている男を起こしますか』
あ、あー。困りますお客様。ウヘ、ウヘヘ。そんな情熱的な……。
『電気ショック、起動』
アァババッバババ!?
『本年で最後の敵襲ですよ。気合を入れて迎撃しましょう』
普通に起こしてくれたらいいじゃない! なんか幸せな夢を見てたような気がするのに!
『そんなことを言っている場合ですか』
『もう、深きものたちがすぐそこまで来ていますよ』
に、2年ぶりにバケモノがやって来たぁ!?
「なんですぅ? カサバルさん、うるさいですぅ」
みんな起きて! 星くずサバイバーズ、緊急出動だ!
アイちゃん、敵は!?
『すでに名ばかりのトラップゾーンの目前まで迫っています。防衛陣地での迎撃は間に合いませんね』
ちくしょう。こんな深夜に攻めて来やがって。もっと健康的な生活しろよ。お肌に気をつかえ。
「隊長、そんな無駄な愚痴を言っている暇はないのであります」
分かってる。みんな、拠点の西側に集合だ。ここでいつも通り、ウサイヌさんたちを盾にして敵を迎え撃つぞ。
「でも、相手は3人いるですぅ。ウサイヌさんとクロウサさんだけじゃ抑えきれないですぅ。こんな時、ヨットさんがいてくれたら」
いない人間を頼るわけにはいかない。
だが、しかし! ここにはもう1人、格闘戦をこなせる人間がいる。そう、この俺が。
「だから不安ですぅ」
バフィ!?
「お姉さま、おじさん。バケモノが来るよ!」
バフィ達のとこまで行かせるかッ。
バケモノども、俺の斧のサビになれぇ!
えげぇ!? ちょ、やめてください嚙みつかないで!? グワーッ!?
「あ、ああッ。カサバルさんの身体があっという間に、もみじおろしみたいに!?」
「弱すぎる。最初の威勢の良さはなんだったんだ……」
アバーッ!? アバ、アババーッ!?
「うわぁ。寄ってたかってモグモグされてるよ」
『中世のゾンビ映画で、あんなシーンありましたね』
「隊長も危険ですがクロウサさんも傷だらけであります!」
い、痛いよぉ……。
「カ、カサバルさんの全身がイチゴジャムみたいに」
「ひどいであります! クロウサさんの尻尾が千切れてしまっているのであります!」
は、早く薬草で治療しないと。
『写真撮影はどうするのです?』
そんなのやっている場合じゃない!
『ずいぶんとグダグダな年の瀬になりましたねぇ。これでは来年もどうなることやら』
まだシリーズの終わりが見えてこないってのに、RimWorldはver1.6が来るだと!?