鎮守の森~元祖異世界時代劇~   作:仲村大輝

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出発というか終わりというか

太陽が真上にある12時30分。

日本の地方。

小高い山に囲まれた小さな市を見下ろす1000メートル級の大きな山。

その山は、白いピラミッドを積み上げたようなカクカクとした山肌をして、所々木が密集して生えている。

その中腹が爆発して煙が上がる。

この白い肌は、石灰。現代社会においてビルの原料になるセメントになる。

地方の人間を支える重要な輸出品である。今や自然は人間を支えてくれる重要な物質となっている。

人間が過ごしやすいように、過ごしやすいように現代は進んでいる。

僕もこの流れに乗っかり、午前中だか正午だか分からないような時間に起き出し、午後の四時ごろ帰宅したような顔をして散歩して、夜はゲームをしている。

勤労や勤勉はどうしたのかというと、謎のウイルスのせいで生活の様式がガラッと変わり、就活も授業も家で済んでしまっていている。

なにせいきなりのとこすぎて、学校の授業も曖昧、就活もうまく進んでいない。

この散歩ぐらいが良い気分転換ぐらいなものである。

なにせ、最近の目覚ましは山が爆発する音で、いつの間にか何を言ってるか訳の分からない授業を受けて、自分が行きたいのかもよく分からない企業の面接を受けて、4時ごろ暇になる生活。

誰か僕をこの生活から抜け出させて欲しい。だけど、どうすればいいか分からない。

そう考えながら、ぼーっと警察の近くを歩いていたら、パトカーに轢かれて、僕は死んだ

 

らしい。

 

死んだらどうなるのか?

塀に囲まれた中世ヨーロッパ風の世界に飛ばされ、銀髪のハーフエルフに恋をしたり、巨人と戦ったり、居酒屋で働くような展開ではなかった。

だからといって、事務室にとおされて、島津豊久や織田信長と一緒に戦うことを命じられたり、水の女神と冒険をするようなことにもならなかった。

だからと言って、白い動物に「魔法少女になれ」とも、父親から「人造人間に乗れ」とも、嫌な上司から「赤い彗星を落とせ」とも言われる展開にもならなかった。

ただ、白川郷や大谷宿で公開している民家のような、ススで黒くなった天井が見える。

まぁ、この辺りはまだこのような養蚕農家の造りの家が何軒か残ってたはずだから不思議ではない。

僕は薄っぺらいのに重たいせんべい布団の中で目を覚ました。

「ここは?」

まことに図々しいが、こんなことを考えた。現代社会において、こんなにワタがなくなってしまっている布団に見ず知らずの人間をのせる人がいるのか。

助かっただけでも感謝できない残念な人間だと自身で思いながら、ここはどこだろうと見渡そうと目を開き、ぐるっと左を見る。

畳のヘリが見える。また奥には重厚なこれまた黒いタンスがある。

右を見る。

人がいた。

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