これはなんとかしないとだと思います。
ただ、これで聖地巡礼などしてもらいたいので地名変更は勘弁ください。
日御碕は、荒川を越えて、宝登山日野沢方面に逃げた人々の救出並びに、仏教撃退の軍を進めていた。
巨人が、宝登山から見て、真東の方角で暴れ出す予定だったからだ。
しかし、荒川を越えて国神に布陣してもまだ巨人が所定の場所に到着したという連絡はない。
「遅いな…どうしたんだ?」
宝登山の方向がまだ黒い煙を出して、燻っているのが分かる。
しかし、宝登山から仏が飛び出してくる様子もないし、予定の山から巨人が現れる様子もなかった。
「おーい!」
川の方向から声がする。
狐がなにか背負って走ってくる。
「遅いと思ったが…うん?」
「おーい!おーい!」
狐がだんだん二足歩行に、人間になっていく。
「…なんであいつが来るんだ?」
「おーい!」
「?」
「危ない!」
そういうと、背中の何かが空に舞い上がり、日御碕率いる軍に覆い被さるように大の字に広がった。
「おっ!?」
すると、その人は急に爆発した。
「「あっ!」」
爆弾でも爆発したようにその人は煙に包まれてしまった。
「あの少年だった…」
「あぁ…あぁ、ああああ…」
バラバラと落ちてくる彼の肉片を見ながら日御碕の兵士たちは狼狽した。
しかし、日御碕だけは違った。
彼だけ空を見ていた。
爆発したその奥を見ていた。
「…ちくしょう。
なんだよあいつ…さっきはいなくなるし、いなくなったかと思ったら邪魔しに現れやがって…」
先程の禿頭が浮かんでいた。
「お前。この少年になにをした!!」
日御碕の怒鳴り声。
すごい怒鳴り声だ。
声なのに風を起こし、空の禿頭に向かって風が轟々と吹いた。
「今の少年が邪魔をしなければ、先程吸い取った巨人共の力…すなわち気を貴様らに与えて、全滅させようとしたのに…あの少年に助けられたな。」
「貴様!」
「おっと…怒らないで怒らないで。すぐ楽にして差し上げますから…」
そういうと、禿頭はあの箱を右手で持ち、左手で開ける動作をした。
「やめろ!」
するとみるみるうちに、肉片が一箇所に集まった。
集まっただけでなく、パズルのように元々の人間に戻っていく。
最後に頭が元に戻ると、身体をかがめて、禿頭から見えないように隠しながら懐から脇差を抜き、そしてたっぷりと力を込めて禿頭に大ジャンプした。
「な…」
禿頭が構わず箱を開けようとしたとき、目の前から両腕と箱が消えた。
代わりに自分の血が腕からポンプ車の水のように出てくる。
「…に…」
目の前にさっき肉片にした少年がいる。
泣いている。
彼の左手は箱が開かないようがっちり抑え、それに抗い開けようとしている自分の手がブラン…と垂れ下がっている。
そして右手は、脇差を持ち、その脇差を胸に思いっきり突いた。
ただ、それだけじゃ終わらない。
握ってる拳でそのまま殴られ、タックルされたように後ろに飛ばされていく。
全身が粉々になり、目も見えなくなって、痛みもそのまま直で伝わる。
「この箱がなければ、みんな平和に暮らせたんだぞ!」
目の前で木になった巨人、己を隠してるカジカさん。
負けるわけにいかなかった。
必死の思いで、身体を元に戻して、禿頭にパンチ、体当たりした。
箱も奪った。
僕は泣いた。
そして、僕はどこにもぶつけることの出来ない苛立ち、痛みの怒りを脇差に込めて、禿頭に突き刺していた。
銅三さんに投げられた時のようなスピードで空を飛び、荒川を掠め、宝登山を飛び越し、川幅が広くなっているところに、禿頭を叩きつけ、そのまま岩を砕きながら、力走した。
岩がガリガリと削れ、川の水が次々と削った窪地に集まり、川幅いっぱいに広がっていた川が、窪地のところでまた違う流れに変わっていった。
二キロほど進んだ頃だろうか。
岩がなくなり、川岸に馬乗り状態でたどり着いた。
「よくも、巨人族と、銀次さんたち、オオカミさまたちを…」
脇差を引き抜き、頭にでも突き立てようとした時、右手首を掴まれた。
「はっ!」
と思い、後ろを振り向いた。
イタチの耳。
そのイタチの耳が後ろからハグしてきた。
「ハハソくん。落ち着いて。それ以上やったら、その人死んじゃって、ハハソくんがハハソくんじゃなくなっちゃう。」
カジカさんだった。
禿頭を見る。
神の力を使ったとは言え、二キロも叩きつけられたものだから、全身がボロボロになって、擦り傷切り傷だらけになって、目が虚になっている。
このまま刺していたら…考えたとたん怖くなった。誰かに守ってもらいたくなった。
後ろからじゃなく、前からハグしてほしかった。
その恐怖のなか、また眠くなってきた。
今回は無茶苦茶なことをやりすぎた。
「そうだ…聞かないと…稲荷様に、どうしてあの時僕を信じて橋の守りを任せたのか?……起きてからでいいか…どうせ起きれるんだし…」
残り、28日。
新たにできた溝に水が流れ込み新たな水の流れになっている。
ちなみに、この一枚岩があるところを岩畳と言われている。
この岩畳は、ブラタモリで岩畳の出来方を見て思いつきました。
出来方はまったく違います。(笑)
ただ、異世界なんだからいいでしょう?