鎮守の森~元祖異世界時代劇~   作:仲村大輝

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自分はおもしろいと思って書いてます。
どうでしょう?


ハハソの水牢破り

「おい!看守!」

「どうした?」

「一番奥の奴がこんなところにいるんだったら舌を噛み切って死んでやる!と叫んでから返信がないぞ?」

「なに?」

禿頭のてっぺんに頭を守る器を被り、木の棒に釘を刺しまくった金棒を持った男が長い洞窟の一番奥にいる。神の力を持った男の子が幽閉されている場所に向かう。

「あっ!本当だ!」

男の子はぐったりして、口から血を流している。

「お前に死なれると、妙見様に怒られるんだ!死ぬな!」

金棒をドサンと落とし、鍵を開け、男は中に入る。

手足を謎なお札で止められている男の子は死んでしまったのだろうか?男は顔を軽く叩いたり、口を開けてみるが動かないし、口は血だらけだ。

「早く報告しないと!」

男がその場から離れようとした時!足が動かなかった。

「そんなことする必要はない!」

下を見ると、地中から手が出て、足をつかんでいる。

「なんだ!?わっ!」

一瞬で男は土の中に引き摺り込まれた。

五秒程シーンとなったから、続々と動物の皮を被って、違う動物の格好をした人たちが出てきた。

「なかなか良い演技だったぞ。ハハソ。」

猿の面をした男が面を外しつつ言った。

中から丸刈りの好青年が現れた。

「ハハソ。もういいぞ。」

日本犬の面を上にずらしつつもう一人言った。

顔の長い人だった。

その人が顔を叩く。

「ハハソ!?どうした?なんだ…本当に寝てるだけか。」

シワが多く、肌が黒い男の人が最後に出てきて、鍵をガチャガチャ開け出した。

「しかし、ハハソの男気には頭がさがるな。1日2日の恩義を命を張ってまで返すとはな。こいつは立派だよ。」

そう言いつつ、猿の面をつけていた男の人が手足の札を剥がし始めた。

「たしかに、こういうのが欲しいな。田代さん。」

バリ!

「井上さん。あんまり強く剥がしたから、皮膚とか肉とかまでまとめて剥がしてますよ。」

メリメリ!

「と言っても、こいつならすぐ再生するんだろう?ほら。」

肉ごと剥がした足を井上さんがバシン!と叩いたら、普通の足に治った。

ガチャン!

「あきましたよ。田代さん。」

「ありがとう。加藤さん。おい!ハハソくん!」

「おきい!」

お札を剥がし終えた井上さんが、ハハソを抱き抱えると、そのまま落とした。

「痛!」

「ハハソ。作戦は成功したぞ。」

「あっ!そうですか。」

「足とかむしられたのに、その反応かい。」

「………感覚がないんじゃ仕方なかったか。まぁ良い。田代さん。すぐやろう。」

「そうだな井上さん。

みんな!ついに時が来た!

今の我々には神、いや仏をも凌駕する力を手に入れた。今こそ、ここから抜け出し、大宮郷に帰還し、自由を手に入れるのだ!

『恐れながら、仏僧に敵対するなら加勢いしろ!』」

「「「おー!」」」

加藤さんがみんなの牢屋を開けてみんなが出てきた。

みんな動物のふりをしている。

「さすが、熊木の田代家ですね。」

「そう言わないで欲しいな…石間の加藤さん。」

「あ、あの…」

「ん?どうしたハハソ?」

「井上さんは下吉田ですか?」

「あぁ?そうだよ。なんで分かったんだ?」

「く…熊木の田代、石間の加藤、下吉田の井上ってたら…有名人も有名人…100年…300年も語られますよ…」

「なに?そんなに有名なのか?俺たちは?

ハハハハ!君はおだてるのもうまいな。俺たちの家が100年も300年も持つとはな。ハハハ!」

「………。(熊木の田代、石間の加藤、下吉田の井上って、秩父事件の総理、副総理、会計長の家系じゃないか…)

江戸時代にこの3人が会っていたかは分からない。けど、まぁいいか。なにせ、異世界なんだから。」

「よし。ここから出るぞ!」

結局、田代(猿)、加藤、井上(犬)、あと牢屋から出てきたのは土竜、蟹、兎、猪、山羊、穴熊、ツキノワグマ、馬と、意外と沢山いた。

この土竜、穴熊、猪、兎が穴を掘って、僕の足元までやってきて、現在に至るのだ。

「おい!俺たちもここから出せ!」

ガンガンガンガン!

おっと!

まだ牢屋に入れられた人たちが騒ぐ。

加藤さんが言う。

「お前らは人じゃないだろう?」

「人じゃないけど、一生ここは勘弁だ。大水が出ても逃げられないし。」

「川の妖怪なんだから逃げられるだろう。」

「あの、このひとたちは?」

「人じゃない。妖怪って言ったほうがいいかな?

「妖怪?」

「よく見てご覧?」

加藤さんに言われて牢屋に近づいてみると、目が丸く大きく、口はカラスのようで、頭の素天井が禿げて長髪である。

ただ、牢屋を掴んでいる手はカエルのように指先が大きく、水かきのような膜がついていた。

その隣には、山伏のような格好をしているが背が高く、鼻が長く、翼が生えていた。

「確かに、妖怪ですね…」

「だからって、俺たちも被害者だぞ。」

「うーん…それもそうか。」

「あの。」

「なんだい?」

「まだ聞いてませんでしたが、どうして僕たちはここにいるのでしょうか?」

「聞いてないのか!君は…あの土竜、蟹、兎、猪と一緒に仏教の…えっと…持国天に捕まったんだ。」

「それより前にいた山羊、穴熊、ツキノワグマ、馬は君の言う田畑の銀次と同じフクロウに似ているが、妙見宮に忠誠を誓うのではなく、おたえ様に忠誠を誓っているんだ。」

「オタエサマ?」

「おたえ様っていう謎の人物が黒谷から妙見宮に至る所まで伝説があるのだが…まぁ、それを守っている人たちらしいな。しかし、そのよく分からないものを信仰しているひとたちは仏教にとって邪魔だったんだろうさ。ただ、一人一人は強く基礎値が高いんだが、命令がないと動けないもんだから、ここに捕まっていたらしいんだ。」

「そこに、俺たち田代、加藤、井上が捕まってきたんだ。」

「なぜ三人が?」

「田代さんは、妙見宮に奉仕してたんだが…」

「まぁ、賭博場を寺で開いたらばれて捕まったんだが、妙見宮に行ってたってことで、俺だけここに入れられた。」

「俺は、石間から出てきて、喧嘩を見つけてしばらく見てたら、馬乗りになって殴り出したから、殴っている方を後ろから止めたら、殴られてた奴がいきなり元気になって、形勢逆転されたんだ。そしたら、俺が止めたほうが仏教関係者だったらしく、無実の罪でここに入れられた。」

「俺は下吉田で、最近年貢の取り立てが厳しく、蚕も高値で売りつけてくるから文句を言ったら、頭を冷やせと代官に言われて、付き人みたいなやつに気絶させられて気がついたらここにいたんだ。」

「そちらの、牢屋の方は?」

「俺たちなんかもっと酷いぞ。僕は荒川の淵に住む川人族だ。父ちゃんと母ちゃんと姉ちゃんがいたんだ。僕たちは元々上流から流れてくる野菜なんかしか食べないし、子供たちが淵にハマりそうになれば助けてあげていたのに、あの仏教の聖職者『僧侶』が「荒川に棲む魔物、河童どもを根絶やしにしろ。そうすれば、子供たちもいなくならずにすむ。」などと言って、僕たちの住処を壊し、一家離散しちまったんだ。僕はあの僧侶が…仏教が憎い!」

最後は叫びに近かった。みんな思わず黙ってしまった。

「ワシは元々大滝の落合にいた天狗だか、あの訳わからん僧侶どもに居場所を追われ、子供を拐うとか変な噂を流され、あっちにフラフラこっちにフラフラしていたら捕まってここに入れられたんじゃ…」

「…加藤さん。やっぱりかわいそうですよ。彼らも出してあげましょうよ。」

「…しかし、」

「なら、僕が開けたことにして、もしも襲い掛かれば、僕のせいにしていいです。」

「待て待て!どうしてそこまで言える。」

「じゃあ、見ていてください。」

一歩前に出て牢屋に近づく。

「河童さん。天狗さん。僕は、恩人を助けたい。その力になってくれますか?」

「僕は、ここを出て僧侶どもを倒せるんならなんでも協力してやる!」

「天狗は死ねないらしいからな。だったら、落合の人たちと仲良く暮らしていきたいとは思うよ。ここから出してくれるか?」

「出しましょう。ただ、条件があります。僕が銀次という人を助けるまで僕に協力してください。」

「!わしは構わんが…河童、お前…」

「もちろん協力する。」

「ネブッチョウとオーサキに誓って?」

「「「!……(おぉ!そうきたか…)」」」

「僕は誓う!なにがあっても銀次っていう人を助ける。」

「若いなぁ。」

天狗は顎紐を緩めると、かぶっていた帽子、頭襟を差し出した。

「これは天狗の証だ。それを君に渡す。これでオーサキやネブッチョウだけでなく天狗としても誓うぞ。」

「ありがとう。二人とも。じゃあ。」

そう言って僕は二人の牢屋を開ける。

「みんな!ここから夜明けを観に行くぞ!」




ここに出てくるリーダー達は秩父事件の局長、副局長、会計長がモデルになっています。
田代栄助は最後の侠客とWikipediaに書かれていました。
ぜひ明治政府にだまされず、田代栄助がどのように秩父事件の中心人物になったのか見ても面白いでしょう。
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