鎮守の森~元祖異世界時代劇~   作:仲村大輝

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いよいよ物語のキーキャラの登場です。
キーキャラ感が出てますか?


オオカミとおたえ様

はっ!と目が覚めた。

銀次さんの家の天井だった。

周りを見ると、銀次さん、田代さん、加藤さん、それとお坊さん、オオカミがいた。

「銀次さん。」

「ハハソ。気がついたか?」

「はい。今は?」

「……あれから5日たった。」

「5日?」

「…君は、神の力を使うと、気絶する頻度が明らかに伸びている。もうこれ以上は…」

「……(そうかもしれないけど、使わないとみんなが…)…あっ!田代さん。みなさんは?」

「あぁ、みんな元気だ。ただ…」

「銀次さんを助けたのだから、もう良いでしょ?って思ってる人がたくさんいるって感じですか?」

「…そうだ。」

「けれど、田代さん。僕がお願いしたのは、銀次さんの奪還ですから、もう大丈夫です。みなさんにお礼を言わないと…」

立ち上がるのを加藤さんが止めた。

「それよりも…」

「加藤さん!」

「銀次くん。これで良いんだ。…ハハソくん。悪いが、君にはもっと活躍してもらわにゃならんことになった。」

「?どういうことですか?」

「…銅三くんだが、君が、銅三くんを助けたらしいんだ。」

「は?」

 

僕は銅三さんにぶん投げられて、羊山まで飛んで行ったのだから、会うことなど不可能だ。

しかし、銀次さんと、虚空蔵様の僧たちが見たのはこうだったらしい。

なんと、銅三さんの肩にいたカジカさんをかっさらったのは、僕で、銅三さんが倒れて、太陽の中から銀次さんが突撃してきた時、身を適して助けたのはなんでも僕らしい。

その直後、銀次さんがもう一度攻撃を仕掛けようとしたら、銅三さんと、カジカさん、そして僕が虹色に光り、跡形もなくいなくなったらしい。

そして、僧侶たちに取り囲まれた銀次さんは、広見寺に捕まったらしいのだ。

 

「どういうことだ?」

「そう。まさに、どういうことだい?ハハソくん?」

「そう言われましても…だって、僕はいままでみなさんと一緒にいたじゃないですか?」

「そうだ。だから、我々で話し合った結果、『これから、』君があの時間に行くのではないかと考えた。」

「……(つまり、タイムスリップをこれからするってことか。)…どうやって?」

「そう。だから、我々は君を過去に飛ばすまでは協力しようってなったんだ。」

「えっ!?」

「君は、銀次を助けることが目的だと言ったな?銀次の弟妹の銅三とカジカが行方不明ってんじゃ、銀次は救われてないだろ?」

「そうだ!銀次さん。お母さんとお義姉さん、ヤマメさんは?」

「…母さんは無事だ。義姉さんもオオカミ様の話だと妙見山にいるらしい。ヤマメは…」

「ここだよ。」

隣の部屋から声がした。

銀次さんが声を潜める。

「…俺のせいで、付喪神たちをボコボコにしてしまったから、付喪神と縛り合っているカジカもボロボロになってしまったから、奥の部屋にいるんだ。」

「…僕は………」

バシン!と加藤さんに肩を叩かれた。

「だからなおさらだ。ハハソ。銅三とカジカを助けに行ってくれ。」

「でも、どうしたら?」

「オオカミがどうしてこの世界にやってきたのかが分かれば、それを逆に使えば、昔に行けるんじゃないか?」

「………(たしかに、未来にタイムスリップしたのなら、過去にも出来ないとおかしい…)。」

「なら…」

「あっ!それともう一つ。」

「一つよろしいですか?」

お坊さんが喋った。

「?…?この方は?」

「自己紹介が遅れました。廣見寺僧侶の、湛山種的(たんざんしゅてき)と言います。ハハソ様には皆、大変世話になったと申し、厚く御礼申し上げます。」

「?田代さん。これは?」

「まぁ、聞け。出発は、朝の方が良いだろう?」

庭を見る。

たしかに庭は真っ暗で、星が輝いていた。

 

「我々永平寺を軸とする曹洞宗の僧侶は、永平寺より派遣されるのですが、秩父は違います。

秩父には、秩父の決まりのようなものがあって、それに乗っ取らなければいけないのです。

それを破ったものがいます。

西行と言う僧です。

彼は、秩父に仏教を広めようと、ある坂の下にやってきたそうです。

すると、坂の上から、鎌を持った男の子がやってきて、西行は、「あの子どもに道案内をさせよう。」と考えて声をかけたそうです。

「やあ、こんにちは。いまからどこにいくんだい?」

男の子は、すぐこう答えた。

「冬起きて、夏枯れる草を刈りに行く」

そう言って、立ち止まらずスタスタ歩いていったそうです。

しかし、西行はそれがなんだか分からず、立ち止まって考えたそうですが、全然分からないため、その子どもをつけたら、麦を刈っていたそうです。

たしかに麦は稲と栽培期間が被らないので、あの子どもは嘘をついていた訳ではなかったのです。

しかも、「冬起きて云々」は、5 7 5になっており、西行は、

「秩父の人たちは子どもまでこんなに頭が良いのでは、私の教えなどなんの役にも立たないし、教えを説いてやろうなんてそんな大それた考えを持っていることがダメだ。もう一度修行をやり直そう!」

と言って帰ったそうなんです。

ですから、秩父は、きちんとした仏教ではないのです。

なにか違う宗教に支配されています。」

「では、広見寺は、なぜ寺を名乗れるのですか?」

「その異宗教が、仏教を名乗り、秩父の神々をいじめるのを見張るべく、頭を丸めた宮地、フクロウの人々、そして、民衆を欺くために、永平寺から高僧を呼び入れているのです。」

「…ということは、お坊さんたちも、あの四天王をはじめとする仏教を名乗り暴れ回っているのとは、まったく関係ないと?」

「逆に、フクロウの方々が蜂起するのを待っていたのです。」

「………。」

「しかし、そこで矛盾が生じるのです。」

急にお坊さんが大声を出した。

「妙見宮に祀られている妙見大菩薩、あれはどうなるのでしょう?」

「…………。」

「…………。」

「…………。」

「…………。…!あっ!」

よりによって気づいたのは僕だった。

「妙見大菩薩は担ぎ上げられているだけ。…妙見大菩薩が異宗教に囚われる前に助け出せないか?と…」

湛山は頭を深々と下げた。

「お願いいたします!妙見大菩薩も元の姿に戻してやってください!」

「……ハハソくん。」

オオカミ様が口を開く。

「無理なら無理って言ってもいいよ。僕がなんとかしないといけないことだし…」

「だけど、オオカミ様…妙見大菩薩も被害者なら助けないと…」

「良いよ。そこまでしなくても…」

なんか寂しそう。

「そんなことより、銅三くんとカジカさんを助けないと。」

「…………。」

一同、庭に出る。

もうすぐ太陽が上がる直前であった。

「ハハソくん。これを使ってくれ。」

銀次さんが、銀次さんが使っている鳥の衣装一式を渡してきた。

「これは、オラが単体で空を飛ぶことの補助、羽による攻撃、顔を画面で守るという効果がある。なにか君を助けてくれる筈だ。」

風呂敷で包んで渡してくれた。

「良いかい?この時間旅行は神力は使わないはずだから、倒れないはずだよ。それと、もし記憶がなくなったり、倒れたりしたら、あっちの僕に相談してすぐ帰れる策を見つけて欲しい。」

「オオカミさま…」

「妙見のことはどうでもいいから。さあ、はじ…危ない!」

太陽が顔を出し、太陽光線が地上に届いた時、太陽光線に混じって、レーザービームのようなものがオオカミの足元に炸裂した。

オオカミはとっさにヘッドスライディングよろしくよけたので大丈夫だったが、庭に30センチほどの穴が空いた。

「なんだ?」

「ハハハハハハ!」

「上か?」

また屋根の上に誰かいた。

今度は女性だ。しかも亀に乗って、刀を持っている。

「なんだあれは?」

「なんで、あんなことが?」

みんなが思った。

ただ、見て速攻で土下座した人物がいた。

「妙見大菩薩様…」

湛山氏であった。

「妙見大菩薩…」

「おい!フクロウ共。頭が高いぞ。分かっているのか?」

「………そうか…」

銀次さんが呟き、立て膝で頭を垂れた。

フクロウが集合した時はすぐ動けるようにこんな座り方をすることになっているらしい。

「おい!人間!我は妙見大菩薩であるぞ。」

「は、…ははぁ」

時代劇でお殿様に頭を下げるように正座で田代さんと加藤さんが頭を下げた。

「?…おい?お前はどうした?私は、妙見宮本尊、妙見大菩薩であるぞ?」

水戸黄門や暴れん坊将軍を見ておいた方が良かったかもしれない…

「も、申し訳ございません。」

田代さんの真似をして、正座をした。

頭を出来るだけ低くするように足を開いて田代さんや加藤さんより頭を低くした。

風呂敷を抱えて。

「ふふふふ。結局こうなるのね。愉快。愉快。」

「…おたえ、いい加減にしろよ。」

頭だけ動かして、オオカミを見る。

左手に持ってる脇差が震えている。

「?おたえ?…ふふ!まだそんな名前で私を呼ぶの?そんなの今はもういないよ。もしかしたら、あの時は不安定だったからおたえの状態もあったかもしれないけど、今は、この大宮郷を支配している妙見大菩薩。」

「嘘だ!君は僕たちを、僕たちの家族を助けるために一緒に戦ってくれたおたえだろ!?」

「だから、おたえはもういないんだよ。」

「…やめてくれ。」

「ふふふふ…じゃあ、私が見た地獄も話そうか?あの後どうなったのか?」

「えっ?」

「だから…なんで、ここまで大宮郷の人たちがお諏訪様のことを話さないの?」

「…………。」

左手の震えが止まって、脇差が落っこちた。

「…。」

僕はオオカミ様がすぐ拾って戦えるように脇差を右手で拾った。

隙があれば、返せるように。

「オスワは…」

「オスワは、私が殺した。」

「!」

「いや、正しくは私が手にかけたわけじゃない。ただ、オスワは、妙見宮に立てこもって、私に殺されることを拒んで、妙見宮に火をつけて自害した。」

「…そんなこと信じられるか!」

「普通ならそうだよね。だけど、証拠はある。」

「なに?」

「秩父札所って聞いたことない?」

「…仏教を調べる中で話は聞いた。大宮郷に金を落とす観光のために制定されたと…」

「ふふふふ…あっハハハハハ!そんなことで制定するわけないじゃない。」

「んっ…」

「オスワが火をつけた後、火だるまになって飛び出したんだよ。それが、覆いかぶさったところに寺を造って縛ったんだよ。」

「…ただ、死んだだけならまだしも…お前らに縛られているのか…」

オオカミは膝から崩れ落ちた。

「オオカミ様…」

僕は呟いた。

目からツッーっと涙が溢れる。

「しかも、私たちによって存在までうやむやにされてんだから…ふふふふ。」

「ち、く、しょう…」

オオカミは目線をガクン、ガクン、ガクンと下に下げた。

「オオカミ様…」

「ハハソ、これは余計に君を昔に送らなければならなく…」

「ねぇ、オオカミ。君がいまなにを考えてるか分からないけど、その男の子、神様の力みんな持ってるんでしょ?だったら、その子がいなくなれば、あなたはなにも出来なくなるんでしょ?だったら…」

手を置いていた刀を抜いて、片腕で上段に構えた。

刃が紫に光る。

そして振り下ろすと共に、紫色の雷のようなものがハハソに飛ぶ。

「まずい!ハハソ!」

オオカミは、雷が当たる前の僕を突き飛ばした。

ただ、雷をさせることは出来ず、僕は雷の直撃を受けてしまった。

 

身体に強烈な痛みが走る。

それ以前に、目を閉じているのに、目を開けて辺りを見渡しているような映像が流れる。

広見寺

室山城

牢屋

地中

持国天

飛ばされている景色

銅三さんの顔

家具を動かすヤマメさん

獣化したカジカさん

本来の姿になった銀次さん

いままでの体験を遡った。

そして目を閉じている通り、視界が真っ暗になった。

どこからか声が聞こえる。オオカミ様の声だ。

「ここは、僕たちが出会って、あの牛が現れた直後だ。この世界での活動時間は、90秒。」

『この世界での活動時間は…』からは、女性の声だった。

どうも、さっきの妙見様の声に似ていた。




今まで仏教と言ってたのは仏教じゃないです。(だったら、仏教と言うのは止めた方がいいでしょうか?)
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